スーパーモタード
スーパーモタード(Supermotard) は、オートバイのレースのひとつである。「スーパーモト(Supermoto)」や、単純に「モタード」とも呼ばれる。近年では、このレースに基づいた様式の車両そのものや、その車体種別(形態、ジャンル)を指す場合もある。
目次
競技概要
コースは、原則的に舗装されたアスファルト路面(ターマック)8割と未舗装路面(ダート)2割を基準に織り交ぜたコースを使用するが、一部ではオンロードコースだけのコースやダートの比率を上げたコースもある。
レース車両はモトクロッサーをベースにして、14インチから19インチのホイール[1]にオンロード用タイヤやモタード競技専用タイヤを装着し、前後のサスペンションやフロントブレーキなどを強化したオートバイを使用する。競技車両は当初は市販のモトクロッサーを改造して行われていたが、近年では欧州のメーカーを中心にモタード専用設計の車両を販売している。
ライダーの装備はモトクロス用ヘルメットとゴーグルとブーツに、オンロード用のレーシングスーツ[2]を着用するのが一般的である。
レースではターマックセクションのハイスピードなコーナリングや、ダートセクションの激しいスライド走行やジャンプが見られる。
歴史
テンプレート:出典の明記 スーパーモトはレースプロモーターのGavin Trippeがロードレースとダートトラックレース、モトクロスの特徴を1つのサーキットに取り入れて、1979年に始まった[3]。今日の多くのコースは70%のアスファルトと30%のダートで構成されるのに対し、当初のコースはおおむね半分ずつであった。スーパーモトレースは5年にわたって毎年開かれ、スーパーバイカーズという名称で、ABCの番組『Wide World of Sports』で放送された。しかし、1985年には北米でのスーパーモトは衰退した。一方、ヨーロッパではフランスを中心に広がりを見せ、スーパーモタードと呼ばれるようになった。北米で衰退してから18年後の2003年になって北米でもスーパーモトが復興し、AMAやスーパーモトカナダとして行われるようになった[4]。
ヨーロッパに伝播したスーパーモタードは、フランスのシャルル・ド・ゴール空港近くのキャロルサーキットで行われていた。「ギドン・ドール(Guidon D'or)」(直訳で「黄金のハンドル」)というこのイベントでは、ケニー・ロバーツやフレディ・スペンサー、エディ・ローソン、ジェフ・ワードの他にもランディ・マモラやワイン・ガードナー、ウェイン・レイニーといったロードレーサーと、AMAモトクロスとモトクロス世界選手権チャンピオンのジャン・ミシェル・バイルやパリダカで6回の総合優勝を獲得したステファン・ペテランセルなど、モトクロスやエンデューロ出身のライダー達によって競われた。ヨーロッパでは基となる車両がほぼモトクロッサーだけとなり、タイヤも前後19インチのダートトラック用タイヤではなく、前後17インチ程度の小径ホイールにオンロード用タイヤあるいはモタード専用タイヤを履かせたものが主流となり、以降これがスーパーモタードの標準となった。
こうしてヨーロッパで熟成されたスーパーモタードはフランス選手権からヨーロッパ選手権へと拡大し、日本でも知られるようになった。2002年からは世界選手権が開催され、アメリカではエックスゲームズの種目としても採用された。
日本での歴史
日本では『TOSHIBAスポーツBOX』でABCの『Wide World of Sports』の様子が紹介されたほか、雑誌などでも紹介され、1980年代頃には前後ホイールや足回りをスーパーバイカーズ風に改造した車両が極少数ながら存在しており、それらによるレースも小規模ながら企画・開催されていた。ただし当時の日本ではダート部分を含んだコースを準備するのが難しく、舗装路(ターマック)に特化したコースでの開催が主となったこともあって「ターミネーター」と呼ばれたりもしていた。このために使用される車両も、モトクロッサーなどを基にしながらもオンロード用バイクのサスペンションを組み込んだりと、ターマックに特化したコースにあわせたものとなり、アメリカやヨーロッパとは少し違った趣きを呈していた。
日本で最初の本格的なスーパーモタードのレースイベントといえるものは、1993年8月に鈴鹿サーキットで行われた『鈴鹿スーパーバイカーズ』である。このレースは、鈴鹿サーキット南コースとダートコースを組み合わせた特設サーキットで行なわれた。トップライダーをはじめさまざまなカテゴリーのライダーが参戦し、レースではモトクロスライダーの東福寺保雄が優勝した。エントリーしたバイクはモトクロッサーだけでなく、市販のレーサーレプリカやダートトラック用のマシンなど、ノウハウがなかったがゆえに雑多でバラエティに富んだものであった。また、バイクレースのオフシーズンである冬から春にかけて開催されたレースでは、ロードレースからは阿部典史や塚本昭一や宗和孝宏、モトクロスからは芹沢太麻樹や宮内隆之といったトップライダーが次シーズンに向けてのトレーニングを兼ねて参加し、さらに当時はすでに第一線からは退いていた平忠彦や東福寺など、かつて全日本選手権で活躍したライダーもエントリーしていた。鈴鹿スーパーバイカーズは1994年からシリーズ化され、ダート区間こそなくなったものの、鈴鹿ワンデーヒーローズのカテゴリーのひとつとして現在も南コースで開催されている。
鈴鹿での成功を受けて富士スピードウェイや筑波サーキットでも同様のレースが開催された。
2001年の12月にオーバーオールというレースが静岡県森町デイトナスライドパークで行なわれた。2003年の4月には、日本のスーパーモタード選手権「MOTO1」が森町デイトナスライドパークで最初に行なわれ、各地でMOTO1が行なわれるようになった。2005年からはMFJ公認レースとして、全日本選手権の「MOTO1オールスターズ」が開催されている。こうして日本国内でのレースが充実するにつれ、近年ではアメリカやフランスなどの海外へ進出する日本人ライダーが増えている。
海外参戦した代表的な日本人ライダー
- 佐合潔(2006 - 現在 AMA アメリカ)
- 増田智義(2006 AMA アメリカ)
- 松本康(2007 AMA アメリカ・2009 FIM ヨーロッパ)
- 佐野新世(2004 - 現在 FFM フランス)
- 芹沢太麻樹(1995 Guidon d'or フランス)
- 富田真司(2008 FIM ヨーロッパ)
スーパーモタード風の公道用市販車
スーパーモタードがレースの一ジャンルとして確立されて広く認知されると、モトクロッサーやデュアルパーパスモデルなどをスーパーモタード用車両に似せた外観とする改造が個人や店舗レベルで行われるようになり、車両メーカーもスーパーモタード風の公道走行用モデルを市販しはじめた。テンプレート:要出典範囲。
スーパーモタード風の公道用市販モデルの特徴はデュアルパーパスモデルに近く、他のオンロード向けスポーツモデルよりも細身で軽量の車体に、起伏が小さいシートと幅が広くて高めのステアリングが備わる[5]。搭載されるエンジンは単気筒ないし2気筒で、出力特性は比較的低い回転域から高いトルクを発生する[6][7]。サスペンションは舗装路での走行安定性を重視した特性とされ、17インチのタイヤを備えるモデルが多い[6][7]。こうした車体特性から、市街地での利用をはじめとして公道で扱いやすく、手軽にスポーツ走行が楽しめる車種として認知されている[7]。テンプレート:要出典範囲。
日本ではジムカーナにスーパーモタード風の車種が多く使われるようになった。テンプレート:要出典範囲。
代表的な車種
日本国外
- KTM
- SMR(450/525/560)
- スーパーモト(50/640/690/950/990)
- SMC(625/660/690)
- ハスクバーナ
- SMR(125/250/449/511)
- SMS(125)
- アプリリア
- SX(125)
- ドルソデューロ
- ペガソ
- フサベル
- FS(400/570/650)
- tm
- SM(250)
- SMR(125/450/530)
- SMM(125/250/450/530)
- SMX(250/450/530/660)
- VOR
- S(450/501/570/600)
- ベータ
- RS(400/450/520)
- RR(50/125)
- M4
- ガスガス
- SM(50/125/250/400/450)
- ファンティック
- シェルコ
- キャノンデール
- テラ・モデナ
- BMW
- G650X
- F800GS
- マラグーティ
- X3M(125)
- ドゥカティ
- AJP
- リエフ
- MRTスーパーモタード(50)
- MRTプロスーパーモタード(50)
- マラソンスーパーモタード(125)
- マラソンプロスーパーモタード(125)
- ジェネリック
- CCM
- ATK
- HM
- CRM(450/500)
日本国内
注釈
関連項目
外部リンク
- FIM Supermoto(英語)
- AMA Supermoto(英語)
- Guidon d'or(フランス語)
- moto1(日本語)
- FFM Supermoto(フランス語)
- ↑ タイヤの銘柄が豊富な17インチを使用することが多い。
- ↑ いわゆる皮ツナギのこと。ロードレース用のものよりも上半身、特に腕を動かしやすくするなど競技にあわせた専用品もある。テンプレート:要出典範囲
- ↑ テンプレート:Citation
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 6.0 6.1 テンプレート:Cite web
- ↑ 7.0 7.1 7.2 テンプレート:Cite web