築地本願寺
築地本願寺(つきじほんがんじ)は、東京都中央区築地三丁目にある浄土真宗本願寺派の寺院。東京都内における代表的な寺院の一つで、京都市にある西本願寺の直轄寺院である。著名な人物の葬儀が多く執り行われる。
住職は門主の大谷光淳が兼ねる。事務執行機関として宗務長(旧:輪番)1人、副宗務長2人で構成され、初代宗務長は浄土真宗本願寺派前総長の不二川公勝。
歴史
築地本願寺は江戸時代の1617年に、西本願寺の別院として浅草近くの横山町に建立。「江戸浅草御坊」と呼ばれていた。しかし明暦の大火(振袖火事)により本堂を焼失。その後、幕府による区画整理のため旧地への再建が許されず、その代替地として八丁堀沖の海上が下付された。そこで佃島(現中央区佃)の門徒が中心となり、本堂再建のために海を埋め立てて土地を築き(この埋め立て工事が地名築地の由来)、1679年に再建。「築地御坊」と呼ばれるようになった。なお、このときの本堂は西南(現在の築地市場)を向いて建てられ、場外市場のあたりが門前町となっていた。
1923年9月1日の関東大震災では地震による倒壊は免れたが、すぐ後に起こった火災により再び伽藍を焼失。又、58ヶ寺の寺中子院は、被災後の区画整理により各地へ移転。
現在の古代インド様式(天竺様式)の伽藍は、当時の浄土真宗本願寺派法主・大谷光瑞と親交のあった東京帝国大学工学部教授・伊東忠太による設計である。当時の宗教施設としては珍しい鉄筋コンクリート造で、松井建設の施工により1934年に完成している。伽藍には大理石彫刻がふんだんに用いられ、そのスタイルは現在においても斬新かつ荘厳で、築地の街の代表的な顔である。本堂と石塀が国の登録有形文化財に登録されている。 浄土真宗本願寺派の新体制移行(2012年4月1日付)に伴い、正式名が従前の「本願寺築地別院」から「築地本願寺」になった。これにより、築地本願寺は全国唯一の直轄寺院となる。
主な行事
- 1月1日 - 元旦会〈修正会)(新年をお迎えする法要)
- 4月8日 - 灌仏会
- 5月21日 - 宗祖降誕会(親鸞聖人の誕生祝賀法要)
- 8月上旬 - 盆踊り 芸能人による余興、大江戸助六太鼓の演舞など近隣住民・在勤者にも楽しまれるイベントである。
- 11月11日〜16日 - 報恩講(親鸞聖人の御命日法要)
- 12月31日 - 除夜会(除夜の法要)
文化財
- 登録有形文化財
- 本堂
- 石塀
その他
- 2007年12月15日、「東京ボーズコレクション」と題した超宗派による仏教イベントを開催。15,000人(主催者発表)を集め、期間中の法要では約50,000枚の華葩(けは)が散華された。2008年以降の開催は未定。
- 2008年7月6日、魚山聲明と節談説教、親鸞聖人御在世時の味を再現した精進料理などを味わう「念佛ノ源流」を開催。2公演が行われ、各公演800名、計1,600名(主催者発表)が築地本願寺を訪れた。
- 公式サイトのHTMLソースにはアスキーアートが描かれていたこともある[1]が、2011年4月現在は削除されている。
関連施設
- 築地本願寺内
- ブディストホール - 敷地内にある第一伝道会館の二階に164席収容のプロセニアム型劇場が併設されており、様々な劇団をはじめとする団体が、その思想・宗派の別を問わず利用している。
- 浄土真宗本願寺派東京教区教務所 - 関東一円の宗門事務を掌握する機関。教務所長は宗務長と兼職する場合もあれば、専任の教務所長が任じられる場合もある。
- 東京首都圏都市開教対策本部 - 首都圏における都市開教と開教使(僧侶)養成を目的とする[1]。
- 本願寺宗務都市圏センター - 首都圏の宗務推進、情報収集を目的に2001年に設置[2]。
- 東京仏教学院 - 明治時代の「勤学所」を前身とする仏教を学ぶ専門学校[3]。
- 分院(東京都内)
- 築地本願寺 和田堀廟所 - 杉並区。関東大震災より焼失した際、境内にあった墓地を当地に移転したもの。本堂などもある。隣接して明治大学和泉校舎がある。
- 築地本願寺 慈光院 - 墨田区。関東大震災により犠牲となった人たちを追悼するために建立。隣接して東京都慰霊堂がある。
- 築地本願寺 東久留米会館 - 東久留米市。当地に浄土真宗本願寺派の寺院がなかったため、1977年に建立。
- あきる野本願寺 - あきる野市。西多摩霊園の入り口にある当寺の分院。1995年建立。
- 築地本願寺 江東学園幼稚園 - 墨田区にある慈光院に付設してある幼稚園。
- 仁風保育園 - 荒川区にある保育園。築地本願寺が母体となっている。
- その他
- あそか病院 - 江東区にある病院。関東大震災時に日比谷公園に救護所を開設したのが始まり。21代門主明如の娘、九条武子が創始者。
- 武蔵野女子学院中学校・高等学校・武蔵野大学 - 西東京市・江東区にある中等教育機関・大学。高楠順次郎が境内に武蔵野女子学院を開設したのが始まり。理事長は開教対策本部長が兼ねる場合もある。
関連組織
- 築地聞真会 - 浄土真宗本願寺派の聞信徒などの国会議員(99人)で構成。現在代表世話人野田毅
- 築地あすなろ会 - 浄土真宗本願寺派の聞信徒などの財界人(首都圏)(24人)で構成。現在代表世話人沼田智秀
- 築地風琴会 - 築地教会、聖路加国際病院聖ルカ礼拝堂、本願寺築地別院で組織。
- 浄土真宗東京ビハーラ - がん患者・遺族の相互援助。
- 東京親鸞会 - 門徒組織。親鸞会とは無関係。
脚注
外部リンク
- 築地本願寺(公式サイト)
- 説法師子吼(築地本願寺輪番ブログ)
- 築地本願寺ブディストホール(ホール公式サイト。設備案内・利用申請書ダウンロードなど)
- 築地本願寺ストリートビュー