全国人民代表大会
テンプレート:混同 テンプレート:Infobox Legislature テンプレート:中華人民共和国の政治 全国人民代表大会(ぜんこくじんみんだいひょうたいかい、テンプレート:ピン音)は、中華人民共和国の一院制議会。憲法上、国家の最高権力機関および立法機関として位置づけられている。日本では略称を全人代と表記する場合が多い。中国では全国人大、人大と略される。
目次
概要
全国人民代表大会は立法権を行使するほか、国家の最高権力機関として、行政権・司法権・検察権に優越する。中華人民共和国主席(国家元首)および副主席、国務院(最高行政機関)、国家中央軍事委員会(最高軍事指導機関)、最高人民法院(最高司法機関)、最高人民検察院(最高検察機関)の構成員は全人代によって選出され、全人代に対して責任を負い、全人代の監督を受ける。
全人代は、省・自治区・直轄市・特別行政区の人民代表大会および中国人民解放軍から選出された代表(議員)によって構成される。一般国民(公民)が代表を直接選挙するのではない。一般国民が直接選挙できるのは、県級以下の人民代表大会のみであるため、全人代代表の選出は間接選挙となる。人民代表選挙は中国共産党によって指名された候補に対する信任投票となることが多いが、複数の候補から選択する差額選挙が行われることもある。いずれにせよ指導政党である共産党の原則的方針から根本的に逸脱する者が人民代表に選出されることは絶対にない。
天安門広場の西端にある人民大会堂が議事堂となる。大会開催中は天安門広場周辺の交通や広場への進入規制がなされる。全人代は毎年中国人民政治協商会議と同時に開かれ、共に「両会」と呼ばれ、全国レベルの重要な政治的決定を行なうが、全人代と異なり、政治協商会議は諮問機関である。
全人代は、共産党を中心とする大会主席団、全人代常務委員会、国務院などが提出した議案や予算を審議する。議案や予算の否決に至った例はない。
構成
全国人民代表大会の任期は5年。毎年1回、3月頃に開催される。代表の定数は3000人を超えてはならない。第12期全人代の議員数は2,987人。各省・自治区・直轄市・特別行政区の代表および軍の代表から構成されており、少数民族や衛星政党である「民主党派」の党員などの非中国共産党員も含まれているが、代表の約70%が共産党員である。なお、全人代代表選挙は全人代常務委員会が主催する。
機構
全国人民代表大会常務委員会
全国人民代表大会の常設機関。ここにおいて主に立法や政策の決定がなされる。また全人代閉会中は、全人代が行使する最高国家権力および立法権を代行する。常務委員会の構成員は、毎期の全人代第1回会議において、全人代代表のなかから200人ほど選出される。任期は5年。なお、常務委員長は国会議長に相当する。
専門委員会
- 民族委員会
- 法律委員会
- 内務司法委員会
- 財政経済委員会
- 教育・科学・文化・衛生委員会
- 外事委員会
- 華僑委員会
- 環境・資源保護委員会
- 農業・農村委員会
工作・活動機構
代表資格審査委員会
権限
現行の中華人民共和国憲法(1982年憲法)第62条・第63条には以下の権限が定められている。
- 憲法改正。
- 憲法の施行の監督。
- 刑事法・民事法・国家機構およびその他の基本的法律の制定。
- 中華人民共和国主席・副主席の選出および罷免。
- 中華人民共和国主席の指名に基づき、国務院総理(首相)を選出する。国務院総理の指名に基づき、国務院副総理・国務委員(副首相級)・各部部長(大臣)・各委員会主任(大臣級)・監査長(会計検査長)・秘書長を選出する。また、総理以下、左記の国務院構成員の罷免も行う。
- 国家中央軍事委員会主席を選出する。また国家中央軍事委員会主席の指名に基づいて、同委員会の構成員を選出する。主席以下、同委員会の構成員の罷免も行う。
- 最高人民法院院長および最高人民検察院院長の選出・罷免。
- 国民経済・社会発展計画、ならびに計画執行状況の報告を審査し、承認する。
- 国家予算および予算執行状況を審査し、承認する。
- 全国人民代表大会常務委員会の不適切な決定の改廃。
- 省・自治区・直轄市の設置の承認。
- 特別行政区の設立とその制度の決定。
- 戦争と平和に関する問題の決定。
- 最高国家権力機関として行使すべきその他の職権。
会期一覧
全国人民代表大会は、1954年に制定された中華人民共和国憲法(1954年憲法)に基づいて設立された。文化大革命期の1966年から1974年にかけて全く開催されず、その後の混乱期(1975年から1978年)も1回しか開催されないなど、全人代が機能不全となっていた時期もあったが、1978年の憲法改正以降は毎年開催されている。
各期 | 任期 | 常務委員長(議長) | 代表数 | 開催大会数(実績) |
---|---|---|---|---|
1期 | 1954年9月 - 1959年4月 | 劉少奇 | 1226 | 5回 |
2期 | 1959年4月 - 1965年1月 | 朱徳 | 1226 | 4回(1961年は開催されず) |
3期 | 1965年1月 - 1975年1月 | 朱徳 | 3040 | 1回(1964年のみ開催) |
4期 | 1975年1月 - 1978年2月 | 朱徳(1976年7月死去)、宋慶齢(代行) | 2885 | 1回(1975年のみ開催) |
5期 | 1978年2月 - 1983年6月 | 葉剣英 | 3497 | 5回 |
6期 | 1983年6月 - 1988年3月 | 彭真 | 2978 | 5回 |
7期 | 1988年3月 - 1993年3月 | 万里 | 2970 | 5回 |
8期 | 1993年3月 - 1998年3月 | 喬石 | 2978 | 5回 |
9期 | 1998年3月 - 2003年3月 | 李鵬 | 2979 | 5回 |
10期 | 2003年3月 - 2008年3月 | 呉邦国 | 2977 | 5回 |
11期 | 2008年3月 - 2013年3月 | 呉邦国 | 2985 | 5回 |
12期 | 2013年3月 - | 張徳江 | 2987 | 1回 |
参考文献
- 曽憲義・小口彦太編『中国の政治 開かれた社会主義への道程』(早稲田大学出版部、2002年)
- 高橋和之編『新版 世界憲法集』(岩波書店〈岩波文庫〉、2007年)
関連項目
外部リンク
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