ガメラ3 邪神覚醒
テンプレート:Infobox Film 『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』(ガメラスリー イリスかくせい)は、1999年(平成11年)3月6日に大映が制作し東宝系で公開された怪獣映画。
目次
概要・特色
平成ガメラシリーズの第3作で、前2作を受けての完結編として製作された。監督は前2作と同じ金子修介。
『ガメラ 大怪獣空中決戦』(以降、『1』)から4年後、『ガメラ2 レギオン襲来』(以降、『2』)から3年後の世界を舞台に、とある村で覚醒したイリスと、世界中で大量発生しているギャオスとガメラ、人々の戦いを描いているが、しばしば怪獣映画を見る人間が持つ「いくら正義の味方の怪獣でも、悪の怪獣を倒すために街中で激しく戦ったら一般市民が巻き添えとなって犠牲になるのではないか?」という疑問に挑んだ作品であり、キャッチコピーにも「わたしはガメラを許さない。」が使われた。最終決戦の舞台はJR京都駅であり、怪獣映画において史上初の屋内戦となった。
また、全体として、ガメラがギャオスの放った光線から子供を守ったり、イリスに襲撃され、半ば壊滅した村を『1』に登場した人物が調査したり[1]、前作ではガメラの味方になっていた自衛隊(人間)が倒すべきギャオスやイリスよりもガメラを危険視して攻撃を加えたり、イリスが勾玉を通して人間の少女と交信をしたりする等、『1』へのオマージュ色の強い演出、シーン等が多数登場する。
『1』『2』とは、時系列的に繋がりがあり、三部作の完結という事もあってか、本作では『1』や『2』での出来事に直接触れられるシーンも複数あり、『1』『2』の出来事が本作に大きく関わっていく形となっている。特に『1』での出来事が本作に深く関わっており、冒頭のオープニングにおけるスタッフクレジットには、『1』のシーンを多数流用している。
劇場公開前の1999年2月にメイキングビデオ「GAMERA1999」(VHS,メディアファクトリー)と「ガメラ巨大生物審議会」(DVDビデオ,アミューズソフトエンタテインメント)が発売された。
配給収入は6億円[2]、動員100万人、結果的に3部作は目標の10億円には届かなかった。
配給収入が10億円を突破していれば、すぐに4作目の製作の話になったとも言われる[3]。元々完結作の意気込みで製作されていた本作であったが、この成績を受けて正式にシリーズ終了が決定した。
大映が制作した最後のガメラシリーズ作品である。
物語
レギオンとの戦いから3年後の1999年。ガメラがレギオンを倒すために地球の生態系を循環する生命エネルギー「マナ」を大量に消費したことで地球環境のバランスが大きく崩れ、人間を捕食する殺戮生命体ギャオスが世界各地で大量発生し世界規模で急速に被害が拡大していた。1995年以来、ギャオスやレギオン等、相次いで日本を襲う巨大生物による災害に、日本政府は「巨大生物被害対策委員会」を設置、4年前のギャオス発見以来、ギャオス研究の第一人者となった長峰真弓も参加する。
4年前の東京でのガメラとギャオスの戦いの巻き添えで両親を失った比良坂綾奈と弟の悟は、奈良県高市郡南明日香村(架空の地名)に住む親戚の日野原家に引き取られていた。綾奈の心は両親の仇ガメラへの激しい憎悪の念に満ちていた。ある日、綾奈は悟をよそ者扱いをしていじめる同級生の3人組を止めるため、守部家の敷地内の沢に在る古くから「柳星張(りゅうせいちょう)」が眠ると伝えられている祠の奥にある洞窟へ、度胸試しのごとく言われるがままに入り込み、その中で奇妙な卵状の物体を見つける。綾奈が唆される現場を目撃した守部美雪は、兄・龍成を呼び出し、幼馴染みでもある綾奈と再会する。
ある週末の夜、ホームレス生活をしていた元長崎県警警部補、大迫力がホームレス仲間と酒を飲んで過ごしていた。ふと空を見上げると東京渋谷上空に赤い閃光が走る。そしてそれは上空を飛行していた何かに当たり爆発、激しく燃え盛りながら渋谷駅前に墜落した。それを見た大迫は直ぐ様にそれの正体を察知、上空で何が起こったのかを理解した。墜落したのはかつて日本中を襲来したギャオスだったのだ。そしてそれを追ってガメラが回転飛行しながら、低空で暫くホバリングした後に降り立った。先のガメラの攻撃で重傷を負ったギャオスにトドメのプラズマ火球を放って倒し、もう一匹のギャオスとの壮絶な市街戦が展開される。ガメラはギャオスを倒すべく市街地上空でプラズマ火球を無差別に発射する。大爆発に巻き込まれ、無残にも次々と犠牲になっていく人々。ギャオスも超音波メスで応戦するが、ガメラの圧倒的な力を前に成す術なく、撃破され戦いは終結するが、戦場となった渋谷はプラズマ火球により甚大な被害を受け、1万人を超える犠牲者が出てしまう。これを機に日本政府及び世論はギャオス以上にガメラを危険視する方向にシフトしていく。そして、ニュースで壊滅した渋谷から飛び去るガメラを見た綾奈は改めてガメラへの憎悪を強くする。
ガメラが渋谷でギャオスを爆殺した同時刻、その断末魔の叫びに応えるかの様に綾奈が洞窟で見つけた卵状の物体から奇妙な生物が生まれた。綾奈はその生物にかつて飼っていた愛猫の名前である「イリス」という名前を付け、いつか両親の仇ガメラを殺してくれることを願って密かに育て始める。だが、イリスは守部家に代々伝えられる「復活すればこの世は滅びる」と恐れられる災厄だった。綾奈の憎悪を糧に急速に成長したイリスは綾奈を繭に自身ごと包み込む。直後に駆けつけた龍成が救出するものの綾奈は意識不明になり、イリスも姿を消した。
ギャオスらしき生物が南明日香村に出現したとの報告を受けた長峰は、かつてギャオスが最初に出現した際に共に捜査に当たった大迫に接触し、共に捜査するように打診し、現地へ向かう。そこで凄惨な光景を目の当たりにする。体液を吸いつくされミイラ化している村人たちが多数発見されたのだった。ギャオスとは明らかに違う捕食方法に困惑する中、長峰は立ち寄った守部家の祠で十握剣を取り出そうとする龍成と出くわす。龍成を追いかけた長峰は彼を問い詰め、綾奈とイリスの事を打ち明けられる。長峰たちは洞窟の内部に残された卵の殻と繭らしき物体の組織片を発見、それを解析した所、その生物(イリス)はギャオスの変異体である事を突き止めた。しかし、その変異は自身の染色体構造をも変えてしまうほどの極めて凄まじい変化を遂げ、既にギャオスとは別の生命体であり、「どこまで進化し続けるのか予測が出来ない」という結論に至る。
その夜、長峰は病院で意識不明の綾奈との接見を試みるが、彼女に注目した政府の要人・朝倉によってどこかへ連れ去られた後だった。その後、朝倉のブレーンである倉田が長峰と浅黄の前に現れ、朝倉と未だ意識不明の綾奈の処へ案内した。己の歪んだ価値観で行動する朝倉に対して、長峰はイリスの存在と綾奈との神経系統の融合を試みた可能性を示唆。今回の事態の深刻さを説き、綾奈を施設の整った東京の病院へと搬送するべくJR京都駅に向かう。その頃、大迫に諭された龍成も綾奈を助けるため京都へ向かっていた。
成体となり活動を再開したイリスは、動向を監視していた陸上自衛隊の普通科小隊を全滅させ、綾奈を求めて飛び立つ。紀伊半島上空でF-15J戦闘機とイリス、そして突如出現したガメラが激しい空中戦を繰り広げる。ガメラが終始、戦いを優勢に進めるが、自衛隊がガメラ掃討を優先しミサイルを発射。ミサイルが命中したガメラは体勢を立て直せたが速力低下し、イリスを取り逃がしてしまう。その頃、本州に上陸した大型の台風8号が京都市に上陸し、綾奈達は京都駅で身動きがとれなくなっていた。
イリスは綾奈の存在を感知し、彼女との完全な融合を求めて京都に降り立つ。やがて追ってきたガメラも京都の地に舞い降りる。ガメラの放ったプラズマ火球はイリスの触手に跳ね返され、夜の京都は火の海と化す。浅黄の必死の説得にも耳を貸さず憎悪に狂った綾奈の叫びが木霊する中、嵐と紅蓮の炎に包まれながら遥か古の罪が産み落とした玄武と朱雀による終末の闘いが今、始まった。
登場する怪獣
具体的な身体スペックの数値は、『ガメラ3』公式パンフレットに基づく。
ガメラ
- 体長:80メートル
- 体重:120トン
甲羅の側面や正面が刺々しく変化している、飛行時に平たく伸ばした腕を翼のように可動できるようになっている等、『ガメラ2 レギオン襲来』での作品設定から更なる進化を遂げている。ただし『1』から『2』以上に急激に進化したため、それらで見られた可愛さは一切なくなっている。
作中の登場人物である倉田は、「ガメラはギャオスに対抗するために超古代文明により作り出された生物兵器である」と主張している。また、後述するイリスと同様に、ガメラは四神の1体である黒いカメの姿をした北方の守護神玄武に対応することが示唆されている。
イリス
以下の数字はいずれも成体のもの。
- 体長:99メートル
- 体重:199トン
- 翼長(展開時):199.9メートル
- 触手最大到達距離:1,999メートル
- 最高飛行速度:マッハ9
南明日香村の山奥の祠から覚醒した謎の生命体。劇中では、長峰の調査によってギャオス変異体と断定されてはいるものの、いつから存在しているのか、どういった経緯やきっかけでギャオスから変異したのか等は明らかにされておらず、多くの謎に包まれている。
頭部の形は僅かにギャオスの面影を残しており、ギャオス同様、超音波メスを攻撃手段としてはいるが全体的な形態は人型であり、鳴き声も含めギャオスの原型はおろか面影すらなく、ほとんど似ても似つかない。しかし亀の甲羅を模した封印の要石には「柳星張」という名で、朱雀の姿に酷似したギャオスらしき怪鳥の姿が刻まれている。
名前は、綾奈と家族の飼い猫の名前(ギリシャ神話におけるイーリス)に基づく。
両肩から2本ずつ計4本生えている伸縮自在の触手、両腕の鋭利な槍状の手甲、部分的に発光する胴体、背面の4枚の翼状の突起、頭部で光る単眼などが特徴。背中には、ガメラの甲羅によく似た外殻が存在する。触手や手甲を相手の生物に打ち込むことで体液を吸い取ると同時に遺伝子情報を読み取れる。その相手のDNAを解析し自分のDNAに組み込むことにより相手の能力をコピーし、染色体レベルで無限に自己進化する。
南明日香村に、「柳星張」の名で遥かな昔から卵の状態で封印されており、仮に復活を果たすことがあれば世界を終焉に導くと恐れられていた。そのため守部一族が代々封印の防人を務めていた。幼体は体長1メートル程の巨大なカタツムリのような外見(この頃からすでにギャオスの面影はない)で、体を覆う殻からは触手が何本か出ており、その先に鋭く尖った爪のようなものを餌となる対象に突き刺し、体液を吸い取る事で捕食を行う。封印を解いた綾奈の手により育てられる。途中から、殻を逸脱し、触手が更に増え、成体に近い姿に変化した。最終的には、南明日香村の住人の体液を吸い取り更に成長、体色も黄色っぽい色からオレンジに変化し、無数にあった触手も槍腕や脚に姿が変わるなど、上記のような特徴の体を持つ成体となった。
ガメラへの憎悪で満ちている綾奈の心中に共鳴、自らを彼女に保護させるように仕向け、更にはガメラを超える戦闘能力を得るため、かつてのガメラ同様に人間との精神交感を試みる。しかしイリスにとってのそれは、対象の人間との生体融合に他ならなかった。綾奈を自身の繭の中に取り込み、神経系統の融合を試みるも、直後に綾奈を龍成に助け出され失敗に終わる。しかし、自身の染色体構造をも変える爆発的な自己進化を遂げた後、村の住民を捕食して成体となる。自衛隊の一個小隊を全滅させ、自衛隊のF-15並びにガメラとの空中戦を展開。両者を振り切った後、綾奈との完全融合を求めて京都に飛来する。JR京都駅ビルにてガメラとの死闘を繰り広げた。綾奈の憎悪に呼応するかのように肉弾戦ではガメラを圧倒、手甲を使った攻撃で胴体を貫通、戦闘不能寸前にまで追い込んだ。その場で綾奈と再会し、駆けつけてきた龍成を攻撃し、再度彼女を自らの体内に取り込む。ついに彼女との融合を果たしたかに思われたが、復活したガメラのラッシング・クローで腹をえぐられ、重傷を負ってしまう。その後、手甲でガメラの右手を壁に突き刺しにすると同時に、体液を吸い取り偽プラズマ火球を形成し触手から放とうとする。しかし自らの右手をプラズマ火球で爆砕し自由となったガメラに綾奈を取り出され、またも融合に失敗。最期はコピーしたプラズマ火球をガメラに向けて放つも受け止められ、発動したバニシング・フィストによるカウンターを腹部に受け内部から爆散、死亡した。
イリスの別名「柳星張」は、中国星座二十八宿の内うみへび座にあたる南方の三宿に由来することから、イリスが中国の伝説上の神獣で南方を守護する朱雀に対応することが劇中の会話により示唆される。
能力
- テンタクランサー
- 4本の触手。先端は矢じり状になっていて、ギャオスより遥かに高出力の超音波メスを放つほか、生き物に突き刺して、獲物の体液を吸い尽くしてしまう。(奈良山中の人間や動物を全て食い尽くしてしまった)また、この部分には独立した中枢器官(副脳)があり、それぞれ個別に自己判断を下し、敵からの攻撃を防ぐ。
- この他、下記の通り飛行する際にも利用する。
- アンチ・プラズマ・フィールド
- テンタクランサーがガメラのプラズマ火球を払い除ける技。
- ジーン・スナッチャー
- 腹部の中心の発光体部分が開いて、強力な吸引力で生き物を吸い込み、体内に取り込んでしまう。彩奈を完全に融合させるのに使用。
- スピア・アブソーバ
- 腕の手甲部分が伸びて、槍状に変化する。ガメラの甲羅を刺し貫くほどの威力で、更にはテンタクランサー同様、この部分からも相手の体液を吸収可能で、DNAを取り込んでしまう。
- オーバーブースト・プラズマ
- スピア・アブソーバから吸収したガメラの血液を体内で解析、ガメラのプラズマ火球をコピーし、テンタクランサーの展開した先端から発射できるようになる。
- 飛行能力
- テンタクランサーを展開させ、その間に両肩の翼から発生させた半透明の膜で軌道をとり飛行。攻撃の際は1本ないし、2本閉じて攻撃に使う。また、両肩にある突起の付け根部分から、ジェット噴射のような役割を担う部分があり、ここでも機動調整を行っている。飛行速度はマッハ9。
ギャオス・ハイパー
テンプレート:Main レギオン戦でのマナの消費により生まれた、『1』のものとは別種のギャオス。『1』のギャオスと比べ繁殖力、攻撃力、飛行力は大幅に上がっている。
体格はシャープかつスリムで動物的なものになっており、体色は黒く、一部赤が混じっている。渋谷浜辺でも2頭が確認されたが、1頭はプラズマ火球を受けた後渋谷駅に墜落し重症を負い、上陸したガメラにとどめを刺され、残る一頭もプラズマ火球を3発連続で当てられ爆死した。
その後、世界中で現れるもすべてガメラに殺されている(倒しているという台詞のみであり、描写はされていない)。
ラストでは日本に向かって大量のギャオス・ハイパーが飛行する描写が書かれている。
尚、『1』のラストでは、もしギャオスが古代の時代の時に渡りを行っていたとしたら、世界中にギャオスの卵があってもおかしくない、と今作に置けるギャオスの大量発生を示唆する会話のやり取りがなされている。
劇中においてはギャオス・ハイパーの名称は一度もなくギャオスと称されている。
登場人物
- 長峰 真弓(ながみね まゆみ)
- 演:中山忍
- 本作の主人公で、鳥類学者。
- 『1』の頃、ギャオスと初めて遭遇し、ガメラとギャオスの戦いが終わった後もギャオスの生態研究をしており、本作ではギャオス研究の第一人者となっている。『1』の後、ギャオスに関する事柄を纏めた『怪鳥と遭遇した日』という著書を出版しており、『2』では直接は登場しないが、その著書が登場人物の私室に置かれている。
- 浅黄から地球の生命エネルギーマナについて聞かされ、3年前のレギオンとの戦いで、それらを使った事がギャオス大量発生の要因であった事を知ると同時に、奈良県の南明日香村でイリスの存在を知る事になり、やがてガメラとイリスとの死闘に関わって行く事になる。
- 比良坂 綾奈(ひらさか あやな)
- 演:前田愛(4年前:前田亜季(声は前田愛))
- もう一人の主人公。中学生の少女。1984年10月4日生まれ。
- 4年前までは都内のマンションに一家で住んでいたが、ガメラとギャオスの戦いに巻き込まれて両親を失い、それ以来ガメラを激しく憎み続けていた。やがて親戚の日野原家が住む南明日香村に移り同居生活を始めたが、日野原家以外の人間にはなかなか馴染めず、よそ者扱いする同級生、知美・早苗・夏子の悟に対するいじめにあう。偶然にも山中の社の沢で「柳星張」に封印されていた災厄(イリス)を解放させてしまう。やがて両親の仇と見なすガメラに対する憎悪からイリスを育て始め、交信するようになる。
- ガメラに対する憎しみは、両親を失ったショックや当時の悪夢がフラッシュバックし、その現実を受け入れられない事でガメラを非現実的なほど凶悪な存在に増長させたものだった。イリスとの最初の融合に失敗した後、意識不明となり奈良県内の病院に搬送されたが、彼女の存在を重要視した朝倉により、京都に連れ去られる。その知らせを聞いた長峰が彼女の居場所を突き止め、連れて帰ろうとした際、京都には台風が上陸していたため、立ち往生してしまい、その最中にイリスが飛来、その後遅れて飛来したガメラを浅黄の制止も耳に入らず殺すように懇願、その後、イリスに取り込まれた後は、ガメラに対する憎しみは思い違いであった事、その憎しみと現実を受け入れられなかった自らの心の弱さのせいで周りの多くの人が犠牲となった事を知り、困惑し助けを求めたと同時にガメラに助けられる。ガメラがイリスを撃破した直後に長峰達によって助けられた後、自らの過ちに龍成の腕の中で泣きながら謝り続けた。
- 草薙 浅黄(くさなぎ あさぎ)
- 演:藤谷文子
- 前2作ではガメラの心を知る人間として活躍したが、後に留学し本編中盤に帰国。再び長峰と行動を共にして活躍する。勾玉が壊れた後もガメラを信じていた。
- 守部 龍成(もりべ たつなり)
- 演:小山優
- 数百年続く旧家で柳星張を代々守ってきた守部家の長男。日野原家に身を寄せる綾奈とは同級生で幼馴染みの間柄である。綾奈に秘かな恋心を寄せるものの本人に伝えず、彼女への好意から柳星張に封印されていた災厄(イリス)の解放を許してしまう。祖母(守部家の刀自)から柳星張の伝説を聞き、守護を受け継ぎ十束剣を持ち出す。あくる夜にイリスの繭に取り込まれた綾奈を助け出すものの、綾奈が気絶した事で繁樹や駐在から暴行したと在らぬ疑いをかけられてしまう。南明日香村が壊滅した後も生き残り、祠に立ち寄った長峰と遭遇したことで長峰に綾奈との接点を導いた。綾奈の事で苦悩していたところを大迫に励まされ、綾奈を救うため共に京都に向かう。ギャオス、レギオンを倒して地球の危機を救ったガメラに憧れを抱いており、ガメラの行動も弁護する。
- 守部 美雪(もりべ みゆき)
- 演:安藤希
- 龍成の妹。綾奈が知美、早苗、夏子の3人に杜の沢へ連れられてきたことを兄へ伝えるなど、正義感が強い。また、兄の龍成に綾奈への暴行が疑われた際は庇うなど兄想いな性格でもある。本編では南明日香村襲撃後の行方は不明であったが、未公開シーンにて村の襲撃後に社の沢について聞き込みに訪れた警察に対し、祖母と共に応対する。
- 比良坂 悟(ひらさか さとる)
- 演:伊藤隆大
- 綾奈の弟で、4年前のギャオス東京襲撃時は千葉県松戸市の親類宅に避難していたため無事であった。父親の遺品であるカメラを持ち歩いている。綾奈の同級生3人組からよそ者扱いされいじめを受ける。綾奈とは違いガメラへの憎しみは皆無。
- 朝倉 美都(あさくら みと)
- 演:山咲千里
- 内閣官房・内閣情報調査会所属で巨大生物被害災害審議会メンバーであり、日本国の根幹に通じているとされる謎の女。倉田をブレーンに仕立て、被害規模など様々な事柄をシミュレートする。倉田によるとギャオスを創造した超古代文明人の末裔であり、イリスと交わるのは本来なら彼女の役割だったらしい。最期はガメラとイリスの対決で火の海と化した京都の街を目の当たりにし、綾奈の勾玉を奪い、自らがイリスとの融合を図り進撃を阻止しようとするもイリスとガメラの激突により破壊された京都駅の崩落に巻き込まれ断末魔の叫びを残し、死亡した。
- 倉田 真也(くらた しんや)
- 演:手塚とおる
- 推計統計学をモチーフにしたゲームで有名となったコンピュータープログラマー。長峰に謎のプログラムディスクを郵送してくる。長らく行方不明とされていたが、実際は京都におりブレーンとして朝倉を補佐していた。ガメラやギャオス、そしてそれらとつながった浅黄や綾奈のような特殊な存在に対して独自の見解を語る。未公開シーンでは、京都を訪れた浅黄に「ガメラが人を踏み潰す理由、聞いてる?」と言うなど結構毒舌である。人類は怪獣によって滅んだ方がいいと考えている節がある。最後はガメラとイリスの戦いで破壊された京都駅の落ちてきた天井の瓦礫の下敷きになり、死への恐怖を実感し、笑いながら死亡する。
- 大迫 力(おおさこ つとむ)
- 演:螢雪次朗
- 怪獣の出現で人生を狂わされた男。『1』では長崎県警察の刑事、『2』では北海道の酪農家からビール工場の警備員と職を転々とし、流れ着いた渋谷の街で古雑誌を売るホームレス生活をしていた。ガメラとギャオス・ハイパーによる渋谷炎上後、他のホームレス仲間は死亡し逃げるのに疲れ果てていたところで長峰と再会、彼女に励まされて奮起する。その後、壊滅した南明日香村の調査に同行した際、以前の自分同様失意の底にいた龍成を諭し、共に京都に向かうが、そこにイリスが降り立ち、大混乱に巻き込まれる。ギャオスとレギオン双方の第一発見者の1人である。
- 斉藤 雅昭(さいとう まさあき)
- 演:本田博太郎
- 『1』からは出世しており、朝倉を快く思っていない。いまや怪獣の専門家で通っており、『1』とは一転して、ガメラを弁護する立場へ回り、長峰たちに協力する。京都での綾奈の居場所を長峰に教えたのも彼である。
- 日野原 繁樹(ひのはら しげき)
- 演:堀江慶
- 日野原家の長男で大学生。母親と違い心優しい性格で、姓を変える事を拒む綾奈の主張も尊重している。彼の在籍している大学が社の沢を調査しようとしたことがあるらしく、社の沢について自分が知っていることを綾奈に教えた。社の沢で龍成が綾奈を救出し、救急車へ運ぶ際に龍成が綾奈を暴行したのではないかと疑い問い詰めるも龍成によって否定される。最期は両親と共にイリスに捕食されて死亡した。
- 桜井
- 演:八嶋智人
- 長峰の後輩で、国立遺伝子研究所に勤務している。長峰から送られたイリス細胞を分析する。
- 野尻 明雄(のじり あきお)
- 演:川津祐介
- ギャオス、レギオンの脅威から人類を救ったガメラを弁護するが批判される。
- 綾奈の両親
- 演:三田村邦彦、かとうかずこ
- 1995年のギャオス東京襲来時、娘の綾奈が手術を受けた直後のため避難が遅れ、マンションの部屋に残っている飼い猫の「イリス」を部屋から車に連れ出そうとした時に上空から偶然ガメラが落下。さらに綾奈の眼前で、戦いの衝撃によりマンションは崩壊し、イリスと共に2人とも死亡した。
- 守部家の刀自
- 演:清川虹子
- 龍成、美雪の祖母。
- 女性キャンパー
- 演:仲間由紀恵
- 南明日香村で友人の大輔(演:本田大輔)たち数人とキャンプをしていた女子高生。イリスに捕食され、ミイラ化して死亡した。
- 八洲海上保険・応対の社員
- 演:生瀬勝久
- 八洲海上保険会社に訪れた朝倉に、ガメラから採取された割れた勾玉を見せていた人物。彼の口から、3年前、レギオン襲来時に仙台にてガメラが復活した際、浅黄の持っていたものも含め全ての勾玉が砕けていた事が明かされた。
- 知美(演:竹村愛美)、早苗(演:藤崎安可里)、夏子(演:山口日記)
- 三人とも綾奈と悟をいじめていた中学生で(間接的ではあるが)イリス誕生の元凶ともいうべき存在。最終的に南明日香村はイリスに襲撃され、この3人もまたイリスによる襲撃で死亡した可能性が高い。
- 先遣小隊小隊長
- 演:高杉俊价
- 大野一等陸佐(第37普通科連隊 連隊長)
- 演:渡辺裕之
- シリーズ3作すべてに登場。奈良の山中で巨大化したイリスと交戦するが部隊は壊滅してしまい、その後の行方は不明。
- 奈良の駐在
- 演:徳井優
- 社の沢で龍成が綾奈を救出し救急車に搬送する際、龍成が綾奈を暴行したのではないかと繁樹と共に問い詰める。
- 京都の警官
- 演:伊集院光
- 京都駅近くでイリス出現にともなう避難誘導を行うが、京都駅の方向へ行こうとした龍成を取り逃がしてしまう。自分を押さえつけた大迫を背負い投げし逮捕するが、ガメラとイリスの戦いを見て大迫共々絶叫する。
- 奈良の巡査
- 演:野口雅弘
- イリスの襲撃によって村の半分程やられたと南明日香村の被害状況を本部に無線で伝える。長峰、大迫達に社の沢の存在を教える。
- 渋谷のOL
- 演:川嶋朋子
- 渋谷の女子高生
- 演:三輪明日美
- 繁樹の両親
- 演:斉藤暁、根岸季衣
- 綾奈と悟の親戚で二人を引き取る。母は綾奈が名字を変えない事に不満を抱いていたが、父は不満を抱いていない。イリスが南明日香村を襲撃した際の犠牲となり死亡。遺体を長峰、大迫達に発見される。
- 医師
- 演:田口トモロヲ
- 「かいれい」チーフ
- 演:廣瀬昌亮
- 「かいれい」クルー
- 演:石橋保、鴻上尚史、小瀬川理太
- 航空総隊・コントローラー
- 演:上川隆也、嶋田豪
- 航空総隊・先任管制官
- 演:石丸謙二郎
- 航空総隊・司令
- 演:津川雅彦
スーツアクター
スタッフ
- 監督:金子修介
- 脚本:伊藤和典、金子修介
- 助監督:村上秀晃、山口晃二、山川雅彦、堀川慎太郎、窪田祐介
- 特技監督:樋口真嗣
- CGディレクター、予告編制作:佐藤敦紀
- 音楽:大谷幸
- 主題歌:「もういちど教えてほしい」
- 作詞:金子修介 作曲:大谷幸 編曲:ヨシオ・J・マキ 唄:ユリアーナ・シャノー
- 総指揮:徳間康快
- 製作代表:加藤博之、石川一彦、小野清司、磯田尚正
- プロデューサー:土川勉、佐藤直樹、南里幸
- アソシエイトプロデューサー:奥田誠治、藤巻直哉
- 製作:大映、徳間書店、日本テレビ放送網、博報堂、日本出版販売
受賞歴
- 1999年日本インターネット映画大賞 日本映画作品賞
備考
- 前作のヒロインを演じた水野美紀を穂波碧役で再登場させる予定だったが、スケジュール[4]等の諸事情により実現しなかった。
- 助演であった守部龍成役の小山優については、妹・美雪役の安藤希(新人表記)とは異なりプロフィールがパンフレットでは取り上げられず、関連書籍『ガメラ3 バニシングブック』で簡潔なフィルモグラフィーと樋口のコメントが紹介された程度であった。メイキング映像にもごく僅かしか登場していない。BD版の「15年目の証言」で助監督の堀川慎太郎[5]が自宅に居候させたエピソードが語られている。
- 前2作と同様に日本テレビが制作に関わっているため、当時出来たばかりのCSニュース専門チャンネル「NNN24(現・日テレNEWS24)」の麹町スタジオが報道スタジオとして登場。番組としては『THEワイド』『NNNきょうの出来事』『NNNニュースダッシュ』が劇中に登場し、『THEワイド』のシーンでは司会の草野仁らと共に、『ガメラ2』に登場した野尻(札幌市青少年科学館館長。演:川津祐介)がゲストコメンテーターとして登場している。また、過去2作品では、関わった町の地元系列局が登場していたが、本作の舞台だった奈良・京都の地元局・よみうりテレビは登場していない。
- セガのドリームキャストとタイアップしており、長峰の自宅のゲーム機として登場している。ビジュアルメモリ『ガメラ ドリームバトル』も発売された。
- 渋谷の戦闘シーンではNHK放送センターの局舎が何度か大映りしている。これは監督が破壊する中心エリアを渋谷駅 - 渋谷センター街周辺か、シブヤ西武やNHK局舎などの宇田川町周辺に候補を絞っていたからとされる。なお、特技監督の樋口が『トップランナー』に出演した際、ギャオスに向けて放たれたプラズマ火球がNHKを直撃する絵コンテを描いているが、完成した映画本編では被害を受けていない。
- 冒頭の渋谷破壊シーンでは、実際の渋谷駅前や渋谷センター街での大規模なロケは許可が下りなかったため(渋谷は映像作品のロケに対する許可が下りにくい)、セットおよび極力雰囲気の似た別の場所で撮影された(主に吉祥寺)。また、ギャオスから発せられた超音波メスによって建物が切断されてしまった丸井(マルイシティ渋谷)からは建物破壊の描写への承諾は得られたものの、名称使用については難色を示され(既に丸井「0101」ビルとしてミニチュアが完成していたという)、ビル壁面の「0101」ロゴが「9191」という架空の名称に変更されている[6]。
- 舞台の奈良県高市郡「南明日香村」は実在しない。ロケの大半は山梨県大月市周辺で行い、ミニチュア特撮シーンのいくつかはさがみ湖ピクニックランド(神奈川県相模原市)および大映撮影所で撮影された。山梨県で撮影した国鉄115系電車をそのまま奈良の電車として登場させたために鉄道ファンから「関西にあんな電車は走っていない!」と苦情が殺到した。
- 渋谷でのギャオス戦でガメラがギャオスの超音波メスから逃げ遅れた子供をかばうようなシーンがある。監督の金子は「もっとガメラが子供を守るように見せたかった」と語っている。
- 奈良山中での陸上自衛隊先遣小隊とイリスの戦闘シーンは、陸上自衛隊第1師団第1普通科連隊の協力により撮影された。射撃場面では空包が使用されている。空包射撃の場面は、実際の陸自隊員であるが、先遣小隊長(演:高杉俊价)など、台詞のある場面は役者による別録りであり両シーンをつなげて編集された。
- 映画公開時に舞台となった京都駅ビルにて、作品に纏わる写真や模型などを展示した「ガメラ展」が東広場で開催された。
- ゲーム『The Tower II』のプラグインマップに、本作とタイアップした「京都駅ビル GIII」がある。
- 監督の金子は、平成ガメラ三部作の終了後に始まったゴジラのミレニアムシリーズの『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』でメガホンをとり、史上初めてガメラ・ゴジラの両怪獣映画を撮った監督となった。
- 「かいれい」のチーフを演じた廣瀬昌亮は、本作が公開された翌日の3月7日に肝臓癌のため、53歳で死去している。
映像ソフト
発売元は大映→角川エンタテインメント→角川映画(現:角川書店)。大映時代は徳間ジャパンが販売元となる。
- VHSは1999年9月1日に発売。2000年2月4日に廉価版発売。
- LDは1999年10月にLD-BOX「ガメラ3 邪神覚醒 特別版LD-BOX」として発売。3枚組で、メイキング映像(GAMERA1999とは異なる)・オミット集・「もういちど教えてほしい」ミュージッククリップ・スタッフインタビューなど本タイトルのみの特典映像を多数収録している。
- DVDは2001年2月21日に発売(ジュエルケース)[7]。
- 2001年3月23日発売の「ガメラ THE BOX(1995-1999)」[7]、2006年8月31日発売の「ガメラ 生誕40周年記念Z計画 DVD-BOX」に収録されている。
- 2007年10月26日に単巻(トールケースに改訂)が再発売。
- 何れも2001年発売の単巻版マスター(メニュー画面含む)を使用している。
- 2010年7月23日にBlu-ray Disc版のデジタルリマスターを使用したDVDデジタル・リマスター版が発売。
- Blu-ray Discは2009年8月28日発売の「平成ガメラ ブルーレイ BOX」および単巻版が同時発売。HDリマスター処理を施しており、特典映像として制作陣のインタビュー集「15年目の証言」の一部[8]を収録している。
脚注
- ↑ 『1』には、ギャオスに襲撃された島の集落を調査するシーンがあり、同じ登場人物が調査に携わっている。
- ↑ テンプレート:Harvnb p.271 全スタッフ&キャストデータ
- ↑ 切通理作『特撮黙示録 1995-2001』太田出版、2002年、p.435。金子修介インタビューより。
- ↑ 水野は1998年10月公開で、本作とほぼ同時期に撮影されていた『踊る大捜査線 THE MOVIE』に、メインキャストの一人として出演していた。
- ↑ 現・アルタミラピクチャーズ プロデューサー。
- ↑ 丸井ビルの名称変更についても、ガメラ3関連書籍にて特技監督の樋口がインタビューに答えている。
- ↑ 7.0 7.1 テンプレート:Cite journal
- ↑ 全3作のディスクに五十音順・三分割で収められており(各2時間前後)、本作には3つめのパートを収録。