FN F2000
FN F2000は、FN社が2001年に開発したブルパップ方式のアサルトライフルである。5.56x45mm NATO弾(SS109)を使用する。
概要
モジュール式を採用したブルパップ式アサルトライフルで、独自の前方排莢機構を持つ特徴がある。米国のOICW(現時点では、XM29 OICWのみ)の対抗として開発された。将来的に火器統制装置(FCS)を装備する必要性が生じた場合に対応できるように部品(モジュール)を交換することができる。
スタンダード型は上部に1.6倍スコープを搭載しているが、F2000タクティカルは取り外し可能なフロントサイトと折りたたみ可能なリアサイト、ピカティニー・レールを搭載しているために、ダットサイトなども装着が可能。また、操作性に優れたGL1グレネードランチャー(EGLM:Enhanced Grenade Launcher Module、発展型榴弾発射モジュール)を装備することができる。マガジンはSTANAG マガジン。ただし、防塵用のパッキンがついているため、M16と違いマガジンキャッチを押しただけではマガジンは抜けず、マガジンキャッチを押しながらマガジンを引き抜く必要がある。
民間用にセミオートのみで、バレルが少し延長されたFS2000がある。F2000スタンダード型に酷似したFS2000スタンダード[1]やF2000タクティカルに酷似したFS2000 ODグリーン・タクティカル・セミオートカービン[2]や光学サイトの代わりにピカティニー・レールが装備され、ハンドガードを取り外した代わりに三面ピカティニー・レールが装備されたFS2000タクティカルブラック[3]がある。
設計
同社製のブルパップ式サブマシンガンP90同様、人間工学に基づいた設計がなされている。銃口付近から前方に排莢が行なわれるため、左利きでも取り回しが容易であるばかりか、状況に応じ左右どちらでも構えることができる。 また、ブルパップ式においてしばしば言及されるレシーバーと射手の顔が近くなる構造が健康を害するという欠点に対しても一定の配慮がなされており、密閉性を高めたレシーバーから発生した作動音と硝煙が前方へ逃げるように設計されている。
また、この方式では、レシーバーから排莢口までの長い通路を通過することで激発直後の熱がある程度冷却された状態で銃の外へ薬莢が排出されることになり、結果として自動小銃を用いた集団戦闘などにおいて懸念される「排莢された熱い空薬莢」が同僚に火傷を負わせたり集中力を削いだりする事態を未然に防ぐことが期待できる。
しかし、この構造では薬室と排莢口が大きく距離を置くこととなり、弾詰まりなどのトラブルに対処しづらくなる。そのため、薬室付近に「インスペクションポート」というハッチを備え、薬室にアクセスしやすくなっている。インスペクションポートを開けると、空薬莢を排莢口に送るためのメカニズムを見ることができる。排莢口には開閉式の蓋がついているが、閉めていても一発撃つだけで空薬莢に蹴られて開くため、射撃するためにわざわざ開ける必要はない。
採用国
ベルギー軍で制式採用小銃として試験運用段階にあるが、アメリカ軍がF2000よりSCARに興味を示している事もあって採用国はまだ多くない。しかし、近年になってスロベニア軍が次期主力小銃として大量発注している。
F2000S(Sはスロベニアを表す)と称されるこのモデルはレシーバー上部(レシーバー上部の製造はFN社ではなくスロベニアのAREX社)にピカティニー・レール(F2000タクティカルとは異なり、キャリングハンドルも兼用する)が取り付けられ、スコープやダットサイトが装着できる。2006年に6,500挺を購入し、2012年までに14,000挺を導入する事が決定した。これはEU並びにNATOの所属となるのに併せて、弾薬規格を旧東側から西側に切り替える行動の一環であり、40mm擲弾を使用するEGLMも既に配備されているようだ。これ以外では、サウジアラビア軍が50,000挺を発注している。ほかインド、パキスタンも発注している。
登場作品
映画
- 『アイアンマン2』
- ローズがトニー宅から持ち出したマーク2をジャスティン・ハマーが自社製品の銃火器を搭載する改造の際、紹介した。
- ソマリアの海賊との交戦でバーニー・ロス(シルベスター・スタローン)が使用。ホロサイト、フラッシュライト、レーザーサイトを装備していた。
ドラマ
- シーズン7で、スタークウッド社の兵士が使用。
ゲーム
- ゲーム内の兵種ライフルマンのメイン武器として登場。ゲーム内で登場するのはスコープを廃してキャリングハンドル兼用のピカティニー・レールが搭載された、「F2000S」と呼ばれるモデルになっている。
- 「ATAC2000」の名称でレーヴンのアンロック武器として登場。唯一フォアグリップがデフォルトで装備されるアサルトライフルであり、本来は排他装備であるグレネードランチャーとの同時装備が可能である。なお、作品内では「最新鋭のアサルトライフル」と設定されている。
- OP7で4月18日より追加された武器。
- 商標の問題から「FT 200M」という名前で登場する。チェルノブイリ原子力発電所内のMonolith兵が持っている。
- 商標の関係から「F-2K」という名前で登場。
- 課金アイテムである暗号箱から最高級品として出現する。
- 『クロスファイア』
- 「F-2000」という名前で登場する。アンデットの報酬でもらえる。
- ゲーム内の兵科ライフルマンのメイン武器として登場。ちなみにゲーム内で最も高額かつアンロックされるレベルが高い。
-
- 突撃兵のアンロック武器としてグレネードランチャー付きで登場。
- 通常のFN F2000とグレネードランチャーが付いたFN EGLMが登場。突撃兵のアンロック武器である。
- 突撃兵のアンロック武器として登場。
- 拡張パック「Second Assault」にて実装。1.6倍率の専用スコープが使用できる。
- 『ペーパーマン』
漫画・アニメ
- EGLM装備のものが登場。作品内では正式採用されており、ロゴス(富裕層)軍のライト・ウォーリアが使用している。また、グラディエーターの装甲を貫いたアローを射出するタイプも登場する(第10話)。
- 『ゴルゴ13』
- テレビアニメ版第3話「傑作・アサルトライフル」でサビーヌ兄弟が本銃F2000とXM29 OICWを使用している(原作:第339話の同タイトル、原作では使用している銃はサビーヌ兄がステアーAUG、サビーヌ弟がH&K G11である)。
- テレビアニメ版第1期で、御坂妹たちがオリジナルとの能力差を縮めるために携帯している(第10話)。テレビアニメ版第2期『とある魔術の禁書目録II』でも、ミサカ20001号を追いかける際にミサカ10032号がカバンから取り出している(第17話、第18話)。