メタス

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テンプレート:Pathnav メタス (METHUSS) は、アニメ『機動戦士Ζガンダム』『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場する架空の兵器である。

エゥーゴの試作型可変モビルスーツ (TMS)。

この記事では、その派生機についても記述する。

テンプレート:要出典範囲

メタス

テンプレート:機動兵器 エゥーゴとアナハイム・エレクトロニクス社による可変MS開発計画「Ζ計画」によって開発された機体。プロジェクトの発足時には既に地球連邦軍アッシマーが可変モビルアーマー (TMA) として完成していたが、それに対抗するためエゥーゴはMS形態での頭頂高が20m以下というスペックを要求した。これに対しアナハイムはムーバブルフレームを採用することでわずか1年の開発期間を経た宇宙世紀0087年前半、2機のMSを完成させた。

うち1機は可変機構に欠陥が生じ、非TMSとして百式という形でロールアウトした。もう一方が初のTMSとして完成、これがメタスである。しかし、MA形態が宇宙戦を主にした戦闘機型であったため、全領域での運用を前提としたエゥーゴの要求を満たせず、当初は変形機構分析のため実験機としての位置づけに留まった。本機により得られたデータは後に完成したΖガンダムの開発に寄与している。

百式に対しメタスはAMBACを採用しなかったことによりフレームへの負荷が低かったのが幸いし、実験機という当初の位置づけに反し実戦に耐えうる性能を発揮したため、多少の改修の後、数機がグリプス戦役に投入された。そのうちの1機はエゥーゴの旗艦アーガマへ配備され貴重な戦力となった。その後勃発した第一次ネオ・ジオン抗争開戦初期に戦線離脱した。この間、主に女性パイロットによって運用されることが多かった。

MS形態
頭部メインカメラは変形時の省スペース化のためモノアイシステムを採用しており、2基のモノアイはそれぞれ水平方向と垂直方向に移動する。なお、嘴の伸びたジオン系MS風の頭部を持つが、模型のHGUCでは連邦系の頭部にアレンジされている。
変形機構の簡素化のため、胴体部はわずか3本のアクチュエーターのみで腰部と連結されている。そのため十分な強度を確保できず格闘戦にはあまり向かない機体となってしまったが、メンテナンス性は向上することとなった。
背部ユニットにはプロペラントタンクを内装する。MA形態時に機首となり、先端部には各種センサーが設けられている。艦内移動時には前方に倒すことで省スペース化をはかる。
武装は前腕部にアーム・ビームガン2門が設けられ、砲身を180°回転させて使用する。また、脛部にはラックが設けられ片側3基、計6基のビームサーベルが装備されている。このビームサーベルはヒートホーク状のビームを形成することもできる。なお、テレビ版『Ζ』23話など頭部バルカン砲と思われる武装を使用しているシーンがある。
MA形態
頭部を背部ユニットに収納し、腕部・脚部を折り畳み、肩部と脚部を連結することでMA形態をとる。3基のランディング・スキッドで着陸する。MA形態が本機の本来の形態であり加速・運動性能は申し分なく、宇宙戦用戦闘機として高い性能を示した。武装はアーム・ビームガン2基。なお、ΖIIとリゼルではメタスの変形機構を発展させたものが採用されている。

劇中での活躍

テレビ版『機動戦士Ζガンダム』
主にレコア・ロンド少尉がパイロットを務める。レコアがエゥーゴを離脱した後は、それまで補欠要員として配属されていたファ・ユイリィ軍曹が後任パイロットに昇格した。
初登場の第22話から退場の第50話まで、物語全編を通じて高い機動性を持つ一方、前線で戦うにはやや非力な(火力不足の)MSとして描かれており、断続的に登場しては戦場の端々でそれなりに活躍する姿が描かれた。最後はジ・Oを撃墜したΖガンダムとカミーユ、損壊したガンダムMk-IIを回収し、アーガマへ帰投する。
劇場版『機動戦士Ζガンダム A New Translation』
レコアが1号機のパイロットを務めた後、増加配備される2号機(劇中では「メタス2(ツー)」とも呼称される)はファがパイロットを務める。テレビ版と異なり有用な支援機として描かれているほか、アーガマ内では背部ユニットを前方へ倒したMSとMAの中間形態も描かれている。
第2作『機動戦士ΖガンダムII -恋人たち-』で1号機が初登場。アポリーのΖガンダム、Gディフェンサーなどと共にアーガマへ直接搬入された。終盤では、テレビ版でゲルググのレプリカ機が行っていた百式のメガバズーカランチャーのエネルギー供給役という危険な任務も遂行した後、ヤザンのハンブラビに追い込まれたカミーユのΖガンダムをガザC隊の砲撃の網をくぐり抜けながらMA形態で救出して曳航するなど、機動力の高さが描かれている。
第3作『機動戦士ΖガンダムIII -星の鼓動は愛-』ではヤザンのハンブラビに挑むものの、テレビ版同様にレコアが行動不能となり、撃墜される。後に増加配備された2号機にはファが搭乗することとなり、以降の全作戦に従事した。
機動戦士ガンダムΖΖ
グリプス戦役で受けた損傷をほぼ未修理のままネオ・ジオン軍と戦い(第7話のみトーレスが搭乗)、回を追うごとにさらなるダメージを受けていった(例:背部ユニット(MA形態時の機首部分)の破損、およびバーニアの故障、敵MSにちぎり取られた左手首など)。最終的にはガザDとの戦いで上半身と下半身が真っ二つになってしまう(第7話以降)が、操縦自体は可能であったため、Ζガンダムをかばう形で攻撃を受けて戦線を離脱した(第10話)。
機動戦士ガンダムΖΖ外伝 ジオンの幻陽
宇宙世紀0088年10月、エゥーゴによるアクシズ攻略作戦で数機確認されている。本作戦ではソーラ・システムIIの運用が予定されていたためにビーム撹乱幕形成の必要性が生じ、ΖIIやパブリクを中心とした突撃機部隊「キリシマ突撃中隊」へと編成。当機はトリコロールで塗装されており、ビーム撹乱弾頭が1基搭載されていた。
ガンダムMSグラフィカ
書籍『ガンダム MS グラフィカ』百式編では、50機ものメタスをネオ・ジオンに納入したとする、元アナハイム・エレクトロニクス社員コーディ・L・ナカージのエピソードが描かれている。しかし、その証言内容は支離滅裂であり、証拠となるサザビーの後ろに陳列されたメタスの画像(青い1機と緑の4機が確認できる)についての説明もないため、真偽のほどは定かでない。
スーパーロボット大戦シリーズ
原典における機動力や武装に加え、他の機体へ密接した際にその機体のHPを回復させる修理機能も有している。
ガンダムバトルシリーズ
内蔵ビームガンの連射制限がなく弾数分の連射が可能であり、Iフィールドを突破できるほどの火力を誇るMSとなった。
スペシャルアタックには、「ビームサーベル6本を両手に3本ずつ構え、両腕を交差させて同時に投擲する」というモーションの技がある。

ガンキャノン・ディテクター

テンプレート:機動兵器 メカニックデザイン企画『Z-MSV』において設定されたカラバのMS。後に『機動戦士ガンダムUC』にて映像作品でも登場した。

グリプス戦役時にエゥーゴの支援組織であるカラバによってメタスのムーバブルフレームを流用し開発された。系列的にメタスの改修機に属するが、砲撃態勢に変形が可能であり、カラバのリーダーの1人、ハヤト・コバヤシが一年戦争にて搭乗したRX-77-2にちなみガンキャノンの名称と赤い機体色を与えられた。

元となったメタスに比べ各部の装甲が強化されており、両肩にビームキャノンを2門、右肩装甲部にビームガンを1門備えており、専用のビームライフルも装備している。またメタスの可変機構を活かし、砲撃形態に変形が可能となる。この変形は、脚部を曲げて体育座りに近い形を取り、その上で腰のサブアームが伸びて姿勢を支える形態となる[1]。本機はグリプス戦役時に2機が完成し、シャトルに搭載されて北米地区に送られたが、投下失敗により1機は全壊。残る1機は比較的損傷が少なく、そのまま補修を施して戦線に投入されている。

グリプス戦役後は地球連邦軍の戦力に組み込まれており、宇宙世紀0096年の時点では旧式となりつつも濃紺の機体カラー[2]で少数がネモらと共にトリントン基地防衛に運用されている。

劇中での活躍
機動戦士ガンダムUC』において小説、OVA版共にトリントン基地の防衛に使用され、襲撃してきたジオン残党軍らと交戦した。OVA版では4話に複数の本機が登場した。戦闘ではうち1機が対空砲火でドダイやベースジャバーを次々撃墜するも、ホバー移動で急襲してきたドム・トローペンら3機に一方的に撃破されている。
漫画『機動戦士ガンダムΖΖ外伝 ジオンの幻陽』では、宇宙世紀0088年8月にネオ・ジオンによる地球侵攻作戦において北米ニューヤーク基地防衛に使用されている。
漫画『ダブルフェイク アンダー・ザ・ガンダム』では、宇宙世紀0090年にネモIIIバージムと共にコロニー防衛のために出撃している。


メタス改

テンプレート:機動兵器 メカニックデザイン企画『Ζ-MSV』において設定された、カラバの試作可変MS。

メタスの基本フレームをカラバに供与して開発された。背部ユニットの先端に大口径のハイメガキャノンを装備し、弱点だった火力の不足を補うことに成功している。背部ユニットを前方に倒せばMS形態時にもハイメガキャノンの水平射撃を行うこともできる。一部のゲーム等ではデフォルメ再現されてはいるものの、MA形態の設定画が存在しない。

メタス・マリナー

テンプレート:機動兵器 アニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場する予定だった[3]、エゥーゴの試作型水陸両用可変MS。カトキハジメのMSデザインのデビューとなる予定でもあった。

第一次ネオ・ジオン抗争時、アクシズによる地球降下作戦に対抗するため、エゥーゴも地球降下からそのまま拠点制圧を目的としたMSの開発を急いだ。そこで大気圏突入からそのまま水中戦に移行できるMSとしてメタスを改良し、水中用装備を施されたのがメタス・マリナーである。大気圏突入には機体下部に専用のフライングアーマーを装着し、着水後はボートとしても利用でき、排除することで潜水を行う。頭部はバイザータイプのものに換装され胸部の張り出しがないものに変更された。背部には大型ハイドロシステムを装備し水中では高い運動性を誇る。股間部および脚部リアアーマーには計3基のスタビライザーが設置されている。爪先部にはセンサーが増設され、整流を考慮した形状に変更されている。

武装はアームビームガン2門。格闘戦用に4本のクローを装備する。その他ビームサーベル6基、サブロックを装備するという資料が存在するがその存在は明らかになっていない。

先行量産機がロールアウトした時点ですでに戦局は宇宙へ移ってしまっていたため量産化には至らなかった。

MA形態
基本的にベース機であるメタスと同様の変形シーケンスを行う。腕部のクローを収納し、スタビライザーを展開する。機体背部に設けられたシャックルで2機のMSの曳航が可能である。


メタス[エーヴィ・アルヴァ専用機]

雑誌企画『ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者』に登場するエゥーゴの可変MS(型式番号:MSA-005)。

可変試作機のメタスを実戦用に改修した機体。MA形態での火力強化のために、脚部に各3基ずつあったビーム・サーベルのうち中央の1基を残し、あとの2基をビーム・ガンに換装。また以下のものが追加されている。

  • 腰部と膝部に増加装甲
  • 両肩部にウイング状のフレキシブル・バインダー
  • バックパックにMS取り付き用のグリップ(MA形態をサブフライトシステムとして運用するため)

カラーリングはガンダム[ケストレル]に近い白・青・黄のトリコロールとなっている。

機体デザイン
『刻に抗いし者』の著者・神野淳一が提示した文字設定を元に、モデラーのNAOKIが製作した模型作例がそのまま正式デザインとなっている。

脚注

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関連項目

テンプレート:宇宙世紀
  1. 劇中では変形を行わなかったが、2012年に発売されたROBOT魂 ガンキャノン・ディテクターにおいて変形時の姿が確認できる。
  2. 小説、OVA共に機体色は書籍『機動戦士ガンダムUC カトキハジメ メカニカルアーカイブス』以降、赤から濃紺に変更されている。
  3. 初出は大日本絵画・刊行『GUNDAM WARS II MISSION ΖΖ』。