牛丼太郎
牛丼太郎(ぎゅうどんたろう)は、日本にかつて存在した、牛丼をメイン商品とする外食チェーンストア。株式会社深澤(埼玉県和光市)が経営していた。
2012年8月11日、東京23区内に残存していた全ての店舗が牛丼太郎としての営業を終了。その内2店舗は翌8月12日以降、外看板の「牛」の文字を隠し、株式会社丸光が経営するどんぶり太郎(丼太郎、どんぶりたろう)に変更して営業を続けている。
牛丼太郎を経営していた深澤は、2013年9月6日にさいたま地方裁判所より破産開始の決定を受けた[1][2]。
目次
概要
牛丼太郎を経営する深澤は1983年7月に東京都中野区で設立された[1][2]。元々低価格路線を採り、小規模チェーンながら安価妥当な食品・サービスを提供しており、1999年12月期には売上高5億6000万円を計上していた[2]。当初は牛丼とそれに関連する定食、および当時は朝時間帯のみ納豆丼を扱っていたが、BSE問題の時期からカレーライスをはじめとしてメニューが増えた。
しかし、ゼンショー・吉野家・松屋フーズ等の大手チェーン店との競争激化に伴って販売の伸び悩みが続いた上、価格の切り下げを余儀なくされるなど苦戦を強いられており[1]、BSE問題の影響[2]もあって2008年12月期には売上高1億6500万円[2]、2011年12月期には1億5000万円[1]まで下落。業績回復の目処が立たないことから2012年8月には店舗の営業を停止し、債務整理に着手していた[2]。2013年9月6日にはさいたま地方裁判所より破産手続き開始の決定を受けた[1][2]。
かつて公式ウェブサイトが存在せず、一部を除き各店舗の電話番号がタウンページに掲載されていないなど公式な情報宣伝をしない営業姿勢だった。2010年6月11日より公式ウェブサイト・公式モバイルサイトを開設し、ウェブによる広報・求人活動を開始したが、2012年4月1日以降、公式ウェブサイトがアクセス不可となり、さらに同年7月以降複数の店舗が閉店。同年8月11日、東京23区内に残存していた全ての店舗が牛丼太郎としての営業を終了した。
破産管財人に取材した東京スポーツの記事によれば、2012年8月に牛丼太郎としての営業を停止する前に、当時残存していた5店舗のうち代々木店と茗荷谷店の2店舗を従業員が設立した別会社に譲渡したとしている[3]。しかし、事業の譲渡が行われた経緯を示す書類が残っておらず、どんぶり太郎として現存する2店舗が現在も深澤の財産であるのか正式に譲渡されたのかもはっきりしていないとしている[3]。
沿革
低価格路線のパイオニア
かつてはどの大手牛丼チェーンよりも低価格で牛丼を提供していた。吉野家が並1杯400円の時代に牛丼太郎は並1杯350円だった。1980年代末から松屋が多店舗展開をすすめ、吉野家と競合する地区の店舗のみ並1杯350円という価格設定を行った際には、それに隣接する牛丼太郎の店舗ではそれより安い並1杯300円に値下げし対抗した。
大手との競争
その後、1990年代中盤からマクドナルドが先導した「価格破壊」の影響で、長らく価格を変更しなかった大手牛丼チェーンが2000年代初旬に相次いで値下げを行った。それにより価格差が小さくなった牛丼太郎もこれに追随、常にどのチェーンよりも差をつけた低価格設定を行い、最安値は2004年2月までの並1杯200円である。
しかし、低価格化に伴い、夏でも冷房を入れない店舗があるなどサービスは低下。傘下店舗の離反も相次ぎ、集客力が低下し、この期間に多くの店舗が閉店した。
BSE問題の影響
さらに2003年末からのBSE問題により米国産牛肉が輸入できない事態となり、それを使用していた牛丼太郎も影響を受けることとなる。米国産牛肉の在庫が尽きて大手牛丼チェーンが牛丼を販売中止し豚丼などの代替メニューに切り替える中、牛丼太郎は引き続き牛丼の販売を続ける方針を示し、米国産牛肉の在庫が無くなる2004年2月中旬ごろから3月中旬ころまでは牛丼への一時的豚肉混合や豪州産牛肉への切り替えなどの対応を行い、2004年11月まで並1杯250円で提供していた。
しかし、豪州産牛肉の価格高騰の余波や、原材料の見直し(日本産牛肉も一部使用)などの影響も受け、順次価格改定が行われた。2010年6月時点では並1杯290円であり、他牛丼チェーンと同程度の価格となった。2012年2月時点では並1杯250円となっていた。
閉店時の主なメニュー
一部のメニューは店舗によって販売していないケースや、同じメニューでも店舗によって添付品や内容がことなる場合もあった。また、野菜サラダ・味噌汁などとのセットメニューもあり、量や安さを求める客層にも対応していた。
過去に存在した店舗
代々木店と茗荷谷店は2012年8月12日以降、「どんぶり太郎」と店名を変更して営業を続けている。
- 中村橋店 - 閉店日は不明。営業時の所在地は、西武池袋線中村橋駅北口付近。商店街の中で営業していた。
- 高田馬場店 - 閉店日は不明。営業時の所在地は、JR山手線・西武新宿線・東京メトロ東西線高田馬場駅北側のさかえ通り沿い。カウンター店舗で営業していた。
- 新宿店 - 閉店日は不明。営業時の所在地は、東京都新宿区西新宿1-2-1。JR新宿駅北側の新宿思い出横丁内。「牛若家」になった後、火災で焼失。
- 高円寺店 - 閉店日は2006年10月15日。営業時の所在地は、東京都杉並区高円寺北3-22-18。JR中央線高円寺駅北口駅前ロータリーに存在した。
- 中延店 - 閉店日は2006年10月15日。営業時の所在地は、東京都品川区中延4-21-7。最寄り駅は東急大井町線・都営浅草線中延駅。
- 神保町店 - 閉店日は2006年11月30日。営業時の所在地は、東京都千代田区神田神保町1-52-16。最寄り駅は都営新宿線・三田線・東京メトロ半蔵門線神保町駅。
- 大久保店 - 閉店日は2007年8月3日。営業時の所在地は、東京都新宿区百人町1-17-3。JR中央線大久保駅北口駅前。
- 中野店 - 閉店日は2011年12月25日。営業時の所在地は、東京都中野区中野5-65-6。JR・東京地下鉄中野駅北口付近(中野通り沿線、駅から北方向へ約80メートル)。椅子あり。
- 蓮沼店 - 閉店日は2012年7月1日。営業時の所在地は、東京都板橋区蓮沼町4-4。都営三田線本蓮沼駅の南、中山道沿いに存在した。
- 野方店 - 閉店日は2012年8月11日。営業時の所在地は、東京都中野区野方5-30−19。最寄り駅は西武新宿線野方駅。椅子が少なく、時に立ち食いになった。
- 西新宿店 - 閉店日は2012年8月11日。営業時の所在地は、東京都新宿区西新宿5-10-14。最寄り駅は都営大江戸線西新宿五丁目駅で、十二社の熊野神社と山手通りとの間、方南通り沿いに所在していた。現在はサンクス西新宿5丁目店。
- 代々木店 - 牛丼太郎としての最終営業日は2012年8月11日。東京都渋谷区千駄ヶ谷5-20-16。JR代々木駅東口前に所在している。椅子は設置されていなかった。
- 茗荷谷店 - 牛丼太郎としての最終営業日は2012年8月11日。東京都文京区小日向4-5-9。地下鉄丸ノ内線茗荷谷駅付近、改札より春日通りを都心方向約80メートルの位置に所在。椅子が設置されていた。
関係する有名人
- 大澄賢也 - ダンサー・タレント。高田馬場店に勤務していた経験がある。
関連項目
出典
外部リンク
- 牛丼太郎 - インターネット・アーカイブによる2010年12月に取得された公式サイトのキャッシュ
- 牛丼太郎熱烈ファンサイト お店情報 - ファンサイトによる店舗一覧