トヨタ・ist
ist(イスト)は、トヨタ自動車が生産している乗用車である。
目次
概要
ヴィッツをベースに、大径のタイヤとSUV風の5ドアハッチバックボディを被せたクロスオーバーコンパクトカー。当初は日本国内専用車であったが、のちに北米でも若者向けのクールブランド「サイオン」で、初代がxAとして、2代目がxDとして、また欧州でも2代目が「アーバンクルーザー」の車名で販売されるようになった。なお、車格は北米ではサブコンパクトカーに、欧州ではBセグメントMPVにそれぞれ分類される。
初代は日本では当時人気No.1であったホンダ・フィット(106.5万円 - 144万円)に対抗するため、予定より下げた戦略的価格(118万円 - 165万円)を打ち出した。そのためか受注台数は発表後1ヵ月で約42,000台を記録[1]し、販売台数の方も、同時期にデビューした日産・マーチ(95.3万円 - 132万円)を上回り、コンパクト部門2位となった。2代目は車格はコンパクトではあるものの価格帯が上がり、初代の人気とは対照的に大人しい販売台数となっている。
設計の都合上、純正タイヤを装着していても物理的な関係からタイヤチェーンの装着が事実上不可能とされている珍しい車種の一つでもある。
初代は、TRDから、コンプリートカー・イストTRDターボが発売されていた。
また研修を終了した各ディーラーのメカニックがターボキットを取り付けるチューニングプランも存在した。
初代 NCP60型(2002年-2007年)
テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 2001年の東京モーターショーで出展され、そのコンセプトカー然としたスタイルをそのままに、翌2002年に市販された。
ヴィッツに比して若干ボディサイズを大きくすることで、居住性の向上に貢献するだけでなく、シャープなボディラインにSUV風のオーバーフェンダーによって、クールでスタイリッシュなデザインを施すことでヴィッツとの差別化を図っている。また、ヴィッツと同様にセンターメーターを採用している。
開発にあたっては初代bBに続き、試作車を製作しない所謂「フルデジタル設計」で製作されている。すなわち、実車での走行試験を行っておらず、コストダウン・開発スピードの速さに繋がっている。
エンジンは2NZ-FE型1,300cc (87PS)(日本のみ)と1NZ-FE型1,500cc (109PS) の2種類。トランスミッションは日本では4速ATのみで、北米では5速MTも用意している。2NZ-FE型1,300ccは平成17年排出ガス基準75%低減レベルを、1NZ-FE型1,500ccは平成17年排出ガス基準50%低減レベルを達成。
静岡県警察でパトカーとして導入されている。
年表
- 2002年
- 2003年
- 6月4日 - 特別仕様車「F"Lエディション・HIDセレクション"」を日本で発売。
- 「F」をベースに、「Lエディション」の装備とディスチャージヘッドランプ・UVカット機能付プライバシーガラス(リアドア・リアクオーター・バックドア)を装備しつつ、価格を抑えた。また、これにGPSボイスナビゲーション付ワイドマルチAVステーションIIを追加装備した「F"Lエディション・HIDセレクション・NAVIスペシャル"」も発売した。
- 6月4日 - 特別仕様車「F"Lエディション・HIDセレクション"」を日本で発売。
- 2004年
- 2005年
- 5月30日 - 日本仕様をマイナーチェンジ。
- トヨペット店での販売を終了し、ネッツ店専売車種となる。スポーティさを強調した新グレード「A」と「A-S」を追加。専用フロントグリル・専用バンパーを採用するとともに「A-S」の2WD車には専用のチューニングを施した。また、既存の「F」と「S」はフロントバンパー・リアバンパー・サイドマットガードをボディ同色としたほか、フロントグリル・ヘッドランプ・リアコンビネーションランプ・センターメーター・シート表皮のデザインを変更した。"Lエディション"ではスマートドアロックリモートコントロールを標準装備し、リアドア・リアクォーター・バックドアにはUVカット機能付プライバシーガラスを全車で標準装備された。ボディカラーには新たに「ライトオリーブメタリック」と「ライトブルーマイカメタリック」を追加。ネッツ店専売化に伴い、フロントグリルのエンブレムは「Netz」の頭文字である"N"をモチーフとしたネッツ店専売車種専用のものに変更した。また、1.3L車(「F」・「F"Lエディション"」・「A」の2WD車)は排出ガスのクリーン化により、「平成17年基準排出ガス75%低減レベル(☆☆☆☆)」認定を取得した。
- 10月4日 - 特別仕様車「F"Lエディション・HIDセレクションIII"」を日本で発売。
- 基本仕様は「HIDセレクションII」の時と同じだが、前述の通り、ベース車がマイナーチェンジによりスマートドアロックリモートコントロールが標準装備されたため、キーの種類が変更(スマートドアロックリモートコントロール用)となった。
- 5月30日 - 日本仕様をマイナーチェンジ。
ピカチュウカー
2005年に名古屋トヨペットが本モデルをベースに、ゲーム『ポケットモンスター』に登場するピカチュウに見立て、耳や口などの部品を取り付けた「ピカチュウカー」を製作した。この車は、愛知県内のトヨペット店でプロモーション用として使用されたほか、愛・地球博開催期間中はデ・ラ・ファンタジア内のポケパークでも展示され、人気を博した。 テンプレート:Main
istベースの「ピカチュウカー」は、その後、2009年より名古屋トヨペットから沖縄トヨペットが譲り受け、沖縄県内のイベントや、県内販売店の店頭の看板車両として展示していたが、2012年、株式会社ポケモンから権利終了につき、「ピカチュウカー」の形状およびカラーリングの変更もしくは廃棄処分を求められ、株式会社ポケモンの担当者が沖縄トヨペットに変更の確認のために来るまでの数日間に社内で耳や尻尾を取り外し、パンダの色に塗り替えられた。2012年7月15日をもって、この車両は沖縄グッドトイ委員会に譲渡された。
- Toyota Ist 1st generation.JPG
後期型(2005年5月 - 2007年7月)
- Toyota Ist 1st generation Rear.JPG
後期型リア
- 2006-Scion-xA.JPG
サイオン・xA(後期型)
2代目 XP110型(2007年-)
テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 2代目ヴィッツから採用されたBプラットフォームを拡幅したものを採用(開発にはダイハツが携わっている)し、全幅は1725mmとなり、日本では3ナンバーとなった。ホイールベースは2代目ヴィッツと共通の2460mm。デザインは2BOXとSUVを融合した「クロスオーバースタイル」となった。また、センターメーターが廃止になり、スピードメーターとタコメーターが同心円状に配置されたデザインのコンセントリックメーターが運転者の目の前に来るように変更された。
エンジンは初代に設定されていた2NZ-FE型1,300cc (87PS) を廃止し、代わりに2ZR-FE型1,800cc (132PS) を追加。日本では継続設定される1NZ-FE型1,500cc (109PS) と合わせ、全体的に排気量がアップした。欧州仕様では1NR-FE型1,300cc(欧州では1.33Lと変則的な表記)と1ND-TV型1,400ccディーゼルターボの2つを設定。
トランスミッションは、日本仕様にのみ設定される1.5L車がCVT (Super CVT-i) に変更。1.8L車は4速AT (Super ECT) となっているほか、北米仕様には先代同様、5速MTを設定した。欧州仕様は6速MTのみの設定。また、4WD車(北米仕様には設定されない)は路面状況を問わず安定した走りを寄与するアクティブトルクコントロールを採用した。
ホイールが4穴から5穴に変更されている(ナット座ピッチ直径については100で変更なし)。
日本仕様
グレード体系は「150X」・「150G」・「180G」の3グレードに整理され、「150X」と「150G」は引き続き4WD車も設定される。
安全性能も強化され、全グレードで6エアバッグ(運転席・助手席SRSエアバッグ、前席SRSサイドエアバッグ、両側SRSカーテンシールドエアバッグ)を標準装備とした。この時トヨタでは、日本ではistのフルモデルチェンジ以降に発売される新型車および、マイナーチェンジ・フルモデルチェンジを受ける既存車にもSRSサイドエアバッグ・SRSカーテンシールドエアバッグを標準装備することが前もって発表されていた。しかしながら、2008年12月以降、エスティマのマイナーチェンジやパッソのフルモデルチェンジで標準装備化されないなど、この発表の内容は守られなくなった。
年表
- 2007年
- 2008年
- 1月30日 - 特別仕様車「150X"Special Edition"」を日本で発売。
- 3月 - ジュネーブモーターショーにて「アーバンクルーザー」の車名で欧州初公開された。
- 2009年
- 1月14日 - 先代でも好評だったディスチャージヘッドランプ(オートレベリング機能付)装備の特別仕様車「HIDセレクション」を日本で発売。
- 今回は充実グレードの「150G」をベースに、フロントとリアのバンパー下端をボディ同色としたフルカラードバンパーを採用。内装ではファブリックシート表皮・ドアトリムを専用のものにしたほか、センタークラスター・パワーウィンドゥスイッチベースにシルバー加飾を施し、質感も高めた。ボディカラーは専用外板色の「スーパーレッドV」を含む3色を設定した(2009年6月までの期間限定生産)。
- 10月1日 - 日本仕様を一部改良。1.5L・2WD車 (150X・150G) において、エンジン・トランスミッション・オルタネーターの制御を改良し、燃費を向上。これにより、「平成22年度燃費基準+15%」を達成した。
- 1月14日 - 先代でも好評だったディスチャージヘッドランプ(オートレベリング機能付)装備の特別仕様車「HIDセレクション」を日本で発売。
- 2010年
- 8月3日 - 日本仕様を一部改良。
- 前後バンパーがフルカラードとなり、リヤスポイラーを大型化。同時に「150X」と「150G」にはディスチャージヘッドライト(オートレベリング機構付)を標準装備とした。インテリアはシート色にライトグレーとダークグレーのツートーンカラーを採用するとともにセンタークラスターパネルにはダークグレー加飾を施し、ボディカラーにはグリーンマイカメタリックを追加した。また、従来設定されていた1.8L車を廃止する替わりに、「150X」をベースにヘッドランプをディスチャージ(オートレベリング機構付)からハロゲン(マニュアルレベリング機構付)に、エアコンをオートからマニュアルに変更し、パッケージトレイトリムとシートバックポケット(運転席・助手席)を省いたことで価格を抑えた「150X"Cパッケージ"」を新設定した。
- 8月3日 - 日本仕様を一部改良。
- 2011年
- 8月29日 - 日本仕様を一部改良。ボディカラーに「ブロンズマイカメタリック」を追加。インテリアにはサイドレジスタリングにめっきを、シート・ドアトリム表皮にドット柄を採用した。
- 2012年
エンジン
日本での取扱販売店
車名の由来
- 英語で「-主義者」を意味する接尾辞"ist"から。
脚注
- ↑ これは3代目プリウスがデビューするまでは、トヨタ車としては歴代トップであった(3代目プリウスの受注台数は、1ヵ月で250,000台)。
- ↑ Vehicle Stability Control
- ↑ Traction Control
関連項目
外部リンク
- toyota.jp ist(日本仕様)
- Scion xD | Prices & Information | Scion.com(北米仕様)
- Toyota Urban Cruiser. Stylish SUV with All Wheel Drive stability.(欧州仕様)
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