アルゴ探検隊の大冒険

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テンプレート:Infobox Filmアルゴ探検隊の大冒険』(アルゴたんけいたいのだいぼうけん、原題 テンプレート:En )は、1963年イギリスアメリカ特撮映画特撮の巨匠レイ・ハリーハウゼンによる、ギリシア神話イアソン率いるアルゴ船探検隊(アルゴナウタイ)の冒険を描いた作品。

スタッフ

キャスト

登場するクリーチャーたち

  • 船尾像 : 本来はアルゴ号の船首を飾る女神像だが、船大工アルゴスが乗組員を見下ろすように船尾へ据え付けた。女神ヘラの生き写しであり、ヘラがこの像を通してイアソンと乗組員たちに神託を行うときは、目を開き口を動かす。
  • タロス (Talos) :鍛冶の神ヘーパイストスによって作られた、ブロンズ島を守護する青銅の巨像。「神々の宝物庫」を侵す者があれば動き出し、アルゴ号を片手で持ち上げるほどの巨体と剛力をもってこれを追い狙う。
  • ハーピー (Harpy) :コウモリと人間をかけ合せたような姿の怪鳥。
  • 吠える岩 (Clashing Rock) :海峡を船が通ると、岸壁が震えて岩石を落とし。船を沈める。
  • ヘカテ (Hecate) :コルキスの守護神で、3つの首を持つ神像。
  • 黄金の毛皮 (Golden Fleece) :神々の贈り物で、国を繁栄させる奇跡の力がある。
  • ヒュドラ (Lernaean Hydra) :7つの首を持つ竜のような怪物。
このモンスターをアニメートしている最中、電話がかかってきたため、ハリーハウゼンは席をはずした。話を終え戻ってきた彼は、首のうちの1つが、上下のどちらに動いている途中だったのかを失念してしまった。これに懲り、以後は詳細なアニメート用のコンテを準備するようになったという事である。
  • 7人の骸骨剣士 (Skeleton army) :ヒュドラの歯からアイエテス王が創造した剣士。
ハリーハウゼンのクリーチャーとしては、シンドバッド七回目の冒険に続いて二度目の登場ながら、同時に7体が動くことで斬新な画面となった。関節部の滑り止めとして使われた“液体ゴムを染み込ませた綿”以外にほとんどゴム製パーツを持たない骸骨剣士のモデルは経時劣化に強く、後年シンドバッド虎の目大冒険のグールとして改造されたものを除けば、撮影当時の状態で現存している唯一のクリーチャーである。

あらすじ

ゼウス(ナイアル・マクギニス)の保護下にあるペリアス(ダグラス・ウィルマー)はアリスト(アイソーン)王の宮殿周辺に起こった嵐により、また彼を殺害したことによりテッサリアの王座を奪った。しかし預言者は、サンダルを片足のみ履いたアリストの子により覆されると語った。予言を阻止しようとペリアスはアリストの娘の1人であるブリセイス(デイヴィニア・テイラー)を殺し、女神ヘラ(オナー・ブラックマン)はこれを神殿への冒涜として怒った。ブリセイスは殺される直前、ヘラの像の腕の中にアリストの幼子を置いた。ぺリアスの企てに怒ったゼウスはぺリアスを失脚させるためアリストの幼子を使うことを決心した。

20年(しかしオリンポス山では一瞬)後、成長したアリストの息子ジェイソン(トッド・アームストロング)はぺリアスが溺れている所に偶然遭遇し、彼を助けた際サンダルを片方なくしたためぺリアスは彼を認識する。王国を取り戻すために神の贈り物である金羊毛を獲得しようとする実直なジェイソンに対し、正体を隠しているぺリアスは彼を励ます振りをしながら、彼が殺されることを望んでいた。

ジェイソンはゼウスとヘラと話すためヘルメス(マイケル・グウィン)によりオリンポス山に連れていかれた。ヘラは彼の成功を望むが、ゼウスの命令により彼女は5回のみ彼を助けることができることになった。ヘラはジェイソンをコルキスに行き金羊毛を探すよう指示した。オリュンポス十二神たち、特にゼウスは彼に助力を申し出るが、ジェイソンは自身で航海し、船を建立し、人間の力だけで成し遂げる事を誓い、オリンピックを開催してギリシア中の勇者たちを船員に選抜すると語った。神々の中でもジェイソンを最も助けたかったのであるが、ジェイソンの言葉に負けて冒険の準備のためにジェイソンを地球に帰した。

建立者のアルゴス(ローレンス・ネイスミス)に因み名付けられ、ヘラの加護を受けた人類史上最初の大型帆船アルゴ号でジェイソンの仲間アルゴナウタイとなる栄誉のためにギリシャ中から競技に集まった。ヘラクレス(ナイジェル・グリーン)、ヒュラス(ジョン・カーニー)などが選ばれ、ぺリアスにより息子のアカストス(ゲイリー・レイモンド)が妨害のため送り込まれた。

ヘラの3回目の助けにより[1]、ヘラはジェイソンをブロンズ島に向かわせ、水と食糧以外は何も持ち出さないよう忠告するが、島内探検中、ヘラクレスは上に青銅の巨人タロスがそびえ立つ財宝倉庫から、ヒュラスが注意したにも係わらずやり投のサイズのブローチのピンを盗んだため、タロスの眠りを覚ましてしまい、アルゴ号もひっくり返される。ジェイソンは再びヘラに助言を求め、タロスの踵の円形の栓を開けるとイコルが大量に流れ出し死に至った。タロスが地面に倒れる際、ヘラクレスが落としたピンを取りに戻ったヒュラスが潰された。ヒュラスが見つかるまで島を離れないというヘラクレスと、彼を置いて島を離れようという他のアルゴナウタイに悩まされ、ヘラに再度助言を求めた。ヘラはこれが最後の助けになると念を押し、ヒュラスの死はもう戻せないこと、ヘラクレスももう戻らないことを語り、予言を悪用したとしてゼウスの怒りを受けて怪鳥ハーピーに拷問され続ける盲目の老預言者ピネウス(パトリック・トラフトン)の所へ行くように語った。翼のある女性の形をしたハーピーはピネウスの食事を奪い、残飯のみを与えていたのであった。ジェイソン達がハーピーを檻に閉じ込めると、ピネウスはジェイソンにコルキスへの航路を教え、お守りを与えた。コルキスへの道中、通行する船をことごとく沈める吠える岩の間を通らねばならなかった。ジェイソン一行がこの岩の下を通ろうとすると、大荒れの海に飲まれそうになった。絶望したジェイソンは自棄になりピネウスからもらったお守りを海に投げた。するとトリトンが海から現れ、アルゴ号が通れるよう岩の間に立ちはだかった[2]。ジェイソン達は他の船のコルキスの美しい王女メデイア(ナンシー・コバック)ら3人を救った。

ジェイソンらの一行はコルキスに着き、ジェイソンとアカストスはどのように黄金の毛皮を守るコルキス王アイエテスに近づくかで対立し、喧嘩となった。アカストスは非武装で海に飛び込んで逃げた。彼が死んだと思ったジェイソンと船員達はアイエテス王(ジャック・グウィリム)の祝宴への招待を受け、そこで毛皮を取りに来た事が露見し、捕らえられる。ジェイソンの目的を密告したのは、アルゴ探検隊の一員の振りをしていたペリアスの息子アカストスであった。だが、ジェイソンと惹かれあったメディアは[3]彼と船員達を助け脱出した。

アカストスは自分1人で金羊毛を獲得しようとしたが警護をしていた7本の首を持つ竜ヒュドラに負傷させられた。ジェイソンはヒュドラを倒し、金羊毛を手に入れた。追ってきたアイエテス王は女神ヘカテに祈った後、ヒュドラの歯を撒くとそれぞれが骸骨剣士となった。この戦闘で矢が当たりメディアが負傷した時、彼女を治すためにジェイソンは金羊毛を使用した。ジェイソンはアルゴスにメディアを船に連れて行くよう頼み、ジェイソンと他の2人の船員は骸骨剣士と戦った。2人の船員が亡くなり、ジェイソンは崖から海に飛び込み、骸骨が沈み船に逃げ込み、その後、彼、メディア、生き残ったアルゴナウタイはテッサリアへ戻った[4]。オリンポス山ではゼウスがヘラにまた時が来ればジェイソンを呼ぼうと語る。

神話と映画の主な違い

  神話 映画
イアソンの父王の名前 アイソン アリスト
テンプレート:Nowrap 叔父 描写なし
青銅のタロスを倒す人物 メデイア イアソン
メデイアは弟を 殺す 描写なし
地面に撒いたヒュドラの歯 描写なし(本来これはカドモスの伝説) 骸骨戦士が生まれる
イアソンとメデイアの末路 悲惨で陰惨な結末 二人が船に戻り、希望に満ちて再び旅立つところで終わる

関連項目

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ

  1. ぺリアスを馬から川に落とし溺れさせたのを1回目、コルキスについて教えたのを2回目とする。
  2. ヘラはゼウスに「あなたは多くの人々の神なのに、あなたをもう信じなくなるともう何もしてあげないのね」と語った。ゼウスは「その通り。そして君はそれをわかっていて私といるじゃないか」と返した。ヘラは笑って「あなたは私に弱いのね」と言い、ゼウスは「弱いのではない。人間に近いのだ」と言った。
  3. ヘラはアイエテス王に対し理由もわからないまま怒り、アプロディーテに悪戯なエロスを、ゼウスの乳母アドラステイアによりゼウスのために作られた金のおもちゃで説得させ、ジェイソンを助ける計画を思いついた。このおもちゃで遊ぶと良いと吹き込み、エロスがおもちゃの矢を放つと流れ星のように明るい光が空を横切りメディアに当たり、メディアはジェイソンと恋に落ちた。
  4. レイ・ハリーハウゼンは骸骨剣士の撮影に3ヶ月以上かけた。

外部リンク