NHK特集 シルクロード
『NHK特集 シルクロード』(エヌエイチケイとくしゅう シルクロード)は、1980年代前半と1988年から1989年に、NHK総合テレビの『NHK特集』で、毎月1回放送されたシリーズ・ドキュメンタリー。
本項目では、以下についても記載する。
- もうひとつのシルクロード - 1981年にNHK総合テレビで放送され、2011年4月5日からNHK BSプレミアムで放送されている。
- 海のシルクロード - 1988年にNHK特集にて放送された。
- シルクロード 壮大な旅50万キロ - 1989年に『NHKスペシャル』にて放送された。
目次
番組概要
1979年から1980年にかけ取材し、NHKと中国中央電視台により中国・西安を出発点に、中国領内シルクロードの共同取材が行われ、全12回シリーズ『日中共同制作シルクロード 絲綢之路』が、1980年4月から1年間放送された。
中国以西の取材に向け数年間交渉し、さらにインド・ユーラシア大陸(中央アジア)・アナトリア半島・地中海からローマへ至る道を紹介した『シルクロード第2部 ローマへの道』が製作され、全18回が1983年4月から1984年9月までシリーズ放送された。
特に外国メディアにより、中国領土内のシルクロードの取材が認められたのは、この番組が初めてで、大きな関心と反響を呼んだ。またソビエト連邦のアフガニスタン侵攻によりアフガニスタン取材が不可能であった事やイラン革命後まもないイラン、イラン・イラク戦争当時のイラン・イラク両国の取材など、歴史紀行番組ではあるが当時の国際情勢も反映していた。
井上靖、司馬遼太郎、陳舜臣、加藤九祚等の作家・東洋学者が、現地でゲスト登場した回もあり、各自紀行記を下記の関連書籍に執筆した。それらは多数重版している。
1980年代以降のいわゆる「シルクロードブーム」は、この番組が火付け役となった。また総集編(前編・後編)で放映された。何度もビデオ化され、様々なソフトで出された。
2005年の放送80年記念事業の一環として、それをデジタルリマスターリングする作業が行われ、NHKスペシャル「新・シルクロード」の放送に併せ、番組放映された。リマスター版でのDVDセットも販売されている。
作品リスト
シルクロード 絲綢之路(全12集)
- 遙かなり長安(1980年4月7日)
- 黄河を越えて 〜河西回廊1000キロ〜(1980年5月5日)
- 敦煌(1980年6月2日)
- 幻の黒水城(1980年7月7日)
- 楼蘭王国を掘る(1980年8月4日)
- 流砂の道 〜西域南道2000キロ〜(1980年9月1日)
- 砂漠の民 〜ウイグルのオアシス・ホータン〜(1980年10月6日)
- 熱砂のオアシス トルファン(1980年11月3日)
- 天山を貫く 〜南彊鉄道〜(1980年12月1日)
- 天山南路 音楽の旅(1981年1月5日)
- 天馬のふるさと 〜天山北路〜(1981年2月2日)
- 民族の十字路 〜カシュガルからパミールへ〜(1981年3月2日)
シルクロード第2部 ローマへの道(全18集)
- パミールを越えて(1983年4月4日)
- 覇王の道(1983年5月2日)
- 秘境ラダック(1983年6月6日)
- 玄奘三蔵・天竺の旅(1983年7月4日)
- 炎熱・イラン南道(1983年8月1日)
- 砂漠とコーラン(1983年9月5日)
- バグダッドの彼方へ(1983年10月3日)
- 湖底に消えた道 〜幻のイシククル湖に潜る〜(1983年11月7日)
- 大草原をゆく(1983年12月5日)
- はるかなる大宛 〜天馬を求めて〜(1984年1月9日)
- 消えた隊商の民 〜ソグド商人を探す〜(1984年2月6日)
- 草原の王都 〜サマルカンド・ブハラ〜(1984年3月5日)
- 灼熱 黒砂漠 〜さいはての仏を求めて〜(1984年4月2日)
- 絹と十字架 〜コーカサスを越えて〜(1984年5月7日)
- キャラバンは西へ 〜再現・古代隊商の旅〜(1984年6月4日)
- 騎馬の道はるか(1984年7月2日)
- アジアの果て 絹の町(1984年8月20日)
- すべての道はローマに通ず(1984年9月3日)
もうひとつのシルクロード
1981年に、30分番組で24本が総合テレビで放送された。本編の『NHK特集 シルクロード 第1部』同様、石坂浩二がナレーションを、喜多郎が音楽を担当した。
2011年4月から10月にデジタルリマスターしたものが、NHK BSプレミアムで放送された。
本編と違い、シルクロードにちなんだテーマ別(自然や民族など)で構成されている。
放送時間
ここではNHK BSプレミアムでの放送時間を記載。いずれも日本標準時(JST)。
- 本放送
- 火曜日 18:00 - 18:30
- 再放送
- 月曜日 1:30 - 2:00(日曜日深夜)
- 月曜日 12:30 - 13:00
海のシルクロード
1988年に第3部として『海のシルクロード』が全12回製作され、同年4月から1989年3月まで放送された。第1部・第2部が中国西安から陸路ローマに向かう旅であったことから、第3部では地中海から西安に、海路にて往くというコンセプトで製作されている。ナレーションは伊武雅刀、音楽はS.E.N.S.(センス)が担当した。
なお同年には奈良公園周辺で、「ならシルクロード博覧会」も開催された。
作品リスト
序章 波濤を越えて(1988年4月23日)
- 海底からの出発(1988年4月24日)
- ナイル・熱砂の海道(1988年5月29日)
- ハッピー・アラビア(1988年6月26日)
- 帆走・シンドバッドの船(1988年7月31日)
- 十字架の冒険者(1988年8月28日)
- インド胡椒海岸(1988年10月2日)
- 仏陀と宝石(1988年10月30日)
- 黄金半島を越える(1988年11月27日)
- 海道の王国(1988年12月25日)
- 中国の門(1989年1月29日)
- ジャンク 海都をいく(1989年2月26日)
- 長安に還る 〜遥かなる長江の道〜(1989年3月26日)
シルクロード 壮大な旅50万キロ
『シルクロード』および『海のシルクロード』のハイライト版として、1989年に『NHKスペシャル』にて3夜連続で放送された。
現在は、神奈川県横浜市の放送ライブラリーにて視聴することができる。
- 蒼茫北路(1989年8月14日、22:00 - 23:30) - ナレーション:石坂浩二、音楽:喜多郎
- 流砂南道(1989年8月15日、22:30 - 0:00) - ナレーション:石坂浩二、音楽:喜多郎
- 海路帆走(1989年8月16日、22:00 - 23:30) - ナレーション:伊武雅刀、音楽:S.E.N.S.(センス)
関連書籍
- 『シルクロード 絲綢之路』(全6巻)、1980-81年-各・日本放送出版協会
- 『シルクロード ローマへの道』(全6巻)、1983年-84年
- 『NHKシルクロード 絲綢之路 ローマへの道』
(新コンパクト・シリーズ 全12巻)、1988-89年-上記の新書版 - 『写真集シルクロード』(全6巻)、1981-84年、新装版1997年
- 『NHK海のシルクロード』(全6巻)、1988-89年
- 『写真集 NHK海のシルクロード』(全4巻)、1988-89年、新装版1997年