1986 FIFAワールドカップ
テンプレート:国際サッカー大会情報ボックス 1986 FIFAワールドカップ(テンプレート:Lang-en-short)は、1986年5月31日から6月29日にかけて、メキシコで開催された第13回目のFIFAワールドカップである。アルゼンチンが決勝で西ドイツを3対2で下し、2回目の世界王者となった。
目次
予選大会
出場国
出場選手は1986 FIFAワールドカップ参加チームを参照。
大陸連盟 | 出場 枠数 |
予選大会 | 組 予選順位 |
出場国・地域 | 出場回数 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
CONCACAF | 1+1 | 開催国 | テンプレート:MEXf | 2大会ぶり9回目 | |||
最終予選 | 1位 | テンプレート:CANf | 初出場 | ||||
UEFA | 1+12.5 | 前回優勝国 | テンプレート:ITAf | 7大会連続11回目 | |||
欧州予選 | 1組 | 1位 | テンプレート:POLf | 4大会連続5回目 | |||
2位 | テンプレート:BELf | 2大会連続7回目 | ☆ | ||||
2組 | 1位 | テンプレート:FRGf | 9大会連続11回目[1] | ||||
2位 | テンプレート:PORf | 5大会ぶり2回目 | |||||
3組 | 1位 | テンプレート:ENGf | 2大会連続8回目 | ||||
2位 | テンプレート:NIRf | 2大会連続3回目 | |||||
4組 | 1位 | テンプレート:FRAf | 3大会連続9回目 | ||||
2位 | テンプレート:BUL1971f | 3大会ぶり5回目 | |||||
5組 | 1位 | テンプレート:HUN1957f | 3大会連続9回目 | ||||
6組 | 1位 | テンプレート:DENf | 初出場 | ||||
2位 | テンプレート:URSf | 2大会連続6回目 | |||||
7組 | 1位 | テンプレート:ESPf | 3大会連続7回目 | ||||
2位 | テンプレート:SCOf | 4大会連続6回目 | ○ | ||||
CONMEBOL | 4 | 南米予選 | 1組 | 1位 | テンプレート:ARGf | 4大会連続9回目 | |
2組 | 1位 | テンプレート:URUf | 3大会ぶり8回目 | ||||
3組 | 1位 | テンプレート:BRA1968f | 13大会連続13回目 | ||||
2位 | テンプレート:PARf | 7大会ぶり4回目 | |||||
CAF | 2 | 最終予選 | 1組 | 1位 | テンプレート:ALGf | 2大会連続2回目 | |
2組 | 1位 | テンプレート:MARf | 4大会ぶり2回目 | ||||
AFC | 2 | 最終予選 | A組 | 1位 | テンプレート:IRQ1963f | 初出場 | |
B組 | 1位 | テンプレート:KORf | 8大会ぶり2回目 | ||||
OFC | 0.5 | 地区予選 | 出場国無し |
- 備考欄の「☆」は欧州予選プレーオフ、「○」は大陸間プレーオフに勝利の上、出場が決定したチーム。
本大会
概要
当初はコロンビアで開催される予定であったが、経済状態の悪化から1983年にコロンビアの大会組織委員会が開催権を返上、メキシコが代わりに主催する事になった。これにより、メキシコは1970年以来、16年ぶり2回目のワールドカップ開催地となった。その代替開催となったメキシコも前年の1985年に大地震に見舞われ一時は不安視されたが、大会は無事に開催された。
大会の方式は1982年大会から変更された。前回と同じく24チームが大会に参加し、4チームごと6つのグループに分けられた。しかし、2次リーグは実施せず、16カ国によるトーナメント方式に変更された。各グループの1位と2位チーム、それに3位のチームが勝ち点の多い順に4つ、合計16チームが選ばれることとなった。
この大会はディエゴ・マラドーナの大会として人々に記憶されている。選手として絶頂期にあったマラドーナがアルゼンチン代表のエースとして獅子奮迅の活躍をしてチームを優勝に導いたからである。その中で最も有名な試合は、準々決勝のイングランド戦である。マラドーナは2点を決め、チームも2対1で勝利した。最初のゴールは、マラドーナが後日インタビューに「神の手」と語るとおり、ヘディングを狙いにいったマラドーナの手に当たってゴールに入った点である。審判はマラドーナのハンドを確認することができず、イングランド代表の抗議も実らず、得点は認められた。イングランドでは、この得点は逆に「悪魔の手」と呼んでいる。2点目は、マラドーナはセンターライン付近からドリブルを始め、ゴールキーパーのシルトンを含めて5人のイングランド選手をドリブルで抜いて決めた得点である。サッカーファンはこれを「5人抜き」と呼んでいる。
イングランドは、グループリーグ初戦のポルトガル戦を落すなど危機的状況にあったが、若きエースストライカーのゲーリー・リネカーが最終戦のポーランド戦で前半だけでハットトリックを達成するなど盛り返し、ベスト8進出と健闘を見せた。また、リネカーは6得点を上げ大会の得点王に輝いている。
前回優勝のイタリアは不調で、ベンチウォーマーに終始した前回大会得点王・ロッシの穴をアルトベッリが4得点の奮闘でカバーしたが、世代交代の遅れで自慢の守備陣が毎試合失点と脆さを露呈。グループリーグこそ1勝2分けで乗り切ったが、決勝トーナメント初戦で優勝候補のフランスに0対2のスコア以上の完敗を喫し、静かに大会を去った。
一方でモロッコがアフリカ勢初のグループリーグ突破を果たした。モロッコが入ったグループFは、サッカーの母国・イングランド、前回大会3位でこの大会のシード国の一つとなったポーランド、2年前のUEFA欧州選手権ベスト4のポルトガルと欧州の強豪が揃い下馬評では圧倒的不利だったが、ポーランド、イングランドとの対戦をスコアレスドローで乗り切ると、3戦目のポルトガル戦は一転して攻撃陣が爆発し、3対1の快勝。もたつく欧州勢を尻目にグループリーグを1位で突破し、快挙に花を添えた。決勝トーナメントでは西ドイツと対戦、経験不足を突かれて後半終了間際にマテウスにFKで先制点を決められて力尽きたが、強豪に劣らぬテクニックと長短のパスを駆使した多彩な攻めで欧州勢を苦しめ、大会を盛り上げた。
また、準々決勝のフランス対ブラジル戦は、事実上の決勝戦ともいわれた黄金カードであった。ブラジルがエースストライカー・カレカのゴールで前半16分に先制すると、フランスは前半40分にプラティニの同点ゴールで追いつく。後半も終わりに近づいた頃、会場の大歓声に迎えられてジーコが出場、ファーストタッチである絶妙のスルーパスが反則を誘いPKを獲得した。キッカーはジーコ。しかしゴール右隅を狙ったシュートは、この日絶好調のゴールキーパー・パツに阻まれブラジルは勝ち越しの好機を逃した。試合は延長でも決着がつかずPK戦に突入。フリーキックの名手プラティニが外すというハプニングがあったものの、フランスが勝利を収めた。この1戦はワールドカップ史上に残る名勝負としてファンに語り継がれている。フランスはこの勝利で全ての精力を使い果たし、準決勝の西ドイツ戦では精彩を欠き0対2で敗れ去った。フランスは3位決定戦ではプラティニ、ジレスらを外して若手中心のメンバーを組み、「プラティニの後継者」と目されたパパンのゴールや次代のキャプテンとなるアモロの活躍もあり、3位の座を確保した。
西ドイツは2大会連続準優勝に終わったが、前回大会とは違い前評判の低かった事から準優勝という結果は大健闘といえるものであった。また決勝トーナメント1回戦モロッコ戦の延長終了間際のマテウスの起死回生のFKからのロングシュートや、決勝戦のアルゼンチン戦での2点リードされた状況から同点に追いつく粘り強い試合運び等は、お家芸の「ゲルマン魂」を発揮したものであった。 大会のMVPに送られるアディダスゴールデンボール賞にはマラドーナが選ばれている。
高地という環境に加え、全試合デーゲーム開催となった為、体力面の消耗が激しい大会でもあった。ダークホースとして強豪から警戒されていたソ連、デンマークはグループリーグから持ち前の攻撃力を存分に発揮してフランス、西ドイツの強豪を抑えて1位で突破し、順当に勝ち上がれば準々決勝での対戦が見込まれていた。しかし両国とも決勝トーナメント1回戦で敗退。ソ連は2度のリードを守りきれずに延長戦に持ち込まれてベルギーに粘り負け、デンマークは先制しながらもその後ブトラゲーニョに4得点を挙げられるなどスペイン相手に5失点を喫する惨敗で、グループリーグからフル回転で戦ってきた体力面の消耗が致命傷となったのは明らかだった。勝ったベルギー、スペインが共にグループリーグ初戦は黒星発進だったのに加え、フランスと西ドイツが準決勝に進出していたのは両国にとっては何とも皮肉な結果である。
大会の汚点としては、ポルトガル代表がストライキを起こしたことが挙げられる。第1試合の対イングランド戦と第2試合の対ポーランド戦の間に練習をすることを拒み、その結果モロッコに敗れて大会を去ることになる。カナダとイラクがワールドカップ初出場を遂げるが、両代表チームとも3連敗で大会から姿を消した。
会場一覧
メキシコシティ | グアダラハラ | ||
---|---|---|---|
アステカ | オリンピコ・ウニベルシタリオ | ハリスコ | トレス・デ・マルソ |
収容人数: 114,600人 | 収容人数: 72,000人 | 収容人数: 66,000人 | 収容人数: 30,000人 |
150px | 150px | 150px | |
プエブラ | モンテレイ | ケレタロ | |
クアウテモク | ウニベルシタリオ | テクノロヒコ | ラ・コレヒドーラ |
収容人数: 46,000人 | 収容人数: 44,000人 | 収容人数: 38,000人 | 収容人数: 40,785人 |
150px | 150px | ||
レオン | ネツァワルコヨトル | イラプアト | トルーカ |
ノウ・カンプ | ネサ86 | セルヒオ・レオン・チャベス | ネメシオ・ディエス |
収容人数: 35,000人 | 収容人数: 35,000人 | 収容人数: 32,000人 | 収容人数: 30,000人 |
150px | 150px |
結果
グループリーグ
グループ A
順 位 |
チーム | 勝 点 |
試 合 |
勝 利 |
引 分 |
敗 戦 |
得 点 |
失 点 |
点 差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | テンプレート:ARGf | 5 | 3 | 2 | 1 | 0 | 6 | 2 | +4 |
2 | テンプレート:ITAf | 4 | 3 | 1 | 2 | 0 | 5 | 4 | +1 |
3 | テンプレート:BUL1971f | 2 | 3 | 0 | 2 | 1 | 2 | 4 | -2 |
4 | テンプレート:KORf | 1 | 3 | 0 | 1 | 2 | 4 | 7 | -3 |
グループ B
順 位 |
チーム | 勝 点 |
試 合 |
勝 利 |
引 分 |
敗 戦 |
得 点 |
失 点 |
点 差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | テンプレート:MEXf | 5 | 3 | 2 | 1 | 0 | 4 | 2 | +2 |
2 | テンプレート:PARf | 4 | 3 | 1 | 2 | 0 | 4 | 3 | +1 |
3 | テンプレート:BELf | 3 | 3 | 1 | 1 | 1 | 5 | 5 | 0 |
4 | テンプレート:IRQ1963f | 0 | 3 | 0 | 0 | 3 | 1 | 4 | -3 |
グループ C
順 位 |
チーム | 勝 点 |
試 合 |
勝 利 |
引 分 |
敗 戦 |
得 点 |
失 点 |
点 差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | テンプレート:URSf | 5 | 3 | 2 | 1 | 0 | 9 | 1 | +8 |
2 | テンプレート:FRAf | 5 | 3 | 2 | 1 | 0 | 5 | 1 | +4 |
3 | テンプレート:HUN1957f | 2 | 3 | 1 | 0 | 2 | 2 | 9 | -7 |
4 | テンプレート:CANf | 0 | 3 | 0 | 0 | 3 | 0 | 5 | -5 |
グループ D
順 位 |
チーム | 勝 点 |
試 合 |
勝 利 |
引 分 |
敗 戦 |
得 点 |
失 点 |
点 差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | テンプレート:BRA1968f | 6 | 3 | 3 | 0 | 0 | 5 | 0 | +5 |
2 | テンプレート:ESPf | 4 | 3 | 2 | 0 | 1 | 5 | 2 | +3 |
3 | テンプレート:NIRf | 1 | 3 | 0 | 1 | 2 | 2 | 6 | -4 |
4 | テンプレート:ALGf | 1 | 3 | 0 | 1 | 2 | 1 | 5 | -4 |
グループ E
順 位 |
チーム | 勝 点 |
試 合 |
勝 利 |
引 分 |
敗 戦 |
得 点 |
失 点 |
点 差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | テンプレート:DENf | 6 | 3 | 3 | 0 | 0 | 9 | 1 | +8 |
2 | テンプレート:FRGf | 3 | 3 | 1 | 1 | 1 | 3 | 4 | -1 |
3 | テンプレート:URUf | 2 | 3 | 0 | 2 | 1 | 2 | 7 | -5 |
4 | テンプレート:SCOf | 1 | 3 | 0 | 1 | 2 | 1 | 3 | -2 |
グループ F
順 位 |
チーム | 勝 点 |
試 合 |
勝 利 |
引 分 |
敗 戦 |
得 点 |
失 点 |
点 差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | テンプレート:MARf | 4 | 3 | 1 | 2 | 0 | 3 | 1 | +2 |
2 | テンプレート:ENGf | 3 | 3 | 1 | 1 | 1 | 3 | 1 | +2 |
3 | テンプレート:POLf | 3 | 3 | 1 | 1 | 1 | 1 | 3 | -2 |
4 | テンプレート:PORf | 2 | 3 | 1 | 0 | 2 | 2 | 4 | -2 |
各組3位チーム
組 | チーム | 勝 点 |
試 合 |
勝 利 |
引 分 |
敗 戦 |
得 点 |
失 点 |
点 差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
B | テンプレート:BELf | 3 | 3 | 1 | 1 | 1 | 5 | 5 | 0 |
F | テンプレート:POLf | 3 | 3 | 1 | 1 | 1 | 1 | 3 | -2 |
A | テンプレート:BUL1971f | 2 | 3 | 0 | 2 | 1 | 2 | 4 | -2 |
E | テンプレート:URUf | 2 | 3 | 0 | 2 | 1 | 2 | 7 | -5 |
C | テンプレート:HUN1957f | 2 | 3 | 1 | 0 | 2 | 2 | 9 | -7 |
D | テンプレート:NIRf | 1 | 3 | 0 | 1 | 2 | 2 | 6 | -4 |
決勝トーナメント
1回戦
準々決勝
準決勝
3位決定戦
決勝
優勝国
得点ランキング
表彰
- FIFAフェアプレー賞:テンプレート:BRA1968f
個人賞
賞 | 選手名 | 国籍 | 備考 |
---|---|---|---|
ゴールデンボール(大会MVP) | ディエゴ・マラドーナ | テンプレート:ARGf | 優勝 |
シルバーボール | ハラルト・シューマッハー | テンプレート:FRGf | 準優勝 |
ブロンズボール | プレーベン・エルケーア・ラルセン | テンプレート:DENf | ベスト16 |
ゴールデンシューズ(得点王) | ゲーリー・リネカー | テンプレート:ENGf | 6得点 |
ベストイレブン
脚注
参考文献
- 『ワールドカップ伝説1 '80年代編 マラドーナの時代』(ベースボール・マガジン社)
外部リンク
テンプレート:Navbox- ↑ 旧ドイツ時代を含む。