Debian

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Debian wheezy/ KDE4.8 Plasmaデスクトップ
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Debian wheezy/ Xfce4.8デスクトップ

Debianテンプレート:Pron デビアン)またはDebian Projectは、ボランティアの集まりによってフリー/オープンオペレーティングシステム (OS) を作成しようとするプロジェクト。またそのプロジェクトによって作成されたオペレーティングシステムを指す。歴史が長く保守的なLinuxディストリビューションのDebian GNU/Linuxが最もよく知られている。 Linux以外にもGNU HurdNetBSDFreeBSDのような他のカーネルのための移植版を提供する計画もある。このうち、FreeBSDに関しては、Debian 6.0 (コードネーム: squeeze) リリースよりテクノロジープレビューとして同時リリースされた。

概要

Debianは、Debian GNU/Linux などのOS、加えてそれらで利用できるデスクトップ環境サーバー運用向けなどのアプリケーションを含む29,000以上のソフトウェアパッケージを提供している[1]。現在、Debianのソフトウェアパッケージは9つのアーキテクチャ向けにリリースされている[1]インテルAMD32ビット64ビットプロセッサ、組み込み機器で使われるARMアーキテクチャなどに対応しており、APTと呼ばれるパッケージ管理システムが存在する。このパッケージ管理システムでは、.debという拡張子のパッケージを利用する。

Debianのスタンダードインストールでは、GNOMEデスクトップ環境がインストールされ、IceweaselFirefoxのフォーク版)やLibreOfficeなどもインストールされる。その他にもEvolution個人情報管理ソフトウェア・メディアプレーヤー・画像ビューア・ドキュメントビューアなどもインストールされる。その他にも、KDEXfceLXDEのソフトウェアにより構成されたCDイメージも存在する。

また、"Ubuntu"・"MEPIS"・"Xandros"・"aptosid"・"KNOPPIX"などDebianをベースとする多くのLinuxディストリビューションがある。

インストーラ用のCD/DVDイメージはWebからのダウンロード、BitTorrentjigdoなどで取得でき、またインストールメディアをオンライン再販業者から購入する事も可能である[2]

歴史

1993年〜1998年

Debianは1993年8月16日に当時パデュー大学の学生であったイアン・マードックにより創設された。 マードックは当初"Debian Linux Release"という名称を付けた[3]。当時"Softlanding Linux System (SLS)"という初のGNU/Linuxディストリビューションが公開されていたが、SLSは保守がお粗末であったり不具合が頻発したためマードックは全く新しいディストリビューションを立ち上げた。

1993年、マードックは"Debianマニフェスト"というこの新しいオペレーティングシステムについての概要を公表した。その中で、このディストリビューションのメンテナンスは、LinuxおよびGNUの精神に基づき公開された手法で維持されることを求めた。彼はこのディストリビューションの名称をDebianとしたが、この名称の由来は妻(当時)のDebra Lynnと彼のファーストネーム、Ianから付けられたものである。

Debianプロジェクトからは、1994年から1995年にかけて0.9バージョンのシリーズが初めて公開された。この期間、フリーソフトウェア財団GNUプロジェクトが支援を行った。1995年には、インテルi386以外のアーキテクチャーに対してもサポートが開始されることとなり、1996年に最初のパブリックリリースとなった1.xが公開された。

1996年にはブルース・ペレンズがDebianプロジェクトのリーダーとしてマードックの後任に就いた。同年開発者のEan Schuesslerは、Debianプロジェクトがその利用者に対して社会的な契約を交わすべきであるとの提案を行った。これに関してDebianプロジェクトのメーリングリストで行われた議論は、プロジェクトについての"Debian社会契約"と"Debianフリーソフトウェアガイドライン (DFSG)"にまとめられた。ペレンズは、Software in the Public Interest (SPI)というDebianプロジェクトを公式に支え、プロジェクトを統括する非営利組織の創設にも関わった。

ペレンズは、glibc移行後初めてのリリースとなったDebian 2.0が公開される直前にDebianプロジェクトを引退した。

1999年〜2004年

この時期、Debianプロジェクトは新たなリーダーを選出し、2.x リリースを公開した。この時期にAPTが初めて導入され、Debian GNU/HurdというLinuxカーネル以外の開発も始められた。1999年にはDebianをベースとするディストリビューションも現れ始めた。Libranet (2006年に開発停止[4])、Corel Linux そして StormixによるStorm Linuxである。 特筆すべきは、2000年に公開された2.2リリース(コードネーム: potato)で、このリリースはlibc等重要なパッケージのメンテナで、デュシェンヌ型筋ジストロフィーのため亡くなった、Joel 'Espy' Kleckerに捧げられた[5]

2000年後半には、プロジェクトはパッケージアーカイブとリリースマネージメントに関する大きな変革を行い、「パッケージプール」方式と次期stableリリースの土台となるリリース"testing"の導入が開始された。また同年には全世界のDebian開発者・技術者を集めて年1回開催されるDebConf(Debianカンファレンス)が開かれるようになった。

この頃CorelはLinux部門を売却 (後にXandrosとなっている) 、Stormixは2001年破産を宣告されている。

2002年7月、Debian 3.0 (コードネーム: woody)が公開された。(遡ることバージョン1.1から、Debianはリリースの際に映画トイ・ストーリーのキャラクター名をコードネームとして採用し現在に至る。)

3.0(woody)リリース後、次期リリース3.1(sarge)まで、およそ3年という長期に渡る空白期間が存在する。主な理由として、potatoからwoody以後にかけて、パッケージ数が2倍程に増加、またwoodyでのサポートアーキテクチャも増加したため、リリース直後からこれに伴うバグが飛躍的に増大した点がある。とりわけリリースクリティカルバグが事実上すべて解消されない限りリリースできないため、リリーススケジュールに多大なる影響を与えた。パッケージメンテナのバグに対する考え方は温度差があり、たとえば特定の言語のみ発生するバグならば、そのメンテナがバグ対象の言語圏でも無い限りバグを修正することに対する意欲を持つことは少ない。コミュニティによるボランティアを作業ベースとするDebian特有の問題とも言える。

しかし、長くなっていくリリースサイクルについて、フリーソフトウェアコミュニティから非難されることとなり、影響力の大きいUbuntuが派生する契機となった。

Debianのstableリリースの長期化と派生であるUbuntuの誕生は、Debianコミュニティに対する意識を変化させ、Debian 4.0(コードネーム: etch)以降のリリースに対してのリリーススケジュールを含むいくつかの改善をもたらしたのは確かである。2011年現在では両コミュニティにおいて、バグ修正の取扱いなど相互交流もある[6]

2005年以降

2005年6月、Debian 3.1(コードネーム: sarge)が公開された。メジャーリリースではない(バージョン番号が小数部の増加に留まる)にも関わらず、この正式版では数多くの変更が実施されたが、それは一つ前のリリースwoodyからsarge公開までの期間が長かったことが原因である。このリリースでは70%以上のソフトウェアがアップデートの対象となっただけではなく、ソフトウェアの容量も増加した。新規のインストーラーが導入され、40ヶ国語にも及ぶ言語がサポートされるようなった。

このリリースでは、woody以前のインストーラである、"boot-floppies"をモジュラー設計の新しいインストーラで置き換えた(Debianインストーラ)。 この新しいインストーラは高度なインストール方法をサポートしており、RAIDXFS そしてLVMがサポートされている。またハードウェア検知能力に優れ、Linuxのインストールに不慣れな者でもインストールできるようになっている。インストーラは約40ヶ国の言語で完全なソフトウェアレベルでの国際化を実現している。インストールマニュアルと包括的なリリースノートはそれぞれ10と15の言語に翻訳されリリースされている。

このリリースでは、Debianプロジェクトの各サブプロジェクトの取り組みも含まれており、Debian-Edu(Skolelinux)、Debian-MedDebian-Accessibilityがそれに当たる。Skolelinuxは学校教育において有用なソフトウェアのパッケージを作成しDebianアーカイブに収録、また教育現場へのDebianの利用促進を行うプロジェクトである。Debian-Medは医療現場におけるDebianの利用促進や医療用ソフトウェアの作成、パッケージ化を担っている。Debian-AccessibilityはDebianシステムやDebianプロジェクトのWebサイトのアクセシビリティ向上や障害者に対するDebianの利用をサポートするプロジェクトで、その一部は視覚障害者のためのブライユ端末上におけるインストールサポートなどがある。

2006年、ウェブブラウザやメーラーといった Mozilla関連のソフトウェア名が商標上の問題によって変更された。Firefox は、Iceweasel へ、ThunderbirdIcedove へといったように変わった。これはMozilla Foundationの要請によりDebianプロジェクトでMozilla Firefoxの名称が使えなくなったことによる。

2007年8月8日、Debian 4.0(コードネーム: etch)が公開された。GUIインストールが公式にサポートされている。このリリースでは新たにAMD64がサポートされた一方、Debian初の移植版であったm68kは公式にサポートされなくなった。(但し非公式なサポートは存在する。)

2009年2月14日、Debian 5.0(コードネーム: lenny)が公開された。開発期間は22ヶ月。25000以上のソフトウェア・パッケージが収録された。新たにMarvell社が販売しているARMベースのNASOrionプラットフォームとAsus Eee PCのようなネットブックがサポートされた。このリリースはMIPSアーキテクチャメンテナで2008年12月26日に交通事故で亡くなったThiemo Seuferに捧げられた[7][8]

2010年9月5日、公式にバックポートサービス(Debian Backport)を開始した。

5.0リリースからほぼ2年経った2011年2月6日、Debian 6.0(コードネーム: squeeze)が公開された。FreeBSDカーネル(Debian GNU/kFreeBSD)が「テクノロジープレビュー」としてこのバージョンから正式にサポートされたが、その一方でalphaとhppa、armの3つのアーキテクチャーがこのバージョンから公式にサポートされなくなった。

6.0リリースから2年以上経過した2013年5月4日、Debian 7.0(コードネーム: wheezy)が公開された。このバージョンからarmhfとs390xの2つのアーキテクチャが正式にサポートされることとなった。

プロジェクトの組織構成

プロジェクトは、世界中の有志の開発者によって構成されている。プロジェクトには誰でも参加できるが、正規の開発者になるためには、技術的なチェックを受ける必要がある。現在、1000名以上[9]のメンバーがいる。日本人の開発者は40人ほどである。

プロジェクトの抱負として、Debian社会契約[10]を掲げている。Debian社会契約は、プロジェクトが遵守すべき事項を定めたもので、1997年7月5日に採択された。その中のDebianフリーソフトウェアガイドライン (DFSG) は、Debianにおけるソフトウェア評価基準となっており、このガイドラインに適合しない、フリーではないと評価されたソフトウェアは、Debianの一部として提供されることはない。

プロジェクト内の意思決定はDebian憲章[11]の元で行なわれる。Debian憲章は、組織構成やその権限、投票にかけるまでの手続きなどを定めたもので、1998年12月2日に採択された。

このことから、Debianプロジェクトは独立した非中央集権的な組織である。また他のGNU/Linuxディストリビューション(例えば、Ubuntu、openSUSE、Fedora、そしてMandriva)のように企業が所有するものではない。 にも関わらず、プロジェクトの生産付加価値は極めて高く、Debian 4.0 (etch)リリースに含まれる全パッケージ開発コストを例にとると、コード総数2億8300万行、COCOMOモデル(en:COCOMO)を使用した生産価値評価は130億米ドルにのぼるとされる[12]2009年4月2日、オンラインコミュニティサイトOhlohはある時点でのDebian GNU/Linuxプロジェクトのコードベース(コード総数4500万行)をCOCOMOモデルを用いて評価したところ、開発コストは約8億1900万米ドルになると推計した[13]。Debian 5.0 (lenny) リリースに関して、Juan José Amorらの推計によると、有効なコード総数は324,000,000行、COCOMOモデルによる生産価値評価は61億ユーロにのぼるとされる[14]

無論こうしたDebianに関するコミュニティの門戸の広さは、全く問題がないわけではなく、以前には、「一部ユーザによる礼儀知らずな行為」とコミュニティの意思決定の遅さが批判されたことがある[15]

毎年、Debianカンファレンス[16] (通称DebConf) が開催される。Debianカンファレンスは、世界中のDebian開発者が直接会談する場で、2000年7月5日に初めて開催された。資金面などの多くの障害があるため、今のところ日本で開催されたことはないが、有志によって開催が検討されている[17]

詳細はDebConfを参照。

プロジェクトリーダー

Debianプロジェクトリーダー(Debian Project Leader; DPL)はプロジェクトの公的な代表者であり、プロジェクトの現在の方向性を決める立場にある[18]。プロジェクトは次のリーダーを選出してきた:[19]

  1. イアン・マードック (1993年8月 – 1996年3月), Debianプロジェクト創設者
  2. ブルース・ペレンズ (1996年4月 – 1997年12月)
  3. イアン・ジャクソン (1998年1月 – 1998年12月)
  4. ウィヘルト・アッカーマン (1999年1月 – 2001年3月)
  5. ベン・コリンズ (2001年4月 – 2002年4月)
  6. ビーデール・ガービー (2002年4月 – 2003年4月)
  7. マーチン・マイケルメイヤーテンプレート:訳語疑問点 (Martin Michlmayr) (2003年3月 – 2005年3月)
  8. ブランデン・ロビンソン (Branden Robinson) (2005年4月 – 2006年4月)
  9. アンソニー・タウンズ (2006年4月 – 2007年4月)
  10. サム・オセヴァールテンプレート:訳語疑問点 (Sam Hocevar) (2007年4月 – 2008年4月)
  11. スティーブ・マッキンタイアー (2008年4月 – 2010年4月)
  12. ステファノ・ザッキローリ (2010年4月 – 現職)

補佐的な役職として、アンソニー・タウンズによりDebian Second in Charge (2IC; 副リーダー)が創設された。スティーブ・マッキンタイアーは2006年4月から翌2007年4月までこの役職に就いている。2009年4月からはLuk Claesがその地位にいる。現プロジェクトリーダー、ステファノ・ザッキローリは、2ICを選出しない旨DPL選挙の際に宣言していた[20]

リリースマネージャ

  • Brian C. White (1997–1999)
  • Richard Braakman (1999–2000)
  • アンソニー・タウンズ (2000–2004)
  • Steve Langasek, Andreas Barth そして Colin Watson (2004–2007)
  • Andreas Barth と Luk Claes (2007–2008)
  • Luk Claes と Marc Brockschmidt (2008–2009)
  • Luk Claes と Adeodato Simó (2009–2010)
  • Adam D. Barratt と Neil McGovern (2010–現職)[21]

注意すべきことに、上記リストにはアクティブなリリースマネージャーのみ含まれている。2003年から導入された、リリースアシスタント、そして引退したマネージャー("release wizards"と呼ばれる)はここには含まれていない[22]

メンテナンスの容易さ

APT

APTを参照。

Debianの特長として、メンテナンスの単純さがある。パッケージ管理システムを備えており、ひとたびインストールが終了すれば、パッケージマネージャのAPT (Advanced Package Tool) により、ソフトウェアの更新が行える。パッケージのインストールは、セキュリティ関連の更新やプログラム相互の依存性確認も含めて、仮想端末コンソール)より容易に操作できる。

パッケージの依存関係には、大きく分けて、depends(依存)recommends(推奨)suggests(提案) という3種類の項目が設定されており、動作に必須なものがdepends、動作に必須ではないが常識的に必要とするものがrecommends、組み合わせる事で更に便利に使えるものがsuggestsに指定されている。しかしapt-getでは、depends以外の項目を上手に扱えなかったため、これらの項目を最大限生かす事ができるaptitudeの使用がSarge以降では勧められていたが、Squeezeではこの点は改善された[23][24]。さらに、自動削除をサポートするようにも更新された[25]

APTには補助的機能を追加するフロントエンドが数多く提供されており、以下ではaptitudeを含めた幾つかのフロントエンドを紹介する。

aptitude

aptitudeを参照。

GUIフロントエンド

ファイル:Updates-notification-icon.png
Update Notifier の自動更新通知

ユーザーフレンドリーなユーザーインターフェイスは複数存在する。

一般的に良く知られる代表としては、Debianだけでなく RPM系のディストリビューションにも移植された Synaptic(シナプティック)がある。Synapticは、apt-getコマンドを使用せずにシステムの更新が全てマウスで直感的に行えるだけでなく、ソフトウェアの削除機能も備えている。

「apt-watch(アプト-ウォッチ)」は、デスクトップで使用するユーザーにとって、アップデートのリリースを直ちに通知してくれるアプレットとして極めて有効なツールである。apt-watch は、より簡易にパッケージの管理を実現するツールとして開発されたアプリケーションである。これは、ネットワークに接続し、アップデータを定期的に監視するアプレットであり、アップデータが利用可能となった時には、クライアントに自動的に更新の通知を行う。Windows Updatesや Red Hat Network と同様な機能を持っている。

4.0 (Etch) では、apt-watch に加えて新たに update-manager も用意された。これは、GNOMEデスクトップ環境で利用可能なパッケージの管理ツールである。この update-manager は、Update Notifier と呼ばれるデスクトップ上のアプレットと組み合わせて利用することができる。機能的には apt-watch と似ているが、APT keyring を管理する仕組みが追加されている。なお、Update Notifier は GNOME や KDEXfce など Freedesktop.org 準拠の全てのデスクトップ環境で動作するように設計されている。

ただしこれらもアップデートの実際の内部処理は、APT が機能しているので、apt-get コマンドを実行することと大差は無い。

gdebi

ファイル:Screenshot-Package Installer.png
GDebi パッケージ・インストーラー

Debian 4.0 では、グラフィカルなパッケージ・インストーラーが新たに提供された。このインストーラーを利用すれば、ローカルに保存した Debianパッケージがコマンド操作なしでインストール可能である。Red Hat Linux で初めて採用された Gnome-RPM[26] (あるいは gnorpm とも) というグラフィカルなインストーラーと好対照を成すツールであるが、Gnome-RPM がシェルプロンプトから RPMコマンドを実行するのと同じ機能を有するのに留まるのとは違い、gdebi は APTのようにパッケージ間の依存関係を自動的に解決する機能も併せ持っている点でより優れている。GDebi とも表記される。

debconf

パッケージ管理にはdebconfと呼ばれるフレームワークが用意されており、パッケージ作成者はユーザーに対して簡易のフロントエンドを提供できる。このフレームワークを積極的に利用しているパッケージでは、インストール後にユーザーが行うであろう初期設定の大半を、対話形式の質問に答えていくだけで、インストールと同時に終える事ができる。debconfパッケージ自身もdebconfの設定を有しており、利用するフロントエンドインターフェースと優先度を設定できる。debconfのインターフェースは、対話形式のものから、非対話形式(質問なしで自動設定)なもの、キャラクタベースなものから、グラフィカルなもの、または設定ファイルを直接書き換える用途で使用するエディタまで、ユーザーが自由に選択可能である。優先度はパッケージの各質問毎に設定されており、ユーザが介在しないとシステムが動作しなくなる高レベルのものから、デフォルトで問題ないような些細なものまである。(システムに不慣れなユーザのため)ある優先度より低い設定をすべてデフォルトで済ませ、それらを一切質問させないことも可能である。

リリースの種類

公開は、4つのレベルで何時でも行なわれている。

  1. 安定版 (stable):これは、厳密に安定性を検証したリリースで、公式のリリースはこれになる。これは、おおよそ一年から二年の間隔をもって公開されている。
    • 3.1r3のr3は、3.1に対してセキュリティ等のアップデートパッケージが適用された回数(revision)を示すものである。不定期にそれまでのセキュリティアップデートを含めたリリースが行われる。なお、3.1又は、3.1r0、3.1r1に対して全ての更新を適用すると、3.1r3と同じものになる。セキュリティホールバグの修正は、主に上流から修正コードをバックポートする事で行なわれるため、ソフトウェアのバージョンナンバー自体は更新されない。lennyリリース以降はバージョン表記の小数第二位の値で示すようになった。例えば、5.0リリース7回目のアップデートは、5.0.7となる。
    • 次の安定版がリリースされると、それまでの安定版は一般に「旧安定版」(old stable) と呼ばれて区別される。
    • セキュリティアップデートは、次の安定版がリリースされた後も、そのまま一年間は継続して提供される。
  2. テスト版 (testing):次期の安定版となる公開テスト中の版である。次に説明する不安定版で一定期間致命的なバグが発見されなかったパッケージが、自動的にテスト版に組み入れられる。
    • デスクトップなどで使う分には支障のない程度の安定度を持っていると言われ、最新のデスクトップを使いたい場合は、このテスト版を使うことが多いようである。だがパッケージ更新が機械的に行なわれるため、依存関係が壊れやすい。
    • リリースが近付くと段階的にフリーズされ、この自動処理が止められる。すべてのRCバグ (Release Critical Bug。安定版として致命的なバグ) が無くなったとき、テスト版は安定版としてリリースされる。
    • テスト版が安定版としてリリースされる時期が近付くとセキュリティアップデートの提供が始まる。それ以前は提供されない。だが、2005年9月より、Debian開発者の有志らがDebian Testing Security Teamを結成し、非公式な形でテスト版向けのセキュリティアップデートを提供している。
  3. 不安定版 (unstable):これは、開発者向けの版である。コードネームは不変で「sid」と呼ばれる。
    • 通常新規パッケージはこのリリースに投入される。セキュリティのアップデートは提供されないが、パッケージの更新サイクルが早いため、セキュリティの問題も比較的早く取り除かれる。またテスト版とは違い、DSA (Debian Security Advisory) によってどのバージョンから当該セキュリティホールが塞がれているか告知される。
  4. 実験版 (experimental):これは、影響が大きなパッケージ群が、不安定版に入れる前に一時的に置かれて、不安定版との組合せによりしばらく実験が行われる。experimentalだけで全てのインストールを行うことは出来ず、他の版との組み合わせにより動く。

なお、apt pinningの技法を使うと、一部のパッケージをより開発途上の版から借りてくる事ができる。例えば、基本的にシステムは安定版で動いているが、ウェブブラウザをテスト版の物を使うなどと言った事ができる。この状態でもAPTが、各パッケージの依存関係を解決してシステムの整合性を保ってくれるので、パッケージの依存関係による問題は生じないようになっている。

Debianのコードネームは、ディズニー配給の映画「トイ・ストーリー」のキャラクタから取られている。 これは、過去にDebianのプロジェクトリーダーを務めたブルース・ペレンズが、トイ・ストーリーを製作したピクサー・アニメーション・スタジオの社員であったためである。

リリース/バージョン履歴

凡例
サポートなし(過去のリリース)
サポートあり
現行リリース
バージョン コードネーム リリース日 アーキテクチャ カーネル パッケージ数 Debianセキュリティチームによる現在のサポート状況 特記事項
1.1 buzz 1996年6月17日 1 1 474 No dpkgELFへ移行、Linux 2.0[27]
1.2 rex 1996年12月12日 1 1 848 No -
1.3 bo 1997年6月2日 1 1 974 No -
2.0 hamm 1998年7月24日 2 1 ~ 1500 No glibcへ移行、新アーキテクチャ: m68k[28]
2.1 slink 1999年3月9日 4 1 ~ 2250 No APT、新アーキテクチャ: alpha, sparc[29]
2.2 potato 2000年8月15日 6 1 ~ 3900 No 新アーキテクチャ: arm, powerpc[5]
3.0 woody 2002年7月19日 11 1 ~ 8500 No 新アーキテクチャ: hppa, ia64, mips, mipsel, s390[30]
3.1 sarge 2005年6月6日 11 1 ~ 15400 No モジュラーインストーラー、半公式amd64サポート
4.0 etch 2007年4月8日 11 1 ~ 18000 No[31] グラフィカルインストールサポート、udevへ移行、モジュラーX.Orgへ移行、新アーキテクチャ: amd64、脱落アーキテクチャ: m68k[32] 最終リリースは、2010年5月22日にリリースされた、4.0r9[33]
5.0 lenny[34] 2009年2月14日 11テンプレート:Ref label 1 ~ 28000 No[35] 新アーキテクチャ: armel[36] SPARC 32ビットハードウェアサポートがなくなる[37]。完全なEee PCサポート[38]
6.0 squeeze 2011年2月6日 9テンプレート:Ref label 2テンプレート:Ref label ~ 29000 TBA 新カーネル: kfreebsd(-i386/-amd64)(テクノロジープレビュー)、脱落アーキテクチャ: alpha, hppa, arm[39] eglibcへの移行[40]。新しいinsservとSysv initによる依存関係ベースのブートシーケンスサポート[41]。旧式ライブラリの除去[42]バイナリ・ブロブLinuxカーネルイメージパッケージからの分離[43]

KDE 4.4.5, GNOME 2.30, Xfce 4.6, LXDE 0.5.0, X.Org 7.5, Linux 2.6.32[44]

7.0 wheezy[45] 2013年5月4日 11 2 ~ 37000 TBA 新アーキテクチャ: armhf­, s390x[46]。Multiarchのサポート[47]。amd64向けにUEFIインストール/ブートのサポート[48]

Linux 3.2, kFreeBSD 8.3/9.0, KDE 4.8.4, GNOME 3.4, Xfce 4.8, X.Org 7.7[48]

8.0 jessie TBA
テンプレート:Note label Linuxカーネルの11アーキテクチャ + ARMアーキテクチャにおける追加のABI(armel)をサポートしている[8]
テンプレート:Note label Linuxカーネルの9つのアーキテクチャ + FreeBSDカーネル(i386, amd64の2アーキテクチャのみ)をサポートしていることを示す[1]

テンプレート:Timeline Debian GNU/Linux

移植版

Debianはいくつかのアーキテクチャに移植されている。以下は実際にリリースされた移植版である。括弧内はプロジェクトでの呼称である。

以下の移植版はかつてはサポートされていたが、現在では公式にはサポートされていない(一部の移植版では非公式なサポートが存在する)。

  • MC68000 (m68k) (etchよりリリースターゲットから外された。)
  • Alpha (alpha) (squeezeよりリリースターゲットから外された。)
  • ARM (arm) (同上。armelにより置き換え。)
  • PA-RISC (hppa) (同上。)

Linuxカーネル以外への移植版もある。名称の通り、ユーザーランドはGNUの成果物に依存している。

まだ正式リリースされていない上記以外のアーキテクチャやカーネルへの移植版もいくつかある。

アーキテクチャ

  • SuperH (sh)
  • Motorola/IBM PowerPC64 (ppc64)
  • Linksys NSLU2 (armeb)
  • Renesas Technology M32R (m32r)
  • Sun UltraSPARC (sparc64)

カーネル

  • Debian GNU/Hurd (hurd-i386)
  • Debian GNU/NetBSD (netbsd-i386, netbsd-alpha)
  • Debian GNU/Solaris (solaris-i386)

Debianベースのディストリビューション

Debianはいくつかのディストリビューションのベースとして利用されている。以下はその一部である。

注釈

テンプレート:Reflist

関連項目

外部リンク

プロジェクトの公式リソース

コミュニティサイト

カスタムDebianディストリビューション

Debian Pure Blendsに一覧などがある。

その他

テンプレート:Linux-distro テンプレート:Debian

  1. 1.0 1.1 1.2 テンプレート:Cite web
  2. テンプレート:Cite web
  3. テンプレート:Cite mailing list
  4. テンプレート:Cite web
  5. 5.0 5.1 テンプレート:Cite mailing list
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  7. テンプレート:Cite web
  8. 8.0 8.1 テンプレート:Cite web
  9. http://db.debian.org/
  10. http://www.debian.org/social_contract
  11. http://www.debian.org/devel/constitution
  12. テンプレート:Cite web
  13. Ohloh.net, Debian GNU/Linux
  14. テンプレート:Cite web
  15. テンプレート:Cite web
  16. http://www.debconf.org/
  17. http://wiki.debian.org/DebConfInJapan
  18. What does a Debian Project Leader do www.debian.org
  19. テンプレート:Cite web
  20. テンプレート:Cite web
  21. テンプレート:Cite web
  22. テンプレート:Cite web
  23. http://www.debian.org/releases/squeeze/i386/release-notes/ch-whats-new.ja.html#pkgmgmt
  24. http://www.debian.org/releases/squeeze/i386/release-notes/ch-upgrading.ja.html#upgrading-full
  25. http://www.debian.org/doc/manuals/debian-reference/ch02.ja.html
  26. http://www.jp.redhat.com/support/manuals/RHL62/ref-guide/ch-gnorpm.html
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