ウメ星デンカ
テンプレート:Sidebar with collapsible lists 『ウメ星デンカ』(ウメぼしデンカ)は、藤子・F・不二雄のギャグ漫画・SF漫画作品、および同作を原作としたアニメ作品、また作品内の主人公の一人の名称。1968年から1970年まで雑誌連載、1969年にテレビアニメ化され、1994年に劇場アニメ化された。
目次
概要
故郷のウメ星が爆発してしまったため地球に逃れてきたウメ星国の王室一家が地球の平凡な一家に居候するギャグ漫画。
前作『21エモン』が、非日常世界(未来)における日常物語というコンセプトで描いたものの、当時の読者の反応が今一つだったことから、再び「日常に非日常的なキャラクターがいる」というコンセプトに立ち戻って描いた作品。藤子・F・不二雄の原点に立ち戻った作品だが、特に際だった物語にならず人気も今ひとつで終了する。しかしデンカ一家が乗って来た、壷型宇宙船から色々な道具が出てくるという設定は、本作の次の連載となる『ドラえもん』の「四次元ポケット」のプロットになった。王室という素材をあつかい、しかも小市民宅の二階で祖国復興のために内職にいそしむという極端な設定を用いながらも、風刺よりはおおらかな笑いにつつまれ、この作者のものとしても一際のんびりした作品となっている。
本作に登場するロボット・ゴンスケは、『21エモン』のメイン・キャラクターを務めたが、本作でもまたメイン・キャラクターとして登場。藤子作品においては小池さんや神成さんなど複数作品に登場したサブ・キャラクターは幾人かが見受けられるが、メイン・キャラクターが異なる作品にまたがってレギュラー登場した唯一の例である。ただし『21エモン』登場時に比べ、性格・能力がパワーアップされている。
漫画『ドラえもん』(32巻「なんでも空港」)や『チンプイ』に登場したことから、同一世界であることが窺える。
1968年から1970年まで小学館の学習雑誌の『小学一年生』-『小学四年生』・『よいこ』・『幼稚園』に連載、1969年に『週刊少年サンデー』に連載。『月刊絵本』1969年2月号、6月号にも掲載。最後に連載が終わった『小学二年生』『小学三年生』では、最後の2回を藤子Fの代わりに、アシスタントのしのだひでおが代筆。初期の単行本ではしのだ版最終回が使用されたが、2012年現在入手可能な小学館コロコロ文庫版では藤子Fの筆による最終回のみ収録、藤子・F・不二雄大全集版ではしのだ版と藤子F版両方の最終回が収録されている。
1969年にはTBS系でアニメ化、1994年には映画『ドラえもん のび太と夢幻三剣士』の併映作として『宇宙の果てからパンパロパン!』が作られた。前年の1993年には再テレビアニメ化の話が持ち上がり、パイロットフィルムも制作されたが、クレヨンしんちゃんが高視聴率だったため、結局実現には至らなかった。
中国でも『酸梅星王子』というタイトルで漫画が発行された。
キャラクター
- デンカ
- 主人公。ウメ星王国の王子。
- 中村太郎
- 東京都在住の小学生。成績は中ぐらい。常にウメ星一家に振り回される。
- ウメ星国王
- ウメ星の王様。温厚な性格。ウメ星国民のため祖国復興を願いつつ、中村家に居候している。セリフの語尾は「〜ぞよ」。すぐ他人に勲章を授ける癖がある。
- ウメ星国王妃
- ウメ星のお妃様。語尾は「〜まする」。
- ベニショーガ
- 侍従。忠臣だが直情型ですぐカッとなり、国王やデンカへの諫言も辞さないが、失敗するとすぐ切腹しようとする。語尾は「〜でござる」。
- ゴンスケ
- ベニショーガが購入したお手伝いロボット。愛読書は電話帳。
- ナラ子
- ベニショーガの娘。ウメ星爆発後はプロキシマに逃れていたが父に会うため地球へ来る。ゴンスケに匹敵する乱暴者。
- フグ田
- 太郎のクラスメート。ガキ大将。
- サンカク
- 太郎のクラスメート。フグ田の子分。
- みよちゃん
- 太郎のクラスメート。
雑誌連載
- めばえ 1968年10月号 - 松下ちよし
- よいこ 1968年10月号 - 1969年12月号 藤子不二雄 しのだひでお
- 小学館の幼稚園 1968年9月号 - 1969年12月号 藤子不二雄
- 小学一年生 1968年9月号 - 1970年2月号 藤子不二雄
- 小学二年生 1968年9月号 - 1970年3月号 藤子不二雄 しのだひでお
- 小学三年生 1968年9月号 - 1970年2月号 藤子不二雄
- 小学四年生 1968年9月号 - 1969年12月号 藤子不二雄
- 小学五年生「ウメ星デンカのサイエンス・ルーム」、「ウメ星デンカの発明室」などを連載
- 小学六年生「ウメ星デンカの英語クラブ」を1968年10月号から1969年7月号に連載
コミックス
- 虫プロ商事・虫コミックス『ウメ星デンカ』(全3巻、絶版)
- 最初の単行本化だが傑作選となっている。大体は作品発表順の収録順。
- 小学館・てんとう虫コミックス『ウメ星デンカ』(全3巻、絶版)
- 小学館から再刊行された傑作選シリーズ。初期版では、前述のしのだひでおによる最終回「別れはつらいよ」が収録され、1994年に発行された後期の版では藤子Fの「ウメ星再建」が収録された。
- 中央公論社・藤子不二雄ランド『ウメ星デンカ』(全5巻、絶版)
- 中央公論社の藤子不二雄全集での出版。発売期間が比較的短く、かつ収録作品は最多という条件が重なっていることから、現在では入手がやや困難となっている。
- 小学館・小学館コロコロ文庫『ウメ星デンカ』(全2巻、絶版)
- てんとう虫コミックス版をベースにしているが、差別描写があるエピソードが未収録となった。また、作者の没後に発行されたのにも関わらず、作者以外の第三者の手によって書き換えられたコマがある。
- 小学館・ぴっかぴかコミックス『ウメ星デンカ』(全2巻)
- 『藤子・F・不二雄こどもまんが名作集』として2006年発行。一部カラー版で、単行本未収録作品を中心に収録。
- 小学館・藤子・F・不二雄大全集『ウメ星デンカ』(全4巻)
- 『藤子・F・不二雄大全集』として2011年から発行中。発表されたすべての作品を収録(「別れはつらいよ」を含むしのだ代筆分も収録されている)。
アニメ版
当時はテレビのカラー化が進んでいたにも拘らず、予算の都合でモノクロ作品として制作された(1971年に放送された『珍豪ムチャ兵衛』が最後のモノクロ本放送だが、実際の制作年は1968年である。ただし、事実上最後に制作されたモノクロアニメは、本作より3日遅れてスタートし、1970年9月までモノクロであった『もーれつア太郎』(1969年版)である)。再放送が極端に少なく、一説にはフィルムが散逸して権利元にも殆ど現存していないと言われ、現在でもソフト化されていない(OP・EDは『東京ムービー アニメ主題歌大全集・第1巻』VHS・LDに収録)。『ドラえもん』(第1作)や『フータくん』(パイロット版)と同様、半ば幻の作品と化している。また、TBS系列では、本作以降1989年に『笑ゥせぇるすまん』が始まるまで、藤子アニメが放送されることはなく、週刊少年サンデー連載作品も本作品から43年後(この間の関西地区ネットチェンジから37年後)の2012年に「マギ」(MBS制作)が始まるまでは放送されることはなかった。
スタッフ
- 原作:藤子不二雄
- 脚本:浪江志摩、新沼孝夫、岡田豊、若林一郎、他
- 演出:鈴木伸一、秦泉寺博、他
- 作画:秦泉寺博、甲藤征史、角田隆、冨永貞義、田中正史、他
- 録音監督:山崎宏
- 音楽:林一
- 代理店:博報堂
- 製作:東京ムービー、スタジオ・ゼロ
キャスト
- デンカ:杉山佳寿子
- 中村太郎:松島みのり
- ウメ星国王:田の中勇
- ウメ星王妃:菅谷政子
- ベニショーガ:大竹宏
- ゴンスケ:毒蝮三太夫
- 河合みよ子:貴家堂子
- サンカク:沢田和子
- フグ田:兼本新吾
- 太郎の父:藤本譲
- 太郎の母:北浜晴子
- フクジン大臣:雨森雅司
主題歌
- OP・ED『ウメ星デンカがこんにちは』(作詞:藤子不二雄/作曲:鈴木邦彦/歌:石川進、杉山佳寿子)
- ※主題歌・挿入歌は『昭和キッズTVシングルスVol.3』『テレビまんが主題歌のあゆみ』で聴く事が出来る。又『ウメ星デンカの子守唄』『ウメ星マーチ』『ウメ星国歌』という曲も存在。後者3曲は、放送当時の学習誌小学一年生6月号のソノシートで発表されたがCD化はされていない。
映画版
- 『ウメ星デンカ 宇宙の果てからパンパロパン!』
- 1994年3月12日公開。『ドラえもん のび太と夢幻三剣士』と同時上映。
- 1993年に本作のリメイク企画が持ち上がり、そのパイロット版を兼ねて制作された映画版。現在まで唯一のカラーアニメ版である。キャラクターのデザインや性格描写を現代風にアレンジし、現代の子供に向けて親しみやすさをアピールしたが、結局この後テレビシリーズの実現には至らず、リメイク企画は現時点ではこれ1本で終了している。
- 本企画のキャンセルで、シンエイ動画の藤子アニメはドラえもんのみとなった。
スタッフ
- 原作:藤子・F・不二雄
- 監督:やすみ哲夫
- 脚本:田中浩司
- レイアウト:木上益治
- 作画監督:岡田幸子
- 美術監督:宮野隆
- 撮影監督:熊谷正弘
- 録音監督:浦上靖夫
- 音楽:荒川敏行
- 演出:善聡一郎
- 動画チェック:佐々木郁子
- 色指定:照屋美和子
- 原画:上宇都辰夫、日下岳史、奥野隆弘、北之原孝将、森岡京、岩田昭宏、糸井美帆、松田洋子、石原立也、本城貴史、寺田和人、端由美子、笹井昌治、高橋博行
- 動画:三宅春彦、東野伊佐子、木田通夫、渡邊岳泰、川村恵美、上岡秀都、吉川かおり、橋詰理佳、村林千春、武本康弘
- 仕上:伊藤幸子、西原直美、今泉ひとみ、藤本さおり、松田利恵、辻本和代、西畑孝子、高木理恵
- 仕上検査:石田奈央美
- 特殊効果:土井通明
- 背景:鈴木朗、天水勝、土師勝弘、竹内恵、袖山卓也
- 撮影:角原幸枝、山田廣明、倉田佳美、木次美則、鈴木浩司、金子仁
- 編集:岡安肇、中葉由美子、小島俊彦、村井秀明、川崎晃洋、三宅圭貴
- 効果:横山正和
- 録音スタジオ:APUスタジオ
- 整音:大城久典、内山敬章、大谷陽一
- 録音制作:オーディオプランニングユー
- 制作アシスタント:降旗洋子
- 制作デスク:小澤恵
- ドルビーステレオコンサンタルト:森幹生
- タイトル:道川昭
- 現像:東京現像所
- 制作進行:八田陽子
- 制作デスク:齋藤敦
- プロデューサー:別紙壮一、増子相二郎、小泉美明
- 制作協力:藤子プロ、ASATSU
- 制作:シンエイ動画、小学館、テレビ朝日
キャスト
- デンカ:山田栄子
- 中村太郎:松井摩味
- ウメ星国王:中村正
- ウメ星王妃:一城みゆ希
- 太郎の父:江原正士
- 太郎の母:島本須美
- ベニショーガ:緒方賢一
- ゴンスケ:松尾銀三
- フグ田:菅原淳一
- サンカク:山口勝平
- 河合みよ子:西原久美子
- チビ子:まるたまり
- 家臣:中村秀利
- ガードマン:関智一