有事
有事(ゆうじ)とは、戦争や事変、武力衝突、大規模な自然災害などの国家にとって非常事態が起こることであり、軍事的危機だけでなく、経済危機、人為的大事故、自然災害、社会的大事件などの総合的な言い方であり、その中でも主に犠牲者数百人以上の大惨事を伴う事件事故やNBC兵器等によって数十人以上死亡するような緊急の事態を総じて「有事」と呼ぶ。
日本
「有事」は法律用語ではなく軍事用語だが、防衛省では便宜的に有事に関する法制を有事法制といっている。防衛省が用いる有事の概念は、必ずしも画一的な概念としてとらえているものではないが、一般的に「自衛隊が防衛出動する事態」を指しているといわれている。 有事法制をめぐる有事の定義については、1999年11月18日の第146回国会安全保障委員会において、時の防衛庁長官・瓦力が「有事という言葉は法令上の用語ではございませんで、その意味は必ずしも一義的であるわけではございませんが、有事法制研究という有事につきましては、同研究は、自衛隊法第76条によりまして防衛出動命令が下令されました時点以降における自衛隊の円滑な任務遂行に係る法制上の問題点の整理を目的としておりまして、その意味で、ここで言う有事といいますのは、防衛出動命令下令事態ということになるわけでございます。」と答弁している。
但し、近年では軍事的脅威よりもテロリズムの危機の方が懸念され、有事法制においても土台人に手引きされた工作員によるテロ攻撃への対応を重視していることから、防衛庁が用いる有事の概念も、防衛上の概念に留まるものではなくなってきたといえる。
日本は第二次世界大戦の敗戦後、戦争放棄と平和主義を謳った日本国憲法第9条との関係などから、戦争に関連する日本有事について議論すること自体がこれまでタブー視されてきた。
自衛隊の内部で1963年に有名な三矢研究が国民の知れるところとなり世間を騒がせたが、昨今の日本を取り巻く中国とのパワーバランスの関連や、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核問題等から近年真剣に最悪の場合を想定した議論がなされはじめている。すでに、国民保護法に基づき、全国瞬時警報システムを通じて国民を屋内退避させる計画等や、有事の際に被災者を救援するための生活関連物資を、企業等から強制収用する権限を都道府県知事に付与することが決まっている。また、農林水産省では、食糧法、国民生活安定緊急措置法、物価統制令を法的根拠とするマニュアルを整備して国民保護に努めている。[1]。
日本の主な有事関連法
- 災害救助法と災害救助法施行令
- 米軍用地特別措置法
- 破壊活動防止法
- 刑事特別法
- 警察法
- 自衛隊法(特に自衛隊法第103条)
- 災害対策基本法
- 大規模地震対策特別措置法
- 国民生活安定緊急措置法
- PKO協力法
- 周辺事態法
- 武力攻撃事態法
- 国民保護法
- 日米相互防衛援助協定
- 日米安全保障条約(新安保)
- ACSA物品役務相互提供協定