車両長
車両長(しゃりょうちょう)
- 鉄道の車両基地などで鉄道車両の点検・検修などを行う車両係員の長。鉄道係員職制(1987年(昭和62年)運輸省令第13号)では「車両に関する業務を掌理し、他の車両係員を監督する」と定められている。
- 車両の全長。一般的には車両前後端の連結面間隔のことを指す。日本の鉄道車両では一般的には20mが多い。本項で詳述。
鉄道車両の車両長
車体幅が同じ場合、車両長が長いほど、一両当たりの輸送人数が多い。プラットホームや列車行き違い設備等の規模は、発着できる列車の長さに影響を与えるため、使用される車両の長さはそれを決定する重要な要素であり、その鉄道路線の輸送力の目安になる。ヤード集結方式の貨物列車では、連結される貨車の長さがまちまちであるため、かつて日本で運転されていた際には車両の重量による換算両数の他に車両長による換算両数が設定されており、路線の設備に応じて列車長の調節がなされていた。
また、車体長とは別の概念であり、車体長が同じであっても線路条件等の要因により連結面間距離(連結器の張り出し長さ)が異なることも多く、車体長が同じであっても全長が異なることがあり、逆に全長(車両長)が同じであっても車体長が異なることがある。
一方で、小型車は、軸重制限が厳しく急カーブの多い低規格の路線での運用に適している。こうした路線では、大型車だと急カーブでオーバーハング部や台車間の車体が建築限界をはみ出し、プラットホームなど周囲の工作物に接触するおそれがある。路盤も大型車の軸重に耐えられない場合がある。
このため、低規格路線を持つ地方私鉄(中小私鉄)での小型車採用例(特に、近年は地下鉄用小型車の譲渡)が多い。反面、大手私鉄路線たる京阪京津線や南海高野線(本線級21m車とズームカー17m車の併用)、準大手私鉄の神戸電鉄線等、急カーブ急勾配の多い路線で小型車が採用される。
地下鉄の場合も、トンネル断面が狭いため建築限界が小さいことが多い。さらに道路下に建設される場合が多いため急カーブが多くなる。このため、小型車を採用する路線が多かった。最近でも、小断面のトンネルが使用されるミニ地下鉄では小型車が目立つ。一方で、他の鉄道との相互乗り入れを考慮した路線では、大型車が入線できるよう建築限界を大きめにとってあり、このため、20m前後の大型通勤車が採用される例が多い。
ヨーロッパ、アメリカ合衆国や中華人民共和国、大韓民国の標準軌幹線では、通勤車・長距離旅客列車ともに25~26.5m程度の車両が多くみられる。かつてヨーロッパのオリエント急行で運用の客車の台車を交換して日本国内で走行させた例があるが、これは対象車両の車体長が20~22m程度であったために、車体側のごく一部の改造のみで実現したものである。
フル規格新幹線では、車体サイズを、旧満鉄等(および、その元となったペンシルバニア鉄道)の規格に拡大したため、25m車が大半を占める。
車両長一覧
※長さはおおよそである。
- 27.5m
- ドイツ鉄道の急行用食堂車(WRmh132形など)
- 26.5m
- UIC-X規格、UIC-Z規格で製造された欧州の車両
- 旧西欧圏で国際列車に使用可能な客車(UIC-Y規格やUIC505規格で製造されたものを除く)
- ドイツ鉄道の主な客車(旧東ドイツ国鉄所属車両を除く)
- 25m
- 21.3m(車体長20.8m)
- 日本国有鉄道・JRの電車、気動車、客車の一部
- 21m(車体長20m)
- 南海電気鉄道(ズームカーを除く)
- 泉北高速鉄道
- 近畿日本鉄道(一部を除く)
- 京都市営地下鉄烏丸線
- 20.5m(車体長20m)
- 日本国有鉄道の特急形電車(中間車)
- 20m(車体長19.5m・19.2m)
- 19.5m(車体長19m)
- 19m
- 18.5m(車体長18m)
- 18m
- 17m
- 16.5m
- 都営地下鉄大江戸線
- 京都市営地下鉄東西線
- 京阪電気鉄道(京津線・石山坂本線)
- 16m
- 東京メトロ銀座線
- 大阪市営地下鉄長堀鶴見緑地線・今里筋線
- 横浜市営地下鉄グリーンライン(4号線)(10000形)
- 15.58m
- 14.66m
- 13.5m
- 札幌市営地下鉄南北線(2000形、3000形のみ。5000形は約18m)
- 13m