十進法
十進法(じっしんほう)とは、10 を底(てい)とし、底およびその冪を基準にして数を表す方法である。
記数法
十進記数法とは、10 を底とする位取り記数法である。現在、数の表記に広く使われているのは、0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9 からなる 10 個のアラビア数字を用いる十進記数法である。右端あるいは小数点で 1 の桁を表す。数字の意味する数は、左に 1 桁ずれると 10 倍になり、右に 1 桁ずれると 1/10 になる。「11」という表記において、左の「1」は十を表し、右の「1」は一を表し、合わせて十一を表す。十進記数法で表された数を十進数と呼ぶ。
この他、算木も十進記数法であるが、現在は用いられていない。算木から変化した蘇州号碼は現在も香港などでわずかに使われている。
そろばんは十進記数法と同じ仕組みだが、文字として表記することはない。正確には二五進法である。
ローマ数字、漢数字などは位取り記数法ではないが、基本にあるのは十進法である。
名称
十進記数法は単に十進法と呼ばれることもあるが、これを「10 進法」と書くのは好ましくない。10 が十を意味するのは十進記数法だからであり、例えば二進記数法ならば10は二を意味する(10は二進法でイチゼロと読む)。漢数字にはそのような曖昧さはない。英語でも同様に base 10 より decimal が好まれる。しかし、base tenと表記すれば混乱は避けられるだろう。
命数法
十進命数法とは、10 を底とする命数法である。
数詞
現在、世界の言語の数詞は十進命数法が圧倒的であり、北京官話、英語、スペイン語、ポルトガル語、ロシア語、日本語、ドイツ語など、話者数の多い言語のほとんどで使われている。大言語で十進命数法でないのは、二十進法を残すフランス語などに限られる。
十進命数法は、ヒトの 10 本の指に由来する。数詞が例外なく各桁の数と位から構成される完全な十進命数法は、呉語を除く中国語に見られる。ベトナム語の数詞もほぼ例外がない。朝鮮語、日本語、タイ語の数詞は中国語から輸入したものである。なお、春秋戦国時代までの中国語では、各桁の間に「と」を意味する「又」や「有」を挿入した。論語では 15 は「十有五」と書かれている[1]。
その他の言語では、10 の倍数が一語で表されたり、11 から 19 までの数が一語で表されたりすることが多い。例えば英語では、11 は *ten-one ではなく eleven であり、20 は *two-ten ではなく twenty である。
5 本指の手が 2 本あるので、10 の他に 5 も基準とすることがある。これを二五進法と呼ぶ。このような数詞を持つ言語は少なく、ウォロフ語[2]、クメール語[3]などがある。一方、10 を 5 個の 2 に分ける言語は存在しない。
不規則な数詞は子供の数の能力に悪影響があるという報告がある[4]。
以下に漢語、日本語(大和言葉)、ウォロフ語、英語の数詞を示す。
漢語 | 日本語(大和言葉) | ウォロフ語 | 英語 | |
---|---|---|---|---|
1 | 一 | ひい | benna | one |
2 | 二 | ふう | ñaar | two |
3 | 三 | みい | ñetta | three |
4 | 四 | よ | ñenent | four |
5 | 五 | いつ | juróom | five |
6 | 六 | む | juróom benna | six |
7 | 七 | なな | juróom ñaar | seven |
8 | 八 | や | juróom ñetta | eight |
9 | 九 | ここ | juróom ñenent | nine |
10 | 十 | とお | fukka | ten |
11 | 十一 | とおあまりひい | fukka ak benna | eleven |
12 | 十二 | とおあまりふう | fukka ak ñaar | twelve |
20 | 二十 | はた | ñaar fukka | twenty |
21 | 二十一 | はたあまりひい | ñaar fukka ak benna | twenty-one |
単位系
10 を底とする単位には以下のものがある。
参考文献
- ↑ 論語: 吾十有五而志于学。
- ↑ http://www.zompist.com/niger.htm#WOL
- ↑ http://www.zompist.com/asia.htm#KMR
- ↑ テンプレート:Citation