NATOコードネーム
NATOコードネームとは、NATOがソビエト連邦(ソ連)をはじめとする東側諸国の装備(兵器)に付けたコードネームである。正式な英語名は、NATO reporting name(NATO報告名)。アメリカ合衆国、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5ヵ国によって構成される航空機標準化調整委員会 (ASCC:テンプレート:Lang-en-short) によってコードネームが与えられる。
アメリカ国防総省(DoD)はNATOとは別にソ連の兵器に識別番号を与えており、ソ連の兵器を紹介する際には「SS-6、Sapwood」の様にDoD番号に続けてNATOコードネームが併記される例もある。得られた情報に混乱があったことからNATOコードネームとDoD識別番号が同じ兵器を示さない事もあった。冷戦終結後に情報が公開されると「SS-6 SapwoodはR-7である」といった旧ソ連軍の制式番号との対応が取られたが、その結果、分類上正しくないコードネームを付与した例などの誤認があることも判明した。
概要
NATOは多数の国の同盟であるため、さまざまな言語を使った軍事組織間での通信に便利なようにコードネームが作られた。情報を秘匿されていたソ連装備の中には、正式な名称が判明するまでに長い時間がかかったものも多い。
ソ連崩壊後の情報公開によって、これらの装備の多くは正式名称が判明しているものの、ソ連の付番体系が複雑な事や、従来の情報との対比の関係から、NATOコードネームは継続して使用されており、ロシア製兵器は正式名称と共にコードネームで呼ばれ、資料に併記されることも多い。現在のロシアは、兵器名称を秘匿対象としておらず、新開発の兵器の名称は最初から公表されている。
中国人民解放軍の装備に対するNATOコードネームは、艦船に対しては中国語の単語あるいは造語で付けられている。航空機、車両には付されない例が増えたが、かつてはソ連同様に英単語で付されていた。
元々は第二次世界大戦中、アメリカ軍が日本軍機に付けた名称が由来と言われている。当時の日本軍機は名称が長く、当時の米軍は「ミツビシ」「ナカジマ」など製造メーカー名で呼んでいた。それでは戦闘機なのか爆撃機なのかがわからないため、戦闘機に男子名・爆撃機に女子名をつけたのが始まりといわれている。
航空機/ミサイル
テンプレート:See 1947年、アメリカ空軍はASCCの設立以前からソ連の新型航空機に対し、「Type ○○」の名称で識別番号を与えていたが、これは煩雑かつ分かりづらいとして「Type 40」までで中止となった。その後ASCCが設立され、かつて日本機に対して連合軍が付けたコードネームの命名システムに似た、用途別に頭文字を統一した英単語を使用する現在のNATOコードネームが使用されるようになった。
命名法
コードネームの頭文字はその装備の用途を示す。プロペラ機には単音節の単語が、ジェット機には2音節の単語が充てられた。コードネームに差別語的な単語が使われた例もある。
- 航空機
- ミサイル
潜水艦/水上艦
電子兵装
テンプレート:See レーダー、ESM、ジャミング装置など一連の電波兵器、電子戦器材、電子戦支援器材等にもNATOコードネームが付与されている。トッププレートやトップドームなど、見たままの特徴をコードネームとして使用するケースが多い。