三菱ウェルファーマ
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三菱ウェルファーマ株式会社(みつびしウェルファーマ-、英称:Mitsubishi Pharma Corporation)は、かつて存在した日本の医薬品メーカーである。本社は大阪府大阪市中央区平野町。
目次
会社概要
- 「三菱東京製薬」(三菱化学の医薬品事業+東京田辺製薬が1999年10月1日に合併)と「ウェルファイド」(ミドリ十字を武田薬品系の吉富製薬が1998年4月1日に実質上救済合併)を前身に、2001年10月1日に発足した。
- 2005年10月3日、親会社だった三菱化学と共同で持株会社の株式会社三菱ケミカルホールディングス(三菱ケミカルHD)を設立し、株式移転により同社の完全子会社となった。
- 旧:東京田辺から引き継いだ一般用医薬品(外用消炎鎮痛剤「サロメチール」などの大衆薬)販売事業は、2004年3月31日に佐藤製薬へ譲渡を行い撤退。
- 旧:ミドリ十字製品は販売中止のものがあるが、血液製剤の殆どはすべて子会社の株式会社ベネシスに製造承認権が移管されている(販売についてはウェルファーマ → 田辺三菱が引き続き担当。また、製造がファイザーで、ウェルファイドが販売を担当していたリウマチ薬のサラゾピリンのみ三菱ウ社が継承したが、現在はファイザーが販売も行っている)。現在の田辺三菱製薬が発足するまで、合併が何度も繰り返された。
- 旧:ミドリ十字の主力製品であった血液製剤の製造上の不備から端を発した「薬害エイズ事件」や「フィブリノゲン問題(C型肝炎感染)」は1990年代に大きな社会問題となったが、両方の事件・問題は被害者との間で和解が順次成立している。
田辺製薬との合併
- 2007年2月に旧:東京田辺の源流企業である田辺製薬と合併することを両者が発表し、同年10月に田辺三菱製薬となった。上場会社である田辺製薬を存続会社とし(三菱ウェルファーマは解散)、三菱ケミカルHDが引き続き株式の過半数を取得する形で上場を維持する。
沿革
旧:三菱化学
- 1934年 - 日本タール工業株式会社として発足。
- 1952年 - 三菱化成工業株式会社と商号変更。
- 1984年 - 気管支拡張薬テオドール(テオフィリン)を開発。同社初の上市医薬品となる。なお、日研化学が販売を担当。
- 1988年 - 三菱化成株式会社に商号変更。
- 1994年 - 三菱油化株式会社と合併し、三菱化学株式会社と商号変更。
旧:東京田辺製薬
- 1901年 - 東京日本橋本町で薬種問屋「田辺元三郎商店」として創業。
- 1921年 - 株式会社田辺元三郎商店に改組。
- 1943年 - 社名を東京田辺製薬株式会社と改称。
- 1957年 - ウルソ(肝・胆・消化機能改善剤)発売開始。
- 1981年 - 三菱化成工業株式会社(現:三菱化学)と業務提携。
旧:三菱東京製薬
- 1999年 - 三菱化学株式会社と東京田辺製薬株式会社が合併し、医薬事業を分社化して、三菱東京製薬株式会社が誕生。
- 2001年 - 世界初のフリーラジカルスカベンジャー(脳梗塞急性期に用いる脳保護剤)「ラジカット注」発売。
旧:吉富製薬
精神疾患治療剤(抗精神病薬・抗うつ薬・睡眠薬など)の開発・製造が主力であった。
- 1940年 - 株式会社武田長兵衞商店(現 武田薬品工業株式会社)と日本化成工業株式会社(現 三菱化学株式会社)により武田化成株式会社を設立。
- 1946年 - 社名を吉富製薬株式会社に変更。
旧:ミドリ十字
各種血液製剤製造の主要メーカーであった。陸軍軍医であった内藤良一氏により創業された。内藤良一氏は、 特定勢力により、虚偽の経歴を流布されている。
- 1964年 - 社名を株式会社ミドリ十字に変更。
- 1980年代 - この時期に日本国外で非献血(いわゆる売血)で得られた血液を(主に当時子会社だった米国企業を通じて調達し)原料とした非加熱処理の血液製剤の多くにHIVやHCV(C型肝炎)ウイルスが含まれ、投与患者がそれらのウイルスに感染し被害に遭う「薬害エイズ事件」や、現在の「フィブリノゲン問題」「薬害肝炎」などが起こる。また、1996年以降は薬害エイズ事件の賠償金支払いや不買運動などによって経営不振に陥ってしまう。
旧:ウェルファイド
三菱ウェルファーマ
- 2001年10月1日 - 三菱東京製薬とウェルファイドの合併により、三菱ウェルファーマ株式会社が発足。存続会社はウェルファイドとなり、本社は大阪市に。また旧:三菱東京製薬本社オフィスは同社の東京オフィスとなる。
- 2002年4月 - 旧:ミドリ十字製品の血液製剤製造事業を新規設立子会社の株式会社ベネシスに移管・承継。
- 2004年12月 - フィブリノゲン製剤(ミドリ十字製品)を納入したとされる全国の医療機関名を同社資料などを基に厚生労働省より公表される。
- 2005年4月1日 - 足利工場・吉富工場をMPテクノファーマ株式会社に分社。
- 2005年10月3日 - 三菱化学と共同で持株会社三菱ケミカルホールディングスを設立し、完全子会社となる。
- 2007年10月1日 - 田辺製薬を存続会社として合併し、田辺三菱製薬株式会社が発足。
主な医療用医薬品
- アンプラーグ - 5-HT(セロトニン)拮抗による閉塞性動脈硬化症 (ASO) 治療薬
- ウルソ - 肝・胆・消化機能改善剤
- オメプラゾン - 世界初のプロトンポンプ阻害薬、オメプラール(アストラゼネカ社)と同一製品。
- コレバイン(コレスチミド)(レジン、テンプレート:Lang-en-short) - スタチン・フィブラート系薬剤と異なる作用機序の高コレステロール血症治療薬
- ラジカット - 世界で唯一のフリーラジカルスカベンジャー
- クリアナール - 気道分泌細胞正常化剤。久光製薬(元エスエス製薬)と共同開発し、久光からは「スペリア」の名称で発売。
…など
研究・製造拠点
政治との関わり
2003年から2006年まで民主党に政治献金をおこなっていた[1]。