鳥はむ
鳥胸肉を使い、燻製の手順を踏まないなど、一般的なハムとは材料や調理法が大きく異なる。「2ちゃんねる」の利用者により考案された。
概要
食感は名前通り、ハムによく似ている。
良質なたんぱく質が多く含まれており、皮を取るとさらに低脂肪である。また、一般のハムに使用されている合成保存料、酸化防止剤、糊料、発色剤(亜硝酸Na)、pH調整剤(フマル酸)、うま味調味料、タンパク質(水増し増量)を使用していないため、一般的なハムと異なり保存に注意が必要である。鶏肉の中でも安い胸肉をいかにおいしく食べるかを実験し工夫されたものであり、材料費が安い事も特徴である。
レシピの普及
2001年4月3日に2ちゃんねるの料理板内のスレッド「鶏肉 むねVSもも」の中において、考案者(投稿番号89)がレシピの書き込みを行った[1]。当初は「鷄ハム」表記が多勢であったが、同年5月30日に独立した「鳥はむスレッド」が作成[2]され、「鳥はむ」表記がこの時に初登場し、徐々にこの表記が主流となっていった。これらの要因から、2ちゃんねる発祥の料理として、インターネット上に派生・一般化していった[3]。
2001年7月18日、クックパッドにおいてユーザーが「(゜д゜)ウマー2ちゃんの鳥ハム」としてレシピを紹介[4]。
2002年3月29日にAll Aboutの「料理のABC」における記事「掲示板で話題!鶏ハムの作り方・レシピ」にて、ガイドによって多少改変されたレシピが掲載された[5]。
2003年5月22日、ヤフーBBマガジン2003年7月号「ホットトピックス ONLINE」において特集が組まれてレシピが紹介された[6]。
2004年4月には、All About「料理のABC」のガイドが炊飯器を使用した調理法を考案[7]。
2006年4月3日放送の『はなまるマーケット』のコーナー「とくまる」(テーマ:鳥ムネ肉)[3] にて、簡単な歴史や多少改変されたレシピが紹介された。出演者に大好評であり、放送後視聴者の反響が非常に大きかったこともあって同年8月16日放送「しってとくまるグランプリ」“しって得するおいしさアップ術”部門の最優秀作品となる。各最優秀作品の中から出演者が選ぶ『しってとくまる大賞』にも圧倒的高評価で選ばれ、最優秀作品と大賞の2冠に輝いた[8][9]。これ以降もはなまるマーケットで何度か紹介されている。
- 2007年1月26日放送の「とくまる」(テーマ:2007年流行予想グルメ)で『2006年視聴者に1番反響を呼んだレシピ』として簡単に紹介され[8]、その際司会の岡江久美子が「時々作っている」との発言を行った。
- 2008年8月27日放送の「とくまる」(テーマ:節約レシピ集)で「伝説のレシピ」として、鳥はむ〜はなまるバージョン〜のレシピを紹介[10]。
- 2009年8月26日放送の「とくまる」(テーマ:しってとくまるグランプリ 本日決定!丸得ワザの頂点)では「2006年しってとくまる大賞に選ばれたレシピ」して紹介[9]。
- 2011年2月9日放送の「とくまる」(テーマ:塩鶏)では「はなまるこれさえあればヒットシリーズ」のひとつとして紹介[11]。
2009年9月20日放送の『JA全農プレゼンツ 田中雄介の食卓応援隊』(TBSラジオ)にて、ゲスト出演したフードスタイリストのマロンが多少改変したレシピを紹介した[12]。
2010年代に入ってからは、下記のように個人によって大幅にアレンジしたレシピも出てきており紹介されている。
2010年4月18日放送の『a life』(東海テレビ)にて、はちみつ料理研究家がアレンジしたレシピを紹介[13]。同年12月7日放送の『きょうの料理』(NHK)にて、脇屋友詞が大幅にアレンジしたレシピを紹介[14]。同年12月27日放送の『PON!』(日本テレビ)内コーナー「いますぐマネシピ!簡単すぎてごめんねごめんね〜」にて、浜内千波が大幅にアレンジしたレシピを紹介[15]。
2011年3月8日放送の『あっぷ&UP!』(関西テレビ)にて、大幅にアレンジしたレシピを紹介[16]。
2012年1月24日、はてなブックマークニュース・ネタりか(Yahoo! JAPAN)の記事「タモリ流&平野レミレシピも! リーズナブルな“鶏むね肉”をおいしく食べよう」にて、2ちゃんねる発祥の人気レシピとして紹介した[17]。
基本的なレシピ
当初のレシピは「鳥の胸肉に、塩、胡椒などをすり込み、ジッパーつき食品保存袋に入れて空気を抜き、冷蔵庫で2日間ほど保存した後15分程茹でる」というもの。レシピ登場から十数年経過後においても基本レシピに変化はないが、個々のアイデアによって様々な工夫やバリエーションが生み出されている。
用意するもの
- 鶏むね肉1枚(250-300g) - 鮮度が良く清潔で、なるべく冷凍ではない物
- 塩大さじ1杯
- こしょう小さじ1杯、好みのハーブ類
- 蜂蜜小さじ1杯 (砂糖でもよい)
- 密閉調理のための袋 - ジッパーつき食品保存袋や、ビニール袋と輪ゴムなど
手順
- 鶏肉の両面に小さじ1杯分の蜂蜜(または砂糖)をまんべんなく塗る。鶏皮が不要であれば、取り除いてから塗る。
- 塩・こしょうをすり込む。塩が溶け残り、表面がざらつく程度にたっぷりすり込むのがよい。
- 2.を密閉保存できる袋に入れて空気を抜き、冷蔵庫に2日間ほど保存する。
- 3.を取り出し、軽く水洗いした後ボウルなどに張った水に入れ、2-3%のごく薄い塩水で30分-1時間ほど塩抜きをする。塩抜きした後の水は捨てる。塩分が気になる人は、多目の水と多目の時間で塩抜きする。小さく切り取ったものに火を通して塩分が抜けすぎたと感じるくらいがちょうどいい。
- 4.がひたひたになるくらいの分量の水を鍋に入れ沸騰させる。
- 5.が沸騰したら4)を入れ、再度沸騰するまで茹でる。
- 再沸騰したところで火を止めて蓋をし、6時間程度そのまま置く。
- 冷蔵庫で一晩程寝かす。
トリビア
- 材料はささみやもも肉でもよく、もも肉は癖は強いが、より柔らかくうま味が濃い出来上がりになる
- 1.の手順の際、蜂蜜がないときには砂糖を使う場合もある。
- 2.の手順の際にセージやバジルなど、好みのハーブを入れても良い。鶏肉特有の癖が気になる場合は、好みのハーブで工夫することで和らげる事ができる。
- 塩抜き後、煮る前のものをオーブンで丸ごと低温で焼き、香ばしく仕上げる人もいる。
- 5.の際、食品用ラップフィルム、アルミホイル、タコ糸などで成型することもできる。また周りをラップなどで包んで肉汁を逃さないようにするとうま味が多く残り、よりしっとりとした出来上がりになるが、塩分が抜けないので、事前に塩抜きを十分に行う工夫をする場合がある。
- 6.で鶏肉を煮た煮汁は、いわゆる「ゴールデンスープ」となる。スープとしてカレーやシチューなどに使うことができるが、塩分濃度が濃い場合があり、火を入れないとスープが腐敗する。
- 鳥はむ自体も塩抜き後は傷みやすく、冷蔵庫による保管も、長期保存は出来ない。
- 燻製にするとさらにおいしくなり、多少長く保存可能となる。
- 前述の調理手順の一部に類似した、鶏肉の食感を高める調理方法も存在し、紹介されている。2009年4月27日放送の『はなまるマーケット』のコーナー「とくまる」(テーマ:鶏ささ身)にて、浜内千波が類似した加熱方法を紹介[18]。2011年6月23日放送の『笑っていいとも!』(フジテレビ)内コーナー「テレフォンショッキング」 で、タモリが鶏胸肉の簡単で美味しい調理方法として類似した加熱方法をw-inds.に教えた[17][19]。
脚注
外部リンク
- 鳥はむの館(infoseekアーカイブ / iswebアーカイブ) - 2ちゃんねる料理板の鳥はむ「まとめサイト」
- 鳥はむスレッド過去ログ置き場
はなまるマーケット 2009/08/26(水) 08:30「鳥はむ」 - TVais 2009年8月26日
タモリ流&平野レミレシピも! リーズナブルな“鶏むね肉”をおいしく食べよう - ネタりか(Yahoo! JAPAN)2012年1月24日
タモリ流 『鶏胸肉の簡単でおいしい食べ方』レシピを実際に作ってみた - ガジェット通信 2011年6月26日