公債
テンプレート:財政 公債(こうさい)とは、国や地方公共団体が、資金調達のために行う債券の発行又は証書借入れによって負う金銭債務又はこれに係る金銭債権をいう。
概要
政府は国民を代表するものであるが、政府債券が間接的な納税者の債務であることが言える。これは公債の要因が、税収不足ではなく財政支出に重く起因しているからである。公債は大別すると、国債、政府関係機関債及び地方債の総称である。なお広義には、郵便局の債務などの、行政債務一般を指す。
公債は、国内債(国内で消化される債券)と外債から消化される。政府は、たいてい政府の発行する国債や貨幣の類などの証書を元に発行することで資金(資産)を借用する。信用の低い国家では、市中銀行や国際的な機関から資金を借用する。学者の中には、全ての政府の責務、すなわち将来の年金支払いや財・サービスに対する支払いについて未払い分を政府債務と考えるケースもある。異なる一般的な公債の区分としては、期間がある。短期間であれば、1年を基準に、長期間の債務であれば10年を基準に考えることになる。
国債・ソブリン債
国債は、債券は国内通貨建てで、国家政府により発行される。同じく国債が外国通貨建てで発行されるとソブリン債とされる。政府は税金を上げ、支出を減じ、満期の債券を償還するのに通貨をもっと印刷することが政府自らの決定によってできるので、国債は私人・私企業の債務に比べてはるかにリスクが低い。
地方債・州債
地方債は、地方政府(地方自治体)により発行された公債のこと。州債はそのうち州が発行主体である場合の呼称。県が発行すれば県債、市が発行すれば市債となる。
準備通貨建て
政府は市中消化の良いときに資金を借用することがある。アメリカ合衆国やフランス、ドイツでは、国内においてのみ発行される。安定を保ちにくい通貨に対する投資を好んでする投資家もいる。こうした債券の中には、外国通貨建てであり、利子が払われなかったり償還されなかったりするので、リスクがある。1997年・1998年のアジア通貨危機では、多くの国家が為替市場レートを維持できなくなり、レートを投資家の攻撃に備えて固定している。
各国の公債規模
各国の公債のGDP比率 (2009年推定)
国ごとの債務スケールは重要な課題であり、社会資本の価値下落や国家資本の破壊を招くものであるが、貧困国により広く債務免除の要求が出される。
市民社会グループは、公債発行に対して過激な行動に出る可能性があり、独裁国家では、土地改革による事実上の償還放棄が起きる。金融構造の抜本的な改革が求められている。
2010年頃からアイスランド、アイルランド、ギリシャ等の金融不安が表面化し、ポルトガル、スペイン、イタリアなどの状況も危惧され始めている。アメリカの2012年の大統領選挙でも巨額の公債が大きな争点になっている。
日本の公債総額は1980年代のバブル景気崩壊後の大量の国債発行によりしばらく世界一であったが、2010年の推計値では2008年以降に景気浮揚策などで大きく出費したアメリカが負債額を増やし世界一となっている。対GDP比率では日本は2位のギリシャの143%を大きく引きはなして198%最大である。2013年5月現在の日本政府の純債務は対GDP比で134%となっており、財政破綻したギリシャの155%に近くなっている[1]。
下記の上位21ヶ国の表には入っていないが、アイスランド126%、アイルランド97%、ポルトガル93%と対GDP比率の高い国で問題が表面化した。
国名 | 公債金額 (十億USドル) |
対GDP比 | 国民一人当たりの 金額 |
注 (2008年推計) |
---|---|---|---|---|
テンプレート:Flag | $9,133 | 62% | $29,158 | ($5,415十億USドル, 38%) |
テンプレート:Flag | $8,512 | 198% | $67,303 | ($7,469十億USドル, 172%) |
テンプレート:Flag | $2,446 | 83% | $30,024 | ($1,931十億USドル, 66%) |
テンプレート:Flag | $2,113 | 119% | $34,627 | ($ 1,933十億USドル, 106%) |
テンプレート:Flag | $2,107 | 52% | $1,772 | ($1,863十億USドル, 56%) |
テンプレート:Flag | $1,907 | 19% | $1,427 | ($1,247十億USドル, 16%) |
テンプレート:Flag | $1,767 | 82% | $27,062 | ($1,453十億USドル, 68%) |
テンプレート:Flag | $1,654 | 76% | $26,375 | ($1,158十億USドル, 52%) |
テンプレート:Flag | $1,281 | 59% | $6,299 | ($775十億USドル, 39%) |
テンプレート:Flag | $1,117 | 84% | $32,829 | ($831十億USドル, 64%) |
テンプレート:Flag | $823 | 60% | $17,598 | ($571十億USドル, 41%) |
テンプレート:Flag | $577 | 37% | $5,071 | ($561十億USドル, 36%) |
テンプレート:Flag | $454 | 143% | $42,216 | ($335十億USドル, 97%) |
テンプレート:Flag | $424 | 63% | $25,152 | ($392十億USドル, 58%) |
テンプレート:Flag | $411 | 43% | $5,218 | ($362十億USドル, 40%) |
テンプレート:Flag | $398 | 101% | $38,139 | ($350十億USドル, 90%) |
テンプレート:Flag | $398 | 80% | $4,846 | ($385十億USドル, 87%) |
テンプレート:Flag | $381 | 53% | $9,907 | ($303十億USドル, 45%) |
テンプレート:Flag | $331 | 23% | $6,793 | ($326十億USドル, 24%) |
テンプレート:Flag | $309 | 106% | $65,144 | |
テンプレート:Flag | $279 | 34% | $12,075 | |
公債(Public Debt)とは国・地方自治体など全ての公的機関の債務から自国通貨での払戻金を差し引いたものである。
* CIAの「ザ・ワールド・ファクトブック」には公債のGDP比率のみが表示されている。公債総金額と一人あたりの金額は同資料のGDP(PPP)および人口の数値から算出したものである。 |
全世界の国の一覧は英語版en:List of sovereign states by public debtで
ソブリン債の問題
ソブリン債は、第2次大戦以降には主要な公的政策の問題となり、戦債の取り扱いの問題を含めて、1980年代の双子の赤字や1998年のロシア財政危機のショック、1998年-2001年のアルゼンチン通貨危機がある。
脚注
参考文献
- Niall Ferguson. The Cash Nexus: Money and Power in the Modern World, 1700-2000 (2002)
- James Macdonald, A Free Nation Deep in Debt: The Financial Roots of Democracy Princeton University Press, 2006. 564 pp. ISBN 0-691-12632-1. Argues that democracies eventually defeat autocracies because "countries with representative institutions are able to borrow more cheaply than those with autocratic governments" (p. 4). Bond markets also strengthen democracies internally by giving citizens some of the proverbial power of the purse and by aligning their interests with those of their governments.
関連項目
外部リンク
- 日本の公債残高の累増
- 日本の国債及び借入金並びに政府保証債務現在高
- 日本の借金時計
- 借金時計改良版
- 財務省ホームページ
- アメリカの国債発行額カウント
- IMFの金融マネージメントのブログ
- IMF国債マネージメントフォーラムホームページ
- カナダの国債発行総額
- ドイツの国債発行総額
- イギリスの国債発行総額
- スウェーデン国債公社ホームページ
- フランスの国債発行総額(ユーロ建て)