レニウム
テンプレート:Elementbox レニウム(テンプレート:Lang-en-short)は原子番号75の元素。元素記号は Re。マンガン族元素の一つで、銀白色の金属(遷移金属)。
概要
レアメタルの一種。比重は21.0、融点は3100 テンプレート:℃、沸点は5800 テンプレート:℃(融点、沸点とも異なる実験値あり)。常温、常圧で安定な結晶構造は、六方最密充填構造 (HCP)。フッ化水素酸、塩酸には不溶。酸化力のある酸(硝酸、熱濃硫酸)には溶ける。過酸化水素や臭素水にも溶ける。原子価は+2価〜+7価。単体では最も硬い金属である。
同位体
テンプレート:Main レニウムには安定同位体レニウム185があるが、最も多いのは62.6%を占めるレニウム187で、半減期412億年の放射性同位体である。なお、一つ以上の安定同位体を持つ元素の中で、天然放射性同位体が安定同位体より多く存在している元素は、レニウムの他にテルルとインジウムがある。
歴史
1925年にノダック (W. Noddack) とタッケ (I. Tacke) とベルグ (O. Berg) が発見[1]。ライン川のラテン名 Rhenus が語源[1]。二番目に遅く発見された天然元素である(最後に発見されたのはフランシウム)。
1908年(明治40年)、小川正孝は43番元素を発見、ニッポニウム(nipponium, Np、日本素という意味)と命名したと発表したが、後に43番元素が地球上には存在しないことが判明するとこれは取り消され、元素記号として使用する予定だった Np もネプツニウムに使用された。現在ではこの時発見されたのはレニウムであると考えられている。当時、X線分光装置が手に入らず、正しい測量ができなかったため、誤って43番元素で原子量およそ100の元素として発表した。レニウムが発見されたのちに小川正孝自身で、発見した元素の正しい測量が行われた形跡がある。研究体制さえしっかりしていればレニウムは、ニッポニウムになっていたかも知れない。ちなみに43番元素は人工的に作られたテクネチウムである。
生産
有用な金属であるが、特に希少であり、年間の生産量は極めて僅かである(2012年推定生産量:52.6トン[2])。モリブデナイトの他、希土類鉱物、コロンバイト、タンタライト、硫化銅鉱などの鉱石や、銅の精錬で発生する残さ中に微量含まれているのをイオン交換樹脂で吸着分離して得る。
主な生産国はチリで、世界の半分以上を生産する。他にアメリカ合衆国、ポーランド、ウズベキスタン、カザフスタン、ロシアなどで生産されている[2]。ペルー、カナダでも生産が行われていた。
1946年以降ロシアによって実効支配されている日本の択捉島では、ほぼ純粋な硫化レニウム(IV) (ReS2) の組成を持つレニウム鉱 (Rheniite) が発見されている。択捉島では火山の噴出ガスから回収されて生産されている。
日本国内では、住友金属鉱山や東芝マテリアルが金属粉や合金などの加工を行っている。
用途
レニウムは水素化触媒、ガソリン用アルミナ担持のプラチナレニウム触媒、合金材料などに利用される。
ニッケル・レニウム合金は、スーパーアロイの一つとして耐熱性が求められるジェットエンジンなどの材料に使われる。
タングステン・レニウム合金はフィラメント、熱電対、電子部品、航空宇宙用部品、X線管ターゲットなどに使用される。タングステンなどのフィラメントに数%添加すると、高温で使用中に、あるいは揺れても垂れ下がらない性質(ノンサグ性)が与えられるため自動車用などに適する。熱電対では添加によって使用寿命が向上する。
モリブデン・レニウム合金も電子部品などに使用される。
レニウムの化合物
- 二ホウ化レニウム (ReB2)
- 過レニウム酸 (HReO4)
- 過レニウム酸アンモニウム (H4NO4Re)
- 酸化レニウム(IV) (ReO2)
- 酸化レニウム(VI) (ReO3)
- 酸化レニウム(VII) (Re2O7)
- 硫化レニウム(IV) (ReS2)
法規制
大量破壊兵器の開発等に用いられるおそれがあるため、外国為替及び外国貿易法及び輸出貿易管理令(別表第一の二の項)によって、2014年9月15日よりレニウム、レニウム合金又はレニウムタングステン合金の一次製品であって、経済産業省令で定める仕様[3]のものは、ホワイト国向けを除き、経済産業大臣の承認を受けなければ輸出できない[4]。
関連項目
出典
外部リンク
テンプレート:元素周期表 テンプレート:レニウムの化合物テンプレート:Link GA テンプレート:Link GA
テンプレート:Link GA- ↑ 1.0 1.1 テンプレート:Cite
- ↑ 2.0 2.1 U.S. Geological Survey, Mineral Commody Summaries 2014, pp130-131, 2014, Reston, Virginia. [1] 引用エラー: 無効な
<ref>
タグ; name "USGSMCS2014"が異なる内容で複数回定義されています - ↑ レニウム含量90%以上、質量20kg以上で、内径100-300mmの円筒形のものテンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web