沖縄県立首里高等学校
沖縄県立首里高等学校(おきなわけんりつ しゅりこうとうがっこう)は、沖縄県那覇市首里真和志町二丁目にある県立高等学校。
概要
世界遺産である首里城跡へ徒歩3分の高台に立地する。海邦養秀(海に囲まれた国から優秀な人材を輩出する)の名の下に、約40,000人の卒業生を送り出し、前身となる国学の頃から数えると200年以上の歴史がある。敗戦による学制改革までは「第一中学校」「一中」(いっちゅう)の名で親しまれた。生徒総数約1,300人。学科は普通科10クラス(2005年度までは11クラス、2006年度から10クラス)、染織デザイン科1クラス。
テレビドラマ等では、当校をモチーフとした沖縄有数の進学校、「那覇北高校」として登場することがあった。
1958年(昭和33年)、戦後初めて全国高等学校野球選手権大会の沖縄代表として出場した。これは第40回の記念大会として特別に当時の日本の46都道府県とともにアメリカ統治下にあった沖縄県の予選大会が開かれ、そこで優勝した当高校が甲子園への出場権を獲得したものである。1回戦で福井県・敦賀高等学校に0-3で敗れたが、試合終了後に拾った甲子園の土が琉球政府の検疫の問題上持ち帰れず那覇港で処分されたことが大きく報じられ、それを知った日本航空のスチュワーデスが甲子園球場周辺の海岸の石を拾い集めて寄贈した。現在この石は首里高校の敷地内にある「友愛の碑」というモニュメントに埋め込まれており、戦後沖縄からの初出場の記念として飾られている(当該項参照)。
2008年(平成20年)、沖縄県勢初の甲子園出場を50年目記念して小学館発行の漫画雑誌「ビッグコミックオリジナル」(4月20日号)で「ハイサイ!甲子園 〜島人が燃えた1958年〜」が連載される。(全9話:8月20日号で完結)
沿革
- 1798年 - 尚温王が国学を創立。
- 1879年 - 琉球王国解体(琉球処分)に伴い、国学は沖縄県庁の所轄となる。
- 1880年12月9日 - 国学を首里中学校と改称。
- 1887年3月 - 沖縄県尋常中学校と改称し、修業年限を5年とする。
- 1891年 - 国学跡の校舎から現在の首里高等学校の敷地に移転。
- 1899年4月 - 沖縄県中学校と改称。
- 1911年4月 - 分校が沖縄県立第二中学校として独立したのに伴い、沖縄県立第一中学校と改称。
- 1931年4月 - 第1学年より作業科及び音楽科、第4・5学年には公民科を課す。
- 1945年6月 - 沖縄戦により壊滅。
- 1946年1月27日 - 糸満高等学校首里分校として再発足。
- 1946年3月31日 - 糸満高等学校分校より独立。首里高等学校と改称。
- 1946年5月20日 - 知念高等学校大見武分校を併合。
- 1946年9月2日 - 糸満高等学校真和志分校を併合する。
- 1947年10月1日 - 旧天妃国民学校跡に那覇分校が設置許可される。
- 1948年2月 - 那覇分校が那覇高等学校(現在の県立那覇高等学校)として独立する。
- 1948年4月1日 - 6・3・3学制改革を実施。
- 1952年10月1日 - 定時制首里高等学校開校。
- 1958年4月1日 - 定時制首里高等学校を併合し、定時制課程を置く。
- 1958年4月3日 - 新たに一般事務課程、家庭課程、食物課程、工芸課程を設置。
- 1958年8月 - 第40回全国高等学校野球選手権大会に沖縄代表として初出場。「甲子園の土」が話題になる。
- 1960年4月1日 - 那覇連合教育委員会立首里高等学校を廃し、琉球政府立首里高等学校となる。
- 1962年4月1日 - 家庭課程を家政科に、食物課程を食物科に、工芸課程を染織科に変更。
- 1972年5月15日 - 本土復帰に伴い、沖縄県立首里高等学校と改称。
- 1973年4月1日 - 染織科を染織デザイン科に変更。
- 1980年3月31日 - 定時制課程廃科となる。
- 1981年3月31日 - 家政科、食物科廃科となる。
- 2000年 - 国学創建200年、沖縄県立第一中学校、首里高等学校創立120周年。
- 2008年4月5日 - ビッグコミックオリジナルで沖縄県勢甲子園初出場50年目記念として「ハイサイ!甲子園 〜島人が燃えた1958年〜」が連載される。(全9話:8月20日号で完結)
設置学科
現在の学科
- 普通科:9クラス(360人)
- 染織デザイン科:1クラス(40人)
かつて存在した学科(旧称「課程」を含む)
- 定時制普通課程→1980年3月廃科。
- 全日制一般事務課程→19xx年3月廃科。
- 全日制家庭課程→家政科→1981年3月廃科。
- 全日制食物課程→食物科→1981年3月廃科。
- 全日制工芸課程→染織科→染織デザイン科(現在)に至る。
交通アクセス
- モノレール
- 儀保駅より徒歩10分
- 路線バス
- 首里高校前バス停より徒歩1分
- 1番・首里牧志線 (那覇バス市内線)
- 17番・石嶺(開南)線 (那覇バス市内線)
- 46番・糸満西原(鳥堀)線 (那覇バス市外線)
著名な卒業生
(卒業扱い含む)
- 伊波普猷(M29卒) - 学者 ※M32卒の伊波普成は実弟
- 漢那憲和(M29卒) - 衆議院議員、海軍少将
- 照屋宏(M29卒) - 那覇市長。元台湾総督府工務課長。台湾鉄道敷設に多大な貢献を残す。京都大学工学部卒。
- 金城紀光(M30卒) - 医者
- 真境名安興(M30卒) - 学者
- 饒平名紀腆(M31卒) - 医者
- 伊波普成(M32卒) - ジャーナリスト ※M29卒の伊波普猷は実兄
- 宮城鉄夫(M32卒) - 学者
- 東恩納寛惇(M33卒) - 学者
- 神山政良(M35卒) - 官吏、社会運動家。東京大学、オックスフォード大学卒。東京地方専売局長、名古屋専売局長を歴任。
- 胡屋朝賞(M36卒) - 教育者
- 当真嗣合(M36卒) - ジャーナリスト
- 志喜屋孝信(M37卒) - 沖縄県知事、琉球大学学長
- 島袋全発(M38卒) - 学者
- 山城正忠(M38卒) - 医者、文学者
- 高安玉兎(M40卒) - 首里市長
- 屋部憲伝(M40卒) - 沖縄最初の良心的兵役拒否者
- 比嘉静観(M41卒) - 牧師
- 仲吉良光(M41卒) - 復帰の父
- 又吉康和(M41卒) - 『琉球新報』社長
- 永丘智太郎(M41卒) - 社会運動家
- 新城朝功(M44卒) - ジャーナリスト
- 亀川哲也(M44卒) - 二・二六事件
- 池宮城積宝(M44卒) - 作家
- 尚琳(M44卒) - 貴族院議員、教育者、宜野湾御殿二世
- 徳田球一(M44卒) - 日本共産党創立、弁護士
- 伊礼肇(M45卒) - 衆議院議員
- 平良辰雄(M45卒) - 沖縄群島政府知事
- 下地玄信(T1卒) - 公認会計士創設者、公認会計士
- 島袋光裕(T2卒) - 舞踊家、書家
- 佐喜眞興英(T2卒) - 判事、学者
- 当間重剛(T2卒) - 那覇市長、琉球政府行政主席 ※T7卒の当間重民は実弟
- 世礼国男(T4卒) - 教育者、音楽家
- 当間重民(T7卒) - 貴族院議員、那覇市長 ※T2卒の当間重剛は実兄
- 伊良波長幸(T8卒) - 教育者、書家
- 金城和信(T8卒) - 真和志村村長、魂魄の塔建立
- 渡名喜守定(T8卒) - 海軍大佐
- 国吉真哲(T9卒) - ジャーナリスト
- 安里積千代(T10卒) - 参議院議員
- 山里永吉(T10卒) - 作家
- 親泊朝省(T10卒) - 陸軍報道部長、敗戦後自決、大佐
- 金城朝永(T10卒) - 学者
- 大田政作(T11卒) - 琉球政府行政主席 / のち東京・順天中学へ
- 末吉安久(T11卒) - 画家
- 山之口貘(T11卒) - 詩人
- 豊平良顕(T12卒) - 『沖縄タイムス』社長 ※S28卒の豊平良一は子
- 翁長助静(T14卒) - 真和志市長 ※那覇市長、翁長雄志は三男
- 多和田真淳(T14卒) - 学者
- 仲宗根政善(T14卒) - 学者、ひめゆり学徒隊引率教員
- 平良良松(T15卒) - 那覇市長
- 石野径一郎(T15卒) - 作家
- 当山全信(S2卒) - 海軍潜水艦伊四八潜艦長、回天作戦中に米駆逐艦に発見され撃沈、戦死後中佐
- 金武良章(S3卒) - 舞踊家
- 高嶺朝光(S3卒) - 『沖縄タイムス』社長
- 大田昌秀(S18卒) - 沖縄県知事、参議院議員
- 尚詮(S19卒) - 桃原農園代表、松山御殿二世
- 親泊康晴(S20卒) - 那覇市長
- 尚弘子(S25卒) - 学者
- 豊平良一(S28卒) - 『沖縄タイムス』社長 ※T12卒の豊平良顕は父
- 外間寛(S29卒) - 学者。中央大学法学部教授、元同大学総長。中央大学卒。
- 仲宗根弘(S33卒) - 沖縄県勢初出場時の主将。「ハイサイ!甲子園 〜島人が燃えた1958年〜」の主人公。
- 安室二三雄(S34卒) - 画家
- 石原昌家(S36卒) - 学者
- 高良倉吉(S41卒) - 学者
- ゴリ(H2卒)- コメディアン(ガレッジセール )
- 石嶺聡子(H5卒) - 歌手
- 小林真樹子(H8卒) - RBC琉球放送アナウンサー
- HIGH and MIGHTY COLOR(ユウスケ、MEG、カズト、mACKAz、SASSY)(H15卒) - ヘヴィロックバンド
- 比嘉康雄 - ソフトウェア開発者。日経BP技術賞情報通信部門部門賞、及び独立行政法人情報処理推進機構2006年日本OSS貢献者賞受賞。東京工業大学卒。
- 真栄田賢- コメディアン(スリムクラブ )
関連項目
外部リンク
- 沖縄県立首里高等学校
- 社団法人 養秀同窓会(一中・首里高の同窓会)