岩塩

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岩塩採掘孔を削って作った「地下宮殿」(ポーランドの世界遺産の一つヴィエリチカ岩塩坑

岩塩(がんえん、テンプレート:Lang-en-short)は、鉱物として産する塩化ナトリウム(NaCl)のことである。岩石名でもある。

成り立ち

海底が地殻変動のため隆起するなどして海水が陸上に閉じ込められ、あるいは砂漠の塩湖で、水分蒸発により塩分が濃縮し、結晶化したものである。この現象は米国のデスヴァレーやボリビアのウユニ塩湖のように現在でも見られるが、地質時代の厚い岩塩は米国や欧州各国、中東、アフリカで知られる。岩塩は他の岩石より軽いため、地層の圧縮を受け絞り出されるように地層中で岩塩栓あるいは岩塩ダイアピルと呼ばれる盛り上がり構造をつくる。この構造の近くで石油が溜まりやすいため、米国メキシコ湾や西アフリカなどで石油が産出する。岩塩の多くは無色または白色に近い淡い色をしているが、産地や地層によっては青色、桃白色、鮮紅色、紫色、黄色などの様々な色を有する。こうした岩塩の結晶の色は、ミネラルイオウ有機物の混入や、地層中で長期間にわたって放射線を浴びることによって生じた格子欠陥などによるものである。

歴史上では、イジリやテガーザなど西アフリカサハラ砂漠中の塩鉱が知られ、サハラ交易によってガーナ王国マリ帝国ソンガイ帝国オアシス都市などの経済的繁栄をもたらした。現在テンプレート:いつでもジブチアッサル湖で採掘され、ラクダによりエチオピアまで運ばれる。

産地

以下は主な産地と生産量(2003年度・100万トン超のもののみ記載)

産地 生産量
アメリカ合衆国 1630万トン
ドイツ 1500万トン
イタリア 300万トン
スペイン 200万トン
イギリス 150万トン
ブラジル 130万トン
パキスタン 130万トン

特徴・用途

  • 結晶は等軸晶系(立方晶系)で、立方体のものが一般的である。鉱床からは層をなして産出する。このとき、同時に海水中から析出した塩化マグネシウムなどの他の塩類や石膏を伴うことが多い。岩塩の潮解性はこの塩類によるものである。
  • 湿度の高い環境下では潮解が起こりやすい。
  • 食品や工業原料、また美術品彫刻素材やシャンデリア材料)として用いられる。
  • 世界中で産出される岩塩の約半分はヨーロッパ、北米を中心に冬季間の融雪剤として使用される。
  • 岩塩層は、地層が比較的安定していることを見込まれて、ドイツでは放射性廃棄物地層処分の場として20世紀後半に使用されたが、地下水浸出や岩塩ドームの崩壊が危惧されている。

関連項目

参考文献

外部リンク

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