キラーソフト
テンプレート:独自研究 キラーソフトとは、コンシューマーゲーム用ゲーム機の普及を牽引するゲームソフト[1]。キラーアプリケーションの一種だが、ゲーム機においてはキラーソフトという言葉を使うことが多い[2]。和製英語。英語ではsystem-sellerと呼ばれる。[3][4][5]
概要
キラーソフトの定義は、Aというゲームソフトを遊びたいが、そのためにはBというゲーム機を購入しなければいけないというように、そのソフトを目当てにゲーム機を購入するという動機付けとなることである。対応ゲーム機の普及に寄与したということが要件であり[1][2]、発売本数についての条件はない。例えばPCエンジンのR-TYPE Iは発売本数が100万本未満だったがPCエンジン本体の売れ行きを牽引したためキラーソフトとされるが[6]、300万本が売れたゲームソフトであっても、その対応ゲーム機が既に1000万台以上普及済みで新たな需要を喚起して普及に貢献していない場合は、いくら売れたソフトであってもキラーソフトとはみなされない。
消費者がゲーム機に要求するのは「どのような魅力的で楽しいソフトがプレイできるのか」という一点に尽きる。どれだけ高性能であっても「このゲームをプレイするためならハードを買ってもいい」と思わせるソフト(=キラーソフト)が出なければハードは売れない。そのため、ゲーム機メーカーにとっては、魅力的なソフトウェアをどれだけ自陣営に揃えることができるかが生命線になる。ただし、ゲーム機メーカーのうち任天堂は自社が大手ソフトウェアメーカーでもあるので、自社でゲームソフトを製作・供給しハードを牽引するという手法を主としており(ハード事業撤退前のセガもこれに近い手法をとっていた)、携帯ゲーム機戦争においてはサードパーティーの力をほとんど借りずに覇権を握っている。
いわゆる「次世代ゲーム機戦争」でプレイステーションの勝利を確定させた『ファイナルファンタジーVII』等、ゲームハード機の販売競争において決定打となる場合もある。
一方でキラーソフトとなるべきソフト、夏休みや年末の商戦の最重要作品と位置づけられて制作された大作ゲームソフトが、ユーザの飽きや嗜好の変化、ユーザ層の読み違いなどの要因により不発に終わる場合もある。この場合、制作側とユーザ側の意識の温度差により、しばしば市場価値が下落し、ブランド凋落やゲームハードの不振を印象づけることになる。これがサードパーティー開発のソフトの場合、期待した結果が得られなかったとして直接のサードパーティーの離脱の動機にもなり、さらにはこれを見た他のサードパーティーの開発プランの見直しなどへも連鎖してゆく事がある。
キラーソフトが生まれる背景
キラーソフトには大別して2種類の形が存在する。ひとつはハードウェアの性能向上によってソフトウェアの表現の幅が広がり斬新で面白い「新作」ソフトウェアが発売され、そのソフトがゲーム機全体の売り上げを牽引するというパターンである。もうひとつは、過去に実績のある名作ゲームの続編、いわゆる「シリーズもの」、「続編もの」と呼ばれるパターンである。
「一強皆弱」が常とされる日本のゲーム機市場においては、口コミで評判が広がる前者のようなソフトも勿論重要であるが、ハード売り上げの初動に大きく関わってくるのはブランドイメージを持つ後者である。特に、名作と呼ばれるロールプレイングゲームの続編を自陣営に誘致できるかどうかが、ゲーム機市場の覇権争いに最終的な決着を付ける場合が多い。プレイステーションではドラゴンクエストとファイナルファンタジーが陣営につき10年に及ぶ寡占を支えたが、ニンテンドーDSがドラゴンクエストを奪い返し携帯ゲーム機一人勝ちのイメージを勝ち取った。
しかし、最近では「開発費の高騰」「(日本での)普及の遅れ」を背景に高性能ゲーム機を中心にマルチプラットフォームで展開する例が増え、なおかつ当初「特定ハード独占」だったのを「マルチプラットフォーム展開」に変更する例も増えてきた。
キラーソフトの例
日本において、キラーソフトだと信頼できる情報源にて記述が確認できた作品を挙げる。
- スーパーマリオブラザーズ[7](ファミリーコンピュータ/任天堂)
- 『Wii Sports』に記録が抜かれるまで、ギネスブックに「世界一売れたゲーム」として登録されていた。日本国内ゲームソフト売上歴代1位の記録を持つゲームソフト。日本中で空前のテレビゲームブームを巻き起こした。
- テトリス[8][9](ゲームボーイ/任天堂)
- ソ連製の落ち物パズルゲームで、セガの移植でアーケードゲームで流行していたものをゲームボーイ発売直後に任天堂が権利を取得して発売した。老若男女を問わない単純で分かりやすいこのゲームがゲームボーイを牽引したと任天堂社長だった山内溥が語っており、400万本以上が売れてゲームボーイの爆発的普及に繋がった[10][11]。
- R-TYPE I[6](アーケードゲーム、PCエンジン/ハドソン)
- オリジナルはアイレムのアーケードゲームで、PCエンジンへの移植にあたっては容量の都合から前半と後半の4面ずつにIとIIに分けてリリースされた。前半ステージを収録したIは、アーケードゲームと遜色ない移植として、PCエンジン本体の売れ行きを伸ばす起爆剤となった[6]。
- ソニック・ザ・ヘッジホッグ(メガドライブ/セガ)
- 任天堂のマリオに対抗するべく、セガが生み出した超音速アクションゲーム。メガドライブの高速処理能力をふんだんに生かし、世界で1500万本が売れて、メガドライブ本体の売れ行きを伸ばす起爆剤となった。
- ストリートファイターII[12](アーケードゲーム、スーパーファミコン/カプコン)
- 1992年夏にスーパーファミコンに移植され、発売直後にミリオンセラー。累計で600万本が売れて、スーパーファミコン本体の需要を引っ張る原動力となったソフト[13]。
- リッジレーサー[15](プレイステーション/ナムコ)
- プレイステーションと同時発売のローンチタイトル。まだプレイステーションを所有していないユーザーが先に購入して、一時は本体を上回る本数が出荷されていた。スーパーファミコン世代のマシンでは不可能な3D表示能力を見せつけプレイステーションの売上げを牽引した[16][17]。
- ファイナルファンタジーVII[18](プレイステーション/スクウェア)
- 日本国内で320万本を売り上げたRPG。シリーズで初めて任天堂以外のハードから発売されたことやシリーズ初のフルポリゴン化、ムービーの採用でも話題になり、前作を大幅に上回る売り上げを達成した。
- 大乱闘スマッシュブラザーズDX[19](ニンテンドーゲームキューブ/任天堂)
- 日本においてそれまでのゲームキューブ普及台数約30万台を上回る初週売上約35万本を記録、そのままハード売上を牽引して日本で最も売れたゲームキューブ用ソフトとなった。
- 脳を鍛える大人のDSトレーニング[20](ニンテンドーDS/任天堂)
- 口コミや報道などで話題を呼び、「脳トレ」という流行語を生んだ。国内400万本近くを販売し、DSの普及を牽引した。
- THE IDOLM@STER (Xbox 360)[21](Xbox 360/バンダイナムコゲームス)
- 実際の売上は10万本程度ながら本作の発売後からXbox Liveの加入率で日本が世界一になり、国内のみの販売ながらダウンロードコンテンツの売上は世界第3位に位置づけられるなど、Xbox Liveについてはキラータイトルとして挙げられる。
- モンスターハンター ポータブルシリーズ[22][23][24](PlayStation Portable/カプコン)
- 『ポータブル 2nd』ではPSPの作品としては日本国内で初となるミリオンセラーを達成し[22]、『ポータブル 2nd G』はPSPにおいて世界で最も売れたタイトルとなり、『ポータブル 3rd』においてはPSPの作品として最も速く出荷本数400万本に到達[25]するなど、日本におけるPSP本体の普及を促進させる一因となっている。
出典
テンプレート:Reflist- ↑ 1.0 1.1 キラーソフト 小学館『デジタル大辞泉』(コトバンク)
- ↑ 2.0 2.1 キラーアプリケーション IT用語事典BINARY ウェブリオ株式会社
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 6.0 6.1 6.2 「ゲーム19XX年」『ユーズド・ゲームズ』1999 AUTUMN VOL.12、キルタイムコミュニケーション、p.93
- ↑ キラーアプリケーションとは(killer application)、『IT用語辞典バイナリ』(Weblio運営)
- ↑ 企画・監修 東京都写真美術館『ファミリーコンピュータ 1983-1994』太田出版、2003年、p.109
- ↑ 横井軍平、牧野武文『横井軍平ゲーム館』アスキー、1997年、p.140
- ↑ 井上理『任天堂 驚きを生む方程式』日本経済新聞出版社、2009年、p.214
- ↑ 馬場宏尚『任天堂が危ない』エール出版社、1993年、p.145
- ↑ 12.0 12.1 馬場宏尚『任天堂が危ない』エール出版社、1993年、p.16
- ↑ 馬場宏尚『任天堂が危ない』エール出版社、1993年、pp.27、171
- ↑ 電撃PlayStation400号(メディアワークス刊)
- ↑ 山下敦史『プレイステーション大ヒットの真実』日本能率協会マネジメントセンター、1998年、p.120
- ↑ 岩谷徹『パックマンのゲーム学入門』エンターブレイン、2005年、p.80
- ↑ 麻倉怜士『ソニーの革命児たち』IDGコミュニケーションズ、1998年、p.106
- ↑ 10th Anniversary PlayStation & PlayStation2全ソフトカタログ」(メディアワークス刊)
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ キラーアプリケーションとは(killer application)、『IT用語辞典バイナリ』(Weblio運営)
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 22.0 22.1 テンプレート:Cite web
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