ローリングサンダー (コンピュータゲーム)
テンプレート:Infobox 『ローリングサンダー』 (Rolling Thunder) は、1986年12月にナムコ(現・バンダイナムコゲームス)が開発したコンピュータゲーム(アーケードゲーム)である。
横スクロール方式のアクションゲームであり、1960年代のアメリカを舞台に、スパイ映画風のハードボイルドテイストを基調にしながら、改造人間といった近未来的サイバーテイストも加味した独特の世界観を持つ。
目次
ゲーム内容
プレーヤーは主人公「アルバトロス」を操り、秘密組織「ゲルドラ」の地下基地へと潜伏していくアクションシューティングゲームであり、最終ステージに待つマブーを倒すことでゲームクリアーとなる。しかし、マブーを守る様々な戦闘員とトラップが行く手を遮っており、プレーヤーは唯一の武器であるハンドガン(マシンガン)と最強の工作員としてのテクニックでそれらの障害を乗り越え、世界征服の野望を打ち砕く。
アクションゲームの最盛期ともいえる年代に製作されたゲームであり、強化アイテムや体力制など当代的なフィーチャーを盛り込んでいる。
ストーリー
1968年のニューヨークに、「マブー」と名乗る国籍も年齢も不明な男が現れた。彼は、人々の前でさまざまな奇跡を起こし、ついには世界の終わりを語り自らを救世主と名乗った。しかし、彼の正体は秘密組織「ゲルドラ」を率い世界征服をたくらんでいる男だった。
ゲルドラの野望に気がついた世界刑事警察機構(WCPO)は、その秘密を探るべく女性工作員「レイラ」を派遣するが、彼女は「マブー」に捕まってしまった。彼女を救出しなくては、ゲルドラの正体とその野望の存在は闇に葬られてしまう。
事態を重く見たWCPOは、最強の工作員を派遣することを決定する。その男のコードネームは「アルバトロス」。そして、彼らのチーム名は、「ローリングサンダー」。
レイラの救出とゲルドラの野望を阻止するため、彼は一人闇へと消えていった……。
システム
アーケード版とファミコン版で若干異なるが、特に記載のない限りアーケード版についての記述である。
操作方法
- 4方向レバーと攻撃ボタン及びジャンプボタンでアルバトロスを操作する。レバーの左右操作で前進及び方向転換。レバーの下操作でしゃがみ、レバー上操作で部屋や金網の中に入ることができる。また、レバー上操作時にジャンプボタンを押すと、2階にあがることができる。2階から降りる場合は、手すりがある場所でレバー下操作時にジャンプボタンを押す。なお、階段はレバーの左右操作で上り下りができる。
- アクションゲームとしては珍しく、基本的にジャンプで敵を飛び越すことができない。
- 武器は攻撃ボタンによる射撃(ハンドガン)であり、弾数制限がある。規定弾数を使い切っても発砲は可能であるが、その場合、弾速が非常に遅くなり、1画面中に1発のみしか発射できなくなる。
- 武器の弾数は補充可能であり、各ステージ内にある部屋(BULLETと書かれている看板がある部屋)に入ることにより補充可能。
- また、武器の強化も可能であり、弾数補充と同様に各ステージにある部屋(ARMSと明記されている)に入ることによりハンドガンからマシンガンへ換装される(武器の選択はできず、優先的にマシンガンから使用される)。マシンガンは連射可能であるほか弾速も上がり、強力な武器となるが、連射可能なゆえに弾薬が底をつきやすい。なお、マシンガンの残弾を使い切ると、ハンドガンへ自動的に換装される。
その他
- プレーヤーが死亡したと判定されるのは、アルバトロスがすべての体力を消費した場合、画面外に転落した場合(落とし穴や地底溶岩)、制限時間が0になった場合である。
- アルバトロスの体力はゲージで表現されており(ゲーム中はLIFEと書かれた緑色のゲージ)、8つのセグメントに分かれている。このセグメントは、敵の体当たり、パンチを受けると1度に4つのセグメントを消費し、さらには敵の放つ銃弾や手榴弾、トラップレーザーに当たると1発で8つのセグメントを消費する。つまり事実上体当たりやパンチを受けると二撃、飛び道具だと一撃で死亡することになる。なお、体力は各ステージの終了時にしか回復しない。
登場キャラクター
主な登場人物
- アルバトロス (Albatross)
- 本作の主人公としてプレーヤーが操作するキャラクターであり、WCPO最強の工作部隊「ローリングサンダー」に所属する最強の工作員。赤いシャツにグレーのパンツ、痩身で非常に長い手足から、一見すると「ルパン三世」のようなイメージのキャラクターである(実際、それを意識しているのか所有している銃はワルサーP38である。2では「Walthe P38(rの文字がない=ワルサーではない?)」を使用する、となっている(ナムコPR誌「NG」の記事より))。キャラクターアクションが秀逸であり、階段から飛び降りるアクションは必見。『2』でも活躍する。
- レイラ・ブリッツ (Leila Blitz)
- 「ローリングサンダー」のメンバーである女性工作員。任務中にゲルドラに捕まってしまう。彼女を救出することがこのゲームの目的のひとつである。
- NEWバージョンでは、ステージクリア後に囚われた彼女が様々な仕打ちを受けるというデモンストレーションを見ることができるが、衣装を剥ぎ取られるシーン等があり、一般向けアクションゲームでありながら年齢制限を受けている。『2』ではプレイヤーキャラクターとして登場する。
- マブー (Maboo)
- エリア10でプレーヤーを待ち構える秘密組織ゲルドラの首領。世界征服をもくろむ謎の男。彼を倒すことがゲームの目的である。青い法衣にスキンヘッド(デモンストレーションでは緑の顔)で、砲弾を飛ばしたり体当たりで攻撃してくる。非常に耐久力が高く、倒すためには25発打ち込まなければならない。
敵キャラクター
- マスカー (Masker)
- すべてのステージに登場する敵キャラクター。カラフルに着色されたマスクを着用し、銃撃や体当たり、手榴弾を投げつけてくる。ゴーグルをつけたマスカーは耐久力が高い。また、彼らのマスクは、クー・クラックス・クランが宗教儀式で好んで使用したマスクを模してあり、オールドアメリカンテイストと怪しげな雰囲気をかもし出している。
- ニンジャ (Ninja)
- 普段は壁と同化し、プレーヤーが近づくと実体化する。実体化後のアクションは、マスカーとほぼ同様。色によって耐久力が異なる。
- ブローガ (Bloga)
- 黄色い肌をした半獣人の人造人間。プレーヤーが一定の距離に近づくと飛び掛って来て、一撃死するケースが多い。背が低く、しゃがんで攻撃しないと弾は当たらない。
- ゲルゾ (Gelzo)
- コウモリのような翼を持つ人造人間。通常は停止しているが、プレーヤーが近づくと空中に舞い上がり、1~3回程画面内で旋回した後、プレーヤーめがけて突撃してくる。
- ファイヤーマン (Fire Man)
- 全身が燃え滾る炎に包まれた人造人間。溶岩から飛び出し、何度か画面内を跳ね回った後、どこかへ消えていく。攻撃すると4つに破片に四散する(破片にも攻撃判定が存在するので注意)。破片も破壊可能。
- パンサー (Panther)
- 黒豹。プレーヤーが近づくと飛び掛ってくる。身長が低いため、伏せられるとプレーヤーの攻撃が当たらない。
ステージ構成
ステージ構成は、廃屋~地下階段~地下通路~地底溶岩~ゲルドラ秘密基地内部からなる5つのステージを2周する。なお、2周目のステージについて、構造に変更はないが、敵やトラップの配置が変更になっており、難易度が上昇している。
- 廃屋
- 廃棄されたビルから、地下階段に通ずるステージ。前半は上下2フロアーの横スクロール、後半は1フロアーでタイヤなど障害物が多く配置されている。
- 地下階段
- 地上から地下通路に通ずるステージ。前半はコンテナの中を上に向かい、後半は階段を下に降りていく。階段を下りる際に、注意しないと隠れているニンジャに激突という事故が多発する。このステージは画面外に転落する場所がある。
- 地下通路
- ゲルドラ秘密基地に通ずる地下通路、一見すると廃屋と似た構造であるが、壁や床が岩で描かれた洞窟の様になっている。ブローガやゲルゾが多発する。
- 地底溶岩
- ゲルドラ秘密基地の直前に設置された地底溶岩湖。落ちるとプレーヤーが一撃で死亡する地底溶岩湖に、飛び石のような足場が絶妙な位置で設置されている。さらに、画面下から飛び出してくるファイアーマンの体当たりなどがあり非常に高い難易度を誇る。
- ゲルドラ秘密基地内部
- ゲルドラの秘密基地であり、2周目は最終ステージとしてボスであるマブーが待ち構える。構造は廃屋と同様であるが、床や壁が鉄製である。
小技
- 2画面分スクロールさせるとキャラクターが初期化されるため、多数の敵に囲まれた場合やマシンガンの弾数増やしたい場合は、2画面分戻ることで出現し直させることができる。
- 障害物に隠れて攻撃できない敵は、プレーヤーがハイジャンプ(レバー上をおしながらジャンプ)することで敵のジャンプを誘発できる。
- ハンドガンの弾速とプレーヤーの移動速度が近いことから、あらかじめ弾を打っておき、それを追いかけることで敵に攻撃される前に倒すことができる(同社のゲーム『ドラゴンバスター』でいうファイアーボールバリヤー)。
その他
- OLDバージョンではタイトル画面に誰もおらず、タイトルのデザインは白色を基調としたデザインだが、NEWバージョンではマスカーが配置され、タイトルのデザインもグレーを基調とした物に変更
- OLDバージョンではプレイヤーがコインを入れスタートボタンを押すとそのままゲームが始まるが、NEWバージョンではスタートボタンを押した後に開始するステージを変更できる様に変更
- NEWバージョンでは低次面の難易度が低下、反面高次面の難易度が上昇
- エクステンドの追加(OLDバージョンではエクステンドは無し)
- ゲームミュージック及び効果音の追加、変更(OLDバージョンではステージ曲が洞窟ステージの一曲のみ。NEWバージョンでは屋内ステージのBGMに加えステージ間のデモンストレーションのBGMが追加された)
- ステージクリアのデモンストレーションの追加
- 永久パターン防止・バグの改良
- ゲームオーバー画面でのマブーの笑い顔が、あるお笑いタレントによく似ているとの投稿が当時のナムコのPR誌「NG」などに見られた。
移植版
1989年に「ナムコット ファミリーコンピュータゲームシリーズ」第53弾として、ファミリーコンピュータ用ソフトとして移植されている。
1997年10月30日に発売のPlayStation用ソフト『ナムコミュージアムアンコール』に収録(互換性に問題があるため、PlayStation 2では正常に動作しない)。
2006年1月26日にPlayStation 2用ソフト『ナムコミュージアム アーケードHITS!』に収録(『ローリングサンダー』のみCERO:12歳以上対象)。
2006年2月23日にPlayStation Portable用ソフト『ナムコミュージアム Vol.2』に収録(同上)。
2009年11月5日にXbox 360用ソフト『ナムコミュージアム バーチャルアーケード』に収録(同上)。
2009年7月21日にWiiのバーチャルコンソールアーケードで配信開始。
iOS用ソフト『NAMCO ARCADE』で2012年3月13日更新分より収録。
続編
- ローリングサンダー2 - 1991年にアーケードで稼働した。同年の11月19日にメガドライブに移植され、AC版よりステージが増えている。AC版、MD版ともにWiiのバーチャルコンソールで配信されている。
- ローリングサンダー3 - 1993年に海外のみリリースされたメガドライブ用ソフトで、主人公はアルバトロスの上官「ジェイ」に変更されている。
関連項目
- ルパン三世 パンドラの遺産 - ゲーム内容が本作に似たファミコンの版権アクションゲーム。
- もっともあぶない刑事 - これも版権モノのファミコンソフトで、本作に似ている。
- 人間兵器デッドフォックス - カプコンから発売されたファミコン作品で、本作に似たアクションゲーム。