モザイクな夜V3
『モザイクな夜V3』（モザイクなよる ブイスリー）は、1995年7月3日から1996年9月30日まで北海道テレビ放送で放送されていた深夜番組。月曜日から木曜日までの週4日間放送されていた帯番組であった。1993年10月4日から放送されていた番組『モザイクな夜』の後継番組で、『仮面ライダーV3』を模して“V3”を付け足した番組名になった。
全国で放送されている『水曜どうでしょう』や『ドラバラ鈴井の巣』など、後にHTBで放送される深夜番組の源流と言える番組である。
概要
テンプレート:出典の明記 初回は直前の番組『トゥナイト』を休止して23:55からの拡大版として放送が開始された。後に『水曜どうでしょう』や『ドラバラ鈴井の巣』、『ハナタレナックス』などの番組制作を担当することとなるスタッフや出演者が、この番組の制作・出演に関わっていた。
主に「おっぱい出したら数字（視聴率）が上がる!」と社内を挙げたアダルト的な要素や、報道番組やドラマなどのパロディを放送する内容だったが、初期の『水曜どうでしょう』でも放送されたアーティストインタビューなども放送していた。
当時は東京志向が強まった時期でもあり、視聴者には「ローカル番組は時代遅れ」と映ったことに加え、社会的に低俗な番組を良しとしない風潮になったこと、スタッフの過労、ネタ切れなどにより惜しまれつつ終了するが、HTBには1980年代より『純ちゃんの派〜手〜ズナイト』『スクリーンHOT情報』など、道内民放はもとより全国でも数少ない深夜放送の歴史があり、一応その歴史を受け継ぐという形で『水曜どうでしょう』が放送を開始した。その後『水曜どうでしょう』の成功により、新たに『ハナタレナックス』・『おにぎりあたためますか』・『夢チカ18』・『素晴らしい世界』などといった深夜番組をHTBは立て続けに制作・放送し、今でも続いている番組も多いが、以上の経緯から当番組はその源流に位置すると言える。
初期は所謂「トレンディ」「オシャレ」な路線を目指そうとしていた番組だった。例えば「イケてる男」を一つのキーワードとして、「やり手のプログラマー」がバーにいる女を口説く、ヤングエグゼクティブ的な成功話を男同士で話すといったコーナーがあり、演者の一人である鈴井は「舞台俳優・鈴井貴之」としてではなく、あくまで「一般人の（成功した）若きプログラマー」として全くデタラメなプロフィールを設定するなど、その都度「イケてる男」を演じていた。そしてそれをあまりに意識しすぎたのか「（自称）ハイパーメディアパーソナリティ」というよく分からない肩書きを名乗っていたこともあり、これに関しては後に『水曜どうでしょう』の総集編で「過去のマル秘映像 一挙公開!」と称して放送され、共演者の大泉洋や藤村Dからも「何だよ“ハイパーメディアパーソナリティ”って」と笑われていた。
しかし、その約1年後には「トレンディ路線」は一転し、早朝番組やテレビショッピング番組をモチーフにしたナンセンスなコントなどを制作するようになり(後述)、後期は風俗的な要素の強い番組へと変化していった（大泉曰く「僕が出始めた頃にはただのH番組だった」）。最終回では「雅楽戦隊ホワイトストーンズゼータ」と新番組『水曜どうでしょう』の予告編を放送し、幕を閉じた。
また、大泉洋（当時は「大泉元気（元気くん）」として出演）のデビュー番組であり、後に『水曜どうでしょう』や『ドラバラ鈴井の巣』などで放送された「雅楽戦隊ホワイトストーンズ」が最初に登場した番組でもある。後に日本テレビ『メレンゲの気持ち』やフジテレビ『メントレG』といった番組で大泉洋演ずる「元気くん」が全国に紹介されたほか、『ドラバラ鈴井の巣』における「山田家の人々」では鈴井貴之（当時33歳）の「納豆風呂」・「ラー油風呂」・「マヨネーズ風呂」という非常に強烈な映像が公開されている。
ちなみに初代元気くんは、当時OOPARTSに所属していた俳優の田中護。上京のために降板することとなり(番組中では亡くなったという設定)、大泉はその2代目である。
エピソード
- 元々担当スタッフが5 - 6人と非常に少数だった上（ちなみに藤村はそれまで東京の編成業務部に在籍していたため、制作部に移籍後初めて制作したのがこの番組であった）、録画放送の帯番組という常に何らかの映像を撮影して提出しなければいけない厳しい制作環境にあったスタッフ陣は企画に頭を悩ませ、「とにかく思いつく事は何でも」しなければ制作に間に合わない程で、ほぼ撮って出しの状態でオンエアされることもしばしばだった。そのため先述のお風呂企画に留まらず、「交番の前でコサックダンスを披露する」「強盗の格好で銀行前を駆け抜ける」「埋蔵金発掘と称してその辺の地面をパワーショベルで掘削する」などといった、現在の目で見れば間違いなく放送できないような過激な企画や、「野球の1打席だけで30分のドラマを作る」「男の子がプラモデルを作るだけの映像をドキュメンタリータッチで放送する」「フランスパンが投げられた映像について大真面目に解説する」というシュールな企画も目立った。
- 以上のことから、現在では再放送される機会はほとんどなく、『ドラバラ鈴井の巣』や『水曜どうでしょう』の総集編、HTB開局40周年記念番組などでその一部を確認できるのみであり、DVD化もされていない。しかし、好意的に見れば当時のHTBにはこうした意欲的な挑戦を受け入れる器があったとも言え、後に同局の深夜バラエティ枠が復権した際、数多くの人気番組を生み出し、現在へとつながる土壌になった。
- この番組で「元気くん」としてテレビデビューを果たした大泉は、まだアルバイトでテレビ出演をしていたこともあり、番組出演を親に告げていなかった。しかし、親戚が集まった際、親戚の一人が「元気君、元気君」と呼んだことを不審に思った両親に追及され、無断出演が発覚してしまったという。
- 「面白い大学生がいる」と大泉を杉山順一ディレクターに紹介した鈴井亜由美（鈴井夫人）自身もタレントの伊東亜由美として出演。ソープ店に突入取材するレポーターの役で、「おっぱい見せてください」「脱ぎます!」と発したり、バナナでフェラチオするなど、彼女の豪快な性格が垣間見える仕事ぶりだった。また、夫人は藤村Dともコンビで出演したこともある。
- 番組後期に作られた『古畑任三郎』のパロディコント「占畑任三郎」は、後に『水曜どうでしょう』において顔を揃えるメンバー（鈴井貴之・大泉洋・藤村忠寿・嬉野雅道）が初めて一緒に仕事を行った作品である。鈴井は占畑任三郎（田村正和役で脚本も担当）、大泉は今泉（西村雅彦役）、嬉野は警官役のエキストラとしてそれぞれ出演し、音効は工藤、演出は藤村が担当していた。
主なコーナー
- 占畑任三郎（1996年3月20日・出演：鈴井貴之・大泉洋（「大泉元気」名義で出演）・嬉野雅道）
- 男と男のショート・ストーリー
- Barモザイク（森田政仁・鈴井貴之）
- ドキュメント・プラモデル
- 黄金の仏像を探せ!
- ザ・スプーク（テレビ朝日系列の報道番組『ザ・スクープ』のパロディ）
- 大スターの電話出演(藤村が地声でスターになりきってデタラメに話をする)
- 人間将棋（札幌市街地が碁盤目状となっていることに着目し、全身タイツに将棋の駒を背負った安田顕が駒の動きに合わせて札幌市街を走り回る）
- おはよう元気くん（森田政仁・鈴井貴之・大泉洋などによる早朝情報番組のパロディ）
- テレビショッピング（おはよう元気くんの1コーナー。鈴井がテレビショッピング風に大人のオモチャなどを大真面目に紹介する。画面の2/3ほどは常にモザイクであった）
- 裏ゴイス（鈴井貴之・北川久仁子によるAIR-G'のラジオ番組『GO・I・S』のテレビ版）
- アーティストインタビュー
- 雅楽戦隊ホワイトストーンズ
など多数
スタッフ
スタッフのその後
- 藤村D・嬉野D・土井Pは終了後、引き続き後番組である『水曜どうでしょう』の制作を担当した。
- 杉山D・多田Dは情報番組を担当後、『鈴井の巣』→『ドラバラ鈴井の巣』の制作を担当した。杉山Dは夕方の情報番組『イチオシ!』へ異動の後、2007年秋からは『ハナタレナックス』のチーフDを担当している。
- 多田Dは年1回制作される『HTBスペシャルドラマ』の演出や『ドラバラ鈴井の巣』・『素晴らしい世界』の制作を担当している。
- 清水Dは退社後コスタリカへ移住し、『水曜どうでしょう』におけるコスタリカでのロケでは現地の案内人として登場した。
外部項目
モザイクな夜 について書かれている北海道テレビのページ
- まだあった！過去の秘蔵VTR!〜「モザイクな夜」の1年半〜（水曜どうでしょう） - 水曜どうでしょうは『過去の秘蔵VTR&NG集』企画の一部でモザイクな夜のVTRを放送した。
