ヘルター・スケルター
『ヘルター・スケルター』(Helter Skelter)は、イギリスのロックバンド、ビートルズの楽曲である。
解説
本作は1968年に発表された2枚組アルバム『ザ・ビートルズ』に収録された。ポール・マッカートニーが騒がしい作品を意図して作った、ビートルズの楽曲の中でも極めて激しい楽曲である。"Helter Skelter"の意味は、イギリスだと遊具のすべり台のことだが、語句自体は「狼狽(する)」、「混乱(した)」といった意味も持つ(日本盤の対訳には、「しっちゃかめっちゃかだ」と書かれている)。ポールがこの曲を作るきっかけとなったのは、ザ・フーのピート・タウンゼンドが「ザ・フーの新曲『恋のマジック・アイ』は、これまでのどの楽曲よりも激しく妥協のない曲だ」と発言したインタビュー記事に触発されたため[1]。
担当楽器は、ポールがギター(フェンダー・エスクワイヤー)、ジョンがベース(フェンダー・ベースVI)。ジョージもギブソン・レスポールで参加している模様。ドラムスはリンゴ。ジョンがサックス、ロード・マネージャーのマル・エヴァンズがトランペットを吹いているが、ほとんど聴こえない[2]。
この曲のラストに発せられる絶叫はリンゴによるもので、"I've got blisters on my fingers."(指にまめができちゃった)と叫んでいる。実際、レコーディングに際して非常に激しくドラムスを叩いたため、リンゴの指にはまめができてしまったとされる。[3]。
社会的影響
チャールズ・マンソンは白人と黒人のハルマゲドンを「ヘルター・スケルター」と呼び、砂漠に疑似生活共同体「ファミリー」のみで隠れ住むよう信者に説いていた。1969年にシャロン・テートらを自らの信者に惨殺させた。
カヴァー
ザ・フーの楽曲と同様にHR/HM系グループの多くからカヴァーされており、特にモトリー・クルーはこの曲を多くのライブでカヴァーしている。他にも以下のアーティストがカバーしている。
- エアロスミス
- ボン・ジョヴィ
- MONORAL
- VOW WOW
- 浜田麻里
- Boom Boom Satellites
- U2
- オアシス
- スージー&ザ・バンシーズ
- ステレオフォニックス
- DIMENSION ZERO
収録アルバム
- 『ザ・ビートルズ』
- 『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』 (初期のスローバージョンを収録)
- 『ラヴ』 (10トラック目に少しだけ登場する)
脚注
- ↑ ただしポール自身は、ピートが何の曲のことを指しているのか未だに知らないという。
- ↑ 『ザ・ビートルズ・レコーディング・セッションズ完全版』2009年、シンコーミュージック発行、マーク・ルイソン著、内田久美子訳、247頁。
- ↑ ただし、この絶叫はステレオ・ミックスのみに含まれており、モノラル・ミックスでは聞くことができない(ステレオ・ミックスは一度フェイド・アウト後にフェイド・インするが、モノラル・ミックスではフェード・インせず、次曲『ロング・ロング・ロング』となるため)。