クロスボーン・ガンダム

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テンプレート:Pathnav クロスボーン・ガンダムは、漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム』に登場する架空の兵器。

宇宙海賊クロスボーン・バンガードが使用するモビルスーツ (MS) で、4機が建造された。

本項では各機のバリエーションや簡易生産型のフリントも併せて記述する。

クロスボーン・ガンダムX1

テンプレート:機動兵器 クロスボーン・ガンダムシリーズ1番機。型式番号は「XM-X1」となっているが、開発がサナリィであることを偽装するために付けられた番号であり、開発元での形式名は「F97」。

なおクロスボーン・ガンダムはサナリィが実戦データを収集するために配備したものであるため、それを条件にサナリィからの補給を受けている。そのためザンバスターやABCマント、ブランドマーカー等の大半の武器は正式な武装ではなく実は実験武器であり、正式の武装はX1からX0までに共通する内蔵武器及びビームサーベルのみである。これは他の機体も同様。

メインパイロットはキンケドゥ・ナウ(シーブック・アノー)。

木星圏での運用を念頭に置いた開発が当初よりなされており、事実上地球圏で開発された初の外惑星対応型MSである。

木星の高重力に対応するために、開発においては大出力推進器の装備が必要不可欠となったが、機体各部に姿勢制御用のバーニアを配置する従来型の設計では、機体の大型化により必要な推進力が得られなくなる問題が生じてしまうことが判明した。この問題の解決策として、背部に大型の可動式スラスターを配置し、これを利用して必要に応じて推進ベクトルを変更することで姿勢制御を行うとする設計案が立案・採用された。 この可動式スラスターは、鹵獲・回収されたビギナシリーズのフィン・ノズルや、ベルガシリーズのシェルフ・ノズルの技術をサナリィが取り入れ、それを独自に発展させたものである。 木星の高重力に対応しているために、容易に1G以上の重力の影響を振り切ることができ、結果、地球大気圏内では、スラスターの推力のみでの単体飛行を可能としている。

運用側のクロスボーン・バンガードでは、当時の対MS戦においてはビームシールドなどの普及により、射撃戦は効果が低いと考えられていた。また、彼らの指導者であるベラ・ロナの意思により、「敵パイロットを極力殺傷しない」と云うポリシーの元での戦闘をも意識していた。そのため、本機は彼らのこうした戦闘思想を満たすべく、接近戦をより重視した設計が行われている。

本機では、コクピット部分が分離して脱出ポッド兼用の軽戦闘機「コア・ファイター」となるコア・ブロック・システムを導入している。コア・ファイターのドッキング方式は、クラスターガンダム (F90IIIY) と同様のホリゾンタル・イン・ザ・ボディ方式を採用している。

前述の可動式スラスターは、本機のメインスラスターであると同時にコア・ファイターのスラスターも兼ねる構造となっている。そのため、本機のコア・ファイターの推進力は、元々、木星大気圏内での運用を考慮しているだけに、単なる機動兵器のものとしては破格なまでに強大である。また、このスラスターの持つ特性(AMBAC作動肢としての利用が可能)により、宇宙戦闘機としては、速度・運動性共に非常に高い性能を持つ。対して、地球大気圏内においては、強大な推力に任せての飛行こそ可能であるものの、航空力学を考慮していないその形状のため、速度はともかく、運動性には全く期待できない。

また、本機のコア・ファイターには機体下面にシザースアームが装備されており、単純な貨物運搬も可能である。作中ではキンケドゥのX1に対し、ベラがこれを用いてブランド・マーカーとビームサーベルを補給する場面がある[1]

本機デザインの特徴の一つである、頭部の骸骨の装飾は、宇宙海賊を自称するクロスボーン・バンガードによって行われたハッタリの為のものであり、技術的な意味合いはない。この点に関しては、ウモンのアイディアだと語られている[2]

武装
ザンバスター
ビームピストル「バスターガン」、粒子加速式ビームサーベル「ビームザンバー」の2種類の武器に分離する特殊武器。
通常、腰部両側面のウェポンマウントに分離状態で、右側にバスターガン、左側にビームザンバーがそれぞれ1基ずつ装備されている。
結合時はビームライフルとして機能する他、先込め単発式のグレネードランチャーとしての機能も持ち、核弾頭を含む各種弾頭の射出が可能。
バスターガン
ザンバスターの照準器銃身フォアグリップを構成するビームピストル。形状は海賊のイメージにふさわしく古式拳銃に似るが、トリガーガード様のパーツはない。
分離形態であるだけに、威力はザンバスターより劣る。
ビームザンバー
ザンバスターのグリップおよび銃床を構成する粒子加速式ビームサーベル。「ザンバー」の名前の由来は「斬馬刀」から。バスターガンと同じく、その形状は海賊を連想させるカットラスに似る。
元々の出力が高い上に、ビームの粒子を縦方向に加速してさらに威力を高めている。その結果、通常のMSが装備するビームシールドやビームサーベルごと、本体を斬り裂くことのできる威力を持つ。
接近戦用兵装である本装備が圧倒的高性能を有しているのに対し、通常考えれば同位置にあっておかしくないはずの、ザンバスターおよびバスターガンは、共に射撃用兵装としては特筆できる程の高性能を持っていない。これは、本機が運用側の戦闘思想により、接近戦を重視した代わりに遠距離攻撃力にそれほど重きを置かなかったためである。
グレネード弾
MSが扱う通常のグレネード弾である。ザンバスターの銃口にはめ込み、その後に発射する。
核弾頭グレネード弾
本装備品ではなく奪取した核弾頭を小型化した上で、ザンバスターで射出できるよう規格化したもの。木星帝国との決戦時に使用され、構造上の弱点に撃ち込む事で木星帝国の巨大母艦ジュピトリス9を破壊した。
ビームサーベル(ビームバルカン、ビームガン)
コアファイターの機首部ビームガンを、そのままビームサーベルとして転用している。
左右肩部(コクピット上部両側面)に各1基ずつ、合計2基が装備されている。
本機の手に持たせることでビームサーベルとして機能するが、装備状態のままビームガンとしての使用も可能である。劇中ではビームとビームバルカンの撃ち分けをしている。
ブランド・マーカー(ビームシールド)
X字状に配置された4本のスリットから発振されるビームで、四角錐状のビーム刃を形成するビーム発振器。
両腕前腕上部上面に各1基ずつ、合計2基が装備されている。
通常、ビーム発振部を拳の前に回し、メリケンサックのように敵をそのまま殴りつける攻撃方法が採られるが、発振部を定位置に固定したまま、裏拳のような攻撃を行うこともできる。
また、ビームの展開方法を変更することで、ビームシールドとしても使用できる。シールドは組み合わせたビーム刃の先端から展開するため、ビーム発振部を露出させることなくシールドを展開させられる。
本装備基部は、F91同様に稼働状態を保ったまま機体から分離させることも可能。作中、キンケドゥはこれを利用し、ハリソン専用F91から放たれたヴェスバーのビームを、分離させた2基のビームシールドとビームザンバーを組み合わせることで、ほぼ相殺した(だが、メインカメラは少なからぬダメージを受けた)。
シザー・アンカー
左右腰部前面装甲がそれぞれ変形し、敵を捕獲・拘束するシザース(ハサミ)となる。
また、基部にはチェーンおよびウィンチが装備されており、シザースを射出することで離れた場所の敵に対しても使用可能。
そのほかにも作中では、投げた武器を掴む、足場に打ち込み機体を固定する、など様々な使い方をされている。
ヒートダガー
脚部スラスターで発生した余熱により刀身を赤熱化させ対象を溶断する、小型の実体
左右脚部の内部に各1本ずつ、合計2本が装備されている。
通常使用時は人間で言うところのふくらはぎの部分から柄を持って取り出すが、緊急時や奇襲攻撃の際には足の裏、土踏まずの部分から高速で射出する事もできる。
また、刃の部分だけ足の裏から出した状態で、敵を蹴りつけるようにして攻撃することも可能。
形状的にはハンドガード付きのサバイバルナイフもしくはバヨネットに似る。
バルカン砲
両側頭部に各1門ずつ、合計2門が装備されている。
口径は不明。
腰部ハードポイント
使用しない武器を固定したり、クロスボーン・ガンダム本体から直接エネルギーを供給することも可能な兵装である。F90の様なハードポイントとは違い、ハードポイントと接続パーツとの接続部分ではない部分が回転軸なために、接続パーツの部分に実質負担がかからない設計になっている。VガンダムV2ガンダムの腰部ハードポイントと類似した形状である。
A.B.C.マント (Anti Beam Coating Mantle)
巨大な布状をした、対ビーム兵器用追加装甲。
人間が使用するものと同じくマント状に装備され、本機のほぼ全身を覆うことができる。本装備装着時にはX字の背部メインスラスターはマントの内側に折り畳まれて収納されているため、外から見ると象徴的なX字のシルエットは消えている。なお、一部の作品ではX字の背部メインスラスターがマントの外に露出している。
同一箇所へのビーム耐弾性能は、キンケドゥ曰く「平均で5発」とされている。しかし、あまりにも強力なビームの場合はその限りではなく、本装備ではF91のヴェスバーのビームを完全に防ぐことはできなかった(作中において、ハリソン専用F91の放ったヴェスバーの直撃を背部に受けたX1は、機体自体に目立った損傷はなかったものの、その際に装備していた本装備は崩壊している)。
本装備は必ずしもクロスボーン・ガンダムの専用装備という訳ではなく、クロスボーン・バンガードのゾンド・ゲーにも使用されていた。ただしゾンド・ゲーの場合は背部メインスラスターとの干渉により全身に装備することができず、腰部から脚部へかけてスカート状に装備し、部分的な増加装甲としての使用に留まっている。
作者によると、ケレン味の付与とMSの前面を隠して作画を省くために考案したとのこと。
その他
同系列の機体であるガンダムF91と同様に本機でもフェイスカバーを解放した強制排熱が行われるが、最大出力稼動時のみだったF91とは違い、本機の場合は通常の運用時でも頻繁に行っていた。
これは本機が接近戦重視の運用を考慮して機体装甲を厚くした上に、近接戦闘という運用上弱点となる胸部廃熱ダクトの面積を最低限に抑えたことにより機体温度が上昇しやすいためである。
作中、キンケドゥはこれを利用し、X2のヒートダガーを文字通り食い止めた[3]ことで、宿敵ザビーネに対し勝利を収めている。
『鋼鉄の7人』にてバイオコンピューターが搭載されていることが明かされている。劇中はオリジナルのF91の様に作用している場面は無く、量産型F91と同様にパイロットの補助をするシステムとして作用していると思われる。
劇中の活躍
木星における実戦テストのため、X2と共に秘密裏に宇宙海賊クロスボーン・バンガードに供与され、主にキンケドゥ・ナウが使用した。
死の旋風隊との戦闘で中破した後修理を兼ねて改修され、木星帝国側に寝返ったザビーネ・シャルのX2と交戦。本機は頭部を破壊された上にコックピットブロックを貫かれ、大気圏へと落下。しかしキンケドゥは機体が破損している上、自身も瀕死の重傷を負っているにもかかわらずブランド・マーカー(ビームシールド)を用いて奇跡的とも言える大気圏突入を成功させる。
史上初めてビームシールドによる大気圏の突入を果たしたMSとなった同機は再度修復され、重傷から復帰したキンケドゥと共に地球圏での木星帝国との最終決戦で活躍する。戦後はトビアとベルナデットに渡され、コロニー間に争いが起きたり、合法的手段で解決できない問題が発生した際に姿を見せて戦う。その際に、胸にドクロのレリーフをつけたため、その姿から「スカルハート」という通称で呼ばれ、コロニー市民や連邦軍に知られることとなる。
その後、『鋼鉄の7人』で新生木星帝国との戦いに投入される。海賊軍事実上唯一の稼働戦力として活躍。「神の雷計画」阻止のため、海賊軍に呼応した木星帝国残党や連邦軍人を加えた混合戦力の中核となった。幾多の犠牲を払ってコロニーレーザー破壊に成功するが、爆発の余波を受け溶解、そのまま遺棄された。

クロスボーン・ガンダムX1改

テンプレート:機動兵器 シザー・アンカー2基の代わりにスクリュー・ウェッブを2本装備するX1の改修機体である。

X1自体の変更はあまりなく、「改」とは付いているものの、実質的には武装を変更しただけの機体である。なお、これ以降のX1のバリエーションもX1本体の性能向上は行われておらず(少なくとも劇中ではそのような描写はない)装備の追加、変更による強化にとどまっている。

後腰部の左右のアーマーにスクリュー・ウェッブのグリップが格納されの部分を引き出して使用する。鞭の収納にはシザーアンカーの鎖を収納していたスペースを用いているためにシザーアンカーは使用できなくなっている。

スクリュー・ウェッブ
ドリル状の先端を高速回転させる事で貫通能力を高めた鞭。腰部後面装甲内部にそれぞれ1基ずつ計2基装備している。死の旋風隊所属のMS、クァバーゼの武器、スネークハンドに対抗するため、マザー・バンガードの技師長によって考案・作成された。「接近戦における武器のリーチが足りないなら、よりリーチが長い武器を装備すれば良い」という単純かつ明確な発想によるものである。性能はスネークハンドには遠く及ばないものの、リーチの面から同装備に対する牽制では充分役立つ武装であり、最終的には前述の技師長の言の通り僅かなリーチの差が功を奏し、クァバーゼの撃破に至っている。また、耐ビームコーティングが成されているのかスネークハンド先端に発生していたビーム・ソーに触れても切断されなかった。


クロスボーン・ガンダムX1改・改(スカルハート)

テンプレート:機動兵器スカルハート』に登場。木星戦役後、キンケドゥからトビアへ譲り渡されたX1改に、更に改修を施した機体。

スカルハートというのは胸にドクロのレリーフをつけたガンダムを見た民間人が誰ともなしに呼んだ通称。合法的手段では解決できない問題がコロニー間に発生した際、どこからともなく現れ戦う。普段は上半身に外装をかぶせて、ブラックロー運送所属の作業用MSに偽装されている。

胸部のクロスボーン・バンガードの紋章は消され、X3と同様のドクロのレリーフが付けられた。ガトリング砲は装備されていない。さらに前腰部右アーマーにシザー・アンカーを、後腰部左側にスクリュー・ウェッブを装備した。

初出は長谷川裕一の個人サークル「スタジオ秘密基地」が2000年12月に発行した同人誌『長谷川裕一ひとりスーパーロボット大戦 大外伝1』。なお、こちらではスクリュー・ウェッブが後腰部右側に、シザー・アンカーが前腰部左アーマーに装備されている。

ピーコックスマッシャー
ボウガンのような形状の手持ちのビーム銃。通常型のビームライフルに8器のビーム砲を装備した弓状部分を組み合わせてあり、9方向にビームを一斉発射することで広範囲の敵を攻撃する。これはサナリィの純正装備ではなく、クロスボーン・バンガードがあり合わせのパーツで作り上げた急造品である。弓部分のビーム砲は何発か撃つと完全にエネルギー切れになり、パーツごと交換する必要がある。なお、ピーコックとは「孔雀」の意。


クロスボーン・ガンダムX1パッチワーク

テンプレート:機動兵器鋼鉄の7人』に登場。月面での対コルニグス戦で中破したスカルハートをX3の予備パーツで修理・改修した機体。右肩、頭部とカラーリングを除けばほぼX3といっても過言ではない。なお機体名のパッチワークは、X1とX3のパーツ構成がさながら「つぎはぎ状態」なっていることに由来。

また、新たな武装として地球連邦軍のMSが装備しているアンカーシールドをハリソンから拝借する形で貰い、パッチワークの左腕に装備している。

破壊された両腕部と胸部をX3の物に交換しており、ビームシールドおよびブランドマーカーは使用できなくなった代わりにIフィールドが使用可能になり、胸部のドクロの目の部分に仕込まれたガトリング砲も使えるため戦力的には向上している。前腰部右アーマーにシザー・アンカーを1基、後腰部左側にスクリュー・ウェッブを1基装備したままである。

アンカーシールド
連邦軍のMSが使用する装備。釣り針の様なフックがワイヤーに繋がり伸縮自在に伸ばすことが出来る。また、の役割も出来るために実体弾を弾くことも可能だが、面積は小さい。腕部Iフィールド発生器のカバーの上に装着されるが、カバーの開閉を妨げることは無くIフィールドは問題なく使用できる。元々はスペースデブリの回収用にMSへ装着されることを目的にしているため、本来は作業用の装備であって戦闘用ではない。盾の部分もふいにデブリが衝突した際の防御に使用することを想定している。


クロスボーン・ガンダムX1フルクロス

テンプレート:機動兵器 『鋼鉄の7人』に登場。フルクロス (Full Cloth) と呼ばれる強化パーツを装着した形態で、本編におけるX1の最終仕様。

グレートキャニオンでの戦闘で破損した腕部をフリントのパーツを利用して修復。その際に対ビーム防御用ユニット・フルクロスを装着し、カラーリングはX1本来のものに戻された。胸部のガトリング砲を除けば、本体の機体仕様はパッチワーク以前に戻されている。また修理の際に残存する予備パーツを全て使用した為に、事実上「最後のクロスボーン・ガンダム」となった。両腕はフリントの物を利用し、ブランドマーカー兼ビームシールドに戻され、予備部品として残されていたX3用の腕部Iフィールドジェネレーター4基を改修してフルクロスのスカルヘッドとして両肩の1つの部品として使用される。また、X1は幾度もの戦いを経ているため、『鋼鉄の7人』作戦が実行された時点では新造されたフルクロス以外傷だらけである。

手持ちの武器としてはスカルハートが使用したピーコックスマッシャーと、X3が使用したムラマサ・ブラスターを装備する。

ムラマサ・ブラスター
X3が使用するものと同一の武装。詳しくはX3の項目にて。
フルクロス
フルクロスは、ABCマントを積層化し特殊加工を施したパーツとIフィールドジェネレータ内蔵のショルダーアーマー・スカルヘッドユニットで構成され、対ビーム防御の向上を目的としている。
A.B.C.マントはその特殊性とコストを理由にサナリィからの供給が絶たれていた為に残存した切れ端等を掻き集めた物が利用された、積層化した事と機能を分散させた構造によって耐弾性は向上した。
初期のプランでは装甲内部に収納式のヒートカッターを装備する予定だった。本ユニットは胴体と肩部アーマーに取付ける形で装着し腕部の武器の使用や背面のメインスラスターに支障がないように可動軸や装着方法がとられている。
スカルヘッドユニット
スカルヘッドユニットは、X3用の部品を流用したIフィールドジェネレーターを左右合計で4基内蔵し広範囲のビーム防御が可能で、左右4基のIフィールドジェネレーターを利用することにより、エネルギーが続く限りという制約と防御範囲が狭くなるといった問題はあるものの、使い方次第でIフィールドを常時張り続けられる。シンヴァツからの脱出時の光のカリストとの戦闘で、トビアはとっさの思いつきでナックルガードとしても使用している。
玩具について
GUNDAM FIX FIGURATION (G.F.F.)」とプラモデルマスターグレード (MG)、 ROBOT魂(SIDE MS) が発売されている。G.F.F.はX3のコンバージョンとしてX1改・改とフル・クロスへの換装が可能なパーツが付属し[4]、MGでは漫画版をイメージした頭部が付属、ROBOT魂にはIフィールド発動をイメージしたエフェクトパーツが付属する。武装については、ROBOT魂はピーコックスマッシャー、ムラマサ・ブラスターが付属し、他2種はそれ以外にビーム・シールド用クリアパーツが付属している。なお、ROBOT魂はフルクロスのほかにも、X1、X2改、X3が発売している。


クロスボーン・ガンダムX1フルアーマー

長谷川裕一が独自に設定した非公式のX1フルアーマーバージョン。

X1改・改に、メカニックに転向したウモン・サモンを中心としたスタッフが、サナリィの純正品ではない独自のパーツを装着させフルアーマー化したバージョン。左右の肩にジェネレーター付きアーマーを装備し、右手にジェネレーターと直結したサーベル兼ビーム砲のムラマサ・ハイバスターを持ち、左肩には肩から左腕全体をカバーするシールドと一体化した、大型のパイルバンカーを装着、膝にも同様の近接武器を装備、さらに頭部と胸に増設バルカン砲を装備し、フロントアーマーにはIフィールド発生装置を、そして後部アーマーにプロペラントタンクを装着している。本来は、装着したパーツを使い切ったものから次々と切り離し、本体を破損・消耗させないまま敵陣に突入させるというプランに基き製作されている。このバージョンは、同人誌『長谷川裕一ひとりスーパーロボット大戦 大外伝3』に登場する。

また、月刊ホビージャパン別冊『GUNDAM WEAPONS』にてマスターグレード クロスボーン・ガンダムX1 Ver.Kaを改修して造られた物が掲載されているが、前述の出自の事情により出典は明記されていない。


クロスボーン・ガンダムX2

本機の型式番号はXM-X2となる。前述の通り、この型式番号は偽装である。正しい番号はX1の項を参照。パイロットはザビーネ・シャルテンプレート:機動兵器 基本性能はX1と全く同一である。違いは、機体色がかつての「黒の戦隊」同様黒であること、メインの武装がショットランサー、バスターランチャーとなっていること、頭部の仕様が若干変更されており、ブレードアンテナの形状、頭部バルカン砲発射口とエアダクトのある頬部分のデザイン、フェイスマスクの形状が俗に言う「Z顔」になっている。しかし『機動戦士クロスボーン・ガンダム』の4話冒頭のバタラとの戦闘シーンでは、口にヘの字スリットが付いたX2も1コマながら確認できる。また、X1、X3に関しては頻繁にフェイスカバーオープンによる強制排熱を行う描写があるものの、X2の強制排熱の描写は本編中は1回のみ[5]。フェイスカバーオープンした場合は登場するゲームの違いにより赤色や金色といった描写の違いがある。

ショットランサー
ベルガ・ギロスの所有するショットランサーと外見上は同じ。
バスターランチャー
名称以外の詳細は不明。デザイン等からガンダムF90IILタイプの武装であるロングバスターランチャーと似た形状をしている。クロスボーン・ガンダムの腰のハードポイントからもエネルギー供給して威力を上乗せしたビームを放つこともできる。
劇中の活躍
本機はX1同様宇宙海賊クロスボーン・バンガードの主力として活躍していた。パイロットのザビーネ・シャルベラ・ロナを女王としたコスモ貴族主義の復活を目論んでいたが、木星決戦後に機体共々木星帝国へ寝返り、以降木星帝国によって運用されている。
その後、木星帝国からトビアが脱出する際に本機のコア・ファイターを奪取していったため、本機に残されたデータを元に再現されたものの(後述のX2改)、未知の機体に苦心した事とサナリィとの技術力の差もあり、完全な再現は不可能だったらしく形状が多少異なっている。主にスラスターが大型化しているが、性能は元の機体と同程度となっている。また、コア・ファイターによる脱出機能は失われている。X1・改を激闘の末、一瞬の隙を突き大気圏に叩き落とすなどの戦果を上げるが、最終決戦で奇跡の復活を遂げたX1・改とキンケドゥの前に完全に破壊される。


クロスボーン・ガンダムX2改

テンプレート:機動兵器 X2がコア・ファイターを失ったため、X2の本体に残されたデータと外部から推測された戦闘データを基に、木星帝国の技術で欠落した部分を補い復元させた機体。型式番号XM-X2ex。サナリィに比べ技術力が劣るため、背部のX字スラスターは推進力が変わらないまま大型化し、コア・ブロック・システムも再現出来ず、脱出は不可能となっている。

このとき木星帝国側に渡ったクロスボーン・ガンダムのデータは、後にアマクサ量産型クァバーゼの開発などに援用され、洗練された技術はコルニグスに応用される。U.C.0153年に存在する特殊部隊「サーカス」の「サウザンドカスタム」シリーズはクロスボーン・ガンダム同様の放熱機構を備えている。

X2が木星帝国に持ち込まれた際にはA.B.C.マントを装備していた。しかし、木星帝国側の勢力として戦闘する際にはX2(改)がA.B.C.マントを装備し使用する事はなかった。

木星帝国製バスターランチャー
木星帝国で製造されたバスターランチャー。バスターランチャーとの性能差など、名称以外の詳細は不明。

クロスボーン・ガンダムX3

本機の型式番号はXM-X3である。パイロットは主人公トビア・アロナクステンプレート:機動兵器 本機は他の機体と比較して構造的な違いはほとんどないが、武装面でいくつかの新技術が取り入れられており、実験機的な意味合いが色濃くなっている。X1、X2との主な相違点は以下の通り。

  • フェイスデザインの一部変更(ツインアイ上下の刺青部とサイコガンダム風のマスクデザイン)
  • 胸部前面装甲の強化、およびドクロ型レリーフの追加
  • ザンバスターの代替武装としてムラマサ・ブラスターを装備
  • ブランド・マーカー(=ビームシールド)の撤去
  • 両前腕部を新開発のIフィールド発生装置内蔵型に置換
  • 胸部コクピットハッチ上部にガトリング砲2門(口径不明)を追加装備

また『ゴースト』連載以前はF97の3番機とされてきたが、『ゴースト』でのX0の設定から本来の3号機ではなかったことが判明した。

  • 武装
    胸部ガトリング砲
    胸部コクピットハッチ上部にガトリング砲2門がドクロ型レリーフの目の中に装備されている。
    ムラマサ・ブラスター
    剣状の本体の外縁部に沿って、小型ビームサーベル(ビームザンバー)を合計14基並べた上、本体内部にブラスターガンを仕込んだ、接近戦・射撃戦の双方に対応したマルチウェポン。
    X3腰部右側面のハードポイントに装着される。理論上はサナリィのハードポイントの性質上ハードポイントに装着したままでもビーム射出もでき、クロスボーン・ガンダム本体からのエネルギー供給による威力の上乗せも可能である。兵器の役割的には大型の射撃兵器を格闘戦時に強力な格闘兵器としての役割もできるように設計された。X2のバスターランチャーの上位互換の兵器を目指したものである。
    本武装にはセーフティモードが設置されており、トビアがエオス・ニュクス号からX3を強奪した際にはこれを解除していなかった為ビームを発振させられず、そのままの状態で敵に叩きつけていた。また、作中でトビアは本武装について「近くにあったものを適当に引っ掴んできた」と言及しており、X3用の武装であったかも不明
    ビームサーベル14基発生モード
    特にビームサーベル14基発生させて使用した際の破壊力は非常に高く、既存のビームシールドはもとより防げるものはほとんど存在しない(作中では唯一、本機自身のIフィールド・ハンドならば防御可能)。
    ロングビームサーベルモード
    また、外縁部ビームサーベルの発振を止め、ビームガンの砲口からビーム発振をする事で、通常サイズもしくはロングビームサーベルとして運用が可能。ゲーム『第2次スーパーロボット大戦α』では、さらにロングビームサーベルと外縁部ビームサーベル全てを発振させた木の葉状の刃を持つ巨大なビームサーベルとして運用しているが、原作では14基発生モードとロングビームサーベルモードのみ登場している(しかし、後に『鋼鉄の7人』に登場したX1フルクロスが光のカリストの搭乗するユーリスディス・シニストラ・ディキトゥスとの対決の際にビームサーベル全てを発振させた状態で使用している)。
    ブラスターガンモード
    ブラスターガンモードとしても強力なビームの威力を持ち、ザンバスターより強力なビームを放つ。ハードポイントに接続すればF9シリーズの性質上本体からのエネルギー供給が可能であるため、威力を上乗せしてF91のVSBR,ガンダムF90IIIY クラスターガンダムのメガビームバズーカやX2のバスターランチャーの様に強力なビームを理論上放てる。兵器の役割的には格闘戦時に格闘兵器としての役割も兼ねるX2のバスターランチャーの上位互換の兵器を目指したものである。
    本武装は位置付けとしては、X1・X2で云うザンバスターの代替武装にあたるが、グレネードランチャーの機能を有していない。そのため、最終決戦において本機は、作戦の都合上、本武装は腰部ウェポンマウントに装着したままに、核弾頭装備のザンバスターを装備して作戦に臨んでいた。
    ゲーム作品では各仕様により名称が区分され、『SDガンダム GGENERATION』シリーズでは、ビームを発振した状態(ビーム属性が付与されている作品もある)を「B・ムラマサ・ブラスター」としている。また、銃としては『SDガンダム GGENERATION』シリーズでは「ブラスターガン」、『第2次スーパーロボット大戦α』では「ムラマサ・ブラスター(射撃)」としている。なお砲口からビームをどのように放つのかは設定されておらず、原作でも表現は様々で明確ではない。
    腕部Iフィールド発生装置
    両前腕部に内蔵されたIフィールド発生装置。通称「Iフィールド・ハンド」。
    高出力のビームを受けた場合に貫通される危険のあるビームシールドと異なり、Iフィールド展開中はビーム攻撃をほぼ無効化する事が可能である。
    Iフィールドは掌から発生される為、これを活かしてビームサーベルなどの格闘戦用ビーム兵器を掌で受け止めて防御するという、本機ならではの対格闘戦防御オプションをとる事もできる(作中では、クァバーゼのビーム・ソーやエレゴレラが振るったムラマサ・ブラスターを受け止めており、さらに押し戻してみせた)。
    しかし、Iフィールドの展開には片側105秒という制限時間があり、それを過ぎると冷却のために120秒間使用不能となる。つまり、左右2基合わせて210秒間はビーム攻撃に対して完全に無敵となるが、展開可能時間と冷却時間に差があるため、結果として冷却終了までの15秒間は、完全に無防備になってしまう。元々エース用に開発された機体であるため、開発側はこの点に関してあまり重要視していなかったようだが、パイロットのトビアは「実験機だからって無責任なものを」と憤慨していた。

最終決戦仕様

X3が木星戦役時に木星帝国との最終決戦のために追加で装備をした姿。ザンバスターやブランド・マーカーが追加されている。

オプション型ブランド・マーカー
木星帝国との最終決戦において、クロスボーン・バンガードのメンバーは宇宙に出るために液体燃料ロケットでMSを打ち上げ、ビームシールドによって大気圏を突破するという作戦をとったが、 X3は前述のIフィールド発生装置装備に伴い、ブランド・マーカー(=ビームシールド)は本機の基本装備から外されていた。そのためそれを補うために左腕部に外付けでブランドマーカーを装備した(ブランドマーカーのビームシールド非展開時に左腕のIフィールドが展開できるかは不明)。右腕にはオプション型ブランドマーカーを装備していないので右腕のIフィールドは展開できる。
なお、作中ではビームシールドの機能は使用されていたが、ブランド・マーカーの機能は使用されていない。最終的にオプション型ブランドマーカーは戦闘中に排除されている。
劇中の活躍
本機は劇中中盤に新たに補充された機体。受け渡しの際にトビアが乗り込むこととなってしまい、そのまま出撃。エレゴレラとの戦闘で小破した。
成り行きで実力不相応の機体を駆る事になったトビアだが、それが却って彼のニュータイプ能力の成長を促進する事となり、地球上では「死の旋風隊」の襲撃を受けるも2機を撃破、木星帝国との最終決戦でもカラスのノーティラスやドゥガチの最終MAディビニダドを撃破するなどの活躍をしている。
ドゥガチとの決戦の際は両手のIフィールドを最大出力で展開。大型メガ粒子砲を押さえ込んだまま、トビアはコア・ファイターで脱出し、本機は失われている。X3用の予備パーツはサナリィに残存していたために、後にX1改・改の修理用パーツとして利用された。

クロスボーン・ガンダム ゴースト(クロスボーン・ガンダムX-0)

テンプレート:機動兵器ゴースト』に登場する、4機目のクロスボーン・ガンダム。本来は木星戦役時に「X-3」として、マザー・バンガードに送られるはずだったF97の3番機である。

原因不明の事故により搭載された輸送艦が破損し、20年間行方不明となっていたところをカーティスに発見され、クロスボーン・ガンダムに強い愛着を持つ彼の搭乗機となる。頭部と胸部のドクロ型レリーフは発見時には付いておらず、その後に追加されたものである。機体出力はゾロアットと同程度、攻撃力もU.C.0133年時程のアドバンテージはないが、機体の機動性は現時点でも一線級のレベルを保っている。機体性能自体はX1〜X3と同じだが、作中はセンサーで感知したものを音で知らせるシステムが搭載できたことからセンサー類は高いことがうかがえる、だがこの機体も実験機としての色合いが強く、他の3機同様パーツの形状が安定していない。特に腹部の排熱ダクトの形状が異なっており、これは放熱を積極的に推進力に利用するためだが、目立った効果は出ていない。

『​ゴースト(幽​霊)』の名称は、17年前までに全機が失われ、「存在しないはずのクロスボーン・ガンダム」である本機にフォントが個人的に付けた「あだ名」であり、彼以外の者は使用しておらず、『X-0(エックスオー)』がマンサーナ・フロールで正式コードとしてつけられている。また、先述の通りセンサー類が強化されている点と銀色の塗装は隊長機として意味合いを持つためベラ・ロナ専用機を想定したものとされる。

バタフライバスター
X-0の主武装。名称は、その変形方法(後述)から連想される「バタフライナイフ(折り畳みナイフ)」をもじっている。形状は上下二連式ライフルに似る。
接近戦・射撃戦双方に対応できるマルチプル・ウェポンだが、ザンバスターとは違って分離ではなく、サーベルモードとガンモードにそれぞれ変形することで、戦況に対応する仕様となっている。出力そのものはザンバスターと同レベルであるが、U.C.0153年時では一般的なビームサーベルと同程度の威力である。劇中では主に2丁(2刀)で運用されているが、本来このような運用は想定されていない。
元々戦場での使い勝手を検証するための実験兵器であるため、オリジナルは全部で6丁(すでに内3丁をデスフィズに破壊されたため、残数は3丁)しか存在しないが、後にブラックロー運送が現物からリバースエンジニアリングして、最新技術で改良を施した「バタフライバスターB」がファントム用の武器として生産されている。
多目的攻撃兵装「クジャク」
地球圏での戦力不足を危惧したカーティスが、ブラックロー運送に1年前から開発を依頼していた新型兵器。
かつてクロスボーン・ガンダムが装備していたムラマサ・ブラスターとピーコックスマッシャーの機能を統合したマルチプルウエポンで、ムラマサ・ブラスターの機能を継承した剣型の『バスターモード』とピーコックスマッシャーの機能を継承した『スマッシャーモード』の2形態に変形する。側面に7対の計14基、先端には山形に3基のビーム発振部があり、『バスターモード』ではビームサーベル、『スマッシャーモード』ではビーム砲として機能する。この武装自体が内部に小型のジェネレーターを内蔵しており、MS本体の出力と合わせて通常兵器を凌駕するビーム圧を発揮する。製作費はこれ1つでMS1機分に相当する高額なものほどである。
なお、「クジャク」の名称は「ピーコック」を「ムラマサ」の語源である国の言葉に変換したものからとられている。

フリント

型式番号はXM-10(クロスボーン・バンガード)、またはF97-E(サナリィ)。量産を想定したクロスボーン・ガンダムの地球圏仕様型MSである(簡易生産型ではない)。 テンプレート:機動兵器 クロスボーン・ガンダムの地球圏仕様で、木星圏での活動に必要な装備(耐放射線機能など)や仕様を省略・整理し、製造コストを下げて生産した機体。額部のV字アンテナ、シザーアンカーなどは省略されているが、コア・ファイターは引き続き搭載されている。また、背面部のフレキシブルスラストバインダーも受け継がれており、高い機動性を持つ機体となった。

サナリィはクロスボーン・ガンダムの木星圏における戦闘データを元にして作り上げたこの機体を「F97」として地球連邦軍に売り込む予定だったが、木星帝国との戦闘が地球圏に拡大したことで、海賊との関係が露見することを恐れたサナリィ上層部の判断で販売は中止となった。これにより膨大な開発投資額を回収できなくなり、その起死回生として開発されたのがF99(レコードブレイカー)である。F99は本体とフレームにF97(クロスボーン・ガンダムおよびフリント)のパーツを流用し75%が共通となっている。

武装
頭部バルカン×2
胸部バルカン×2
ビームサーベル(ビームガン)×2
120mmマシンガン
ドラムロール型の弾倉を持つ。しかしドラムロール型の弾倉を横に寝かさず、縦に立てて配置している。
改良型ザンバスター
ビームサンバーと砲身部分への分離できるビームライフル。劇中ではビームマシンガンの様な軌跡でビームを放つ描かれ方とビームライフルの様な軌跡でビームを放つ描かれ方2つの種類で描かれている。
ビームザンバー
クロスボーン・ガンダムのビームザンバーと形は同じである。
改良型ザンバスターの砲身部分
クロスボーン・ガンダムのバスターガンの様にビームガンになるか不明。
ブランドマーカー×2
劇中での活躍
作中では3機がまず実戦配備され、木星戦役末期に活躍している。木星戦役後は確認できるだけでも4機に増え、作業用MSに偽装されて使用されていたが、木星帝国残党のアマクサとの戦闘で3機が大破した。また、『鋼鉄の7人』ではサナリィ所属の機体も登場。主なパイロットはウモン・サモン、ヨナ、ジェラド。

デザイン

クロスボーン・ガンダムX1からX3、フリントのデザインはカトキハジメである。ただし原案デザインは長谷川の手によるもので、X1よりもむしろX3に似た外観だった。これを元にカトキがデザインラフを製作し、それを長谷川がクリンナップする形で完成している。その後、商品化の際にカトキによってリデザインされた。

カトキはデザインの際に最も重視した点として、この機体が大河原邦男がデザインしたガンダムF91と、カトキ自身がデザインしたVガンダムの間に位置すること、また設定上製造者が同じサナリィであることを考慮して、両方のガンダムから説得力のあるラインをどう導き出すかだったと回想している。

そのため脚や脛、胸部などのラインにはガンダムF91やクラスターガンダムなどの面影を色濃く残し、特徴的なスラスターもF91や同世代MSのものを発展させた、と仮定してデザインしている。また全体として見るとVガンダムやV2ガンダムと同様に丸みを帯びている部分も多い。例えばガンダムF91の様に上腕や大腿部が人間の上腕や大腿部と同様の丸みを持つ形状である。しかしMG版クロスボーン・ガンダムX1では再現されていない。

長谷川クリンナップ版では指も「角指」から「丸指」になっている。ただし「少年エース」での連載第1回時に掲載されたカトキのイラストでは角指である。両者で採用されたハードポイントシステムも採用している。なお、クロスボーン・ガンダムの特徴的な装備のA.B.C.マントは、現実面では作画の手間を省く為という理由もあったようだ[6]

その他

クロスボーン・ガンダムX4

X-O『ゴースト』とは別に、クロスボーン・ガンダムX4が長谷川裕一のアイデアとして存在している。同人誌『長谷川裕一ひとりスーパーロボット大戦 大外伝3』の機体解説の中で、「X4を登場させるかX1のフルアーマーを登場させるか考えたが、フルアーマー好きなので、X1フルアーマーを登場させた」旨のコメントが書かれている。

元々作品に登場しない非公式な機体であり、デザイン等は一切不明であったが、長谷川の公式ブログにて個人的に描き上げたX4のデザインスケッチ画像がアップされた。

脚注

テンプレート:Reflist

テンプレート:宇宙世紀
  1. 『機動戦士クロスボーン・ガンダム』5巻(2011年版)60-65頁。
  2. 『機動戦士クロスボーン・ガンダム -スカルハート-』40頁。
  3. 『機動戦士クロスボーン・ガンダム』6巻(2011年版)139頁。
  4. ただしスカルヘッドユニットを取り外して腕に取り付けることはできない。その理由は、G.F.F.の発売時期が漫画登場以前であるため。
  5. 『機動戦士クロスボーン・ガンダム』2巻 59頁。
  6. 『機動戦士クロスボーン・ガンダム』1巻(2011年版)185頁。