自己決定権
テンプレート:独自研究 テンプレート:出典の明記 自己決定権(じこけっていけん、autonomy、right of self-determination)は、自分の生き方や生活についてを自由に決定する権利。権利の保障を行う憲法や、権利のそもそもを考える法哲学的にしばしば議論の的となる。医療に関しては、患者の最も重要なものの一つとして自己決定権が考えられており、このことに関しての問題が多々ある。
目次
沿革
自己決定権にあたる権利を最初に提唱したのは、ジョン・スチュワート・ミル(『自由論』)であるとされる。「個人は、他者に迷惑をかけない限り、何をしても自由である」というものである。現在、自己決定権とされるものの多くは、運動の高まりを受け、1980年代末以降に国際連合の機関から実施を勧告された。 その後、アメリカの判例法理において、プライバシー権の一環として認められてきたとされる。
法学上の論点
自己決定権は権利か
自己決定権を憲法から導き出そうとすれば、それは日本国憲法で言えば第13条の幸福追求権から導き出せるものであり、文言からすれば「公共の福祉に反しない」限りにおいて尊重される。しかしながら、ある特定の行為を自己決定権として裁判で明言することは、そのことについて権利としての先例を作ることになり、司法の側には困難が伴う。現時点で、自己決定権を正面から認める最高裁判所判例は存在しないとされる。肖像権や環境権と同じ性質の権利であり、人々の生活水準が向上した結果、「その他もろもろの権利」に当たる幸福追求権のカタログが分厚くなって、自己決定権が言われるようになったとも指摘される。国際人権規約(自由権規約、社会権規約)の各第1部第1条には集団的決定権としての民族自決(self-determnation)が明記されているが、心理学の自己決定理論(Self-determination theory)やジョグジャカルタ原則第3原則ではこの(self-determination)が個人の決定権の意味で用いれている。障害者権利条約第3条a項では「自分自身で決める権利」も含めた自己決定権(autonomy)が保障されるに到る。
- 国際人権規約(経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約)第1部第1条の冒頭
All peoples have the right of self-determination.(英語正文)
Tous les peoples ont le droit de disposer d'eux-mêmes.(仏語正文)
Todos los pueblos tienen el derecho de libre determinación.(スペイン語正文)
ただし外務省による邦訳では「すべての人民は自決の権利を有する。」と表現されている。
自己決定権の主体の問題
自己決定権を権利と認めるとして、その享有主体が問題となる。
- 人格的自律権説=自己決定権の享有主体を、自律を行うに足る能力を有する者に限定する帰結。
- 一般的自由権説=広く享有主体を認めやすい。
自己決定権をめぐる裁判
自己決定権に関わる行為
- 自己決定権の内容を人格的自律に関する選択に限定する学説(人格的自律権説)と、広く一般的に市民生活上の選択事項について認める説(一般的自由権説)とで、保障の範囲が異なる。
- 生命・身体に関する問題
- 生命と身体をどうするかの選択
- 医療に関する問題
- 性に関する問題
医療上の問題
- インフォームド・コンセント - 情報を与えられた上での同意
- ホスピス - 死への心の準備などの精神的ケア
- 尊厳死 - 本人の意思でいたずらな延命治療を中止する
- 安楽死 - 患者が苦痛から逃れることを目的に、意図的に命を縮める
その他の問題
次の場合、自我中心性と同様の問題が起こることがある。
- 自己決定権の内容が次のようなことである場合。
- 自己決定権を乱用していることが明らかである場合。