ゲイツ (ガンダムシリーズ)
テンプレート:Pathnav ゲイツは、テレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』シリーズに登場する、モビルスーツ(MS)に分類される架空の兵器の一機種。
本項では、続編及びメディアミックス作品に登場する派生機についても解説する。
機体解説
テンプレート:機動兵器 ジンの後継主力機として開発された機体。クルーゼ隊が地球連合軍から鹵獲したGAT-Xシリーズの技術が導入されており、ジンでは大型の特殊オプションだったビーム兵器を大幅に小型化した上で標準装備している。
総合性能においてもジンやシグー、そして当時の地球連合軍主力MSストライクダガーを凌駕する。基本設計の優秀さからドレッドノート以降のNJC(ニュートロンジャマーキャンセラー)搭載型核駆動MSの開発母体ともなり、実際にドレッドノートのアグレッサー機にもなった。
従来、ザフトのMS開発は複数の設計局が各々割り当てられた機種ごとに担当していたが、本機はMMI(マイウス・ミリタリー・インダストリー)社をリーダーカンパニーとし、主だった他の設計局をまとめた統合設計局により開発されている。
元々ゲイツの基本設計は比較的早期に完了していたが、GAT-Xシリーズからの技術導入が決定したことで急遽設計案の修正を迫られ、従来案との擦り合わせに更なる期間を要した。結局本格的に配備されたのは、大戦も末期のボアズ攻防戦前後のことであった[1]。
正式配備に先駆けて少数が生産され、実戦データ収集を兼ねて指揮官やエース級のパイロットに与えられた。
武装
- MMI-GAU2ピクウス 76mm近接防御機関砲
- 頭部に2基内蔵される近接防御機関砲。ザフトの汎用量産機としては初の固定火器。
- MA-M21G ビームライフル
- マティウス・アーセナリー社製の制式ビームライフルで、MA-M20の量産発展型。ザフトの量産機としては、初めて機体側からの電力供給方式を採用している(内蔵電源型ではジンのバルルス改が初)。出力などの基本性能はGAT-Xシリーズのライフルとほぼ同等。
- また、『SEED』第45話ではクルーゼの搭乗するシグーが重突撃機銃と持ち替えて本器を使用していた。
- MA-MV03 2連装ビームクロー
- 対ビームシールド先端に内蔵された接近戦用武装。その名の通り爪状に湾曲した2本のビーム刃を出力し、装備を持ち替えることなく迅速に格闘戦へと移行できる。その設計思想はドレッドノートやプロヴィデンスの複合兵装防盾システムへと受け継がれた。
- GAT-Xシリーズが鹵獲される以前の案では純粋な盾として設計されていた。なおこれと似た事例として、後期生産型で口吻部にビームサーベルが追加されたバクゥが挙げられる[2]。
- エクステンショナル・アレスターEEQ7R
- 両腰部に設置されるビーム砲内蔵型ロケットアンカー。ブリッツのグレイプニールから着想を得た装備で、エクステンショナル(延長する)アレスター(捕縛)の名の如くアンカーを敵機へ射出・捕捉後、ゼロ距離射撃による確実な撃破を目的とした装備。砲の射程距離は極めて短く、実際の用法は刺突用のビームスパイクに近い。地球連合軍の量産機がPS(フェイズシフト)装甲を採用していることを想定して追加装備された。
- その特異性から近接戦闘で敵の意表を突くには有効だが、ケーブル長の限界による射程制限や使用タイミングの見極めの困難さなどからパイロットの不評を買い、戦後改修型であるゲイツRではより扱いが容易なレールガンへと変更された。
専用機・パーソナルカスタム機
- ラウ・ル・クルーゼ機
- シルバーグレーに塗色されているが、この配色機については大半の資料や関連ゲーム作品でも「指揮官機」と「クルーゼ専用機」の解釈で二分しており統一されていない。
- 『GGENERATION PORTABLE』では微妙に陰影の濃さを変えて前述2機種のシルバーグレー機を共演させているため、計3機種(一般機・指揮官機・クルーゼ機)で存在している。
備考
- 機体のデザインは2003年に開催した「機動戦士ガンダムSEEDメカコンテスト」で最優秀作品に選ばれた原案MS「アラウクネ」を基に、メカニックデザイナーの大河原邦男がクリンナップしたもの。
- プラモデルでは「モビルジン」などとは異なり「モビルスーツゲイツ」になっているが、これは『∀ガンダム』の模型展開時から取られるようになった「モビル○○」の文法だと商標登録の問題で「ビル・ゲイツ」とバッティングするおそれがあるため、予め商品名にバンダイグループの所有商標「モビルスーツ」を含ませて不測の事態を回避しようとした措置である。
火器運用試験型ゲイツ改
テンプレート:機動兵器 ジャスティス、フリーダム用の各種火器の評価試験を目的に製造された実験機。C.E.71年2月中〜下旬頃に完成した[1]。
背部にはジャスティスに実装されたファトゥム-00の原型になったリフターを装備しており、各種武装もジャスティスやフリーダムとほぼ同種のものを装備している。また、装甲にはザフト製MSとしては初めてPS装甲を採用している。
本機はNJCの実用化以前に開発された機体であり、動力は既存のバッテリーパックを搭載している。搭載武装の火力は設計陣を充分に満足させるものであったが、PS装甲を併用した際の活動時間は最長でも5分に満たない。活動時間延伸の苦肉の策としてリフター内部に補助パワーパックが増設されたが、それでも活動時間は10分程度であり開発目的上実戦投入は想定されていなかった。
「スペシャルエディション完結編 鳴動の宇宙」では『SEED MSV』の解説に倣ったヤキン・ドゥーエ上に留まってのバッテリーケーブル直結機がアスランとカガリらが要塞内部に侵入しようとする際に新規カットで登場し迎撃を行った。HDリマスター版FINAL PHASEにもこのカットが流用される形で登場している。
高山瑞穂の漫画版『SEED DESTINY』におけるヤキン・ドゥーエ宙域戦プロローグでは上述の固定砲台運用機とは全く別の機体が単機出撃し、モーガン・シュバリエ駆るガンバレルダガーからジェネシスを守るため交戦した。
ゲイツR
テンプレート:機動兵器 ゲイツの戦後改修型。型式番号のRは、「Reinforce=強化する」を意味する。バックパック側面の推力偏向スラスター2基が撤去され、腰部背面に3基のスラスターが増設されている。機体も軽量化され、機動性・運動性の向上が計られている。武装は使い勝手に難のあるエクステンショナル・アレスターを廃止し、中距離戦での威力と取り回しに優れたレールガンへ変更されている。
ザクシリーズの本格量産までの繋ぎとして就役し、数年間ザフトの主力を担ったが、より高性能なザクウォーリアをはじめとするニューミレニアムシリーズの量産・配備によって相対的に旧式化し、各地で機種転換が進められた。一部の機体はザフト脱走兵などで構成される反地球連合やプラント穏健派勢力へ横流しされ、各地のテロやゲリラ活動に使用された。
なお、「スペシャルエディション完結編 自由の代償」で追加されたエピローグには、ボディに金色のラインのような装飾が施された専用機らしき残骸が確認できる。
武装(ゲイツR)
- MA-MV05 複合兵装防盾システム
- 600型に採用されたMA-MV03のビーム刃発生器を1基のみとした装備。ただし、ビームクローはビームサーベル発生器に変更され、総合的な格闘能力はむしろ向上している。
- MMI-M20SポルクスIV レールガン
- 取り回しに難のあったエクステンショナル・アレスターに代わり装備された、両腰のレールガン。フリーダムの「クスィフィアス」の系列モデル。ポルクスとはラテン語でギリシア神話の英雄「ポルックス」の意。