公共財

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公共財(こうきょうざい)は、経済学の用語であり、通常、非競合性あるいは非排除性の少なくとも一方を有するとして定義される。対語としては、非競合性と非排除性の双方を有しない私的財がある。

非競合性とは、消費者あるいは利用者が増えても追加的な費用が伴わないという性質である。例えば食品であれば誰かが食べてしまえば他の人はその食品を食べることができない(競合性)。これは財の便益が競合的である典型的なケースである。

それに対して、非排除性とは、価格づけによって対価を支払わない者を便益享受から排除できないという性質である。市場では、価格づけされた財が対価の支払いを条件として販売される。そのため、対価を支払おうとしない人を消費から排除することができる(排除性)。例えば、私たちはケーキを食べる前に、商店においてある価格付けをされた商品としてのケーキを対価、つまり現金を払い買わなくてはいけない。価格付けされたケーキの対価を支払うことによって私たちはケーキを手にすることができるが、ここで対価を払えなければケーキという財にアクセスすることができない。

分類

テンプレート:経済学の財

純粋公共財

非競合的かつ非排除的な狭義の公共財を純粋公共財という。この純粋公共財の典型的な例としては政府による外交や国防がしばしば挙げられる。国民の内の特定の集団が政府の外交政策や国防の利益を受けないように排除することが困難であり、また、集団を排除しなくてもそれによって追加的な費用が発生しないことが多い。ほかの例としては、花火大会における花火などがある[1]

準公共財

また、厳密には純粋公共財ではないが、非競合性あるいは非排除性のいずれかを有する広義の公共財を準公共財という。

非競合的かつ排除的な財は、「クラブ財」と呼ばれる。例えば、有線放送のようなサービスは、放送用のケーブル網の敷設や番組制作などには費用がかかるが、これを100人の消費者に供給する代わりに150人の消費者に供給することによってもそれらの費用は余り増加しない。(排除可能性は高いが、競合性が低い例)

非排除的かつ競合的な財は、「コモンプール財」と呼ばれる。たとえば、一般道路や橋などは、利用者全員に課金するためのコストが高く(排除可能性が低い)、ある程度までであれば、利用者は問題なく便益を受けられるが、利用者が増えるに従って、混雑費用が高まる(競合性は高い)。

公共財を、政府が提供する場合・民間企業が提供する場合

国防などの純粋公共財[2]の提供にあたっては、対価を支払わない者もこれを利用できる(非排除性)。そのため、市場メカニズムに任せた場合、フリーライダーの問題が起きて供給が過少となる。そこで、そのような公共財の供給は政府が行うべきであるとされる。なお、公園やプールなどのように、(準)公共財であっても民間での供給が可能なものが多い(ただし、民間に任せた場合に供給が過少となるので、(CSでのスクランブル放送のように)排除性を高めるなど私的財に近付ける工夫をしたり、政府の介入が必要となる)。

なお、公共財と混同されることがあるものとして、私的財ではあるがある種の公共性を有するメリット財がある。たとえば医療、介護、義務教育などがメリット財とされる。これらのサービスは、あらゆる人がこれを享受する権利をもつと考えられている。しかし、非競合性・非排除性の問題が無いのであれば、これらの財は民間によって適切に供給され得る。 テンプレート:節stub

知識の公共財的性格

知識もまた非競合性と非排除性をもち、公共財であると考えられている[3][4]。そのため、公共財と同様にフリーライダーが生じたり、知識生産(研究開発)への投資が過少になる可能性がある。

この問題の解消方策として

  • 公的機関による知識(という財)の供給。大学や国立研究所があてはまる。
  • 新しく発明された知識に対し人為的に占有権を与え、フリーライダーを阻止する。知的財産権が該当する。

が採用されている。

逆に、フリーライダーを問題とは捉えず、推奨する考え方としてコピーレフトクリエイティブ・コモンズがある。

脚注

テンプレート:Reflist

外部リンク

関連項目

  • マンキュー経済学ミクロ編
  • 消費が競合的でない財は、消費者が増えても誰かの便益が減少する(費用の発生)わけではない。そのため、経済的には追加的な消費者を拒むべき理由はなくなる。
  • テンプレート:Cite
  • ケネス・アロー (1962) によって、知識は公共財的性格のほかに、不可分割性と不確実性を持つ特殊な財であることが指摘されている。