財
テンプレート:出典の明記 財(ざい)は物質的・精神的に何らかの効用を持っているもののことである。
また、そのようなものの中で有形ものを財、無形なものをサービスと呼び、財とサービスと表現する場合もある。
目次
概要
ある財の需要に比べその財に対する供給が無限にないとき財は希少であるとされる。このような財を経済財と呼び、経済学(特にミクロ経済学)の分野で議論される。逆に需要よりもはるかに多くほぼ無限の供給が存在する場合は、このような財は価格を持たない。これを自由財という。空気は人間の生存にとって不可欠のもので、巨大な効用をもつが、希少性がないので市場取引の対象とはならず、自由財の典型とされる。
その逆にダイヤモンドは単なる装身具であり空気ほど大きな効用を持つものではないが、非常に希少性をもつので市場で高価で取引されている。
経済学で議論される財
経済財と自由財
私的財と公共財
投資財と消費財
代替財と補完財
上級財と下級財
- 上級財
- 上級財とは、所得効果によって、所得の増加にともない需要が増加していく財である。
- 劣等財(下級財)
- 所得の増加に伴い、需要が減少していく財である。例えばインスタントラーメンは所得が増えるほど他のより高級な食品に代替され、消費が減るので劣等財に含まれると考えられる。品質が劣るという意味はない。
- ギッフェン財
- 下級財の一種で、所得効果が代替効果よりも強く働く。
代替効果と所得効果
ある財X、その補完財Y、その代替財Zを仮定する。代替効果のみを考慮した場合、財Xの価格が下落すると、補完財Yの需要は増大し、代替財Zの需要は減少する。逆に財Xの価格が上昇すると、補完財Yの需要は減少し、代替財Zの需要は増大する。
これに所得効果を加えたとき、補完財Yが下級財であるか、代替財Zが上級財の場合、所得効果が逆向きに作用する。そのため、その総効果は、代替関係や補完関係の強さによって変わってくる。
財とサービス
所有権の移転を伴うものは財、そうでないものはサービスとして区別することができる。たとえば海外旅行などで飛行機に乗るときには、飛行機を財として購入するのでなく、サービスとして利用していることになる。
前近代における財の位置づけ
平安末期から用いられ続けた学問と道徳を説いた教科書『実語教』では、「富は、これ一生の財、身滅すれば、すなわち共に滅す。智は、これ万代の財」と位置付け、富=物質的な財は個人的な繋がりでしかなく、残ることはないが、知識・知恵といった財は社会や一族が持続する限り残り続けると定義している。すなわち、教養こそ財として重きを置くべき(精神的財を貴べ)とする教育がなされていた。
また、中世における財産目録の文書研究から、鎌は財に数えられなかったと考えられており、消耗と消費が激しいために、古くから多くの人に用いられ続けた道具にもかかわらず、家財としての価値が認知されず、除外されていた(当時は使い古された鉄器は鋳潰され、リサイクルされた)。このように、人間生活にとって、深く効用のあるものでも、時代によって、財とはならない例がある。