パニール
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パニール(panīr - ヒンディー語: पनीर, ウルドゥー語・ダリー語・ペルシア語: پنیر )とは、インド、パキスタン、アフガニスタン、イランなどの地域で一般的に使われるチーズのこと。および、そのチーズを主材料に作られた料理名。
概要
水牛の乳や牛乳を温め、レモンまたはライムの汁、酢など酸性の液体でタンパク質および脂肪分を凝固させて乳清から分離したカッテージチーズをインドなど南アジア諸国ではチェーナー (Chhena, ヒンディー語:छेना) と呼び、それを押し固めたものがパニールである。外見は豆腐に似ている。 チェーナーはパニールにするほか、練って菓子(ラスグッラーなど)などにも用いる。
各国における特徴
- インドでは、パニールを食べやすい大きさに切ってから油で表面を揚げて料理に加える。サーグ(青菜の煮込み)にパニールを加えたサーグ・パニール(ヒンディー語: साग पनीर、ウルドゥー語:ساگ پنیر)またはパーラク・パニール(ヒンディー語: पालक पनीर、ウルドゥー語:پالک پنیر)やグリーンピースにパニールを加えたマタル・パニール(mattar panīr、ヒンディー語:मटर पनीर、ウルドゥー語:مٹر پنیر)が有名。数あるインド料理の種類のうち、パニールは特にムグライ料理[1]やパンジャービー料理(Punjabi Cuisine)[2]で特に多く用いられる。ヨーグルトおよび各種スパイスでマリネしてから串に刺してタンドールなどで炙り焼いたものはパニールティッカという。
- アフガニスタンでは、球状に固めたパニールをパニーレ・ホム (پنیر خم / panīr-e khom) と呼び、固める前に塩を加えたパニールはパニーレ・ショウル (پنیر شور / panīr-e shour) と呼ぶ。アフガニスタンでは、パニールを料理に使うよりも干しぶどうと一緒に間食として食べることが多く、この組み合わせをキシュミシュ・パニール (قشمش پنیر / qishmish panīr) と呼ぶ。
- イランでは、牛乳や山羊の乳から作るフェタチーズに似た製法のチーズのことをパニールと呼ぶ。ナンとパニールにラディッシュ、青葱、コリアンダー、クレソン、タラゴン、ミント、バジルなどのハーブや生野菜を取り合わせたものは、イランの食卓には欠かせない[3]。食べ方は、ナンにパニールをのばしてから野菜やハーブをのせて食べる。
脚注
- ↑ ムガル帝国の宮廷料理を起源に持ち、主にレストランや祝い事の席で供されることが多い。
- ↑ もともとパンジャーブ地方の郷土料理に端を発するが、主にインド・パキスタン分離独立によるパンジャーブ出身者の移住にともない、インド各地および国外に広まった。ギーやクリームを多用した濃厚な味わいが特徴。前述のムグライ料理と合わせ、北インド料理レストランのメニューの主流を占めている。
- ↑ この事を端的に例えて、「ナーノ・パニーロ・サブズィー・ホルダン (نان و پنیر و سبزی خوردن / Nān-o panīr-o Sabzī Khordan) 」という言葉もある。
参考文献
- Batmanglij, Najmieh. New Food of Life. Mage, Washington D. C., 2001.
- Devi, Yamuna. Lord Krishna's Cuisine. Dutton, New York, 1987.
- Saberi, Helen. Afghan Food and Cookery. Hippocrene, New York, 2000.