ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク
テンプレート:Infobox Film 『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(The Lost World: Jurassic Park)は、1997年のアメリカ映画で、映画『ジュラシック・パーク』の続編。
概要
マイケル・クライトンの小説『ロスト・ワールド -ジュラシック・パーク2-』の映画化だが、その内容には原型をとどめないほどの大幅な変更がなされている。そのため、映画公開の際には、原作のファンから強い批判を受けた。もっとも、本作は小説企画との同時進行で制作されており、クライトンから「私も自由に書くから、映画も自由に作っていい」と言われていた。
前作『ジュラシック・パーク』の評価が高かったため期待された本作品は、その反動からか酷評される結果となった。第18回ゴールデンラズベリー賞においては「最低続編賞」「最低脚本賞」「最低人命軽視と公共物破壊しまくり作品賞」の3部門にノミネートされた(ただし、いずれも受賞を逃している)。
ちなみに、スティーブン・スピルバーグ監督にとって自作の続編で再び監督を担当した作品は、今のところ『インディ・ジョーンズ』シリーズと本作のみである[1]。
スタッフ
- 監督:スティーブン・スピルバーグ
- 製作総指揮:キャスリーン・ケネディ
- 原作:マイケル・クライトン
- 製作:キャスリーン・ケネディ、ジェラルド・R・モーレン
- 脚本:デビッド・コープ
- 撮影:ヤヌス・カミンスキー
- 美術:リック・カーター
- 音楽:ジョン・ウィリアムズ
- SFX:ILM
- 特殊効果:スタン・ウィンストン
日本語吹替版スタッフ
- ビデオ・DVD・TV共通
- 翻訳:木原たけし 調整:安藤邦男 演出:佐藤敏夫 録音:高久孝雄
キャスト
- イアン・マルコム
- 演 - ジェフ・ゴールドブラム(日本語吹き替え:大塚芳忠)
- 恐竜調査隊の一員。数学者(カオス理論学者)。4年前のジュラシック・パーク事件の当事者の一人。
- 小説版では自身の理論の研究のために島を訪れるが、今作では恐竜に対して強い恐怖感を抱き続けており、島を訪れることを拒否する。
- ハモンドによって、恐竜の生態調査チームに勧誘される。当初は拒否したものの、サラが参加していることを知って、「調査隊ではなく救助隊だ」と称し、サラを連れ帰ることを目的に、再び恐竜達の世界へと足を踏み入れる。
- 前作のような、陽気で皮肉屋な一面はほぼ見られない。
- サラ・ハーディング
- 演 - ジュリアン・ムーア(勝生真沙子)
- 恐竜調査隊の一員。イアンの恋人で古生物学者。イアン達より先に、一人でサイトBを訪れていた。
- 勇敢だが向こう見ずで、恐竜に対しても大胆な行動を見せるが、その行動が原因でエディが命を落とした。
- また、T-レックスの嗅覚についての知識があるにもかかわらず、T-レックスの仔の血が付着したベストを羽織り続けていた。その結果、T-レックスがキャンプを襲い、多くのハンターが死亡した。
- ケリー・カーティス・マルカム
- 演 - ヴァネッサ・リー・チェスター(渕崎ゆり子)
- イアンの娘。体操部に所属しており、鉄棒が得意。イアンに止められたが、こっそり隠れてサイトBについて来た。母親は既にマルコムと離婚しており登場しないので詳細は不明だが、黒人でニックにも「似ていない親子」と評されている。
- ニック・ヴァン・オーウェン
- 演 - ヴィンス・ヴォーン(平田広明)
- 恐竜調査隊の一員。カメラマンとして参加していたが実際はハモンドに恐竜の捕獲を妨害する目的で雇われていた。女性メンバーが多いので女漁り目的でグリーンピースに所属していたとマルコムに語る。また、「アースファースト」(日本語吹き替えでは「地球救済会」に差し替え)に所属していた経験を持つなど急進的な自然保護運動家。T-レックスの仔をトレーラーに連れ帰ったことで親の襲撃を招いたり、装備の銃弾を勝手に抜いておいたことでにハンター達が壊滅的な被害を受けるなど、彼の行動によって調査隊とハンターメンバーが命を落とした。ローランドから「テロリスト」と呼ばれ激昂したり、檻を壊したことでキャンプが被害にあっても全く悪びれる様子を見せず、「お前たちが悪い」と言い張った。
- エディ・カー
- 演 - リチャード・シフ(納谷六朗)
- 恐竜調査隊の一員。精密機械のエキスパート。かつては学生からも独特の評判を集める大学教授だったが、物作りの現場に身を置きたいと考え転身した経歴を持つ。劇中に登場する調査隊の車両は彼の設計によるもの。映画版では,サラを撃退しようと襲い掛かるステゴサウルスに対し毒殺用の銃を向けたものの,「(彼らは)子供を守ろうとしてるだけだ」と撃つことをためらっていた。ティラノサウルスにトレーラーごと崖から落とされたイアン達を命がけで救出しようとするが、悲劇的な最期を迎える。
- ジョン・ハモンド
- 演 - リチャード・アッテンボロー(永井一郎)
- かつてジュラシック・パークを建設した実業家。現在ではインジェン社の会長となり、一線を退いている。恐竜たちの野生のままの生態を研究することで過去の償いと名誉回復を画策し、ルドローたちが到着する前にサイトBへ調査隊を緊急派遣する。ラストでは、恐竜には人間の手は必要ないと思い直し、島の保護を訴えている。
- アレクシス・マーフィー(レックス) / ティモシー・マーフィー(ティム)
- 演 - アリアナ・リチャーズ / ジョゼフ・マゼロ
- ハモンドの孫の姉弟。4年前のジュラシック・パーク事件の当事者の一人。冒頭、ハモンドの屋敷でイアンと再会する。
- ピーター・ルドロー
- 演 - アーリス・ハワード(牛山茂)
- ハモンドの甥。ハモンドに代わってインジェン社の社長になった。会社を立て直すためアメリカ本土(サンディエゴ)にジュラシック・パークの再建を計画、腕利きのハンター達を雇ってサイトBを訪れる。かつての叔父とは対照的に、恐竜をビジネスの道具としか思っていない。その性格から雇っているハンター達からの信頼も皆無である。
- ローランド・テンボ
- 演 - ピート・ポスルスウェイト(麦人)
- ルドローに雇われた恐竜ハンター団の隊長。「史上最強の猛獣」を狩る事だけを目的にハンターに加わり、ティラノサウルスの雄竜狩りに情熱を燃やす。ニック曰く「“白鯨”(メルヴィルの海洋小説)のエイハヴ船長のような」人物。最後は相棒のアジャイを失った後悔の念から、ルドローと袂を分かつ。
- 演じるピート・ポスルスウェイトはスピルバーグから高く評価されており、次作『アミスタッド』でも起用している。
- ディーター・スターク
- 演 - ピーター・ストーメア(神谷和夫)
- ルドローに雇われた恐竜ハンター団の一員。ローランドから副隊長を任せられる優秀なハンターだが、スタンガンでコンピーをいたぶるなど冷酷な人物。皮肉にも馬鹿にしていたコンピーの群れに捕食され死亡。
- ロバート・バーク
- 演 - トーマス・F・ダフィ(塩屋浩三)
- ルドローに雇われた恐竜ハンター団の一員。古生物学者。名前と服装からモデルは古生物学者のロバート・T・バッカーと思われる。物語中盤でティラノサウルスに襲われ死亡。
- アジャイ・シドゥ
- 演 - ハーヴェイ・ジェイソン(小島敏彦)
- ルドローに雇われた恐竜ハンター団の一員。ローランドとは旧知の仲。サイトBでは彼の相棒として行動している。ヴェロキラプトルに襲われ死亡した模様。
- カーター
- ルドローに雇われた恐竜ハンター団の一員。ディーターとコンビを組んでいた。T-レックスに踏み潰され死亡。
登場する恐竜
劇中で種小名が出ているものは属名と中黒(・)で繋ぎそれも記した。原則として劇中での登場順に並べてある。
- コンプソグナトゥス・トリアシクス テンプレート:Snamei
- テンプレート:Snamei は現実に存在しない架空の種である。冒頭から登場しサイトBの海岸に訪れた旅行者家族の幼い娘に襲いかかる。(細部は異なるがジュラシックパーク(小説)の冒頭にも同様のシーンが存在する)劇中ではピラニアの様に集団で自分より大きな生物に襲いかかる恐竜として描かれているが実際には昆虫を食べていたと推測されている。
- ステゴサウルス テンプレート:Snamei
- イアン達が最初に遭遇した恐竜。群れで行動する大人しい性質の恐竜だが、幼体を守る時には一転して尾のスパイクを武器に激しい攻撃を加える。
- パラサウロロフス テンプレート:Snamei
- ジュラシックパークにも登場した恐竜。前作では遠景に僅かな時間映るだけだったが、本作ではパキケファロサウルスと共に本作の見所の1つである捕獲シーンがある。
- パキケファロサウルス テンプレート:Snamei
- 頭突きでジープのドアを破壊する活躍を見せるが、劇中の様な突進による頭突きを実際に行えたかについては未だ異論も多く結論は出ていない。前作のディロフォサウルスと同じく実物より小さい。
- ガリミムス テンプレート:Snamei
- マメンチサウルス テンプレート:Snamei
- バイクに乗ったハンターの1人が本種の股の間をくぐり抜けるシーンがある。
- ティラノサウルス・レックス テンプレート:Snamei
- 原作小説と同じく雄・雌・幼体の計3体の個体が登場する。前作よりも出番が大幅に増え最期までイアン達を苦しめる。
作中終盤でソルナ島からアメリカ本土に運ばれるのだが、ローランドに麻酔薬で眠らされていて、鉄格子で体を封じられながらの輸送であったのにも関わらず、本土に着いたときは解き放たれていた。
- トリケラトプス Triceratops;
- ヴェロキラプトル テンプレート:Snamei
- 体色が前作の灰色から黒い縦縞模様が入った茶褐色の皮膚に変更され原作により近いものになっている。今作でも鋭い爪と高い機動力を武器に人間を最も多く殺した恐竜として扱われている。
- 物語終盤、アメリカ本土サンディエゴにティラノサウルスのオスを運んできた貨物船が、航海中のいつの間にか何者かによって乗組員全員を惨殺され無人となって、港の桟橋に激突する。ブリッジの操舵手は手首だけを残して食いちぎられていた。原作小説第1作ではヴェロキラプトルや一部の小型肉食恐竜が船に密航して島から本土へ渡る描写があるが、この映画では船内を無人と化させた殺戮者が何者なのか全く説明されずに終幕となる[2]。
舞台となった島
舞台となったのはソルナ島(Isla Sorna)という島で、スペイン語で『皮肉の島』という意味を持つ。この島は『Las Cinco Muertes』(五つの死)と呼ばれる、『C』を描くように連なる5つの島々の一つで、前作の舞台となったヌブラル島の南西140kmにある。『五つの死』の島々は北西から順に『Isla Matanceros』(虐殺の島)、『Isla Muerta』(死の島)、『Isla Sorna』(皮肉の島)、『Isla Tacano』(嘘つきの島)、そして『Isla Pena』(苦しみ・刑罰の島)からなる。『III』の舞台も同じ島。
原作では、コナン・ドイルの『ロスト・ワールド』(失われた世界)に因んで、島の周縁がそびえ立つ断崖絶壁にぐるりと囲まれ、航空機を使うかロッククライミングをしなければ島の内部に入り込めない地形になっていた。が、映画ではごく普通に海岸に船で上陸することができるように描かれている。
ソルナ島には、観光ではなく恐竜の飼育とクローニングを目的とした研究施設が建てられている。この島で育った恐竜はいずれヌブラル島の新たなアトラクションとして運ばれる予定であったが、前作の後インジェン社は島を撤退、その後のハリケーンによって施設は壊滅状態となった。撤退の際に研究員によってジャングルに解き放たれた恐竜たちは独自の繁栄を遂げた。
参考文献
関連項目
- 『ロスト・ワールド -ジュラシック・パーク2-』(原作・1995年)
- 『ジュラシック・パーク』(前編・1993年)
- 『ジュラシック・パークIII』(続編・2001年)
- 『ジュラシック・ワールド』(続編4作目・2015年)
外部リンク
テンプレート:スティーヴン・スピルバーグ監督作品- ↑ 『激突!』と『続・激突! カージャック』は邦題だけが関連付いているだけで、元々は全く関連のない別作品
- ↑ 劇中では船から出てきたのはティラノサウルス一匹だけであるため、これが船員達を虐殺したとは考えにくい。原作のように一匹のヴェロキラプトルが密航し、ヴェロキラプトルが船員達を惨殺した上でティラノサウルスに補食されたとしたならつじつまがあうのだが、ティラノサウルスが入れられていたコンテナ部は蓋が閉まっておりヴェロキラプトルが外側から入る事は不可能な状況だった。