釧路川
釧路川(くしろがわ)は、北海道東部を流れ太平洋に注ぐ一級河川。釧路川水系の本流である。下流部の両岸には日本最大の湿原である釧路湿原を形成している。
地理
北海道川上郡弟子屈町の屈斜路湖に源を発し、弟子屈町や標茶町の市街地を南へ流れ、日本最大の湿原である釧路湿原の中に入る。釧路郡釧路町の岩保木地点からは、人工河川である「新釧路川」となり、釧路市釧路港の東港区と西港区の間から太平洋に注ぐ。
高低差が少ないため一級河川には珍しく釧路川本流にはダムが設置されていない。
夏季には全国からカヌーの愛好者が川下りのために訪れる。カヌーポイントはいくつかあるが、細岡付近の湿原地帯、塘路付近、屈斜路湖側の源流部分などがある。
2010年、釧路湿原の自然再生事業の一環として直線になっていた茅沼地域の釧路川を約30年ぶりに蛇行に戻した[1]。
釧路川河口の釧路港中央埠頭から釧路町木場の水面貯木場まで木材をいかだによって運搬する光景が風物詩となっていたが水面貯木場の老朽化により2014年度で廃止となった[2]。
地名由来
アイヌ語で「クスリ-薬、温泉・トゥ(湖)」の意味。クスリトウ(屈斜路湖の原名)を水源とする川としてクスリ川と呼ばれ、これが転訛したと考えられる。
流域の自治体
自然
1970年代の魚類調査では、スナヤツメ、カワヤツメ、サケ、カラフトマス、サクラマス、ヤマメ、マスノスケ、イトウ、アメマス、エゾイワナ、シシャモ、ワカサギ、チカ、キュウリウオ、ウグイ、エゾウグイ、コイ、フナ、フクドジョウ、イバラトミヨ、イトヨ、ウキゴリ、ジュズカケハゼ、ハナカジカ、ヌマガレイが本流に、支流には他にニジマスとエゾトミヨも見られた[3]。
治水
釧路川は釧路港に大量の土砂を運び込み、たびたび洪水も起こしていたため、1931年に岩保木水門から分水路を開削し、これを「新釧路川」とした。1967年に一級河川の指定を受けた際分水路を幹川と認定したため、北海道開発局が管理することとなった分水路を「釧路川(新水路部)」とし、引き続き北海道の管理下に置かれたかつての下流部を「旧釧路川」とする名称変更を行った。しかし釧路市民は慣れ親しんだ釧路川に「旧」の烙印を押されることに不満を抱き、長年に渡って名称復帰を訴え、その結果2001年4月5日に国土交通大臣の告示により、それぞれ「新釧路川」「釧路川」の名称に戻された。幹川は引き続き「新釧路川」である。
利水
新釧路川の河口にある日本製紙釧路工場で製紙プラント用の工業用水として利水される。
河川施設
- 岩保木水門(いわぼっきすいもん) - 釧路川下流部(旧釧路川)を切り分ける水門。
支流
太字内は流路中の湖沼
- 鐺別川
- オソベツ川
- ヌマオロ川
- シラルトロエトロ川(シラルトロ湖)
- アレキナイ川(塘路湖)
- 達古武川(達古武沼)
- 久著呂川
- 新釧路川(分流)
- 雪裡川
- 別保川
- アセッツリ川(釧路市と釧路町の境界となる川)
- 仁々志別川
橋梁
関連項目
- 細岡展望台
- 阿寒川 - 大正時代まで釧路川水系だった河川。治水工事の歴史など。
- クーちゃん
- 釧路フィッシャーマンズワーフMOO、釧路ぬさまい河畔公園、釧路河畔駐車場、釧路東港
- 旧愛国飛行場 - 新釧路川左岸も敷地の一部として使用されていた。
- 日本製紙釧路工場
脚注
外部リンク
テンプレート:北海道の一級水系- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ 針生勤「釧路湿原に生息する魚 塘路湖・春採湖」、『日本の湖沼と渓谷』第1巻(北海道 I)(ぎょうせい、1987年)79頁表。