はんだ
はんだ(半田、盤陀、英語:solder)とは、はんだ付けに利用される鉛とスズを主成分とした合金である。金属同士を接合したり、電子回路で、電子部品をプリント基板に固定するために使われる。材質にも依るが、4 - 10 K程度で超伝導状態へと転移する。
最近では環境保全のため、鉛を含まない鉛フリーはんだ(無鉛はんだ)が使われることが多い。
「はんだ」という名称は仮名書きされることが一般的で、カタカナ書きされることもあるが外来語ではない。「半田」「盤陀」などの当て字があり、その語源として、もと江戸幕府の隠し銀山(現福島県桑折町)の半田山から来ているという説もある。
中国語では焊 (hàn) である。
はんだの歴史
ろう付けには遅れるが、はんだ付けの歴史は古く、紀元前3000年頃にははんだ付けが存在したと考えられている。ツタンカーメン王の墓からもはんだ付けを使った装飾品が出土している。ギリシャ-ローマ時代になると、水道配管を錫-鉛はんだではんだ付けした記録が残されている。
中国では、少なくとも紀元前300年頃には、はんだ付けした壷が存在していた。
はんだの種類
はんだは用途によりいくつかの種類に分けられる。錫の含有率で区別することが多い。用途により太さも異なる。鉛と錫以外の成分を含むものもある。
- 金属用
- 一般金属用
- アルミニウム用
- 電気用
- 錫の割合が63%、融点が184℃で最も低い。冷えると液相から固相へ瞬時に変化するため扱い易い。
- 高融点はんだ、高温はんだ
- 共晶はんだに溶かされると困る部分、高温にさらされる部分のはんだ付けに使用する
- 低融点はんだ
- 低融点の金属を混合し、特に融点を低くしたもの。
- 銀入りはんだ
- 銀メッキ面や銀撚り線などをはんだ付けする際に使用する。
JIS Z 3282-1999では、それぞれの成分割合の違いでSn-Pb系が16種、Pb-Sn-Sb系が7種、Sn-Sb系が1種、Sn-Pb-Bi系が5種、Bi-Sn系が2種、Sn-Cu系が2種、Sn-Pb-Cu系が2種、Sn-In系が1種、Sn-Ag系が3種、Sn-Pb-Ag系が4種、Pb-Ag系が3種規定されている。[1]
金系はんだ
金は錫、シリコン、ゲルマニウム、アンチモンなどと合金にする事で融点が下がり、金75-80%、錫20-25%では280℃で融解を始める。金は高価であるため、少量ながら特に信頼性が求められる用途でのみ使われ、シリコンやゲルマニウムの半導体でのダイ・ボンディングやパッケージのシーリングで使用される[2]。
鉛問題
鉛は人体や環境に有害なので、鉛を含まない鉛フリーはんだや、金属(金や銀など)を添加した接着剤への移行が進んでいる。ただし、鉛フリー化を行うために導入された元素あるいは化合物の毒性について十分な調査が行われているとは言い難く、鉛フリーであるから環境毒性が小さいと判断することは早計である。
関連項目
参考文献
- 『鉛フリーはんだ技術・材料ハンドブック』菅沼克昭編著 工業調査会 ISBN 978-4-7693-1265-9