Jサテライトリーグ
Jサテライトリーグ(ジェイ サテライトリーグ)とは、かつて1992年から2009年まで行われていたサッカーリーグ戦。Jリーグの登録選手のうち、特に出場する機会の少ない若手選手に実戦の機会を提供する事を目的に、Jリーグの公式戦と並行して実施していた育成リーグの名称である。
目次
概要
参加チームは、Jリーグ加盟チームのうちJ1は参加必須。J2は必ずしも参加しなくてもよかった(任意参加)。また創設当初はジャパンフットボールリーグ(旧JFL)で活動するJリーグ準会員クラブも一部参加(これも任意参加)していた。
リーグ形式は、いくつかのグループに分かれたホーム・アンド・アウェーの2回戦総当たり戦。年度によっては全参加チーム総当りの年、あるいは複数のグループに分けたリーグ戦の後、上位クラブによる決勝トーナメントを行ったことがあったが、末期はグループリーグのみで全体の優勝決定戦は行っていなかった。
出場選手は、原則として23歳以下の選手で構成される事となっているが、ゴールキーパーについては特に年齢制限を設けていない。また、フィールドプレーヤーでも1試合数人程度24歳以上のオーバーエイジ選手の出場が認められている他、第2種登録(ユース=高校生年代)のうちJリーグに届出を済ませた選手(人員定員なし。トップチームは1チームに付き5人まで)も出場できるようになっている。
試合への入場料は無料。一部では有料試合を行っていたが、その場合でもトップの料金と比べればかなり割安だった。また、一部クラブではホームゲーム入場者にプレゼントを配るところもあった。
リーグ廃止
理由
実戦経験の乏しい若手育成目的で始まったJサテライトリーグだが、練習試合と変わらない状況で真剣勝負の場になっておらず、2000年代中期以降日本サッカー協会が18歳から20歳の強化を進める中で[1]、リーグの存在自体を疑問視されるようになった。
また、サテライト組織とは別に第1種のアマチュアチームを地域リーグあるいは都道府県リーグに参加させるJリーグクラブも出てくるようになった。
さらには、主にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)との兼ね合いと土日分散開催の影響で日程調整が困難となっており、2009年シーズンはついに全日程を消化せずにリーグを打ち切らざるを得なかった[2]。また景気低迷の影響で各チームとも経費削減が急務となっていることもあり、2009年限りで開催が終了することとなった[3][2]。
廃止後
別のアマチュアチームを編成
上記のように、Jサテライトリーグ廃止以前からトップチームとは別にアマチュアチームを地域リーグに参戦させているチームもある。ただ2軍相当とはいえ、2010年からこれらの育成チームとトップチームの移籍に際しては一定期間の制限が設けられた[4]ことから、トップチームが「補強」あるいはアマチュアへ「降格」する形での移籍が容易にできなくなった[5]。不況も相まって、アマチュアチームを活動停止するところも出てきた。
以下、アマチュアチームを列挙するが、トップチーム強化目的ではないチームは除外する(詳細はJリーグ所属クラブの下部組織チーム一覧#第1種参照)
- 活動中
- FC町田ゼルビア・ツヴァイテ/FC町田ゼルビア
- ザスパ草津U-23/ザスパクサツ群馬
- JAPANサッカーカレッジ/アルビレックス新潟 - 実質的にアマチュアチームとして活動
- FC岐阜SECOND/FC岐阜
- ファジアーノ岡山ネクスト/ファジアーノ岡山
- 活動停止/移管
- 徳島ヴォルティス・セカンド - 2010年解散。最高時四国サッカーリーグ在籍。徳島ヴォルティスのサテライトチームの振り替え出場はしていない。
- ジェフユナイテッド市原・千葉リザーブズ - 2011年解散。最高時日本フットボールリーグ所属。
- 愛媛FCしまなみ - 2011年有限会社アークに移管されFC今治に。最高時四国サッカーリーグ所属。
地域別育成リーグに参加
また、Jサテライトリーグ廃止により、代替として地区ごとに独自に育成リーグを創設している。
- 北海道:コンサドーレナイターリーグ(旧:北海道チャンピオンズスーパーリーグ)
- 東北:みやぎチャレンジリーグ
- 関東:未定
- 北信越:未定
- 東海:未定
- 関西:関西ステップアップリーグ
- 中国・四国:中四国サテライトリーグ
- 九州:九州チャレンジャーズリーグ
現況
以下、2013年現在の状況を示す。
- 表記A:地区別育成リーグに参加しているチームに○、リーグ名は上記参照。
- 表記B:アマチュアチームを持っているチームに○、チーム名は上記参照。
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地域 | チーム | A | B | 備考 |
---|---|---|---|---|
北海道 | コンサドーレ札幌 | ? | - | 現況不明 |
東北 | ベガルタ仙台 | ○ | - | |
モンテディオ山形 | ○ | - | ||
関東 | 鹿島アントラーズ | - | - | |
水戸ホーリーホック | - | - | ||
栃木サッカークラブ | - | - | ||
ザスパクサツ群馬 | - | ○ | ||
浦和レッドダイヤモンズ | - | - | ||
大宮アルディージャ | - | - | ||
ジェフユナイテッド市原・千葉 | - | × | 2011年ジェフリ ザーブズ解散 | |
柏レイソル | - | - | ||
FC東京 | - | - | ||
東京ヴェルディ1969 | - | - | ||
川崎フロンターレ | - | - | ||
横浜F・マリノス | - | - | ||
横浜FC | - | - | ||
湘南ベルマーレ | - | - | ||
ヴァンフォーレ甲府 | - | - | ||
北信越 | アルビレックス新潟 | - | ○ | |
カターレ富山 | - | - | ||
松本山雅FC | - | - | ||
東海 | 清水エスパルス | - | - | |
ジュビロ磐田 | - | - | ||
名古屋グランパスエイト | - | - | ||
FC岐阜 | - | ○ |
地域 | チーム | A | B | 備考 |
---|---|---|---|---|
関西 | 京都サンガF.C. | ○ | - | |
ガンバ大阪 | ○ | - | ||
セレッソ大阪 | ○ | - | ||
ヴィッセル神戸 | ○ | - | ||
中国 | ガイナーレ鳥取 | × | - | 中四国サテライトリーグは 2010~2011年のみ開催 |
ファジアーノ岡山 | × | ○ | 中四国サテライトリーグは 2010~2011年のみ開催 | |
サンフレッチェ広島 | × | - | 中四国サテライトリーグは 2010~2011年のみ開催 | |
四国 | 徳島ヴォルティス | × | × | 2010年セカンド解散 中四国サテライトリーグは 2010~2011年のみ開催 |
愛媛FC | × | × | 2011年しまなみ移管 中四国サテライトリーグは 2010~2011年のみ開催 | |
九州 | アビスパ福岡 | ○ | - | |
ギラヴァンツ北九州 | ○ | - | ||
サガン鳥栖 | ○ | - | ||
ロアッソ熊本 | ○ | - | ||
大分トリニータ | ○ | - | ||
V・ファーレン長崎 | ○ | - |
再開に向けた動き
2012年2月に行われた日本サッカー協会技術委員会にて、若手の実戦経験が激減したことが問題となり、その対策としてサテライトリーグ再開が提案された[2]。
またこれとは別に、2014年開始を目指すJ3リーグにサテライトチーム、あるいはJ2以上のクラスに所属するクラブに在籍している出場機会の少ない若手選手の連合軍を参加させる可能性があることも示唆されている。これは日本国外(スペインなど)でも同等の方式を採用しているのを模範とするもので、リーガ・エスパニョーラの強豪・FCバルセロナがサテライトチームに当たる「FCバルセロナB」を下部リーグに参戦させている(後述)のを参考として、若手選手の出場機会を増やす目的があるとされている。[6]
備考
前史
Jリーグが始まる以前の1980年代の日本サッカーリーグ(JSL)時代、JSL1部の数クラブは強化目的でサテライト相当の2軍チームを兄弟参戦させていた。Jサテライトリーグが始まって以降これらの2軍チームのほとんどは、プロ化に移行したトップチームに実質的に編入されるか、あるいはプロになれなかった選手を集めて地域リーグに登録した。
以下、主な2軍チームと1軍チームを列挙する。
- ヤンマークラブ/ヤンマーサッカー部 - 現セレッソ大阪
- 読売SCジュニオール/読売SC - 現東京ヴェルディ1969
- 日産ファーム/日産SC - 現横浜F・マリノス
- マツダSC東洋/マツダSC - 現サンフレッチェ広島
ちなみに、ヤンマークラブはJリーグが始まる前の1979年に解散したが、その選手スタッフ受け入れ先として松下電器産業サッカー部が誕生し、後身としてガンバ大阪が誕生する。
スペインの事例
リーガ・エスパニョーラでは、トップチーム以下のディビジョンにそのサテライトチームを参加させている。(但し、下部チームはトップチームより上のカテゴリーのリーグに昇格することは出来ない。例えばトップチームが1部に相当する「プリメーラ・ディビシオン」にいる場合、Bチームは2部の「セグンダ・ディビシオン」、またはそれ以下のカテゴリーしか参加できない)
韓国の事例
Kリーグでは日本同様に「リザーブメンバーによるリーグ戦」を「Rリーグ」の名称で開催。2011年の場合は新規参入の光州FCを除く15チームと警察庁チームの16チームを2グループに分け実施した。なお2013年開始予定のKリーグ2部制への移行の為、2011年を持って廃止される方針であったが、一部クラブから「若手育成リーグに影響が出る」として反発があったため、2012年も継続されていた[7](但し一部のクラブは出場辞退している)。
その後Kリーグの完全1・2部制の実施により2012年に改めて廃止が決定したものの、その後一部のクラブにより「若手選手育成のために必要」として2013年も継続して開催しているが、Rリーグのみに参加していた警察庁チームは2013年よりKリーグチャレンジ(2部)へ参加している。