船の科学館
テンプレート:Pathnav テンプレート:博物館 船の科学館(ふねのかがくかん Museum of Maritime Science)は、1974年(昭和49年)7月に竣工・開館した東京都品川区東八潮の東京臨海副都心にある博物館。2011年10月に本館展示を休止したが、南極観測船「宗谷」の展示公開と屋外展示場での収蔵物展示を中心に博物館として営業しており、体験教室など各種イベントを継続して実施している。
目次
概要
船舶や海運、海洋開発、海上保安に関する事柄を中心に展示する海事博物館である。船舶の構造・歴史の解説や、エンジンなど各種機器の展示を行ってきた。開館当時は東京臨海副都心で最初の建築物といえる建物で、1978年(昭和53年)からおよそ1年間にわたって同館周辺で開催された宇宙科学博覧会では1期・2期の両期で1100万人もの来場者を集めた。開館以来、同館の運営には日本財団(旧・日本船舶振興会)がボートレースの収益を元に支援を行っており、競艇とも関わり合いの深い施設である。
部分休館
2011年9月30日をもって本館展示を無期限で休止するとともに、青函連絡船「羊蹄丸」の展示保存を終了した[1]。本館は開館後37年が経過して施設建屋・展示内容共に老朽化が著しく、羊蹄丸については維持費負担の点から国内団体に無償譲渡されることになった。休館は同年7月1日に公表された。7月20日から休館日までは謝恩価格として入館料が大人200円に引き下げられると共に企画展やイベントなどが開催され、休館前の2ヶ月間で12万人以上の見学者が来館した[2]。最終日は羊蹄丸の模擬出港などのセレモニーが実施された。
本館展示休止中は、本館展示や収蔵品を撮影した画像等を公式ホームページに掲載し、インターネットを通じて公開するという「バーチャル博物館」の試みを推進するとともに、資料の貸し出しを行う「海と船の博物館ネットワーク」の試み、本館展示のリニューアルを検討するとしているが、老朽化した本館施設の処置も含めて具体的な内容は明らかでない[1]。
現状
2011年10月1日以降も南極観測船「宗谷」と屋外展示物の公開、体験教室プールでの各種イベント開催を継続している。また、2012年1月2日からは新設されたMINI展示場にて本館収蔵資料の展示公開を開始した[3]。
本館
2011年10月より展示休止中。
建物自体がクルーズ客船「クイーン・エリザベス2号」をモチーフにした大型客船の形をしている。展示内容も実物の船の構造にあわせ、1階が機関関連展示及び船の歴史、ブリッジを模した構造の6階が操舵室関連展示になっていた。1階の中心に設置された巨大な船舶用ディーゼルエンジン(実物)は、建物を建てる前に搬入設置したものである。船の煙突・マストに相当する部分は展望台になっており、航海訓練所の練習船や南極観測船の出港に際して展望台への信号旗掲揚(UW旗)と汽笛吹鳴での見送りが行われていた。
また、東京港内の信号所を制御して航行管制を行う東京海上保安部交通管制室が本館3階にあり、開館中は業務風景をガラス越しに見学できた。
- 6F: 展示室(操舵室)、操船シミュレーション
- 5F: 多目的ホール「ホールマーメイド」
- 4F: レストラン「海王」、多目的ホール「マリンホール」
- 3F: 展示室(日本の船の歴史)、ラジコン船コーナー、東京海上保安部港内交通管制室
- 2F: 展示室(船の役割)、潜水艦コーナー
- 1F: 展示室(船の歴史・構造)、多目的ホール「オーロラホール」
- B1F:展示室(海洋開発)
MINI展示場
2012年1月に公開された展示施設。売店マリンショップだった建物を改装し、操船シミュレータや船舶模型など本館収蔵資料を展示している[3]。
別館
以前は宗谷・羊蹄丸の2隻が係留されていたが、現在は宗谷のみになっている。
2006年頃まで「本館・宗谷・羊蹄丸共通入館券」という本館入館券に大人300円(小児200円)増しの券、あるいは羊蹄丸と宗谷のみの「羊蹄丸券(同600円(小児300円))」が必要であった。その後「本館・宗谷入館券」となり羊蹄丸が名目上無料開放された後、2008年頃に本館・宗谷共通入館券も撤廃された。以降本館展示休止までは、羊蹄丸・宗谷には本館入館券を提示するか、(入館券が無い場合)運営維持費の募金を求められていた。
南極観測船「宗谷」
青函連絡船「羊蹄丸」
- 2011年9月30日に保存展示を終了[1]。本館展示休止により年間3,000万円の維持費を支出できなくなった為、えひめ東予シップリサイクル研究会に無償譲渡され、2012年3月25日に新居浜港へ曳航された。
- 過去には「マリンウェディング」と呼ばれる結婚式が船内のホールで行われることもあった。
屋外展示
- 潜水艇「たんかい」
- 深海潜水艇「PC-18(模型)」
- 深海大気潜水服「JIM」
- 双胴船「マリンエース」 - 日本で初めて完成した実験船。
- 超伝導電磁推進装置 - ヤマト1に搭載されていたもの。船体は神戸海洋博物館にて屋外展示されている。
- 海底ハウス「歩号1世」
- 九十九里の木造漁船
- 長崎五島列島の大瀬崎灯台(復元)
- 三重安乗埼灯台(移築)
- 東京灯船の灯器
- 大型スクリュープロペラ
- ナヒーモフ号主砲
- 戦艦「陸奥」主砲砲身一門
- 笹川良一像(孝養の像など)
過去の展示物
- 二式大艇 - 2004年4月末、海上自衛隊鹿屋航空基地資料館へ移管。
- 2003年5月から2004年2月まで、東シナ海にて九州南西海域工作船事件で自沈、引き上げられた不審船(北朝鮮の武装工作船)を展示。この工作船は2004年12月10日から横浜海上防災基地内の「海上保安資料館横浜館」にて展示されている。
- しんかい2000 - 2006年7月15日から8月31日まで、屋外特設会場で企画展示[4]。
- 戦艦大和(1/20模型) - 映画『連合艦隊』に使用した大型模型を野外展示。2007年の暴風雨によって横転し大破したため解体処分。
- トルコ建国の父ムスタファ・ケマル・アタテュルク騎馬像 - トルコ政府寄贈の像の取り扱いが国際問題化したため新潟県の旧柏崎トルコ文化村から修復で移され短期野外展示。2010年5月、和歌山県東牟婁郡串本町へ移設された。
- Fune-no-Kagakukan 20060504.jpg
港より望む
- PC-18 1.jpg
深海潜水艇「PC-18」
- Tankai.jpg
潜水艇「たんかい」
体験教室プール
2008年で遊泳の営業を終了したシーサイドプールを利用し、体験学習教室を実施している。 テンプレート:Main
レストラン・売店
- シーサイドレストラン海王(閉店)
- 本館4階にあった中華レストラン。一般団体向けメニュー、修学旅行向け特別メニュー、個人向けメニューがある。多目的ホールも併設し、結婚式の披露宴、研修会、セミナーなど幅広い利用が可能。
- マリンショップ(閉店)
- 船舶に関連した土産や模型、プラモデル、書籍などを販売していた。本館展示休止後、MINI展示場に改装された。
交通機関
付属施設
- 東京海洋会館
- 船の科学館を運営する日本海事科学振興財団が、日本財団の支援のもと1974年に新宿区百人町(大久保駅近く)の不動産を買収して設置した「船の科学館付属研修施設」である。1988年12月に閉館した。
- ホテル海洋
- 東京海洋会館の建て替えにより21階建ての高層ホテルとしたもので、1992年開業。低層部はコンベンション施設で占められており、運営は引き続き日本海事科学振興財団の直営であった。2005年にリプラスロードへ売却され運営権が異動。その後、親会社のリプラスが経営破綻したことにより、オリックス不動産傘下でビジネスホテルブルーウェーブインを運営する子会社ブルーウェーブが買収し、改装のうえ2010年7月20日にサービスアパートメント形態の短期賃貸マンション「ハンドレッドステイ東京新宿」として開業している。
その他
1979年12月30日に放送された、『西部警察』第12話「ビッグバッド・ママ」で登場。13号埋立地に停泊している貨物船で国外逃亡を企む犯人グループが東京都観光汽船のすみだ2号をジャックし貨物船に乗り込もうとした所を船の科学館に追い込み逮捕した。本館がバックで映った他、海上での銃撃戦のシーンで「宗谷」も映った。
出典
外部リンク
テンプレート:Odaiba area sights テンプレート:Museum-stub
テンプレート:Ship-stub