ブックメーカー

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ブックメーカー (bookmaker) とは、欧米における賭け屋である。ちぢめてBOOKIE(ブッキー)と呼ぶ。台帳 (book) をつける奴、すなわち日本語ノミ屋を意味する場合が多い。

概説

欧米の賭け事は単純明快を旨とする。親の持ち回りで配当が異なるゲームは好まれない。すなわち、ブッキーは胴元ではなく掛け率を提示して客の投票を募り、賭けの結果により勝者に配当をする賭け屋である。親としてカブルことはないので、胴元とは違う。

18世紀末、イギリスニューマーケット競馬場オグデンが始めた。初めは競馬の歴史にそぐわないという観点で抵抗があったが、徐々に参加者が増えていった。1960年にはイギリス政府公認とされた[1]

具体的な方法としては、あるレースについて出場が予想される馬にブックメーカーの予想担当者が倍率(オッズ)をつける(ブックメーカー方式の項も参照)。この倍率の付け方こそがブックメーカーの腕の見せ所であり、当然各ブックメーカーによってその倍率は異なる。また、G1等のビッグレースではレースの何ヶ月も前から倍率がつけられ、毎日変動していくことになる。出走が予想される馬に賭けるため出走できるかどうかも賭けのうちであり、実際に出走しない場合でも返金されることはない。賭けが偏ったり巨額の賭けが行われた場合はブックメーカー自身が同業他社の賭けを買うことで損失に対して備える。

ブックメーカーの賭けの対象は、競馬から始まり、徐々に様々なプロスポーツや大学スポーツにひろがっていったが、スポーツ以外の賭けも存在する。その範囲は政治的選択や戦争の行方といったものから(ただし、イギリスでは、戦争に賭けることはタブーとされている)、クリスマスに雪が降るかどうかというものまで非常に幅広い。

ブックメーカーは、国によって法律上の扱いが異なる。イギリスでは合法で免許制、アメリカ合衆国ではネバダ州など一部の州を除き非合法である。シンガポールカナダなどいくつかの国では公営のブックメーカーのみが許可されている。

日本では、法律で定められた胴元以外から公営競技投票券等を購入することは、いわゆるノミ行為として全て違法とされる。実際に配当金は支払わないが、賞品を出していた高校野球を賭けの対象とした「野球賭博」や「相撲賭博」などで処罰された例もある。また、インターネット(パソコン・携帯通信)や郵便などの通信であたかも合法であるかのように日本以外の国の競馬や宝くじを購入できる会社などがあるが、これも違法行為である。

倍率の表示方法

ブックメーカーの場合、パリミュチュエル方式のように小数で表示されることは少なく、例えば、3.0倍の場合は2対1(2-1、2/1、2:1)との形式で表示される。左側の数字(前項)は投票の引き受け手側(胴元側)、右側の数字(後項)は投票者側を意味するとされている。

ブックメーカーの倍率表示から小数の倍率に換算する場合は、「(左側の数字+右側の数字)÷右側の数字」の式となる。また1対1の場合はevens(または略してevs)と表示される場合もある。

ブックメーカーから派生したテレビ作品

1991年4月 - 1992年3月にフジテレビジョン(東京ローカルホイチョイ・プロダクション製作のマーケット3部作の1つ)の深夜番組で『TVブックメーカー』という番組が放送された。この番組は直近に行われるスポーツ・文化イベントやニュースの話題などを毎週数点取り上げ、司会者(オッズメーカー)がその結果に関しての倍率を提示。またその関連の資料・話題を見ながらベッター(パネリスト)が番組独自の通貨「カノッサ」を使い予想を立てるというもので、ときにはカノッサを使い果たしたパネリストが「せんべい」をベットする一幕も見られた。『TVブックメーカー』の元スタッフがリメイクした番組『デリバティブTV』(テレビ東京)も参照のこと。

インターネットの普及

インターネットの普及により、タックスヘイブンなどに本拠を置くブックメーカーが増えている。対抗措置として各国の主催者などは払戻率の向上などに注力を行っているが取締りに関しては有効な手段はなく、事実上野放し状態である。またクレジットカードによる決済手段は客側にもブックメーカー側にもメリットがあり、2000年代に入るとまたたくまに広まった。

競馬の払戻率についてはフランスフランスギャロ)が2007年より85%へ、日本中央競馬)も2008年から特定のレースに限り80%へ率を引き上げた(JRAプレミアム)がブックメーカーによっては95%の高払戻率をうたい対抗する動きも見られる。

日本国内の詐欺事案

2012年8月、英国のブックメーカーを使い違法に出資金を集めたとし、出資者らが投資会社に計約2億9100万円の損害賠償を求める事件が発生[2]。 大阪の投資会社「スピーシー(代表:田中 慎)」及びその勧誘者らは、2011年頃からマルチ商法的な手法により被害者らに「100%リスクがない」「月3〜10%の配当が得られる」などと宣伝し資金を募集したものの、2012年5月以降は配当を停止する状態に陥った。

これらに対し、原告らは同社が全国1000人以上から計数百億円にも上る出資金を集めたと見ており、同社商法を「破綻必至を前提とした悪質な詐欺商法」とした上で、同社だけでなく出資者を募集した最上位勧誘者らの不法行為責任の追及についても視野に入れている[3]

主なブックメーカー運営企業

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脚注

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関連項目

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  1. 本村凌二「ギャンブル」(『歴史学事典 2 からだとくらし』(弘文堂、1994年) ISBN 978-4-335-21032-7)
  2. 「賭け業者投資」の出資者43人が損害賠償提訴 - YOMIURI ONLINE(読売新聞社)(2012年8月31日付、2012年9月10日閲覧)
  3. 株式会社スピーシーが関与している「スポーツブックアービトラージ投資」などと称する詐欺商法被害についての集団訴訟参加者の二次募集について - あおい法律事務所ホームページ(2012年9月10日閲覧)