フォード・プローブ

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  • 同社が1970年代から試作した、空力的デザインのコンセプトカーシリーズ名。「プローブI」から「プローブV」までが存在した。
  • アメリカフォード社のクーペ。本稿で述べる。

フォード・プローブはかつて生産されたフォード・モーターマツダの共同開発モデルである。マツダ・カペラがベースであり、ミシガン州フラットロックにある両社の合弁工場AAI(米)マツダ工場で生産された。いわゆるセクレタリーカーの代表的車種である。日本には初代、2代目とも正規輸入・販売された。

歴史

初代 (1988年 - 1992年)

テンプレート:Infobox 自動車のスペック表

1988年9月に1989年モデルとして登場[1]。搭載されるエンジンはターボチャージャーNAの2.2リッター直列4気筒12バルブSOHCエンジン及び、3リッターの60°V型6気筒OHVエンジンの3種類。マイナーチェンジ後の後期LX(90年モデル)には3リッターV型6気筒OHVエンジンが搭載される。なお、2.2リッターエンジンはターボチャージャーとNAの両種ともマツダ製であるが、3リッターV型6気筒OHVエンジンはドイツフォードにて研究・開発され、アメリカフォードにて製作されたエンジン(トーラスに搭載されているものと同じエンジン)である。

日本で正規販売されたのは2.2リッターターボの前期・後期GTとNAの前期LX・V6の後期LXの2グレードだが、ヨーロッパやアメリカ本国では廉価版のGLもある。正規輸入された前期モデルのGTは5MT仕様。一方のLXは4AT仕様。後期GTには待望の4AT仕様を導入。後期LXには3リッターのV型6気筒OHVエンジンが搭載される。4ATを採用するGTとLXのギヤ比はすべてマツダ・カペラと同じである。GTの5MTは1速、2速がローギヤードで、同時期のポルシェ・911カレラより、ゼロ発進は優れていた。メーカー発表では、0-60マイル加速は6.7秒。(ポルシェ・911 カレラは6.9秒)また、0-400m加速は15.2秒で140km/hの性能である。カタログ上の最高速度はGTの215km/h。時速100km/hでのエンジン回転数は2600rpmである。また、前期LXの性能曲線図で読み取れる最高速度は170km/h程度である。実際は180km/hまで加速が可能である。GTは前期・後期ともスピードリミッターがないため正規輸入車でも180km/h以上の速度が出せるが、LXは前期・後期とも、タイヤのスピードレンジが低いため180km/hでスピードリミッターが働くようになっている。

ハンドル位置は左のみで、ヨーロッパにもかつてのカプリの事実上の後継車として輸出された。GDプラットフォームを採用しており、マツダ・カペラC2と姉妹車の関係になっている。 アメリカのマツダ・626が日本でのマツダ・カペラ。そのスポーツバージョンが626・MX-6になる。これは、プローブGTの外装・内装違いで、エンジン・シャーシ共に同じである。(マツダ626・MX-6はプローブと同じ2.2リッターターボ) その後日本では一時的にカペラのモデルチェンジとしてクロノスシリーズが導入され、その際にカペラC2の後継車がマツダ・MX-6となり、海外で使われていた名称と統一された。この日本での初代MX-6が2代目プローブの姉妹車である。


ヒドゥンピラー処理のサイドからリアへ回り込むラップアラウンドウィンドウ。フォード社で初となるリトラクタブル・ヘッドライトを持つそのスタイルはスタイリッシュであり、当時のフォード車の中ではCd値(空気抵抗係数)が0.304と一番低く、名前の由来ともなった空力デザインコンセプトカー・プローブの名に恥じないものになっている。GTはタイヤサイズによりCd値が0.309になる。(マイナーチェンジ前である1989年モデル)[2]

また、フロントフェンダーからの一体感を出すために固定式ドアミラーを採用していたが、固定式ドアミラーが保安基準に適合しないため、日本仕様や一部のヨーロッパ仕様などは可倒式ドアミラーに変更されている。そのため取付部が大きく、オリジナルデザインが生かされていない。マイナーチェンジ時に可倒式でありながらオリジナルのデザインに近づけたドアミラーに変更されているが、オリジナルデザインと比べて一体感には差があった。

フロントバンパー内に設けられたターンシグナルランプは、スモールランプと兼用の明滅式であるため、日本仕様では保安基準に適合させるために、途中から点滅式に変更されている。

日本の保安基準に適合させるためにマツダで行った作業の主なものは、 ヘッドライトの交換、フォグランプの照射方向変更(GTのみ)、フロントサイドウインカーの増設、ドアミラーの変更、ナンバー灯光量アップ、後部リフレクター増設である。 その他、日本仕様のための細かな変更点もいくつかある。


ギャラリー写真を参照:(1)前期型オリジナルドアミラー(2)後期型オリジナルドアミラー(3)可倒式(4)前期型日本仕様可倒式


内装では、ステアリングコラムメータークラスターが一体化しており、チルトでステアリングホイールの高さを調整するとメーターやスイッチ類も連動するため、これらが死角に入ることや、ウインカーレバーなどの位置がハンドル位置に対して変わらない構造になっている。[3]。ヨーロッパや北米では大ヒットとなり、現在でも多数のチューニングパーツが販売され、オーナーズクラブも多数設立されている。チーフデザイナーはフォード社の日本人デザイナーである斎藤氏。 プローブの部品生産・販売は現在でもマツダが行っている。その部品をフォードに販売し、フォードにて修理・販売が行われている。よって、マツダで直接部品を購入する方が安価なものが多い。なお、外装・内装・ウインドウガラスはフォードにて生産。その他、補機類などもフォード独自のものはマツダでは入手不可である。 テンプレート:-

2代目 (1992年 - 1997年)

テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 1992年9月1993年モデルとして販売を開始する。モデルチェンジによってGEプラットフォームを採用し、マツダ・MX-6姉妹車の関係となった。エンジンはマツダ製2.5リッターV型6気筒DOHCと2リッター直列4気筒DOHCを採用し、グレード構成はV6エンジン搭載の「GT」、直4エンジン搭載の「SE」「GL」の3つからなる。全グレードで5速MTと4速ATの選択が可能だが、日本で正規販売が行われたのは「GT」の4速ATのみ。

ボディサイズは初代よりも拡大されたが、ラップアラウンドウィンドウやリアハッチゲート、およびリトラクタブル・ヘッドライトなど初代のイメージはそのままに、よりグラマラスなデザインが施されたことが特徴で、「GT」のバンパーは他グレードと異なるデザインのものを採用した。なお、このモデルでも日本・ヨーロッパ・オーストラリアなどで販売が行われ、デビュー年の1993年には、アメリカの自動車雑誌『モータートレンド』の主催するカー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。

1995年には、「GT」をベースにサンルーフ、本革シート、クルーズコントロールなどを装備した特別仕様車「GTリミテッド」を発売。また、1996年には同じく「GT」ベースの「GTS」が設定されている。

日本ではアメリカ本国とほぼ同時期に輸入販売が開始される。当初は左ハンドル仕様のみが設定されていたが、1994年6月に右ハンドル仕様を追加。なお、MX-6に採用された4WSは採用されていないが、「ナチュラル4WS」と呼ばれるトーコントロールシステムを装備した。

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後継車種

ファイル:Last-Mercury-Cougar.jpg
マーキュリー・クーガー

プローブは2世代でモデル消滅となったが、1999年から発売されたドイツフォード製のマーキュリー・クーガー8代目 Mercury Cougar/Ford Cougar (Europe))は事実上のプローブ後継車である。またプローブはマーキュリーブランドでの姉妹モデルは存在しなかったが、 逆にこのクーガーの姉妹モデルとなるFF2ドアハッチバッククーペはフォードからは発売されていない。ただしフォードブランドでは1998年からエスコートZX2というFF2ドアノッチバッククーペが販売され、これがフォードブランドとしてのプローブ後継の位置付けとされていた。しかしエスコートZX2はその名の通りエスコートをベースとした車であり、プローブより一回り小さく、エンジンも2リッター直4DOHCのみである。

クーガーは日本へも近鉄モータースを通じて正規輸入されたものの、プローブと比較してかなり高い価格設定や近鉄モータースの販売網の少なさなどもあり、プローブ以上に売れ行きは芳しくなく、見かける機会は滅多にないほど希少な車となっている。またクーガーのヨーロッパ販売モデルはマーキュリーブランドではなく、フォードブランドで販売された。

このようにクーガーやエスコートZX2はプローブの後継として登場したものの、アメリカでのパーソナルクーペ市場の冷え込みは激しくなっており、この2台も例に漏れず売れ行きは芳しくなく、クーガーは2002年末に、ZX2は2003年 末に生産中止となった。そのため現在プローブの後継となる車種は存在しない。 テンプレート:-

注釈

  1. この初代プローブは5代目マスタングとして開発されていたと言われている。しかし、マツダとの共同開発であり、駆動方式がFFV型8気筒エンジンの搭載がないなど、マスタングのコンセプトとは全く異なる仕様に対して社内外からの猛反発を浴びることとなった。また、オイルショックの影響が少なくなってきた時期であり、急遽マスタングではなく新車種として販売されることが決まったという。
  2. 同時期に発売されていたトヨタ・セリカも同様のスタイルを持っており、酷似している。ヒドゥンピラーを持ったラップアラウンドウィンドウデザインは当時の流行であり、他にもオールズモビルカトラスシュープリームダイハツ・リーザマツダ・エチュード日産・180SX三菱・エクリプスなど、このようなリアデザインの車が多く見られる。
  3. 同様の構造はポルシェ・928スバル・アルシオーネなどごく一部の車にしか採用されておらず、非常に特徴的な機構である

関連項目

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