大量破壊兵器
テンプレート:大量破壊兵器 大量破壊兵器(たいりょうはかいへいき、テンプレート:Lang-en)とは、人間を大量に殺傷すること、または人工構造物(建造物や船など)に対して多大な破壊をもたらすことが可能な兵器のことを指す。典型的には特に生物兵器、化学兵器、核兵器、放射能兵器の4種類を指すものとして用いられる(放射能兵器を核兵器に含めるとして3種類と数える場合もある)。これらは頭文字を取り、ABC兵器、NBC兵器、NBCR兵器などと総称される(AはAtomicで原爆。のちに水爆なども登場したためまとめて「核」兵器で、NuclearつまりNとされるようになった)。テロ対策の文脈においては、高性能爆薬(Explosive)を加えて、CBRNEと表記されることが多くなっている。
定義
初期の用法
記録されている限りにおいて、大量破壊兵器に対応する英語の「Weapons of mass destruction」という語は、1937年のロンドンタイムズでスペイン内戦の際にドイツの爆撃機を指して用いられた例にまで遡ることができる[1]。
当時は、まだ核兵器は開発されておらず、生物兵器は研究途中であった。また、化学兵器は既に第一次世界大戦中に広く使われていた。
その後、日本への原子爆弾投下と冷戦の進行に従って、この語は専ら核兵器を意味するようになった。例えば1955年のラッセル=アインシュタイン宣言にその用法が見られる。
現在の定義
通常の用法では、大量破壊兵器はNBC兵器、つまり核兵器(英: Nuclear 原水爆および放射能兵器も含む)、生物兵器(英: Biological)、化学兵器(英: Chemical)の3種類を総称する言葉として使われている。しかし21世紀初頭の現在、個別に核兵器、化学兵器などの所持・使用を禁じた国際条約は存在するものの、大量破壊兵器を包括的に定義・禁止するような条約や国際慣習法は存在せず、その使用と定義はもっぱら慣用に寄っているというのが正しい。
今日見られるこの用法は、1991年の湾岸戦争終結時に国連安保理決議687によって規定されたもので、イラクの武装解除の主要な対象として指定された。
影響
イラク戦争開始の根拠として、“イラクが大量破壊兵器を保有している可能性があること”、および“国連の無条件査察を受け入れなかったこと”が挙げられている。なお、戦闘終結後、アメリカなどから派遣されたテンプレート:仮リンクが大量破壊兵器の捜索をおこなったが発見されず、調査団団長チャールズ・デュエルファーは2004年10月6日の米議会上院軍事委員会の公聴会において、「開戦時イラクに大量破壊兵器は存在しなかった」などとする最終報告書(デュエルファー・リポート)を提出した[2]。
脚注
関連項目
- 生物兵器
- 気象兵器
- 化学兵器
- CBRNE
- 規制が議論されている兵器
- 核拡散防止条約
- 化学兵器禁止条約
- 生物兵器禁止条約
- 外国ユーザーリスト
- 拡散に対する安全保障構想(PSI)
- AK47(世界各地で製造、使用され、多くの内戦や紛争で犠牲者を産んだことから「小さな大量破壊兵器」と形容される)
- クレジット・デフォルト・スワップ (誤った利用法で「金融大量破壊兵器」と形容される)
参考資料
- STOPUSA(英語)
- Monde Solidaire(仏語)
- BBC News (2003). "WMD: Words of mass dissemination" Wednesday, 12 February, 2003.(英語)