メリヤス
メリヤス(莫大小・目利安、ポルトガル語 meias・スペイン語 medias)とは、メリヤス編みで作った編地・布地、又はそれらの生地を使用した製品を指す。伸縮性に優れた特徴を持ち、靴下類や下着類、手袋や帽子など日常衣類の多くに利用されている。
現代日本のファッション用語としてはニット(knit)と同意義に用いることが多い。ポルトガル語やスペイン語の元の意味は靴下である。
歴史
メリヤスの歴史は紀元前の古代エジプト時代の子供用靴下まで遡ることができる。
- 機械編
1589年(一部の資料では1588年)にイギリス人牧師、ウイリアム・リー(William Lee、1563年 - 1610年)が、足踏式による靴下編機(緯編 よこあみ)を発明し、1775年には同じくイギリスで経編(たてあみ)機が登場する。メリヤス編機の改良が進み、手編から機械編の時代へと移行していった[1]。
1849年には、イギリスのマッシュー・タウンゼント(Matthew Townsend)が、従来のヒゲ針の改良に成功、現代のメリヤス編機に多く採用されているベラ針(Beard Needle)を考案し、編物工業の進歩を促進した[1]。
日本
日本のメリヤスは江戸時代の延宝 - 天和 - 貞享 - 元禄(1673年 - 1704年)のいずれかの時期に輸入・伝来したとされ、ポルトガル語のメイアシュ(meias)・スペイン語のメジアス(medias)の転訛とされる。日本語のメリヤスを指す言葉としては莫大小を当てるが、その理由の一つとして日本国内の旧来の布地に比べて伸縮性があることとする説がある。主に武士が殿中に出仕する際の足袋を作る技法として一部武士から庶民にも広まった。
日本では昭和30年代頃までは機械織りによる薄地の編物全般をメリヤスと呼称し肌着・靴下等の伸縮性を求める衣類全般、または伸縮する生地を指した。
- 機械編
1954年(昭和29年)にミシンメーカー大手のブラザー工業株式会社が編機分野と家庭電器分野に進出したことで、機械織りが可能な家庭用編み機が日本全国の家庭でブームとなり、編み物が衣料用生地の主要な位置を占めるようになる。
メリヤス・ニット・ジャージー
初期のメリヤスが肌着・靴下等が中心であったことから編物全般をメリヤスと呼ぶようになったが他用途の編物の衣料に肌着・靴下等のイメージが残り、セーター等の衣類と区別するために現代では用途毎にインナーと呼ばれる肌着や生地をメリヤス、アウターのカジュアルウェアをジャージー、編物全般をニットまたはニットウェアと呼ぶ。
メリヤス編み
緯(よこ)編地の基本的な編み方で、メリヤス編みは天竺編みともいう。
1本または数本の糸を輪の形にした輪奈(わな、loop)の中に次の輪奈を入れることを順次繰り返して布状に編む。編み目形状により表メリヤス編みと裏メリヤス編みの二種類の呼び名がある。
- 表メリヤス編み
- 裏メリヤス編み
種類
編み目を作る編み針の糸の供給方向により緯メリヤス(横メリヤス)と経メリヤス(縦メリヤス)の二種類がある。
- 緯メリヤス
- 経メリヤス