ゴマ
テンプレート:栄養価 ゴマ(胡麻、学名:Sesamum indicum)は、ゴマ科ゴマ属の一年草。アフリカ大陸に野生種のゴマ科植物が多く自生しているが、考古学の発掘調査から、紀元前3500年頃のインドが栽培ゴマの発祥地である[1][2]。主に種子が食材、食用油など油製品の材料とされ、古代から今日まで世界中で利用する植物である。
目次
植物学的特徴
草丈は約1mになり、葉腋に薄紫色テンプレート:要出典の花をつけ、実の中に多数の種子を含む。旱魃に強く、生育後期の乾燥にはたいへん強い。逆に多雨は生育が悪くなる。
栽培・流通
日本で使用されるゴマは、その99.9%を輸入に頼っている。財務省貿易統計によると、2006年のゴマの輸入量は約16万トン。一方、国内生産量は、約200トン程度に留まっている。全体の僅か0.1%に相当する国産ゴマのほとんどは鹿児島県喜界島で生産され、8-9月頃の収穫時期には、集落内、周辺にゴマの天日干しの「セサミストリート」(ゴマ道路)が出現する[3]。西日本の暖地の場合、5月から6月頃、畦に二条まきする。発芽適温は20度から30度で、適当な水分と温度とがあれば容易に発芽する。本葉が二枚になり草丈が成長してきたら、2回程度間引きを行い、株間を開ける。収穫は9月頃。
品種
白ゴマ、黒ゴマ、黄ゴマ(又は金ゴマ、茶ゴマ)など、種子の外皮の色によって分類される[4]。欧米では白ゴマしか流通しておらず、アジアは半々。金ゴマは主にトルコでの栽培。
- 日本の品種
- 農研機構作物研究所において育成された「ごまぞう」(種苗登録2006年)は、ゴマでは初めての登録品種であり、種子中のリグナンであるセサミン、セサモリン含有量が既存在来種と比較して高いことが特徴である[5]。2009年には同じくリグナン含有量が高い黒ゴマ新品種「ごまえもん」と白ゴマ新品種「ごまひめ」が育成され、品種登録出願された[6]。その後両品種はそれぞれ「まるえもん」と「まるひめ」に名称変更されている。
歴史
アフリカのサバンナに約30種の野生種が生育しており、ゴマの起源地はサバンナ地帯、スーダン東部であろうというのが有力である。ナイル川流域では5000年以上前から栽培された記録がある。古代エジプトでは、ゴマは体に良い食べ物とされ、薬用利用などしていたことが、医薬書に象形文字で紹介されている[7]。
日本では縄文時代の遺跡からゴマ種子の出土事例がある。奈良時代には畑で栽培し[4]、ゴマを圧搾しゴマ油を作り食用油として調理したり、燈油として用いた[7]。平安時代の『延喜式』では、ゴマの菓子や薬用利用について記されている[7]。
生産
2010年のゴマの生産量上位10カ国[8] | ||
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国 | 生産量 (100万トン) |
収穫率 (トン/ヘクタール) |
テンプレート:Flag | 0.72 | 0.46 |
テンプレート:Flag | 0.62 | 0.34 |
テンプレート:Flag | 0.59 | 1.22 |
テンプレート:Flag | 0.31 | 0.99 |
テンプレート:Flag | 0.25 | 0.19 |
テンプレート:Flag | 0.17 | 0.61 |
テンプレート:Flag | 0.12 | 0.38 |
テンプレート:Flag | 0.09 | 0.72 |
テンプレート:Flag | 0.09 | 0.50 |
テンプレート:Flag | 0.07 | 0.96 |
世界合計 | 3.84 | 0.49 |
2010年のゴマの世界の総生産量は384万トンであった。2010年の最大の生産国はミャンマーである。上位3カ国はミャンマー、インド、中国で、世界総生産量の約50パーセントを占める[9]。
ゴマは2010年には世界の農場で780万ヘクタールを越える面積を栽培されるまでになった[8]。 テンプレート:-
食材としてのゴマ
鞘の中に入った種子を食用とする。鞘から取り出し、洗って乾燥させた状態(洗いごま)で食用となるが、生のままでは種皮が固く香りも良くないので、通常は炒ったもの(炒りごま)を食べる。また、剥く、切る(切りごま)、指先でひねり潰す(ひねりごま)、すり鉢で擂り潰す(擂りごま・下記参照)などして、料理の材料や薬味として用いられる。また、伝統的にふりかけに用いられることが多い。
- 擂りごま
- すり鉢を使ってごまを擂り潰したもの。また、少量の擂りごまを得るには「卓上ごま擦り器」のような道具が便利である。ごまが半ば粉砕され、含まれていた油分が滲出してきて、ややしっとりとした感じになる。とくに和食において、白和えをはじめとしてさまざまなレシピで活躍する食材である。
- ごまダレ
- 人気のあるタレの一種で、擂りごまなどを材料に用いたもの。サラダなどに用いる「ごまドレッシング」も類似のものである。
- 練りごま
- ごまを完全に粉砕し、ピーナッツバターのように油分を含んだままペースト状にしたもの。
- ごま油
- 含油率が約50%以上あるため、搾ってごま油として用いられる。煎りごまを材料に独特の香りを出した焙煎ごま油と、ごまを煎ることなく精製し、ごま本来の旨みを出した太白油・白ごま油(未焙煎ごま油)とに分かれる。調理油・調味料として用いる他、未焙煎のごま油は製菓用油やマッサージオイルなどにも使用する。
葉の青汁利用も行われている。ミネラル、ビタミン、食物繊維のほか、抗酸化作用のあるアクテオシドが含まれている[10]。
ゴマの料理、菓子
- 胡麻豆腐 - 精進料理のひとつ。
- おひたし
- 胡麻鯖
- 味醂干し
- 焼餅 - 中国のゴマをまぶしたパン
- ごまだしうどん - 大分県佐伯市の郷土料理
- 担々麺 - 中国四川省成都市の麺料理
- 胡麻団子 - 中国では中空に揚げるものなど。日本では胡麻だれをかけた米の団子など。
- 芝麻糊 - 黒ごま、砂糖、デンプンを湯で溶いた中国、香港などの食品。
- ハルヴァ - 中東の菓子
- ごま菓子 - 鹿児島県喜界島で作られている花良治ゴマを黒砂糖で固めた菓子。
栄養
テンプレート:未検証 昔からゴマは栄養価の高い食品として知られ、生薬としても用いられた。
種皮の色によって黒ゴマ、白ゴマ、金ゴマに分けられるが、栄養的にはほとんど差がない。黒ゴマの皮の部分にはタンニン系ポリフェノール色素を多く含んでいる。
カルシウム、マグネシウム、鉄、リン、亜鉛等のミネラルが多く含まれ、骨粗しょう症の予防や貧血の改善に効果がある。タンパク質、食物繊維、ナイアシン、ビタミンA、B1、B2、B6、Eや葉酸が豊富に含まれている。ゴマには抗酸化物質として働くリグナンが含まれており、ゴマの代表的なリグナンはセサミンである。ゴマ自体も抗酸化作用を持ち、活性酸素が体内で生成されるのを抑え、肝臓機能を強化し細胞の老化やガン化を抑制する作用がある。脂質はオレイン酸、リノール酸が80%を占め、たんぱく質も豊富に含み、コレステロール抑制にも効果もある。
ごまアレルギー
栄養価が高く健康に良いとされているゴマではあるが、子供を中心にごまアレルギーの調査が報告されている。アトピー性皮膚炎の子供126名を対象に行なった例では、1歳未満の乳児が21%、1歳から1歳6ヶ月未満では44%、2歳・3歳以上では約50%が、ゴマに対して陽性を示す結果となった[4]。
日常、知らず摂取する機会の多い食品だけに、子供やアレルギー体質の人は注意が必要である。
文化
ゴマに関する言葉
- ゴマが弾ける様子から
- 「アラビアンナイト」の中の一話、「アリババと40人の盗賊」に出てくる、秘密の洞窟の扉を開ける掛け声が「開けゴマ」(英語ではopen sesame)。これはアラビア語の افتح يا سمسم (Iftaḥ yā simsim)」を訳したものである。ゴマの種がはじけ出る様に由来するという説がある。テンプレート:要出典また、肛門を意味する古アラビア語 سمة (simma)に由来し、元来は成句として性的な意味を持っていたとする説もある。
- 形状から比喩的に - ゴマは、外見が黒いドットであることから、シンボル的な意味で用いられることがある。
- ゴマを加工する動作から
- その他
- 「誤魔化す(ごまかす)」の語源に関わっているとする説がある(護摩#ごまかすの語源説参照)。
ギャラリー
- Sa white sesame seeds.jpg
白ごまの拡大写真
- Umeboshi on rice topped with sesame by tasteful tn.jpg
ふりかけとしての黒ごま
- Goma dango 001.jpg
黒ごまのタレを掛けたごま団子
- HK Food Rice Noodle Roll with Sesame.JPG
香港の米で作る点心(腸粉)
- Clint Eastwood Hamburger IMG 9188 edit.jpg
ハンバーガーに用いたゴマ
- Simit-2x.JPG
ゴマをまぶしたパン。ギリシャではクルーリ、トルコではシミットと呼ばれている
- Bread With Sesame.JPG
アラブ料理のごまパン
参考文献
脚注
外部リンク
関連項目
テンプレート:Herbs & spices- ↑ www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/files/9-2.pdf
- ↑ link.springer.com/article/10.1007%2FBF02859136
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ 4.0 4.1 4.2 「古来からの健康食!「ごま」の種類・魅力」(2010年11月12日) All About 2013年10月20日閲覧
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ 7.0 7.1 7.2 「消費者の部屋通信 平成20年11月発行(ごまやごま油の歴史や利用法)」 農林水産省 2013年10月20日閲覧
- ↑ 8.0 8.1 テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite journal