コルト・パイソン
テンプレート:特殊文字 テンプレート:Infobox コルト・パイソン(テンプレート:Lang-en-short)は、1955年にコルト社が開発した回転式拳銃。仕上げのよさから「リボルバーのロールス・ロイス」とも呼ばれる。コブラ、キングコブラ、ダイアモンドバック、アナコンダと並び、商品名に蛇の名前を冠するシリーズの一つ。
目次
開発
コルト・パイソンは、1955年にコルト社が「.357マグナム弾を発射できる」高級リボルバーとして発表された。初めに6インチ、次に2.5インチと4インチの銃身を持つものが発売され、後に8インチの「パイソンハンター」も作られた。また、コンバットパイソンと呼ばれる3インチモデルも存在する。
構造が手作業での調整が多く(=生産しにくい構造)、その関係で仕上げも念入りに施されていた[1]。そのため、ライバルメーカーのS&W社などの製品と比較すると高価格となっており、1970年代半ばの値段だと同社のコルト・ディテクティブスペシャルのおよそ倍だったとされる。
しかし、その特徴(後述)を支持するユーザーも現れ、コルト社は廉価版として口径.38スペシャル・.22ロングライフルの「コルト・ダイアモンドバック」という一回り小さいフレームを使用したリボルバーを発売した。また、.22LR弾や.41マグナム、.44口径のパイソンも試作されたと言われるが、製品化には至っていない。
コルト社は1999年10月、販売減少と製造費高騰を理由として同モデルの生産を停止する発表をしている。
特徴
コルト・パイソンは、反動による銃口の跳ね上がりを抑える重量物として、銃口部まで延長されたエジェクターロッドハウジング[2]、交換可能な照星と微調整可能な照門などの外観を持ち、精度向上のために熟練工が1丁1丁調整を行っている。銃身上部にはベンチレーテッドリブ(放熱板)と呼ばれる梁状の構造を持つが、これについては銃身加熱による陽炎を防ぐための実用的な構造であるという説テンプレート:Citation neededと、見栄えのための飾りに過ぎないという説テンプレート:Citation neededがある。
弾薬は、.357マグナム弾を撃つことができ、.38スペシャル弾も使用可能。
初期の仕上げは「コルトロイヤルブルーフィニッシュ」と呼ばれ、深みのある青を帯びた黒と言われている。しかも、外観だけではなく内部も入念に仕上げられており、コルト社の他のリボルバーよりもトリガーフィーリングは良いとされている。この仕上げはコルトの熟練工が引退するにつれ、仕上げが荒くなり品質が落ちていったと言われており、仕上げの状態が良い個体や、熟練工在籍時の初期生産品はコレクターの間で高値で取引される。
コルト社の採用しているトリガー機構(メカニズム)はS&W社のものと比較して扱いにくいため、S&W M19やS&W M586のフレームにパイソンの銃身を組み合わせた「スマイソン」や「スモルト」と呼ばれるカスタムモデルが第三者の手で製作されたこともある。また、非常に珍しいコルト社公認モデルとして、キングコブラのフレームにパイソンのバレルを組み合わせた『コルト グリズリー(Grizzly)』がある(刻印も、Colt Grizzlyに変更されている)。これ以外にも、パイソンの銃身に別のフレームをつけるというカスタムモデルがいくつか存在する。
バリエーション
コルト・パイソン 6インチモデル(下)
コルト・パイソンハンター
1980年に登場したパイソンの8インチ銃身モデルで、木製グリップを標準装着していた従来のモデルとは違い、ラバーグリップを標準装着し、LEOPOLD製ピストルスコープがベンチリブに搭載され、アルミ製アタッシュケースに入った状態で限定販売された。通常の8インチモデルは銃身の刻印が他モデルと同じ"PYTHON 357"だが、スコープ付モデルのみ刻印が"PYTHON HUNTER"となっている[3]。
コルト・コンバットパイソン
1980年代後半に登場したパイソンの3インチモデル。S&W社やスターム・ルガー社などのライバル会社が生産している3インチリボルバーに対抗して発売された。また、カリフォルニア・ハイウェイ・パトロール[4]が注文し、同モデルをベースにして生産された「パイソン・カリフォルニア・コンバット」というモデルも存在するとされている。
コルト・ダイアモンドバック
1966年に登場したパイソンの廉価版にあたるモデルで、名称の由来はガラガラヘビの一種。.38スペシャル弾専用で.357マグナム弾は使用できない(強度の問題、及びマグナム弾は薬莢も含めた全長が通常弾より長いので納まらない)。パイソンのようなロイヤルブルーフィニッシュではなく、普及品の仕上げとすることで生産コストを低くした。銃身長は2.5インチ、4インチ、6インチがあり、その他に.22LR弾を使用するモデルも存在する。
S&W M19・M586とコルト・パイソン
パイソンに比べるとS&W社のM19やスターム・ルガー製拳銃は安価であり、高価なパイソンは公的機関での採用例は少なかった。当時の熱処理技術では、.38スペシャル用として設計されたKフレームを使用するM19は.357マグナム弾使用時には耐久性の問題があったが、熱処理技術の改良やLフレームのM586などの開発などによりこの問題点が解決され、また、コルト社製品の質が全体的に落ちてきたこともあってユーザーが他社の製品に流れていった。なお、コルト社がダブルアクション・リボルバー生産から撤退した後も、1998年頃から2003年頃まで受注生産品として「コルト・パイソンエリート」の名で発売されていた。現在のところ、2005年に仕上げられた50周年記念モデルが最後のパイソンであるが、今後も何らかの記念モデルが限定発売として復活する可能性があるという。
登場作品
映画・テレビ映画 ・ドラマ
- 『GTO』
- 第10話にて鬼塚英吉が強盗に入ったときに持っていた。6インチモデルを使用。
- 『Gメン'75』
- ごく初期にGメンメンバーの他、私服警官がダイアモンドバック2.5インチモデルを使用。
- 『SUPER8/スーパーエイト』
- 保安官が所持。
- 『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』
- 吉川州(きっかわ しゅう)が使用。ホルスターを使わずズボンのベルトに差した状態で携帯。
- 『アウトレイジ (2010年の映画)』
- 加藤が4インチモデルをベレッタM92とともに所持、使用している。大友組崩壊後、山王会へあいさつに来た小沢を殺す際に使用。(直後に関内をベレッタM92で射殺)また、大友組の構成員も、2.5インチモデルを所持しており、グバナン大使に闇カジノを開くように命令する際にも使用(発砲なし)。
- 『あぶない刑事』
- ユージこと大下勇次刑事(柴田恭兵)がテレビ『もっとあぶない刑事』から映画『もっともあぶない刑事』まで2.5インチモデルを使用。『まだまだあぶない刑事』では町田透(仲村トオル)が4インチモデルを使用した。
- 『アローン・イン・ザ・ダーク』
- 主人公のクリスチャン・スレイターが6インチモデルをサイドアームとして使用。
- 『ウォーキング・デッド』
- 主人公リック・グライムズが使用。
- 『仮面ライダークウガ』
- 一条と杉田が、対未確認生命体用に6インチモデルを携帯していたが、未確認生命体には効果がなかった。しかし終盤において特製の神経断裂弾が開発されると、未確認生命体第47号(ラ・ドルド・グ)を射殺、未確認生命体B群1号、ラ・バルバ・デを海に叩き落すといった戦果を挙げている。また、ペガサスフォーム(緑のクウガ)に変身するためにクウガが借り受け、ペガサスボウガンに変形させて使用した。
- 『グライド・イン・ブルー』
- 主人公ジョン(ロバート・ブレイク)が4インチモデルを使用。
- 『刑事スタスキー&ハッチ』
- 主人公の一人、ハッチンソン刑事(デヴィッド・ソウル)が6インチモデルを使用(最初の数話のみ4インチを使用)。
- 『警部』
- ボロウィッツ警部(ジャン=ポール・ベルモンド)が6インチモデルを使用。
- 『ゲッタウェイ』
- ルディ・バトラー(アル・レッティエリ)が6インチモデルを使用。
- 『西部警察』
- 鳩村英次刑事(舘ひろし)がpart2より4インチのPPCカスタム(銃身などを変更した精密射撃競技用機種)を、沖田五郎刑事(三浦友和)がpart2後半よりノーマルタイプの4インチモデルを、松田猛刑事(寺尾聰)がpart1のある回で6インチモデルを使用した。
- 『ダーティハリー2』
- ジョン・デイヴィス、マイク・グライムズ、フィル・スイート、レッド・アストラカンの悪人警官4人組が使用していた。他にも一部警官やハリーの相棒アーリー・スミス、上司のニール・ブリッグス警部補も使用していた。
- 『ダーティハリー3』
- ハリーの相棒ケイト・ムーア刑事がダイアモンドバックを使用。
- 『大捜査線』
- 加納刑事(杉良太郎)が6インチモデルを使用。
- 『大追跡』
- 矢吹史郎刑事(沖雅也)が6インチモデルを使用。
- 『大都会 闘いの日々』
- 黒岩頼介刑事(渡哲也)がダイアモンドバック2.5インチモデルを使用した回がある。
- 『太陽にほえろ』
- 原昌之刑事(ジプシー、三田村邦彦)が2.5インチを使用。竹本淳二刑事(ラガー、渡辺徹)が4インチモデルを使用した。
- 『噂の刑事トミーとマツ』
- マツが4インチモデルを使用。
- 『ハード・トゥ・キル』
- 主人公の親友・オマリー元刑事が4インチモデルを使用。
- 『バトルロワイアル』
- 男子17番、沼井充の支給武器。
- 『ブラック・レイン』
- 主人公ニック・コンクリン刑事が2.5インチモデルを使用。
- 『ブラニガン』
- 主人公ブラニガン(ジョン・ウェイン)がダイアモンドバック4インチモデルを使用。
- 『ブリット』
- 主人公フランク・ブリット(スティーブ・マックイーン)がダイアモンドバックを使用。
- 『マジェスティック』
- フランク・レンダ(アル・レッティエリ)がダイアモンドバック4インチモデルを使用。
- 『マックQ』
- 主人公マックQ(ジョン・ウェイン)が4インチモデルを使用。
- 『真夜中の刑事』
- イブ・モンタンが演ずる刑事が4インチモデルを使用。
- 『蘇える金狼』
- 映画版で主人公の朝倉哲也(松田優作)が4インチモデルを使用。テレビドラマ版で甘木が使用。また、後者の最終話では甘木が倒れた後に朝倉が譲り受け、茂義賀津夫との最終決戦に臨んだ。
- 『ゴリラ・警視庁捜査第8班』
- 伊達健 (舘ひろし)がS&W M19のフレームに、4インチのパイソンの銃身をつけた、スマイソン(スモルト)を使用。グリップもパックマイヤー・ラバーグリップ(フィンガーチャンネル付)→ビルジョーダン・コンバットグリップ→パックマイヤー・ラバーグリップ(ストレートタイプ)の順で変更されている。
漫画・アニメ
- 『GTO』
- 2巻で冴島が署の押収品倉庫から盗んで使用。
- 『JESUS 砂塵航路』
- 主人公のジーザスが使用。
- 『アイウエオボーイ』
- 主人公、暮海猛夫が使用。
- 『アキハバラ@DEEP』
- 3巻の表紙。
- 『エンジェル・ハート』
- 冴羽テンプレート:補助漢字フォントが使用。
- 『コブラ』
- サイコガンとともにコブラが使用。カスタム品でパイソン77マグナムと呼ばれている。
- 『ゴルゴ13』
- 「未来予測射撃」で、ゴルゴのライバル、ジョン・スミスが357マグナムを使用。
- 『ザ・ゴリラ』
- 主人公、姿雄一刑事がジャガーと呼ばれるスナイパーとの対決で使用。後に相棒である森本理代子刑事の愛用銃となる。
- 『ジーザス』
- 主人公、ジーザスがコンバット・パイソンを使用。グリップを特注のクルミ材に代え、射撃時の反動を押さえている。
- 『ジェニー・シリーズ』
- 主人公、ユージェニー・ヴィクトリア・スミスが6インチモデルを使用。
- 『シティーハンター』
- 主人公の[[冴羽獠|冴羽テンプレート:補助漢字フォント]]が4インチモデルを使用。
- 『ドリームハンター麗夢』
- 主人公、綾小路麗夢が6インチモデル.44口径を使用(.44口径は製品化されていないため、コルト・アナコンダの可能性もある)。
- 『日常』
- アニメ版第一話で立花みさとが4インチモデルを使用。
- 『魔人探偵脳噛ネウロ』
- デイビッド・ライスが使用。
- 『未成年J』
- 『闇のイージス』
- ジーザスが使用。
- 『遊戯王』
- バンデット・キースがロシアンルーレットに使用。
- 『ルパン三世』
- 第66話「射殺命令!!」にてビューティが試作に終わった.44口径モデルを使用。また、第155話「さらば愛しきルパンよ」にて偽次元が使用。※銃だけは本物だなと次元が口にしていることから間違いの可能性あるが、アップで映る時の銃は、M19にはないベンチリブとフルラグがついた4インチの銃身と、フレームについているシリンダーをスイングアウトさせる為のラッチがコルト社独自の形状で描かれていて、どう見てもパイソンである。
- 『ワイルド7』
- オヤブンが6インチモデルを使用。
ゲーム
- 『Alliance of Valiant Arms』
- サブ武器として登場 名前は「Python.357」。
- 『Gungrave』
- ビッグ・ダディが使用。
- 『Phantom -PHANTOM OF INFERNO-』
- アインが4インチモデルを使用。
- 『TrueCombat:Elite』
- 『暁の護衛』
- 『怪盗ロワイアル-zero-』
- 「.454マグナム」の名称で登場。
- 『グランド・セフト・オートシリーズ』
- 『VC』、『VCS』『LCS』に登場。
- 『コール オブ デューティ ブラックオプス』
- 『コール オブ デューティ ブラックオプス2』
- ゾンビモードにのみ登場。
- 『シークレットゲーム CODE:Revise』
- 黒河正規が使用。
- 『ハーフライフ2』
- 主人公のゴードン・フリーマンが使用。
- 『バイオハザードシリーズ』
- 『初代』、『CODE:Veronica』にて登場。
- 『メビウスオンライン』(オンラインゲーム)
- 20XX年代の汎用武器として使用可能、8インチモデルだがピストルスコープは装着されていない。
小説
- 『大久保町の決闘』
- 『特殊防諜班シリーズ』
- ヨセレ・ザミルが使用。
- 『バトルロワイアル』
- 『緋弾のアリア』
- 車輌科の武藤剛気が使用。
- 『羊たちの沈黙』
- バッファロービルが6インチ、シルバーモデルで38sp弾を使用する。
- 『零崎軋識の人間ノック』
脚注
- ↑ 月刊Gun・本銃が特集されている回から出典
- ↑ 別名としてフルレングスアンダーラグ仕様、略称としてフルラグ銃身とも呼ばれる
- ↑ 販売時期がコルト社の製品全般の品質が低下していた時期と重なっており、月刊Gunの特集記事で取り上げられた個体はフロントサイトやリコイルシールド周りの仕上げが極めて劣悪で、さらには銃身延長によって期待された命中精度も、レポーター所有の6インチモデルに及ばないとされていた
- ↑ アメリカ合衆国の警察#ステート・ポリスを参照