トリプトファン
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テンプレート:Chembox トリプトファン (テンプレート:En) はアミノ酸の一種である。系統名 2-アミノ-3-(インドリル)プロピオン酸。略号はTrpまたはW。
側鎖にインドール環を持ち、芳香族アミノ酸に分類される。蛋白質構成アミノ酸で、必須アミノ酸の一つである。糖原性・ケト原性の両方を持つ。多くのタンパク質中に見出されるが、含量は低い。ナイアシンの体内活性物質であるNAD(H)をはじめ、セロトニン・メラトニンといったホルモン、キヌレニン等生体色素、また植物において重要な成長ホルモンであるインドール酢酸の前駆体、インドールアルカロイド(トリプタミン類)などの前駆体として重要。
物性
- 分子量 204.23
- 等電点 5.89
- 溶解性:蟻酸に可溶、水に難溶、エタノールに極めて難溶、希塩酸に可溶。
- 溶解度(水、g/100g)1.06 (20℃)、1.44 (40℃)、2.05 (60℃)
- ファンデルワールス半径:163
- 味:苦(閾値 0.9mg/ml)(L-体。D-体は甘い)
代謝経路
トリプトファンの代謝は極めて多様であり、また複雑である。大まかには以下のように分類できる。[1]
代謝経路 | 組織 | 説明 |
---|---|---|
キヌレニン経路 | 肝臓 | インドールアミン酸素添加酵素 (IDO) によりL-キヌレニンを経てキヌレン酸へ至る経路。ヒトで約95%[2]。 |
セロトニン経路 | 腸 脳 マスト細胞 |
セロトニン・メラトニンの合成に向かう経路。 |
グルタル酸経路 | 肝臓 | (キヌレニン経路を経て2-アミノ-3-カルボキシムコン酸セミアルデヒドから) エネルギー源としてアセチルCoAへと代謝され完全分解にいたる経路。 (トリプトファンの代謝分解を参照) |
NAD 経路 | 肝臓 | (キヌレニン経路を経てキノリン酸から) NAD の合成に向かう経路 |
トリプタミン経路 | 脱炭酸によりトリプタミンの合成に向かう経路。 | |
インドール経路 | 脱アミノによりインドールピルビン酸の合成に向かう経路。 | |
蛋白質合成 | 全細胞 | タンパク質を構成するアミノ酸のひとつとして使用 |
その他 | 腸内細菌 | 腸内細菌や真菌によりインドールへと合成される経路。 腸内微生物により代謝されたインドール類は腸管のAHR受容体等を経由し、キヌレニン経路のIDOとともに腸管の免疫恒常性の維持に利用される。テンプレート:Sfn |
食品中の量
必須アミノ酸なので基本的には食品中のタンパク質が多いほど多く含まれる。したがって、肉、魚、豆、種子、ナッツ、豆乳や乳製品などに豊富に含まれる。またチョコレート、燕麦、バナナ、ドリアン、マンゴー、ナツメヤシ、牛乳、ヨーグルト、カッテージチーズ、鶏卵、家禽類の肉(ニワトリ、アヒルなど)、ゴマ、ヒヨコマメ、ヒマワリの種、スピルリナ、ラッカセイなどに含まれる、という報告がある[3]。適量の摂取は神経を落ち着かせる作用があるが、摂り過ぎると肝硬変を招く。テンプレート:要出典
食品名 | 含有量 (mg) |
---|---|
バナナ | 10 |
牛乳 | 42 |
ヨーグルト | 47 |
豆乳 | 53 |
白米 | 89 |
そば | 192 |
アーモンド | 201 |
肉類 | 150~250 |
糸引納豆 | 242 |
プロセスチーズ | 291 |
ひまわりの種 | 310 |
たらこ | 291 |
すじこ | 331 |