審判員 (野球)
野球において審判員(しんぱんいん)または、アンパイア (テンプレート:Lang-en-short) は、試合の進行と判定を行う者である。
日本プロ野球では1950年の2リーグ分裂後、セントラル野球連盟、太平洋(パシフィック)野球連盟それぞれで審判員を採用していたが、2011年より各リーグの審判業務を統合し、日本野球機構審判部の審判委員として活動することになった。(プロ野球審判員参照)
目次
概要
球審
球審(きゅうしん、英:umpire-in-chief ; plate umpire)は、通常は捕手の後方に配置されるが、単独審判制で審判を行う場合には、状況に応じて、投手の後方に位置することもある。試合を司る重要な役割を担い、その任務は、投球の判定や打者に対する判定、競技の進行に関わる宣告など多岐に渡る。特に投球の判定は、1試合につき200球~400球ほどに及び、膨大な集中力と持久力が要求される。また、投球やファウルボールが球審の身体に当たることも珍しくなく、他の審判員と異なり、怪我防止のために防具を装備する必要がある。
球審には umpire-in-chief の語が当てられているが、主審(crew chief ; chief umpire)と混同してはならない点に注意が必要である。野球において主審とは、その試合における責任審判員であり、球審が主審であるとは限らない。しばしば日本では球審を指して主審と呼ぶこともあるが、厳密には誤りである(そもそも主審とは、「副審」がいるスポーツにおける用語であり、野球において「主審」という用語を使うこと自体、適切とは言えない。前述の「責任審判員」が適切である)。
スコアボードでは、「CH」、「PU」、「PL」、あるいは単に「球」と表記される。
塁審
塁審(るいしん、英:base umpire(s) ; field umpire(s) )は複数審判制で審判を行う場合に、内野に配置される審判員のことをいう。日本のプロ野球でもっとも一般的である4人審判制では、塁審は通常、一塁・二塁・三塁の各塁付近に位置する。3人審判制・2人審判制では、塁審の数がそれぞれ2人・1人となり、球審とともに、走者や打球の状況によってそれぞれフォーメーションを対応させながら判定を行う。6人審判制では塁審に加えて外野にも審判員(外審)が配置されるが、そうでない場合は、外野に飛んだ打球についても判定の責任を持つ。
一塁や三塁に塁審が立つ場合は、原則としてファウルラインをまたがず、ファウルライン際のファウルグラウンドに立つ。これは万が一打球が塁審に当たった場合に、迷わずファウルボールと判定できるためである。塁審が内野内に位置する場合は、選手のプレイの妨げにならないよう注意しながら、腰を落とした低い姿勢で身構える(膝を突いた体勢で構えると、打球が飛んできた場合など、とっさの時に身動きが取れなくなってしまうので、膝は突かない)。しかし備えてはいても、捕球のために周りが見えなくなっている選手の体当たりを受けて、弾き飛ばされるハプニングがたまに起きる。
外審
テンプレート:Seealso 外審(がいしん)は、6人審判制のときに外野に配置される審判員のことをいう。外野審判(がいやしんぱん)とも呼ばれる。以前は線審、またはラインアンパイアーと呼ばれていたが、外野の広範囲における打球の判定を行うことから、現在ではこの名称で呼ばれている。ライト側とレフト側に各1名が配置される。英語での呼称はそれぞれ right field umpire, left field umpireである。
日本プロ野球ではセ・リーグが1990年から、パ・リーグでは1996年から外審を配置せず、4人審判制で試合を行うようになった。4人審判制では一塁・三塁塁審が外審の役割を兼ねるが、塁審の位置から外野フェンスまでは距離があり、両翼ポール際に飛んだ打球の判定(本塁打かファウルボールか等)でしばしば判定抗議による試合中断などが起きた。そのため、日本プロ野球では2010年シーズンから本塁打の判定に限りビデオ判定制度が導入された。なお日本シリーズ・クライマックスシリーズ・オールスターゲームでは6人審判制が取られている。
審判員の任務
野球の審判員は球審・塁審・外審の区別なく、タイム、ボーク、インフィールドフライ、反則投球などによるボールの汚損の宣告、その他、ルールの適切な適用を行う権限が同等に与えられており、これを遂行する任務がある。
さらに球審には以下のような任務がある。
- 試合の進行に関する全ての権限を持つ。
- 競技の開始または再開する際の「プレイ」の宣告(「プレイボール」ではなく、「プレイ」と宣告する。)
- 試合終了の際の「ゲーム」の宣告(「ゲームセット」ではなく「ゲーム」と宣告する。)
- 没収試合(フォーフィッテッドゲーム)の裁定。
- 選手の打順及び守備位置の発表。
- 選手交代の受付・発表。
- 投球の判定…ストライクまたはボールの宣告とそのカウント。
- 打者に関する全ての判定…死球や反則打球の判定など。
塁審は主に塁における判定や走者に関する判定を行うが、試合の状況によっては定位置にあたる塁以外でも判定を行う場合がある。また、一塁または三塁に位置する塁審にあっては、ハーフスイングのときに球審から要求があった場合の、スイングの判定も重要な役割となる。
飛球を捕球できたか否か(アウト、ノーキャッチ)や、打球のファウルボール、フェアボールの判定、スタンドに入ったボールが本塁打か否か(エンタイトルツーベースあるいはファウルボール)などの判定については、内野を越えるまでは原則として球審が、塁を超えていく打球については原則として塁審が判定を行う。さらに外審が配置されている場合は、塁審の頭上を越えて外野に飛んでいく打球について外審が判定を行う。
控え審判員制度
公認野球規則4.19〔注〕の定めに基づき、日本のアマチュア野球では提訴試合が認められていない。そのため日本のアマチュア野球における公式試合では、試合担当審判員が規則適用を誤った場合、それによって起こる抗議や紛争を即時解決できるような規定を定め、これに基づいて控え審判員の制度を設けていることが多い。
控え審判員は、試合を担当する審判員が規則適用に関する明らかな間違いを犯している場合には、誤った規則を適用されたチームの抗議の有無に関係なく、その誤りを訂正させることができる。例えば、アウトカウントやボールカウントを常に確認し、カウントの間違いがあれば訂正させることができる。 また、試合を担当する審判員が裁定に苦しむ時は、控え審判員と協議する事ができる上に、試合担当審判員は控え審判員にその裁定を仰ぐ事もできる。
- 日本プロ野球にも控え審判員は置かれているが、プロの場合は試合担当審判員の急病や、事故などの時に緊急出場する為に置かれており、目的が異なる。
主な宣告用語やジェスチャー
- プレイ=右腕まっすぐ伸ばして人差し指を投手方向に向けて「プレイ」と宣告する(「プレイボール」とは宣告しない)。数年前までは右腕をまっすぐ頭上へ伸ばし、手のひらを投手方向へ向けて「プレイ」と宣告していた(宣告できるのは球審のみ)。
- タイム=両手を「ハ」の字に開いて「タイム」と宣告する。この際、両肘を肩より上げる。ボールデッド全般に使う。
- ストライク=右手を握り、右腕を右斜め前約45度力強く上げて「ストライクワン」「ストライクツー」と宣告する。ただし、打者が投球を空振りした場合は、ストライクのジェスチャーは軽く行う。
- ファウルチップ=宣告はしないが右手で左手を軽くこする。その際、打撃妨害のジェスチャーと見間違われないよう注意する。
- ボール=構えた状態で「ボールワン・ボールツー・ボールスリー」と宣告する。その際、首や顔を動かしてはならない。
- フォアボール=ボールを宣告するとともに左手人差し指で軽く一塁を指差すジェスチャーを行っていたが、このジェスチャーは廃止され(一塁塁審へのハーフスイング判断要求と間違えられる恐れがあるため)、単に「ボールフォー」と宣告するだけでジェスチャーは殊の外行わない。
- ヒット・バイ・ピッチ(デッドボール)=タイムと同じジェスチャーで「ヒット・バイ・ピッチ」と宣告した後、左手人差し指で軽く一塁を指差す。
- ファウルボール=タイムと同じジェスチャー。
- フェア=フェアテリトリーに対して腕を水平に伸ばして「フェア」と宣告していたが、「フェア」と「ファウルボール」は同じ"F"音で始まり区別がつきにくいので、現在はフェアの打球に対しては発声せず(ノーボイス)、フェアテリトリーに対して腕を伸ばして人差し指でフェアグラウンドを指差す。
- アウト=右手を握り、腕をまっすぐ頭上に上げて「ヒズアウト(He's out)」と宣告する。野手がフライやライナーを捕球した場合には、アウトと同じジェスチャーで「キャッチ」と宣告する。プロ野球の審判員では、走者が本塁で捕手に触球された場合やクロスプレイなど、際どいタイミングで走者をアウトと判断した場合、また打者が三振(振り逃げは「ストライクスリー」のみ)になった場合に、右手の拳を勢い良く振り下ろすなどの一際大きな動作で「アウト」または「ヒズアウト」と宣告することもある。
- セーフ=両腕を水平に伸ばして行う。アウトサイドプロテクターを用いている球審の場合、左手はマスクを抱えているので、その場合、右手のみで「セーフ」のジェスチャーをしても良い。
- 走塁妨害(オブストラクション)=直ちにボールデッドとする場合はタイムと同じジェスチャーで、直ちにボールデッドとしない場合は走塁妨害をした野手を指差して、「走塁妨害」または「オブストラクション」と宣告する。
- 守備妨害(インターフェア)=妨害をした走者、または打者走者に対して右手人差し指で「守備妨害」または「インターフェア」と宣告する。
- 打撃妨害=妨害を行った捕手に対して左手人差し指で「打撃妨害」または「インターフェア」と宣告する。プレイが続いた場合、プレイが一段落した後、改めて「タイム」を宣告して試合を止め、「打撃妨害」または「インターフェア」と宣告する。この際、公式記録員に対しても、右手で左手甲を叩きながら「打撃妨害」と知らせる。なお、球審が打撃妨害を認めた時点で、右手で左手甲を叩きながら「打撃妨害」と判定・ジェスチャーをしても構わない。
- ボーク=投球時のボークは球審は宣告のみでジェスチャーは行わないが、塁審は投手を右手人差し指で指差しながら「ザッツ ア ボーク」と宣告する。送球時のボークは球審・塁審とも投手を右手人差し指で指差しながら「ザッツ ア ボーク」と宣告する。
- ホームラン=右腕を頭上に上げ、人差し指だけを出してゆっくり大きく右腕を回す。
- インフィールドフライ=人差し指でボールを指さし、「インフィールドフライ、バッターアウト」と宣告する。ただしベースライン付近にあがった内野飛球の場合は、「インフィールドフライ・イフ・フェア」と宣告する。
- ランスコア=主に球審が宣告する。走者が本塁に到達した場合、本塁を指差し「ランスコア」と宣告する。特に第3アウト成立とどちらが先かが重要となるタイムプレイなど、得点が成立していることを明示する場合は、引き続き公式記録員に対して「1点」と人差し指を立てて行う。
- ノースコア=主に球審が宣告する。しばしばタイムプレイ時に見られる。走者が本塁に到達したのが第3アウト成立後であった場合、得点は認められないので、頭上で両手をクロスさせ、「ノースコア」、または「無得点」と公式記録員に対して行う。
- ノーゲーム、タイゲーム、コールドゲーム=バックネット方向に向かい、右腕を頭上に上げ手のひらを開いて、「ノーゲーム」、「タイゲーム」、「コールドゲーム」と宣告する(宣告できるのは球審のみ)。
- ゲーム=アマチュア野球のみの手順。球審のみが宣告する。両チームが本塁を挟んで整列した後、右腕を頭上に上げ手のひらを開いて「ゲーム」と宣告する(「ゲームセット」とは宣告しない)。
- 退場=危険球を投じた投手に対して腕を斜め上に上げて、場外を人差し指で指すジェスチャーを行う。プロ野球やメジャーリーグの審判員では、選手および監督あるいはコーチの侮辱行為または暴力行為などに激昂した場合は、勢い良く身を躍らせたり片足を動かすなどの一際大きな動作で退場宣告を行うこともある。
公認野球規則あるいはOfficial Baseball Rules では審判員が宣告しなくてはならない項目が定められているが、そのジェスチャーは定められていない。統括団体によってはその団体主催の試合に限定してジェスチャーを既定している場合もある。
審判員のフォーメーション
アメリカ・メジャーリーグのレギュラーシーズンにおいては4人制が採用されており、オールスターゲームとプレーオフ、ワールドシリーズにおいてのみ6人制となっている。マイナーリーグでは基本的に4人制が採られることはなく、3Aは3人制(まれに4人制有)、2A・1A及びアマチュアは2人制となっている。
日本ではプロ・アマとも4人制が基本である。ただし、オールスターゲーム、日本シリーズ、および各リーグのプレーオフ (2007年からはクライマックス・シリーズ) では外野審判を配置し6人制とすることとなっている。かつてはセントラル・リーグが1989年まで、パシフィック・リーグが1995年まで、それぞれ公式戦全試合で外野審判を置いていた。プロ野球の2軍は3人制(まれに4人制有)が採られる。社会人の硬式野球においては、都市対抗野球本選と日本選手権本選で2004年まで全試合外審が配置されていたが、2005年より廃止された。アマチュアでは3人制や2人制を敷いている所もある。
日没や濃霧などの理由で視界が悪くなってきた場合、試合途中から6人審判制に切り替える場合もある。
単独審判制
単独審判制の場合、審判員は球審のみである。球審は判定を行うにあたって最適な位置を占める。基本的には無走者の場合は本塁後方、走者がある場合には投手の後方に立つ。
2人審判制
本塁上に球審を配置する他、塁審を1名配置する。塁審は、無走者の場合は一塁におけるプレイを判定する。走者がある場合には投手の後方に立ち、球審とともに各塁の判定を行い、打球、送球の状況に応じてフォーメーションを対応させる。
3人審判制
本塁上に球審を、一塁と三塁に塁審を配置する。フォーメーションは原則として以下の通りであるが、走者や、打球、送球の状況に応じて対応させる。
- (1)無走者の場合
- 一塁塁審は一塁の後方、三塁塁審は三塁の後方に立つ。
- (2)走者一塁、一・二塁、一・三塁、満塁の場合
- 一塁塁審は一塁から3m程度後方に、三塁塁審は二塁から約5m離れた内野内(投手の後方)に立つ。
- (3)走者三塁の場合
- 一塁塁審は一塁の後方、三塁塁審は三塁後方に立つ。
- (4)走者二塁、二・三塁の場合
- 一塁塁審は二塁から約5m離れた内野内(投手の後方)に立ち、一塁及び二塁の判定を受け持つ。三塁塁審は三塁から3m程度後方に立つ。
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(1)及び(3)の場合 - Naruohama-Stadium-6.jpg
(2)の場合 - Naruohama-Stadium-7.jpg
(4)の場合
4人審判制
本塁上に球審、一塁、二塁、三塁の各塁に塁審を配置する。塁審は、走者の位置、打球、送球の状況に応じてフォーメーションを対応させる。
二塁塁審は、一塁・二塁に走者がいない場合(1)は一・二塁の延長線上(外野)に、一塁・二塁に走者がいる場合(2)は二塁から約5m離れた内野内(投手の後方)に立つ。
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(1)の場合 - Maishima-Baseball-Stadium-4.jpg
(2)の場合
6人審判制
テンプレート:節stub 6人審判制の場合は塁審に加えて左翼・右翼のファウルライン際に外審を配置する。外審が立つ定位置は、1990年代まではレフト側・ライト側にそれぞれ設置されているポールの真下であった。これは、観客席から打球が跳ね返りやすい構造の球場が多いため、打球が跳ね返ったときに、フェアゾーンのスタンドか、ファウルゾーンのスタンドか、どこに当たって跳ね返ったのかを見極めるためとされてきた。2000年代からは観客席から打球の跳ね返りが少ない球場が増えてきたため、左翼側の場合、レフトポールと三塁との中間地点で、内側へ約1.5メートル入った地点、右翼側の場合、ライトポールと一塁との中間地点で、約1.5メートル内側へ入った地点とされている。1.5メートル内側へ入る理由は、外審の立つ位置から球審・捕手・打者・投手の動作を完全に見る為である。
特殊な事例
2014年7月26日に三条市民球場で行われた二軍ウェスタン・リーグの阪神対中日戦でのこと。この日の三条市内の気温は試合開始前にすでに37度を記録しており、試合中(正確には5ウラ終了時)に熱中症の症状を訴えて一塁塁審・今岡諒平が同じく熱中症を訴えた阪神・緒方凌介とともに途中退場。この試合は3人審判制で、予備の審判がいなかったため、二塁塁審の須山祐多が一塁塁審も掛け持ちすることになり、試合中に審判の人数が変動する特殊な事態となった。なお、この試合は阪神が6-0で中日を下している[1]。
球審の構え方
インサイドプロテクターを使用する際は、以下詳説するスロットスタンス、ボックススタンス、シザーススタンス、ニースタンスの4つの構え方のいずれかを採用する。人それぞれ体型や身長が違うので、どの構えが見易いかは個人によって差があるが、いずれの構えも身体の中心は本塁の打者側の縁に位置するのが基本である。
アウトサイドプロテクターを使用する際は、両肩にかけた状態で身体の中心をホームプレート真ん中に合わせ、両足を開き自然体で構える。左右打者を問わず、また捕手が左右何れかに寄ろうと関係無く、アウトサイドでの球審は常にホームプレート真ん中で構える。次に投手がモーションを起こすと同時に両足を並行に肩幅より広めに開き、プロテクターのくぼみ部を下顎にぴったりとくっつけ、腰と膝を曲げてやや前傾姿勢で構える。この時、プロテクターはインジケーターを持った左手のみで支え右手は軽く左手に添える。また、構えた時にプロテクターをあまり前に突き出さず、心持ち少し前に出す程度にする。
アウトサイドプロテクターを用いた場合でも、インサイドプロクターを用いた場合でも、構えたらその位置から投球を目だけで追い、投球の方向へ顔や身体を動かしてはいけない。
- スロットスタンス
- 身体の中心を本塁の打者側の縁に位置し、足の置き方は右打者の場合、左足のつま先を捕手のかかとと並行に置き投手方向へ向ける。右足は自分自身が楽な姿勢位置まで広げ(一般的には肩幅よりやや広く)、投手と正対して、やや前傾姿勢で構える。腕の位置は打者側の腕を曲げて腹付近に置き、反対側の腕は太ももの後部に置く。または両腕を両太ももの内側に置き、手は自然とぶら下げるか軽く握る。いずれの構えも左打者の場合、左右手足の位置が逆になる。久保田治がこの構えだった。現役審判員では、木内九二生や深谷篤らはこの構え方である。この構え方は、アマチュア野球で最も推奨されている構え方である。
- ボックススタンス
- 両足を平行に並べ、肩幅よりやや広めに並行に開き、つま先を投手へ向けて構える。構える位置と両腕の位置はスロットスタンスと同じ。橘高淳や笠原昌春、真鍋勝己などはこの構えである。
- シザーススタンス
- 打者側の足はスロットスタンスと同じで、反対側の足を肩幅程度に開き、投手がモーションを起こすと同時に反対側の足を後ろへ伸ばす。腕は打者側の腕を曲げて打者側の膝に置くが、反対側の腕は引いた足に軽く添える。この構え方は、主にプロ野球審判員に多く見られる構え方で、有名なのは小林毅二である。井野修が2002年途中から2004年シーズンまで、友寄正人が1992年シーズン右打者の時のみと2004年シーズン左打者の時のみ、森健次郎が2006年シーズンまで、林忠良が2001年シーズン頃、この構え方でそれぞれ球審をしていた。2014年現在、東利夫、白井一行、小林和公、石山智也らがこの構えである。
- ニースタンス
- シザースタンスと変わらないが、打者側と反対側の足を地面に着け、構えに入る時は前傾姿勢で構える。平光清や村田康一などがこの構え方だった。
- 個性的な構え
- 上記のいずれにも当てはまらない個性的な構えをする審判員もいる。代表的なのは、セ・リーグでは井野修(2002年途中~2004年シーズンを除く)や谷博、パ・リーグでは林忠良や柿木園悟、小寺昌治など。井野は、ボックススタンスで構えるが、腰を地面スレスレまで下ろして構える。
マスクの外し方
アウトサイドプロテクターではマスクは左手で外すか(プロ野球においては、田中俊幸と三浦真一郎が常に左手で外していた)、右手で外して左脇に抱えるか左手に持ち替える。この場合、セーフと判定する時は片腕でも良い。
インサイドプロテクターではマスクを左手で外す。右手はアウト・セーフの判定を示すための手であるので、その右手をいつでも瞬時に使えるようにするのが目的である。その際、左手でマスクの左隅部分を持って正面(打球の方向。ただし、捕手ファウルフライを除く)を向いたまま外す。
アウトサイドプロテクターの外し方
右腕をベルトから抜く。左脇を開け、右手の掌をプロテクターの右角に当て、そのまま押し上げ、背中に背負う。押し上げる間が無ければ、左脇に挟んでも良いし、左ヒジにかけている状態でもよい。何れの場合も、プレイの判定に支障が出ないように気をつけなければならない。
背中に上げたら左脇を閉めて、プロテクターが下がってこないよう支える。 なおプロ野球において、試合中常にプロテクターを背負っていた審判員は、山本文男、藤本典征、福井宏がいる。
用具
野球の審判員を行う際には、審判服・審判帽を着用し、
などが必要である。球審ではこれに加え
- マスク(喉を保護するスロートガードつきが主流)
- 肩、鎖骨、胸、腹までをガードするチェストプロテクター。アマチュア野球ではアウトサイドプロテクターが主だったが、フォーメーション変更に伴い1999年頃からインサイドプロテクターが主流となっている
- 急所を保護するカップ
- 膝下のレガース
- ボール袋
- 審判靴。球審が履く審判靴は、靴の先端が安全靴のように固い仕様になっているもの
- 審判帽。球審はマスクを付け、咄嗟の時には素早くこれを外さなければならないので、塁審に比べツバが短いものを着用する。但しマスク一体型のものであれば、審判帽の着帽はしなくてよい
などが必要となる。ただし野球のレベル、硬式・軟式の違いなどによって、この中から省くものもある。
球審の服装
一般に、スポーツの審判員は同じ服装で試合に臨むのが原則である。しかし野球では、球審だけが違う審判服を着ていることもある。これは、球審がインサイドプロテクターを装着することにより、塁審と暑さ・寒さの感じ方が変わる上に、個人によって暑がり・寒がりもいるため、気候やその日の天候、個人のコンディション等を参酌し、球審は最も審判しやすい服装で臨んで良いという申し合わせがなされているからである。
例えば塁審はブルゾンであるのに対して球審は半袖シャツかブレザー、塁審は黒色シャツであるのに対して球審は水色シャツ、塁審は長袖シャツだが球審は半袖シャツなどの服装の違いが見られることもある。
脚注
- ↑ 2軍戦で虎ブル…熱中症で審判2人の異例事態に!新潟の猛暑で一塁塁審が離脱 デイリースポーツ、2014年7月27日閲覧。