アフターウォーの勢力
アフターウォーの勢力では、テレビアニメ『機動新世紀ガンダムX』をはじめとするアフターウォーが舞台の作品に登場した、架空の組織を列挙する。
目次
国家
宇宙革命軍
月の裏側に位置するスペースコロニー群「クラウド9」を拠点とする軍事政権。地球統合連邦政府(旧連邦および新連邦)と激しく対立している。
クラウド9は地球を挟んで月の反対側のL3に位置している(アニメ『機動戦士ガンダム』におけるサイド7と同じ位置)。
第7次宇宙戦争
アフターウォー以前、コロニーの独立を求める勢力と地球統合連邦政府(旧連邦)との間ではしばしば武力衝突が発生していた。その中でもザイデル・ラッソ総統率いる勢力は宇宙革命軍を称してコロニー群・クラウド9を根拠地に旧連邦に独立戦争を挑み、第7次宇宙戦争と呼ばれる史上最大かつ最悪の戦禍を巻き起こした。
宇宙革命軍は意見を違える他のコロニーに毒ガス攻撃を仕掛けて住民を虐殺し、さらに戦争が8ヶ月に及ぶ膠着状態に陥った際に、これらのコロニーを大質量兵器として地球へ落下させるコロニー落としを準備することで連邦側に無条件降伏を迫った。しかし連邦側は決戦兵器・モビルスーツ「ガンダム」を投入して徹底抗戦の構えを見せた。そしてこのうち一機がコロニーを破壊したことから、その圧倒的な破壊力に焦った宇宙革命軍はコロニー落としを強行、40基を超えるコロニーが地球へと落下し壊滅的打撃を与えることとなった。両軍の戦闘は泥沼化し、双方とも戦力の大半を失い勝敗の付かないまま、なし崩し的に戦争は終結する。
クラウド9自体は無傷だったものの、国力が脆弱な宇宙革命軍は戦力再建に手を取られ地球侵攻は不可能なまま15年の歳月が流れていった。しかし宇宙革命軍は地球侵攻を諦めることなく、工作員を密かに派遣するなどして地球情勢を探らせることを怠らなかった。欧州を中心に再興しつつあった新連邦の軍や関連組織にも、こういった工作員を数多く潜入させていた(ニコラ・ファファスなど)。又、戦中から地球に潜伏していた宇宙革命軍のメンバーもおり、この15年の間、コロニー落としに起因する様々な理由によって犠牲者が出たり(エニル・エルの父である情報将校ナーダ・エル。コロニー落としの被害者による私刑によって死亡)、指揮官の暴走で最終的には私物化されたものの、無政府状態だった北米大陸に拠点の構築を成功させている(ノモア・ロングことドーラット博士。詳細は後述のフォートセバーンを参照)。
アフター・ウォー15年の時点で宇宙革命軍統制下の人口は1200万人らしい(第34話「月が見えた!」より)。
ニュータイプ主義
ザイデル総統が思想統制に利用したのは「ニュータイプ」と呼ばれる存在であった。特異な能力を持ったニュータイプと呼ばれる人々を「人類の革新」と位置づけ、宇宙に住まう人々(スペースノイド)はその最初の一歩であるとしたのである。ザイデルの提唱したニュータイプ主義では宇宙に住む全ての人々は実は潜在的なニュータイプであるとされ、ニュータイプと呼ばれる能力者はその潜在した力が早い時期に発露した存在とされた。
しかし実のところ、ザイデル自身はニュータイプやその能力そのものには関心が無く、むしろ疎ましくさえ思っていた。彼にとってニュータイプはあくまで思想統制の道具であり、ニュータイプ能力を失ったエースパイロットのランスロー・ダーウェルを重用したのもそのために過ぎなかった。ザイデルが必要としたのは自らの思想統制や主義に沿うニュータイプだけであり、ニュータイプ能力を有しているティファ・アディールが、宇宙ではなく地球の生まれであり、ザイデルの意思にも従わなかったため、彼女を認めようとはしなかった。
サテリコンとの対立
一方、宇宙革命軍の攻撃によってコロニーを追われた人々は宇宙難民となり、その中から反宇宙革命軍組織「サテリコン」が現れた。サテリコンは放棄された小惑星資源帯に根拠地を置き、モビルスーツ部隊や宇宙戦艦を擁して宇宙革命軍に対する妨害工作やテロ活動などを行っていた。アフターウォー15年、サテリコンはその根拠地を宇宙革命軍に察知されてしまう。ランスロー率いる教導部隊の猛攻撃を受けて根拠地は陥落、さらにザイデル総統の命令で荷粒子反応弾という強力な爆弾で皆殺しにされてしまう。
サテリコンを全滅させたザイデル総統はダリア作戦の決行を決定。先の大戦で建造途中だったコロニーレーザーを完成させ、これを地球に撃ち込んだ上で地球侵攻を行うというものであった。しかし決行直前にガンダムダブルエックスを加えたサテリコン残党によってコロニーレーザーを破壊されてしまう。
第八次宇宙戦争
予期せぬ妨害で出鼻をくじかれたザイデルは、旧連邦が最初のニュータイプを封じた月面の施設「D.O.M.E.」に接触することで勝利を得られると考え、同様にD.O.M.E.を目指す新連邦軍と交戦状態となる。ザイデルは新連邦のフィクス・ブラッドマン司令やフリーデンクルーと共にD.O.M.E.との接触に成功したものの、その答えはおよそ期待していたものとは違っていた。なおもブラッドマンと戦おうとするザイデルであったが、ブラッドマンを裏切ったフロスト兄弟に両者まとめて暗殺されてしまう。
主戦派の首脳を失ったことで、宇宙革命軍はようやく新連邦との和平交渉に臨むことが出来たのである。
新連邦
地球統合連邦政府(旧連邦)の残勢力を中心にアフターウォー15年に組織された政府。
旧連邦時代
アフターウォー以前の地球は地球統合連邦政府によって統治されていた(劇中では「地球連邦」と略称されている)。当時はすでに宇宙進出が行われスペースコロニーなどが建設されていたが、宇宙居住区を管理下に置こうとする連邦政府と宇宙居住区の独立を唱える宇宙移民とが対立しており、これらは度々宇宙戦争へと発展していた。そして一つのスペースコロニーの独立運動に端を発した紛争が、スペースコロニー独立を目指す宇宙革命軍との地球圏全土を巻込んだ全面戦争、第7次宇宙戦争へと発展した。高い軍事技術力をもつ一方で国力に劣る宇宙革命軍は短期決戦を狙い、ライラック作戦などをもって地球を攻撃しようとするが連邦軍の抵抗の前に目論みは外れる。結果、戦争は膠着状態に陥ったまま8ヶ月が過ぎた。戦争長期化による自軍の不利を悟った宇宙革命軍はコロニー落としを切札として連邦政府に無条件降伏を迫った。これに対し連邦政府はかねてから研究していたニュータイプとニュータイプ専用に開発していたモビルスーツ「ガンダム」を投入し徹底抗戦の構えをとった。そして地球に落下させるため待機していたコロニーの一基を連邦軍のニュータイプパイロット、ジャミル・ニートの駆るガンダムXが撃墜したのをきっかけに、宇宙革命軍はコロニー落としを強行した。戦局は泥沼化し、両軍ともに戦闘継続が不可能になるまでの打撃を受け、勝敗がつかぬまま自然に終戦となった。そしてコロニー落としによって地球は壊滅状態となり、宇宙革命軍統制下にあったクラウド9以外のコロニーも全て失われた。これにより戦争以前は100億人を誇った地球圏の人口のほとんどが失われ、連邦政府は事実上崩壊した。戦後15年経っても地球全土の人口は9800万人である。
アフターウォー時代では地球統合連邦政府は旧連邦と呼称される事が多い。旧連邦の具体的な組織の成り立ちや当時の年号については不明である。政府再建委員の発言から旧連邦の中枢は南米大陸にあったことが窺え、特にコロニー落としの標的となった南米大陸ならびに近隣の北米大陸は戦後も復興が遅れたようである。
『機動戦士ガンダム』の地球連邦政府にきわめて近い組織名称を持ち、本拠地の位置も同じ南米大陸である。
政府再建委員会
第7次宇宙戦争により地球統合連邦政府は崩壊し地球は無政府状態となっていたが、旧連邦の政府関係者、軍上層部、産業界のリーダー達は再び地球圏を統一するため政府再建委員会を組織し、政府再建に向けて活動を始めていた。彼等の大半は現実主義者であり、ほとんどのメンバーは戦後は確保が困難となったニュータイプやその専用機としての性格が強いガンダムなどにも大きな関心を見せなかった。政府再建委員会メンバー達は新連邦政府の発足など着実に成果を積み上げ、新連邦政府首脳となる。しかし多くのメンバー達が宇宙革命軍との早期全面再戦に難色を示したため、これを疎ましく感じたフロスト兄弟により、宇宙革命軍のテロを装い、抹殺されてしまった。政府再建委員会のトップで、新連邦成立後は新連邦軍総司令官となっていたフィクス・ブラッドマンは、早期での全面再戦を主張していたため、これを黙認した。
新連邦政府樹立
A.W.(アフターウォー)15年。政府再建委員会は新連邦政府の樹立を宣言、本拠地を置いていた欧州を皮切りに急速に勢力を拡大させ北米の一部を除く地球全土を短期間でほぼ統一した。更に新連邦政府は宇宙革命軍の健在を公表。先の大戦で地球を壊滅させ、今尚、地球侵攻を図る革命軍への恐怖を意識させることで地球の結束を促した。そして地球圏の覇権を握る鍵とされるD.O.M.E.をめぐって第7次宇宙戦争以来対立していた宇宙革命軍との間に全面戦争を再開するが、主戦派であった両軍のトップが戦死し、両軍の目的だったD.O.M.E.も破壊されたことにより停戦が成立。後に和平交渉の場が設けられることとなった。
南アジア独立小国家
第7次宇宙戦争によって連邦が崩壊後に興った小国群の一つ。エスタルド人民共和国とガスタール民主共和国はアフターウォー以前から続く民族紛争により対立していたが、新連邦の小国家制圧に対抗する為、隣国ノーザンベルとの3国による同盟軍を結成した。しかし、エスタルドとガスタールの間を取り持っていたノーザンベルが新連邦の攻撃により降伏し、さらにガスタールが新連邦と手を組んだことによりエスタルドは孤立無援となり、降伏せざるを得なくなった。
劇中登場した独立小国家
- エスタルド人民共和国
- AW15年での国家主席はウィリス・アラミス。隣国ガスタールとは民族紛争が続いていたが、新連邦に対抗する為同盟を結んだ。しかし、ノーザンベルの降伏、ガスタールの寝返りなどにより窮地に立たされ、国内でも徹底抗戦を主張する強硬派と降伏を主張する穏健派が対立していた。
- ガスタール民主共和国
- 新連邦に対抗する為、民族紛争の続いていたエスタルドと同盟を結ぶが、ノーザンベルの降伏により、同盟を破り新連邦と手を組んだ。
- ノーザンベル連合王国
- エスタルドとガスタールの仲立ち役を勤めていたが、新連邦により首都を陥落させられ降伏した。
バルチャー
戦後、廃棄された軍事施設や兵器の残骸を漁って売りさばく者達のことを禿鷹(ハゲタカ)に例え、バルチャーと呼ぶようになった。
種類は多く、ジャミル・ニートなどあくまで廃棄された物資を回収し売買したり、生活物資の行商を生業とする者もいるが、無法者集団と変わらない者が大半の為、一般人からは忌み嫌われる存在であったようである。
大抵のバルチャーは戦艦やMS等で武装しており、用心棒や傭兵を雇っていたりもする。バルチャー同士で互いに連帯や敵対もしている。その際の遣り取りにはバルチャーサインという信号弾を主に使用している。
また、海上で生業をするバルチャーは、シーバルチャーと呼ばれている。その中でも破壊強奪等の無法をする傾向があるものはオルクと呼ばれ、区別されている。また彼らは陸での同業者を「陸(おか)バルチャー」と呼ぶ事がある。
劇中登場したバルチャー
- ザコット一味
- 火炎放射器を装備したモビルスーツ部隊「炎の時計部隊」を率いる水陸両用艦トリエステ級を母艦とするバルチャー。誘爆の危険がある旧連邦の動力施設から部品を持ち出し結果誘爆させる事も厭わない過激派。
- ドーザ一味
- 旧連邦の海洋艦シーキャッスルを母艦とするオルク、イルカの脳を使用した生体航法システム「Dナビ」を製造・販売しその材料調達の為定期的にイルカ漁を行っていた。
- フリーデン
- アルプス級陸上戦艦フリーデンを母艦とするバルチャー。リーダーは旧連邦のモビルスーツパイロット、ジャミル・ニート。フリーデンの項目も参照。
- マーカス一味
- 潜水艦ポリペイモスを母艦とするオルク。オルバにGビットの引き上げを依頼される。
その他の勢力
- アルタネイティヴ社
- 北米の都市セントランジュ郊外にある軍事企業。旧連邦の技術士官フォン・アルタネイティヴが、放棄された旧連邦の軍事施設を接収して事業を始めたもので、その技術力や生産力の高さから一躍人気ブランドとなった。
- サテリコン
- 宇宙で宇宙革命軍に対するレジスタンス運動をしていた組織。先の大戦で革命軍によって故郷のコロニーを破壊された宇宙難民達が結成した。小惑星を基地として使用し、戦力としては宇宙戦艦ヴァローナ1隻とGファルコン、革命軍から鹵獲したジェニスなどを所有していた。
- ランスロー・ダーウェル率いるモビルスーツ部隊に攻撃されていたガンダムダブルエックスを救出し、修理すると共に負傷したガロード・ランにも手当てをするが、その後宇宙革命軍の本格的な侵攻により、組織は基地である小惑星もろとも消滅させられてしまった。
- フォートセバーン
- 第7次宇宙戦争後に誕生した北米大陸北部の地方都市。雪と山脈に囲まれており、モビルスーツによる自衛団を有している。自ら都市を築き、市民からの高い支持を得ていた市長のノモア・ロングによって市政は安定していたが、その正体は宇宙革命軍のドーラット博士であり、地球住民に対する復讐のための準備が進められていた(そもそもこの都市自体が宇宙革命軍の超巨大MAパトゥーリアの不時着地点に築かれたものであった)。ノモアによって人工ニュータイプのカリス・ノーティラスを生体部品として組み込まれたパトゥーリアは市街に無差別攻撃を行うが、駆けつけたフリーデンクルーにより撃退されている。
- なお、カナダには現実に同名の都市が存在する。
- 民族独立戦線
- 南アジアの反新連邦ゲリラ組織。エスタルドでフリーデンを一時的に離れていたロアビィ・ロイが世話になっていた女性ユリナ・サノハラもメンバーの一人だった。幹部達はロアビィを組織に引き込もうとするがロアビィの気持ちを察したユリナは反対した。新連邦のゲリラ狩りにあい、ユリナはじめその場に居合わせたメンバーは全員殺害されてしまった。