スカボロー礁

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テンプレート:Infobox disputed islands スカボロー礁英語:Scarborough Shoal または Scarborough Reef、フィリピン名:Bajo de Masinloc[1]、Kulumpol ng Panatag、Karburo[2]、中国語名:黄岩島、民主礁)は、フィリピンルソン島の西220kmにある環礁スカボロ礁スカーボロ礁スカバラ礁とも呼ばれる。18世紀にこの地点で難破した茶貿易船「Scarborough号」にちなんだ名前である。

南シナ海中沙諸島を構成する環礁で、唯一満潮時にも海面から露出している岩礁を持っている。フィリピンと中国台湾が領有権を主張している。

地理

スカボロー礁はフィリピンルソン島の西220kmにあり、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内に位置する。水深3500mの海盆上にあり、海底の山が水面に露出した部分にある環礁である。周囲55kmの三角形の環礁で、最高点は標高約3mの岩礁である。地質構造上でみると大陸棚の自然延長にある。礁湖の面積は130km²・水深10~20m、礁湖を含む面積は150km²である。礁湖の南端には外海と繋がる長さ400m、水深9~11m、幅360~400mの水路があって、小型中型の船が漁業活動を行なったり風を避けることができる。

主権争い

フィリピンの主張

スカボロー礁は遅くとも16世紀には、すでにその付近海域はフィリピンの漁民の漁場だった。

スペインがフィリピン諸島をアメリカに割譲した1898年パリ条約1900年テンプレート:仮リンク1930年テンプレート:仮リンクでは、東経118度をフィリピンの西限としており、スカボロー礁はこの範囲の外側にある。また、1935年のフィリピン共和国憲法及び1961年の領海基線法にも同様の規定がある。

しかし、フィリピン外務省は、スカボロー礁は「島」ではなく「岩」であって、これらの条約等の対象とされていないと主張している[1]。そして、フィリピン外務省は、パルマス島事件を代表とする常設仲裁裁判所での国際公法上の判例を踏まえると、領有権は歴史的な主張や領有ではなく、管轄権の有効な行使 (effective exercise of jurisdiction) に基づいて判断されるべきであるとしている[1]

中華民国(台湾)・中華人民共和国の主張

スカボロー礁は中国人に最も早く発見された。その付近海域も海南島の漁民の古くからの漁場だった。1279年、著名な天文学者郭守敬が「四海測験」を行なった時、南シナ海ではこの島を測量地点としている。1935年1月、中華民国水陸地図審査委員会はスカボロー礁を中華民国の版図へ入れた。1947年末、中華民国内政部の正式に編纂出版した『南海諸島位置図』で(「民主礁」と呼んでいた)スカボロー礁を「断続国界線」内へ入れた。この線を法的効力のある歴史的境界線として、中華民国は線内の浅瀬砂州の主権を主張した。

1983年中華人民共和国地名委員会は「我国南海諸島部分標准地名」を公布して「黄岩島」を標準名称とした。

主権争いの経過

  • 1980年以後、フィリピン政府はスカボロー礁を200海里排他的経済水域内とした。
  • 1997年、フィリピンが軍艦と軍用機を出動して中華民国の民間組織のラジオ局による領海侵犯を追跡、監視する。
  • 1997年4月30日、フィリピンの2人の衆議院議員が軍艦に乗って上陸、旗と碑を立てる。
  • 1998年1月から、中華人民共和国海南省の4艘の漁船が2ヶ月の間に領海侵犯しフィリピン海軍に拿捕され、51名の漁民がフィリピンに半年間拘禁される。
  • 1999年5月23日フィリピン軍と中華人民共和国の漁船が衝突。中華人民共和国外交部スポークスマンはフィリピンへ抗議し、交渉を呼びかけた。
  • 1999年6月、フィリピン教育部は新しい地図の中で、スカボロー礁と南沙諸島を版図へ入れた。8月、フィリピン政府は「南沙諸島はフィリピン領土」である旨の憲法改正を行った。
  • 1999年11月3日、フィリピン海軍の1艘の艦船がスカボロー礁のパトロール中に座礁。フィリピンは艦船は救援参加時に故障が発生したと発表。中華人民共和国は座礁した艦船の撤去を求め、フィリピン側はすぐに撤去した。以来、島の陸地を実行支配する国はない。島周囲の領海、経済水域は主にフィリピンの艦船が監視している。
  • 2000年、フィリピン海軍が領海侵犯した中華人民共和国の漁船船長を射殺した。
  • 2012年4月8日、フィリピン海軍がスカボロー礁近くに中華人民共和国の漁船8隻が停泊しているのを発見し拿捕したのを受け、中華人民共和国の監視船が現場に急行、フィリピン海軍の進行を阻止し、睨み合う状況となる[3]。17日、フィリピンのデル・ロサリオ外相は国際海洋裁判所に判断を仰ぐ提案をしたが[4]、中華人民共和国外交部辺海局の鄧中華局長はこれに対し抗議を申し入れている[5]
  • 2012年9月3日人民日報(海外版)は、中国国家海洋局がスカボロー礁(黄岩島)、西沙諸島尖閣諸島の周辺海域を人工衛星や航空機で遠隔監視する「海域動態監視観測管理システム」の範囲内に組み込んだと報じた[6][7]
  • 2013年9月3日、フィリピン国防省は、中国が約30個のコンクリートブロックを設置していることを発表[8]

脚注

  1. 1.0 1.1 1.2 Philippine Position on Bajo de Masinloc and the Waters Within its Vicinity
  2. At ‘Karburo,’ Filipinos fish, laugh, eat, drink with Chinese, Viet fishermen Inquirer Global Nation、2012年4月28日
  3. フィリピン軍艦と中国監視船の“にらみ合い”続く=南シナ海
  4. 南シナ海問題で中国「自国領だ。フィリピンは異議唱えなかった」
  5. フィリピンが黄岩島問題を国際仲裁に提出する動き、中国が批判
  6. 尖閣・南シナ海、衛星や航空機で遠隔監視…中国 読売新聞 2012年9月4日13S版2面
  7. 海域管理に動態監視観測を実施 人民日報 2005年12月28日08:14(北京時間)
  8. 中国、南シナ海に構造物 スカボロー礁の実効支配に着手 msn産経ニュース 2013-9-3配信

テンプレート:南海諸島 テンプレート:東・東南・南アジアにおける領有権紛争