パティ・スミス
テンプレート:Infobox musician パトリシア・リー・"パティ"・スミス(Patricia Lee "Patti" Smith 1946年12月30日 - )は、アメリカ合衆国のミュージシャン・詩人である。
デビュー前から数年間は、バックバンドメンバーを含めた「パティ・スミス」という名称のバンド形態で活動している。一時期、パティ・スミス・グループ(Patti Smith Group)名義でも活動していた。
主に、ニューヨーク界隈のオリジナルパンクシーンで、現在まで活躍している。その功績から、クイーン・オブ・パンク(パンクの女王)もしくはゴッドマザー・オブ・パンク(パンクの代母)と呼ばれることもある。
「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第83位[1]。
「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト」において第47位。
「Q誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第49位[2]。
来歴
シカゴで生まれ、ニュージャージーで育った。ニューヨーク・パンクの代表的アーティスト。15才の頃ピスファクトリーで大学進学の費用を稼ぎながらアルチュール・ランボーやボブ・ディランを始めとするアーティストに強い憧れを抱き、当初はそうした人々の愛人となることを目指してニューヨークへ移住するが、ロバート・メイプルソープらとの交流によって、自身もアーティストの一員であることを自覚した。
1969年、ニューヨークに移住したスミスは詩を書いたり、演劇に出演したりするなどの芸術活動を始めた。その頃レニー・ケイと出会い、スミスが舞台で詩を朗読し、そのバックでケイが音楽を演奏するスタイルで活動をし始める。1973年頃から、リチャード・ソールがキーボード(ピアノ)として加わる。その後、周囲の評価が高まり、インディーズ・シングルを発売したり、オムニバス作品に参加するようになる。そして、ドラマーとしてジェイ・ディ・ドゥーティー、ベーシストとしてアイヴァン・クラールを迎え、5人組バンドとして本格的に活動を開始する。[3]
1975年に、29歳で発表したデビュー作『ホーセス』は、メイプルソープによるジャケット写真も話題となり、ロックの名盤として今日まで高い評価を受けている。特に、ヴァン・モリソンを己の詩情を交えてパンキッシュにカバーした「グロリア」は、パンククラシックの一つとして今日まで有名。1978年発表のサード・アルバム『イースター』からは、ブルース・スプリングスティーンと共作した「ビコーズ・ザ・ナイト」が、ビルボードのシングル・チャートで13位のヒットとなる。その後、元MC5のフレッド・スミスとの結婚生活のため長くアーティスト活動から離れていたが、1988年には9年ぶりのアルバム『ドリーム・オブ・ライフ』発表。1994年、夫のフレッドが死去。1990年代後半から再びコンスタントに作品を発表している。
1997年1月に初来日公演が実現した。
2001年(2日目グリーン・ステージ)、2002年(1日目フィールド・オブ・ヘブン、2日目レッド・マーキー)と、2年連続でフジ・ロック・フェスティバルに出演。2003年7月には、赤坂BLITZなどで、単独公演による来日も果たした。
2007年には、初のカバー・アルバム『トゥウェルブ』発表。
2008年、写真家のスティーヴン・セブリングが、11年間パティに密着して撮影したドキュメンタリー映画『パティ・スミス:ドリーム・オブ・ライフ』が公開され、日本でも2009年に公開された。
2010年1月には、Just Kidsを上梓。メイプルソープと出会い、同居しながらそれぞれの創作活動を始めた時期を回想している。この回想記の執筆は、亡くなる直前のメイプルソープに頼まれて約束したことだったと話している[4]。
パティ・スミス・グループ
1973年頃から、スミスが結婚のため一線を退く頃まで(作品としては『Wave』まで)活動。パティ・スミス名義でも活動していた。
- パティ・スミス - ヴォーカル
- レニー・ケイ - リードギター
- リチャード・ソール - キーボード(ピアノ)
- ジェイ・ディ・ドゥーティー - ドラムス
- アイヴァン・クラール - ギター兼ベース
作品
以下、パティ・スミス・グループ名義のものも含む。
オリジナル・アルバム
- ホーセス Horses (1975年)
- ラジオ・エチオピア Radio Ethiopia (1976年)
- イースター Easter (1978年)
- ウェイヴ Wave (1979年)
- ドリーム・オブ・ライフ Dream Of Life (1988年)
- ゴーン・アゲイン Gone Again (1996年)
- ピース・アンド・ノイズ Peace And Noise (1997年)
- ガンホー Gung Ho (2000年)
- トランピン Trampin' (2004年)
- バンガ Banga (2012年)
カバー・アルバム
- トゥウェルブ Twelve (2007年)
編集盤
- ランド(1975-2002):グレイテスト・ヒッツ Land(1975-2002) (2002年)
書籍
- バベル Babel (1978年) 日本語版は山形浩生訳で思潮社から出版(1994年)。原詩も収録。ただし原著とは少し編集が異なる。
- Flowers - メイプルソープの花 (1990)
- パティ・スミス完全版 Patti Smith Complete: Lyrics, Reflections & Notes for the Future (1998年) 日本語版は東玲子訳でアップリンクから出版(2000年)。
影響
70年代当時、ロックスターは男性が目立ったが、ロックよりも過激なパンクに至っては、女性のパンク・ロッカーは少なかった。
そんな中で、過激な歌唱や男性的・美青年風ルックスで一躍スターの一人となったパティ・スミスは、ロック史に残る存在になった。また、元来のパンキッシュ精神に基づいた宗教批判・恋愛の不満について女性が声高に叫ぶなど、文学性やアナーキー性の高いリリックも注目を集めた。
1980年代以降、世界中で多くの女性ロックシンガーが誕生したが、パティはその元祖と言ってもよい。特にその激しい歌唱法は、彼女をルーツとした文脈で語られることが多い。現在でもR.E.M.、ソニック・ユースを中心としたフォロワーに、影響を与え続けている。
脚注
- ↑ テンプレート:Cite web
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- ↑ パティ・スミス『ホーセス』1997年、BMGジャパン(付属の大鷹俊一によるライナーノーツより)
- ↑ テンプレート:Cite web
関連項目
- パンク・ロック
- ニューヨーク・パンク
- トム・ヴァーレイン
- ロバート・メイプルソープ
- MC5
- ブルース・スプリングスティーン
- ルー・リード
- ヴェルヴェット・アンダーグラウンド
- ラモーンズ
- トーキング・ヘッズ
- ドアーズ
- リチャード・ヘル
- ジョニー・サンダース
- CBGB
- アイヴァン・クラール
外部リンク
- 公式サイトテンプレート:En icon
- テンプレート:MySpaceテンプレート:En icon
- パティ・スミス - Allmusic テンプレート:En icon
- テンプレート:Imdb name
- パンクロックの伝説パティ・スミス 動画 日本語字幕付 (デモクラシーナウ!ジャパン 2010.04.29)