Major Turn-Round
『Major Turn-Round』(メジャー・ターン・ラウンド)は2000年12月25日にリリースされたTM NETWORKの9thオリジナル・アルバム。
目次
解説
前作『EXPO』以来9年振りのオリジナルアルバム。 インディーズからの発売。当初はROJAM、新星堂、TSUTAYAでのみ販売。
70年代プログレッシブ・ロックの代名詞メロトロンやハモンドオルガン、mini moogをはじめとするアナログシンセサイザーを多用している。
今回の小室哲哉はエンターテイメントプロデューサーとしてだけでなく、ミュージシャンとしても力量を発揮している。
アルバムタイトル曲でもある「MAJOR TURN-ROUND」は、「I FIRST IMPRESSION 〜 II SECOND IMPRESSION 〜 III THIRD IMPRESSION」の3部構成で32分22秒の大曲。バンドはLAでレコーディングを行い、作詞を担当した小室みつ子は、LAからの音源を聴き、不眠で詩を書き上げた。
曲中にEL&Pを彷彿とさせるフレーズが出てくるなど、プログレへの想いを音で表している。
アルバム全体としても「プログレ」が強調され、ROJAM、新星堂、TSUTAYAのみで発売されていたジャケットの文字は明らかにイエスの『危機』のパロディであり、本作のジャケットデザインをロジャー・ディーンが担当するなど、TM NETWORKのプログレに対する想いが表れている。
メッセージ上のコンセプトは「21世紀という新しい時代への期待、同時に崩壊への不安」である。「未来(21世紀以降)は明るい事だけではない。」と警告を掲げる。
当時、小室が意識していた新しい時代のキーワードは「IT=Digital」。このアルバムは、IT(デジタル)で動く実際の情報を無批判に受け入れる事への警告、無数にある情報との関わり方を問いかける意味がある。このアルバムが発売された年の夏に行われた「Log-on to 21st Century」ではこのメッセージが先行してコンサートの曲順に取り込まれた。
作詞は小室みつ子が担当。自身のHPで作詞の裏話などのライナーノーツが掲載されている。
なお、収録されている先行シングルは、ROJAMからリリースされた3枚のみ。 TRUE KiSS DiSCからリリースされた「GET WILD DECADE RUN」など3枚のシングルは未収録である。
このアルバムは、それぞれレーベルで、初回盤・通常版共に異なる仕様となっている。そのため、多くの種類が存在し、全て揃えるのは困難である。
アルバムとしては『DRESS』以来、アナログ盤が発売される。重量2枚組となり、CDでは未収録の「SLOWDOWN MIX」も収録されている。
CD収録曲
1.WORLDPROOF
- 作曲・編曲:小室哲哉
- 水の音が聴こえるが、これは実際にワイヤレス・マイクをハワイのスタジオ近くの海の中に入れて録音したものである。(当然そのマイクは壊れてしまった。)
- 小室は「水中に深く沈んでいくにつれて、どんどん別世界に入っていくような"リアリティ"を音にしたかった」と語っている。
2.IGNITION, SEQUENCE, START (ALBUM VERSION)
- 作詞:小室みつ子 / 作曲・編曲:小室哲哉
- 通算33枚目のシングル。
- ドラムはシングル版では打ち込みだったが、アルバムバージョンではSimon Phillipsが叩いている。
3.MAJOR TURN-ROUND
- I FIRST IMPRESSION
- II SECOND IMPRESSION
- III THIRD IMPRESSION
- 作詞:小室みつ子 / 作曲・編曲:小室哲哉
- 33分を超える大作。
- 小室は「一通り聴き終わったあと、残った印象をもとにもう一度曲全体を振り返って、各部分を聴きなおすという楽しみ方をしてもらいたい」と語っている。
- アルバムタイトルにもなっている「Turn-Round」の由来は、映画『パーフェクトストーム』で登場するセリフ「Turn Around」である。「Turn Around」は「仕方なく戻る」というネガティブな使い方をするが、「Turn-Round」は積極的に振り返るというポジティブな意味合いを持つ。小室は映画を見た時、Turn Around ではなくて、絶対にTurn-Roundだと確信した。
- 『I FIRST IMPRESSION』は、2001年(当時)の生活。『II SECOND IMPRESSION』は、「その中にいる自分は昔どこから始めたんだっけ」という遠いところを見るような場面で鳴っている音。そして『III THIRD IMPRESSION』はこれから先の、「光は見えるが、楽観できない未来」を表している。
4.PALE SHELTER
- 作詞:小室みつ子 / 作曲:木根尚登 / 編曲:小室哲哉
- 『MAJOR TURN-ROUND』の中に入れることも考えられていた曲。
- 「居場所が分からない」「居心地が悪い」「環境に馴染めない」といった生活や風景の中で、ポジションを探している自分の姿を表現している楽曲。
5.WE ARE STARTING OVER (ALBUM VERSION)
- 作詞:小室みつ子 / 作曲:木根尚登 / 編曲:小室哲哉
- 先行シングルのひとつ。小室曰く、最も"TMらしい曲"。
6.MESSAGE (ALBUM VERSION)
- 作詞:小室みつ子 / 作曲・編曲:小室哲哉
- 再始動後の楽曲の中で、唯一『Nights of The Knife』からの流れを意識して作られた。シングルバージョンとはかなりアレンジが変わっている。
7.CUBE
- 作詞:小室みつ子 / 作曲:木根尚登 / 編曲:小室哲哉
- レコーディング終盤に差し掛かった頃、小室が木根に3拍子の曲をリクエストして、短時間で仕上げた楽曲。録音も1テイクで済ませた。
- 当時のスタジオのエンジニアがこの楽曲を大絶賛した。
アナログ盤収録曲
Side A
- WORLDPROOF
- IGNITION, SEQUENCE, START (ALBUM VERSION)
- MAJOR TURN-ROUND : I FIRST IMPRESSION
Side B
- MAJOR TURN-ROUND : II SECOND IMPRESSION 〜 III THIRD IMPRESSION
Side C
- PALE SHELTER
Side D
- WE ARE STARTING OVER (ALBUM VERSION)
Side E
- MESSAGE (ALBUM VERSION)
- CUBE
- MAJOR TURN-ROUND(SLOWDOWN MIX) : I FIRST IMPRESSION
Side F
- MAJOR TURN-ROUND(SLOWDOWN MIX) : II SECOND IMPRESSION 〜 III THIRD IMPRESSION
参加ミュージシャン
- 葛城哲哉 - ギター、コーラス
- Carmine Rojas - ベース
- サイモン・フィリップス - ドラムス
- 松尾和博 - ギター(#6)
- 美久月千晴 - ベース(#6)